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地域住民へのアプローチを通して広がる認知症への理解
<鹿児島県鹿児島市 きいれ浜田クリニック>

医師 濱田努先生 医師 濱田努先生

鹿児島市の南部に位置する喜入地区は、子どもから大人まで多くの住民が認知症について学んでいて、認知症サポーターも増えています。その中心となって啓発活動や異業種間の連携に励んでいるのが、“きいれ浜田クリニック”の院長、濱田努先生と妻の濱田歩美さんです。高齢者も若者も、皆が健康に生き生きと暮らせる町づくりを目指し、濱田先生は医療の専門家として、歩美さんは同クリニックの理事として、多様な活動を展開しています。

地域のかかりつけ医として50年の歴史を受け継ぐ

高齢者の安全にも配慮した受付 高齢者の安全にも配慮した受付
日当たりの良い待合室 日当たりの良い待合室

桜島の雄大な姿を仰ぎ見る鹿児島市の海岸沿いに、赤ちゃんから高齢者まであらゆる年代の方々が訪れるきいれ浜田クリニックがあります。ある母子は育児サークル活動の一つであるベビーマッサージ講習を受けるため、またある方は肺炎治療のため、そして、ご家族とともに認知症診療に訪れる高齢者も目立ちます。

1965年に開院した同クリニック(旧浜田医院)は、半世紀にわたって地域の方々の健康を支え続けてきた歴史あるクリニックです。濱田先生は、呼吸器内科専門医として勤務していた鹿児島大学病院から、2013年に故郷の喜入町に戻り、同クリニックの診療に加わりました。

同クリニックでは濱田先生の専門である呼吸器疾患の治療はもちろん、かかりつけ医として小児や高齢者へのさまざまな診療を行っています。中でもここ数年で特に力を入れるようになったのが、認知症診療です。この地域は認知症専門医が常駐する病院がなく、認知症の兆しがあっても医療機関を受診しにくいという背景があります。そのため、「私がしっかりと認知症と向き合い、知識と診断力を身につけて、地域の高齢者を支えなければならないと思いました」と、濱田先生は積極的に認知症医療に取り組み始めたきっかけを話します。

雑談の中から認知症のサインを見つけ出す

専門外であった認知症の的確な診療を行うため、濱田先生は認知症サポート医の資格を取得。日々研さんを積み、脳神経外科や精神科などの認知症専門医とも連携して診療にあたるようになりました。

同クリニックをかかりつけにし、内科や呼吸器科の診察で訪れる患者さんには高齢者も多いため、濱田先生は普段の診療から認知症のサインを見逃さないように心掛けています。

「雑談の中で『最近気になったニュースはありましたか?』、『前の東京オリンピックのときは何歳でしたか?』といった質問を取り入れています」(濱田先生)。

答えに詰まったり、取り繕ったりするなど、認知症の疑いがある場合には、さりげなく検査を勧め、時には電話やメールで専門医に相談しながら、診断・治療を行います。

また、「少しでも認知症の方と接する機会がある以上、スタッフにはしっかりと専門知識を持って働いてほしい」という濱田先生の方針から、同クリニックでは看護師、介護士はもちろん、受付や調理スタッフにいたるまで、30名以上のスタッフ全員が認知症サポーター養成講座を受講し、さらに昼休みなどを利用して、認知症関連の勉強会も頻繁に行っています。

「クリニックを挙げて理解度を深めたことで、認知症の方々とより良い関わりが持てるようになりました」と濱田先生は話します。

小学生サポーターが続々誕生、若い世代にも認知症への理解を

認知症の診療と同時に濱田先生が取り組み始めたのが、子どもたちを対象にした啓発活動です。「早いうちから認知症ヘの知識を身につけてほしい」と、自ら地元の小学校・中学校へ足を運び認知症サポーター養成講座を開催、認知症について分かりやすく教えています。そこには、大人も、子どもも、地域の住民全員に認知症を身近なこととして捉えてほしいという思いと、子ども時代の反省があります。

「私の祖母が認知症だったのですが、当時はまだ、認知症に対する社会的な理解が低かった時代です。私も知識がなく、不適切な対応もしてしまいました。まだ子どもだったとはいえ、祖母に対して申し訳ない気持ちをずっと抱いていました」(濱田先生)。

認知症が進むと、周囲から“問題行動”だと思われるような、困った言動がみられることがあります。「そんなときでも認知症について理解し、どう対応すればいいか知っていれば、困惑したり嫌ってしまったりするのではなく、認知症の影響と考え、症状に合わせた対応ができます。そうすることで、おじいちゃんやおばあちゃんとの良い思い出を持ったまま成長していってもらいたいと思います」と、濱田先生は自身の子ども時代を振り返りながら、認知症の知識を身につけることの意義を話します。

