『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 東京都 > 東京都町田市 医療法人財団 明理会 鶴川サナトリウム病院
医療機関を探す

40年前から認知症医療に注力してきたパイオニア
<東京都町田市 医療法人財団 明理会 鶴川サナトリウム病院>

認知症疾患医療センター長 小松弘幸先生 認知症疾患医療センター長
小松弘幸先生

2015年度に東京都から地域連携型の認知症疾患医 療センターの指定を受けた、鶴川サナトリウム病院。内科と精神科を併せ持つ587床の病院は、1973年の開設から一貫して高齢者、特に認知症の治療に力を注いできました。蓄積された経験を土台に、若いスタッフも多く活躍する同院の取り組みを紹介します。

長谷川スケールの長谷川先生からの直接指導

鶴川サナトリウム病院は内科、老年内科と、認知症医療を主体とする精神科を併設する病院で、1973年の開設当初から認知症医療に取り組み、長谷川式簡易評価スケールの提唱者である長谷川和夫先生の直接指導も受けながらパイオニア的な役割を果たしてきました。

現在の病床数は587床で、うち認知症治療病棟は174床、同院の患者さんのほとんどが高齢者です。2015年度より町田市の認知症疾患医療センターとしての活動も開始しました。

全ての認知症の方を精神科と内科、2名の主治医が担当

診療科目として、内科・精神科に加え、老年内科・老年精神科の4科を挙げ、高齢者の認知症医療を主軸としている鶴川サナトリウム病院。その大きな特徴の一つは、全ての認知症の方に、精神科と内科、2名の主治医がつくことです。

認知症の方には高齢者が多く、身体疾患を合併していない方のほうがまれです。認知症疾患医療センター長で精神科医の小松弘幸先生は「食欲不振が精神疾患によるものなのではないか、と紹介されて来た患者さんに胃カメラ検査を行うと、胃がんや食道がんが見つかることも決して珍しくありません。精神科医だけが診ると発見が遅れてしまう可能性もあり、内科医との2人体制は、患者さんも医師も安心できるシステムです」と語ります。

小松先生は医師としての13年間の経験のうち、10年にわたって高齢者医療、特に認知症医療に携わってきました。「きっかけは勤めていた大学病院の医局の人事でしたが、患者さんもご家族も熱心に治療に取り組む方が多いので、取り組み甲斐のある分野だと感じ、高齢者医療を主軸に据える当院に移ってきました」(小松先生)。

地域連携型の認知症疾患医療センターに

開設以来40年以上、認知症医療に力を入れチーム医療や地域連携に力を注いできた同院。認知症疾患医療センターの認定を受けて、診療の質を向上させるために多職種が集まるセンター会議を立ち上げました。全体会議は月1回の頻度で開催し、さらに入院・外来・新規事業(啓発など)の3チームがそれぞれ独自にミーティングや活動を行っています。

認知症疾患医療センターとなってから1年が過ぎ、入院患者さんの入院日数が短くなるとともに、退院後に施設などではなく自宅に戻れた方の割合が増えるという変化が現れています。「いずれも、一人ひとりの患者さんについて、丁寧な治療とケア、密接な連携が行われた成果だと思います。このたび、MRIおよびVSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)を導入したので、より精度の高い鑑別診断にも力を入れていきます」(小松先生)。

看護師の経験とノウハウをご家族にも伝授

認知症看護認定看護師 小原良之さん 認知症看護認定看護師 小原良之さん

認知症治療病棟では、入院中だけでなく退院後の生活も考えながら、看護師たちが情報の交換・共有を行っています。認知症看護認定看護師である小原良之さんは、「入院直後の患者さんは、看護師からみてもどう接するべきか難しいことも多いです。しかし、私たちはプロとしての経験を生かして、その方に必要なケアの方法や注意点を探り出すことができます。そして、得られた情報をスタッフ間で共有するのはもちろん、退院後を考えてご家族にもきちんと伝えることが大切だと考えています」と語ります。

介護で疲弊しているご家族も、病棟で患者さんの 落ち着いた姿を目にすることで、退院後のことを考えられるようになります。「入院中に、ご家族に『気軽に来てください』と声かけをして、実際に来られた時には看護師も時間をみつけて一緒に過ごし、接し方のコツをお伝えしたりしています」(小原さん)。

看護部では“認知症対応力向上委員会”を結成、従来の新人教育用の研修に認知症ケアに関する知見を盛り込んで、看護師として経験を積む中で自然と認知症の知識・技術が身に付くシステムの導入を目指しています。「院内はもちろん、地域全体で認知症看護認定看護師が増えるよう、指導にも力を入れていきたいです」(小原さん)。

