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大学病院ならではの医療連携と教育に取り組む
<大分県由布市 大分大学医学部附属病院>

総合内科・総合診療科 教授 宮﨑英士先生 総合内科・総合診療科
教授 宮﨑英士先生

大分大学医学部附属病院では、総合内科・総合診療科、神経内科、精神科の3科で専門性を生かした認知症医療が行われています。総合診療科と薬剤部の連携、薬剤部と地域の調剤薬局との連携なども始まり、さらに病院全体としての連携を進めるための認知症先端医療推進センターが発足しました。

先進医療と医師の教育で地域医療を支える

大分大学医学部の前身は1976年に開設された大分医科大学。1981年には附属病院が設置され、2003年に大分大学に統合されて現在の組織となりました。

開設当初から現在まで一貫して、先進医療の開発・提供とともに大分県の地域医療に貢献できる医師の育成にも力を入れています。

総合診療科の特性を生かした認知症医療

総合内科・総合診療科 吉岩あおい先生 総合内科・総合診療科
吉岩あおい先生

吉岩先生の診察室 吉岩先生の診察室

同院では神経内科、精神科、そして総合内科・総合診療科の3診療科に物忘れ外来(認知症外来)が設置されており、各科で認知症治療を専門とする医師が、おのおのの視点を生かして治療に取り組んでいます。

3科の中で最も早く開設された総合診療科の“物忘れ外来”を担当するのが吉岩あおい先生。

吉岩先生は、大阪大学の老年病医学講座(当時)でアルツハイマー型認知症の遺伝子について研究した後、2002年に大分医科大学総合診療部(当時)に入局。まもなく、物忘れ外来を開設して現在は月・水・木の週3日、診療を行っています。

元来、ホームドクターになりたかったという吉岩先生は、「糖尿病、高血圧、骨粗鬆症など複数の疾患を持つ患者さんを全人的に診ることができる総合診療を専門に選びました。認知症で受診する方も多くが複数の疾患を合併していて全人的な医療判断が必要です。さらに、患者さんご本人やご家族の悩みにも寄り添い、介護・福祉も含めた多職種連携で、生活環境の整備なども含めた解決への取り組みを進めています」と語ります。

総合内科・総合診療科教授の宮﨑英士先生は、「かかりつけ医のようなきめ細かいサポートと大学病院ならではの先進的な医療を両立させる吉岩先生の取り組みは、全国的に見ても珍しいと思います。総合診療科だからできる取り組みでもあり、大学病院の認知症医療のモデルを目指して欲しいと思っています」と期待を語ります。

地域の認知症医療ネットワークと連携

物忘れ外来を開設した当初は、地域に認知症を診断できる医師が少なく、認知症の疑いがあるとすぐに大学病院に紹介されていたため、予約が半年先まで一杯なのが常態でした。しかし、地域の医師会などの依頼でセミナーなどを重ね、認知症診療に協力を得られるかかりつけ医も増えて、近年では同院を受診するのは若年性認知症や正確な鑑別が難しい、徘徊などBPSD(周辺症状)のコントロールが難しいなどの課題を抱えた方が主になっています。

「大分県は県全体の認知症医療ネットワークのほかに、市ごとに認知症医療のネットワークが機能し、地域のかかりつけ医や調剤薬局の薬剤師、福祉・介護専門職たちが協力して活動しています。大学がある由布市の“由布物忘れネットワーク”からの要請で、3~4ヵ月に1度勉強会を開催するなど、当院との交流も盛んです」(吉岩先生)。

外来患者さんへの薬剤管理指導を開始

薬剤部 部長 伊東弘樹先生 薬剤部 部長 伊東弘樹先生
薬剤部 副部長 佐藤雄己先生 薬剤部 副部長 佐藤雄己先生

総合診療科の物忘れ外来と薬剤部の連携という試みも始まっています。2015年8月から、診察室の傍らに薬剤管理指導を行う薬相談室を設け、週2回、再診の患者さんを対象に服薬指導と副作用のモニタリングを行っています。