認知症への理解は早期発見にもつながるので、「認知症について正しい知識を持った子どもが増えることは、この地域の大きな財産になると思っています」と濱田先生は期待を寄せています。

認知症の相談にもつながった、子育て世代へのアプローチ

理事 濱田歩美さん 理事 濱田歩美さん

今では老若男女が訪れる同クリニックですが、濱田先生が加わった当初は、圧倒的に高齢の患者さんが多い状況でした。そこで、「もっといろいろな方に当クリニックを訪れてほしい。何かのときにすぐに相談したいと思えるオープンなクリニックにして2世代、3世代でずっと安心して暮らせる町にしたい。そのために、今までとは違う世代にもアプローチしよう」と思い立ったのが、理事の濱田歩美さんです。

歩美さんは2014年に育児サークルを立ち上げ、ベビーマッサージの講習会や子連れで参加できる料理教室などを開催。サークル設立時には一桁だったメンバーも160人を超えるまでに膨らみ、最近では、喜入地区だけでなく、鹿児島市の市街地や南隣の指宿市から参加される方もいます。さまざまなイベントを開くことで、多くの方にクリニックの取り組みについても情報発信を行っています。

育児サークルを立ち上げたことで、同クリニックに足を運ぶ患者さんの年齢層も大きく変わりました。小さな子どもや20~40代の若い世代が受診するようになり、さらに「育児サークルに来ているうちに認知症サポート医がいることを知ってくださり、認知症が疑われるご家族の相談を受けることも多くなりました」と濱田先生は話します。

歩美さんは、「全ての人が、皆誰かとつながっていると思います。私は医療従事者ではありませんが、このサークルが認知症で困っていた方にまでアプローチできたことはうれしい限りです」と笑顔を見せます。

異業種間の連携を強化し、地域ぐるみで認知症の方を支える

今後さらに進む高齢化を見据え、地域全体で医療レベルを高めて、認知症の早期発見につなげていこうと、濱田先生は積極的に活動しています。

自ら認知症のキャラバン・メイト養成研修や認知症ライフサポート研修などに足を運び、異業種間の連携会にも参加してさまざまな業種との連携を進めていく一方で、講師としても壇上に立ち、地域住民に認知症の啓発を行っています。講演を聞いた育児サークルのメンバーから「母の住む地域でも講演をしてほしい」と依頼されるなど、その活動は広がりをみせています。

また2015年12月には、濱田先生の呼びかけで“きいれ包括ケアネットワーク”が設立されました。喜入地区の医療・介護・福祉事業者が一堂に会して定期的に勉強会を開き、地域が抱える問題点を話し合っています。2016年2月には、喜入地区の全事業所職員を対象に認知症サポーター養成講座を開催しました。現在では同地区のどの事業所にも“認知症サポーターがいます”というステッカーが貼られています。

「私が生まれ育った喜入という町は人と人の絆がとても強く、すばらしい地域です。医療、介護、福祉の関係者が顔の見える関係をつくってしっかりと連携し、住民の皆さんとつながることができれば、地域ぐるみで高齢者や認知症の方を支えていけると確信しています」(濱田先生)。

楽しみ、つながりながら安心して暮らせる町に

支え合う濱田先生と歩美さん 支え合う濱田先生と歩美さん

同クリニックの取り組みの中でも、最も大規模で地域に喜ばれているのが、“けんこうフェスタinきいれ”です。秋の一日、同クリニックや小学校の体育館などを利用して開催しているイベントです。

例年、専門医による講演会のほか、ベビーマッサージの体験会、ステージイベント、飲食・出展ブースなども用意され、誰もが健康について学びながら楽しく過ごせる一日です。

子どもから高齢者までたくさんの人が集まることで自然とふれあいが生まれ、地域交流にもつながっています。

「喜入を地域住民がつながり、高齢者に安心して余生を過ごしていただける町にする」という目標を掲げている濱田先生。故郷の町に笑顔を増やすため、濱田先生と歩美さんは、クリニックのスタッフや地域住民と協力しながら、精力的に活動を続けています。

 

 

取材日:2016年10月18日

きいれ浜田クリニックの外観

きいれ浜田クリニック

〒891-0203
鹿児島県鹿児島市喜入町6988-1
TEL:099-345-0077

施設のホームページへ

 

 

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