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認知症の方とご家族を地域全体で支える未来を目指して
<岩手県盛岡市 医療法人共生会 松園第二病院>

副院長・神経内科医 紺野衆先生 副院長・神経内科医 紺野衆先生

岩手県最大級の住宅団地“松園ニュータウン”。ここで高齢化が進んだ地域の健康を支えているのが、松園第二病院です。約30年前から認知症医療に携わってきた副院長で神経内科医の紺野衆先生は、「人生を楽しく生きるためのお手伝い」を診療モットーに掲げ、高齢者支援のためにはあらゆる連携が大切だとして、院内連携、地域連携に加え、医師間の連携強化にも尽力しています。

地域の中核病院として充実した医療を提供

盛岡市の北東部、岩手山の雄大な姿を見渡せる丘陵地に、松園第二病院があります。同院のある松園ニュータウンは岩手県最大規模の住宅団地としてファミリー世帯でにぎわっていましたが、40余年を経過した現在では、急速に高齢化が進んでいます。

松園ニュータウンを含め、地域住民の健康を守っている松園第二病院は、内科、消化器科、神経内科、循環器科、整形外科を標榜。病床数90床の中規模病院でありながら、岩手県立中央病院、岩手医科大学附属病院と密に連携を取り、地域の中核病院としての役割を果たしています。

同院で認知症診療の最前線に立っているのが、日本認知症学会専門医・指導医をはじめ多くの専門医・指導医資格を持つ紺野先生です。岩手医科大学で認知症、パーキンソン病、脳卒中、てんかんなど、神経疾患全般を学び、同大学附属病院の第一線で診療に携わると同時に、同大学では教鞭も執ってきました。

そんな紺野先生が松園第二病院の神経内科科長に就任したのは2003年のこと。中核病院ゆえ、認知症だけでなく腹痛・頭痛・腰痛から糖尿病まで、さまざまな症状を訴える患者さんが訪れますが、「医学を教わった担当教授のおかげで、特定の疾患だけでなくオールマイティーに診療できるようになりました。一般内科疾患と認知症を含めた神経内科疾患の両方を診療できるのが、当科の強みだと思っています」と紺野先生は話します。

念入りな鑑別診断と迅速な診療が特徴

同院の認知症診療のポイントは、3種類の神経心理検査を用いた念入りな鑑別診断、初診で検査から確定診断まで行う迅速な診療、そして院内連携・院外連携によるフォロー体制の、大きく3つが挙げられます。

特に紺野先生が注意を払っているのは、認知症とその他の疾患との鑑別です。同院ではMMSE(認知機能検査)のほか、TEG-II東大式エゴグラムと、ハミルトンうつ病評価尺度を用いて老人性うつとの鑑別を行うなど、慎重に診断しています。また、ある程度症状が進んだ状態で来院される方も少なくないことから、BPSD(周辺症状)が起きているかどうかのチェックも、初診時に行っています。

これらの検査結果とMRI画像、そしてご家族に書いてもらったご本人に関する情報メモをもとに、認知症の種類や病期、使用する薬を確定していきます。

また、同院では初めて来院したその日のうちに各種検査から診断、治療方針や処方する薬の決定までを迅速に行っています。

「当院には近隣の方だけでなく、岩手県沿岸部や秋田県など遠方から来院される方もおられます。ご本人はもちろん、仕事を休んで付き添うご家族の負担を軽くするためにも、なるべく一日で診断するようにしています」(紺野先生)。

笑顔の声掛けと院内連携でスムーズな検査を実現

看護師 中津山智恵さん 看護師 中津山智恵さん
看護師 中尾真理子さん 看護師 中尾真理子さん

3種類の神経心理検査と、迅速な診断に欠かせないのが、経験豊富な看護師たちの存在です。

初診時に緊張や不安を感じる方は多く、さらにMRIや各種の心理検査が重なるとストレスも大きくなってしまいます。そんなときに患者さんの緊張をほぐし、無理なく検査を受けられるように、中津山智恵さん、中尾真理子さんをはじめとする経験豊富な看護師が、さまざまな配慮をしています。

その一つが、笑顔での声掛けと“待ちの姿勢”です。中津山さんは「特に最初の関わりが肝心」と強調します。

「慣れない場所で硬くなっている方に、まずは笑顔で明るくあいさつし、おだやかな口調で声掛けをします。せかさずゆっくりとお話を聞き、無理強いせずに気持ちが落ち着くまで検査を待つなど、お一人おひとりのペースに合わせています」(中津山さん)。

さらに、患者さんをスムーズに検査へ導くために重要なのが、スタッフ同士の連携です。院内スタッフ全員が患者さんの情報を共有するために「問診はもちろん、ご本人やご家族との会話の中からできるだけ多くの情報を集めて、検査にあたって気を付けることを各部署にメモなどで伝えています」と中尾さんは話します。