臨床心理士のアドバイスが医師とご家族の力に

神経心理検査を担当する臨床心理士も、チーム医療の重要なメンバーとして活躍しています。一人ひとりの患者さんの症状や状況に応じて鑑別診断に役立つ適切な検査を選択し、検査結果だけでなく、きめ細かい報告をフィードバックしているのです。フィードバック先は院内の医師や医療従事者だけでなく、同院に鑑別診断を依頼してきた、かかりつけ医への報告にも力を入れています。

臨床心理士 植田裕吾さん 臨床心理士 植田裕吾さん

臨床心理士の植田裕吾さんは、「たとえば妄想や抑うつがあった場合、その背景に何があるのかを探り出しアセスメント・考察し、具体的な対処法と共に情報提供することを心がけています」と語ります。

小松先生はそんな臨床心理士たちの取り組みを高く評価し、信頼を寄せています。「その方が日常生活で起こしやすい問題と具体的な対処法、注意事項などについて、ご本人やご家族にそのまま伝えられるコメントが必ずレポートに記されています。具体的なアドバイスはご家族にとって大きな救いになり、本当に助かっています」(小松先生)。

受診相談から退院まで担当の精神保健福祉士がケア

精神保健福祉士 長者森美里さん 精神保健福祉士 長者森美里さん

認知症疾患医療センターの相談窓口や、もの忘れ外来の受診相談などは、精神保健福祉士が担当しています。精神保健福祉士の長者森美里さんは「精神保健福祉士は8名が勤務しています。一見、多く思えますが、外来・入院患者さん一人ひとりに担当がついており、総病床が600近いので、それぞれ100名近い患者さんを担当している計算になります」と語ります。

「もの忘れが気になる」という受診相談から、入院や退院に備えた情報提供、連絡調整、入院や治療の費用に関する相談に加えて、家族間の意見調整のために動くことも珍しくありません。

「相談を受ける時に心がけているのは、患者さんご本人や、相談者以外のご家族、関係者の困り事にも気を配ることです。ご本人を中心に、ご家族も医療や福祉の従事者も、ご本人を支える全ての人の立場や気持ちを考えて動くことが重要です」(長者森さん)。

退院後の生活も考えた作業療法を実践

退院後に住み慣れた家で暮らすための工夫は、作業療法でも実践されています。それぞれの患者さんの家での過ごし方、生活歴をご家族にも聞いて、その人にあった、実践的な日常生活機能回復訓練を行っています。

作業療法士 池田瑞さん 作業療法士 池田瑞さん

作業療法士の池田瑞さんは、「その人らしくいられることを大切にしています。入院時に不安、不穏状態にある方がその人にとって馴染みのある活動を通して穏やかさを取り戻すことも多く、やりがいを感じます。今後は、退院先のご自宅や施設に訪問して、地域生活においてもその人らしい生活を送ることができるような提案、連携を強化していきたいと考えています」と語ります。

多職種協動のNST(栄養サポートチーム)による栄養療法に積極的に取り組んでいるのも同院の特徴です。NSTは内科医、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士で週に1度のカンファレンスを行い、結果を主治医にフィードバックしています。高齢者の場合、栄養状態が心身の状態に大きく影響するため、同院では重要な取り組みと位置付けており、NST専門療法士の資格取得をめざす研修生の受け入れも行っています。

家族会にも多職種でさまざまなサポートを

3年ほど前から、“やわら会”という名の家族会も定期開催しています。医師や看護師が講師を務める勉強会や、介護の悩みや体験談を共有する同会では、臨床心理士、精神保健福祉士、薬剤師などが同席してアドバイスも行います。

「認知症の旦那さんがお風呂に入らず困っているという悩みに対して、別のご家族から『浴室からシャンプー、リンスをなくして全身を洗えるボディソープ1本にしたら入るようになった』という体験談が出てきたりします。『情報が多いと混乱するので...』といった一般化されたアドバイスより、『浴室はボディソープ1本に!』という具体的な体験談は響きますし、私たちも勉強になります」(植田さん)。

30代の認知症疾患医療センター長を筆頭に、若いスタッフが活躍している同院の認知症医療。チーム医療の中でそれぞれの職種が果たすべき役割を強く自覚した取り組みと、知識・技術向上のための努力が当たり前に行われています。

症状を抑えるだけでなく、患者さんもご家族も落ち着いて暮らせる日常を取り戻すために、同院の認知症チームの努力はこれからも続きます。

 

 

取材日:2016年11月16日

鶴川サナトリウム病院の外観

医療法人財団 明理会
鶴川サナトリウム病院

〒195-0051 
東京都町田市真光寺町197
TEL:042-735-2222

施設のホームページへ

 

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