薬剤部長の伊東弘樹先生は、「高齢の患者さんの残薬対策について会議などで吉岩先生と話をするうちに、『薬剤部が関わってみては?』というアイデアが出て始まった連携です」と経緯を語ります。

一般的に外来診療で処方された薬を患者さんに手渡すのは院外の調剤薬局の薬剤師であるため、これまでは同院の薬剤師が患者さんやご家族に直接指導することはほとんどありませんでした。病棟でも、認知症を合併した患者さんに対して薬剤師が薬剤管理指導を行うことはまれです。

実際の指導を担当する薬剤師の佐藤雄己先生は、「薬剤師として勉強になる取り組みでもあります。この相談室を訪れる患者さんの多くが高齢で、認知症以外の疾患も抱えていますが、認知症だからといって説明内容を変えることはせず、飲み忘れや飲み間違いが起こらないような説明・指導に力を入れています」と語ります。

外来診療室の向かい側にある薬相談室 外来診療室の向かい側にある薬相談室

この取り組みが始まってから9ヵ月で、服薬アドヒアランスが良くなかった患者さん25名の服薬状況が大きく改善したという成果も出ています。

調剤薬局との“薬薬連携”も実現

同院では2016年の1月から、薬剤部と患者さんに薬を手渡す調剤薬局の薬剤師をつなぐため、処方箋に検査データを記載する試みを始めました。「調剤薬局の薬剤師に、医師の処方の意図を伝えるためです。もちろん疑義照会も歓迎しています。薬局からの情報が病院にフィードバックされる流れを作りたいと考えています」(伊東先生)。

連携先の薬局では、認知症と糖尿病を持つ患者さんに、2週間に1度ずつ薬を届ける取り組みを行っているケースもあります。「残薬の確認や重複処方などもチェックしてもらえるので助かっています。飲み忘れや飲み間違いが起こると治療効果がないばかりか低血糖などの深刻な副作用のリスクがある薬なので大変心強いですね」(吉岩先生)。

認知症のチーム医療において、薬剤師が大きな役割を果たしているこの取り組みが、どのような成果を生むか期待が寄せられています。

「今は吉岩先生の外来で週2回だけ実施している相談室ですが、薬剤師が深く関わることの手応えを感じています。今後は他科の先生とも連携したり、地域の薬局との連携もさらに育てていきたいですね」(伊東先生)。

医療・研究・教育を担うセンターが発足

2015年8月、認知症医療を行う3科(総合内科・総合診療科、神経内科、精神科)と先端分子イメージングセンター、放射線医学講座放射線部、臨床薬理学講座が連携し、“認知症先端医療推進センター”が発足しました。

物忘れ外来・認知症外来を一つに統合するのではなく、各科の特徴、強み、ネットワークを生かした認知症医療は維持しつつ、他部門と連携する仕組みです。

診療における連携と情報共有、検査法などの統一化を進めると同時に、2台のアミロイドPETを生かした診断や治療の評価研究、医療機器メーカーとの協同研究も行います。また、地域の医療者や福祉関係者、一般市民への啓発活動も同センターを中心に進めていく予定です。

教育を通して次世代の認知症医療を築くことも同センターの重要なテーマです。

同センターの教育部門長でもある宮﨑先生は、「大学病院は医学生が臨床を学ぶ場ですが、これまでは認知症の人と接する機会は少なかったのが実情です。医学生たちがどの診療科に進むとしても、認知症医療を通して、全人的な視点や生活・社会環境に根差した問題解決などについても確かな認識が持てるよう、しっかりと教育に取り組みたいと思います」と決意を語ります。

 

 

取材日:2016年8月17日

大分大学医学部附属病院の外観

大分大学医学部附属病院

〒879-5593
大分県由布市挾間町医大ヶ丘1丁目1番地
TEL: 097-549-4411

 

 

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