「例えば『怖がりのようなので、採血は慎重に』『少し足元がおぼつかないのでご注意を』といった内容です。ささいなことですが、細やかな気配りがあればご本人の不安も軽くなり、相次ぐ検査もリラックスして受けていただけると思います」(中尾さん)。

生活背景を理解して、より良いケアへつなげる

初診時だけでなく、通院時や入院時も同じような配慮を心掛けている同院の看護師たち。中津山さんは「認知症の方と接し始めたころは、『なぜこんな言動をするのだろう』と疑問に思うこともありました。でもその方の生い立ちや職歴などを知ることで、言動を理解できるようになりました」と振り返ります。

中尾さんも、「自宅での様子をご家族から聞くことで、ご本人の背景を知り、より良い看護ができるようになったと思います」と話します。

医療ソーシャルワーカー 長田くみ子さん 医療ソーシャルワーカー 長田くみ子さん

医療ソーシャルワーカーとして多様な相談に応じる長田くみ子さんも、背景を知ることの重要性を指摘します。

「ご本人が何に困っていて、何を望んでいるのかを把握し、一緒に解決法を探していくのが私の役目です。成育歴、職歴、ご家族との関係性など、症状以外の情報を知ることで、問題解決の糸口が見つかることもあります」(長田さん)。

認知症の方はそれぞれ、必要となる情報が異なります。「バックグラウンドを知っていれば、お一人おひとりに合った施設や公的制度を紹介することができます」と話す長田さん。スタッフが認知症の方の生活背景を知ることで、細やかな対応ができるようになり、一歩踏み込んだ関係性を築けるようになったと実感しています。

治療継続のため、医師仲間のネットワークを駆使

今後の認知症医療において鍵を握るのは「ズバリ、連携です」と紺野先生は話します。同院では行政や介護従事者など外部機関との連携を積極的に行うとともに、医師間の連携や認知症を診断できる医師を増やす取り組みにも力を入れています。

医師を増やす取り組みを進める理由の一つには、遠方から来院する方が少なくないという現実があります。認知症の方が住み慣れた場所で無理なく治療を続けられるよう、紺野先生は初診で診断をつけた後、なるべく地元の医師に紹介状を書くようにしています。

その際役に立つのが、神経内科医のネットワークです。紺野先生と同じように、内科疾患と神経疾患を全般的に診療できる岩手医科大学の同窓生が県内の各地におり、「信頼して患者さんを託せる医師ばかりです」と紺野先生は太鼓判を押します。

その一方、精神症状が強く出ている方には精神科の医師の関与が欠かせないとして、「今後は精神科の先生ともしっかり連携していきたい」と語ります。

紺野先生は現在、岩手医大神経内科などを通して他科の医師向けに勉強会を開き、認知症診療に関する情報を提供するとともに、「認知症を疑ったら掛けてほしい一言」をレクチャーしています。

「患者さんの様子がおかしいと思ったら、『最近どんなニュースが気になりましたか?』と質問し、具体的に答えられなければ認知症の疑いがあるとお話ししています。その場合は医師同士のネットワークを活用し、すぐに認知症専門医に紹介して早期治療につなげてほしいと呼び掛けています」(紺野先生)。

地域全体で高齢者を支えるためのコミュニティーづくりにも参加

急速に進む高齢化を受け、紺野先生は以前から「一人の患者さんに特定の医師だけが関わるのではなく、地域全体で見守り、ケアをする」ことを理想に掲げてきました。

とはいえ松園ニュータウンは、農村部のように昔から何代にもわたって住み続け、皆が顔見知りだという環境ではありません。子どもが独立して周囲の人との付き合いも希薄になり、地域とどう関わっていけばいいのか戸惑っている高齢者は少なくありません。医療ソーシャルワーカーの長田さんは、その傾向は特に男性高齢者に多いと指摘します。

「現役時代に社会的地位が高かった方によくみられる、行政や他人に頼りたくないとの考えもあり、認知症であることを隠している方もおられます。ご本人やご家族のプライドを尊重しながら、皆で見守る体制をつくっていきたいですね」(長田さん)。

人口減少が続く松園ニュータウンでは、地域コミュニティーを再活性化する取り組みが始まっており、同院でも数年前から“松園夏祭り”に参加するなど、その一端を担うようになりました。また、定期的に“糖尿病教室”を開催、血糖コントロールと認知症の関連などについて啓発し、地域の認知症予防にも尽力しています。

松園第二病院のみなさん 松園第二病院のみなさん

紺野先生が掲げる“認知症の方とご家族を地域全体で支え合う未来”の実現に向け、院内連携、医師間の連携に加えて、地域連携にも力を入れる松園第二病院。紺野先生とスタッフは、地域の認知症医療の発展のため、日々奮闘しています。

 

 

取材日:2016年9月27日

松園第二病院の外観

医療法人共生会 松園第二病院

〒020-0103
岩手県盛岡市西松園3-22-3
TEL:019-662-0100

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