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地域の数少ない専門医として、信頼と安心の診療を提供
<静岡県磐田市 あんざいクリニック>

院長 安齊正興先生 院長 安齊正興先生

あんざいクリニックでは、現在約400人の認知症患者さんが継続して通院されており、脳外科の専門医から転じて同クリニックを開業した院長の安齊正興先生は、地域に数少ない認知症の専門医として、多くの患者さんとそのご家族に向き合っています。

約10年前、療養型病院で迎えた転機

あたたかみのある待合室 あたたかみのある待合室

あんざいクリニックの院長、安齊正興先生は脳外科医として医師のキャリアをスタートしました。金沢大学医学部卒業後、出身地である静岡県に戻り、静岡済生会病院で研修医になって、約2年さまざまな科を経験したのち入局したのが脳外科でした。

「父が他界して母が1人残されたので、卒業後すぐに静岡に戻ってきたのですが、元々学生時代から脳外科をやるつもりでした。親しい先輩がいたこともありますが、当時は脳外科の分野がとても伸びていて、救急も手術もできるやりがいのある仕事だと思ったのです。現在ではカテーテル治療が発展してきておりますが、当時は開頭手術中心の時代。手術に耐えうる体力のある世代が私の診療対象だったため、80歳以上の高齢者の治療に携わることは、ほとんどありませんでした」(安齊先生)。

しかしその後、市立四日市病院、名古屋大学病院、磐田市立総合病院などを経て、療養型病院で約2年間勤務。「そこでの経験が大きな転機になりました」と安齊先生は振り返ります。

開業初の患者さんが認知症

その療養型病院は慢性期の患者さんが中心で、手術をすることはなく、内科、整形外科、皮膚科などのさまざまな疾患を診療。

「考えてみれば、研修医をもう一度やったようなものですが、高齢者医療にしっかり向き合うことができ、いい勉強をさせてもらいました。あの経験がなければ今の私はないと思います」(安齊先生)。

療養型病院での約2年の経験を経て磐田市内に開業したあんざいクリニックは、脳神経外科、外科、神経内科、リハビリテーション科を標榜。前職の療養型病院でも認知症そのものを診ることはほとんどありませんでしたが、開業して初めて迎えた第一号患者さんに認知症の疑いがありました。

「もの忘れが見られたため息子さんが総合病院に連れて行こうと思っていたところ、たまたま脳神経外科という看板が目に留まって当院に来られたそうです。診察した当初はアルツハイマー型認知症だと思ったのですが、実際は限局性脳炎による認知症でした。その患者さんは、幸いすっかり元気になられました」(安齊先生)。

患者さんの約半数に認知症状

青空の天井でリラックスできるMRI 青空の天井でリラックスできるMRI

アルツハイマー型認知症だと思った患者さんが実は軽い脳炎だったことで、安齊先生は自身の診察経験の浅さを痛感。その後認知症の方が続けて来院されたこともあって認知症の勉強に力を注ぎ、認知症専門医の資格を得ました。あんざいクリニックでは現在受診患者さんの3~4割が認知症関連だといいます。

認知症の疑いがある新規の患者さんは週に数人。安齋先生は時間の許す限り初診時にじっくり診ることを心掛け、実践しています。時には問診に1時間かけることもあり、「スタッフからは『長すぎる』と怒られています」と先生は苦笑します。

検査は、問診、長谷川式簡易評価スケール、採血、そして院内に備えたMRIによる画像診断などを行うのが基本。通常、診断結果は、採血の結果を伝える2度目の来院時までに、患者さんとご家族に伝えるようにしていますが、何度も来るのが大変な方は、初診時にとりあえずの診断をすることもあるそうです。

患者さんが安心して受けられる診療を

安齊先生は患者さんに検査の無理強いは決してしません。

「初診で長谷川式を渋る方もいます。そんな時は、とりあえず世間話だけして帰ってもらい、必要に応じ次の来院のときに検査すればよいと思っています」(安齊先生)。

また、鑑別はMRIなしでもほとんどは可能ですが、治療可能な疾患を見逃さないためには必要で、それによって患者さんに「ちゃんと検査してもらった」という安心感も持ってもらうことができると安齊先生は考えています。

「撮影は閉鎖された空間で行われますし、音がうるさいので、二の足を踏む患者さんもおられます。しかし、当院の技師はコミュニケーションをとるのが上手く、不安が和らぐように対応してくれるので、開業以来安心して任せています」(安齊先生)。

すぐに効果が現れなくても診療を継続することが大切

開業当初は、認知症の方のうち8割以上をアルツハイマー型と診断していましたが「現在は5割程度」だと安齊先生は言います。

「患者さんが増えて、いろいろな症状の方が来院されるようになり、また私の経験値が上がったこともあって、すぐにアルツハイマー型だと判断することは減りました。実際にはアルツハイマー型と、レビー小体型や前頭側頭型の症状が混じっていると感じられる方が少なくありませんし、診療を継続するうちに症状が変化する方も多くおられます」(安齊先生)。

症状に応じて薬剤を処方しますが、効果のあらわれ方は患者さんによってさまざま。しかし「例え効果がはっきりあらわれなかったとしても、状態が落ち着いていれば、薬剤による治療を続ける意義はある」と安齊先生は強調します。

「検査して診断結果を聞いたり、お薬を処方されたりすると、患者さんにもご家族にも治療への自覚が生まれることが多いと感じられます。ご本人が来られず、中には、3回の通院のうち2回はご家族のみということもありますが、ご家族はご苦労が多いので、苦労話をする為だけでも、クリニックに来ていただければそれでいい。とにかく、継続してフォローアップしていくことが大切なのです」(安齊先生)。

認知症の専門病棟を備える病院と連携

自宅から通院できる患者さんには継続して来てもらいますが、自宅でのBPSD(周辺症状)への対応が不可能となり、近隣の精神科病院にお願する患者さんも年に数例おられます。

「2~3週間程の治療期間をもらえれば症状を落ち着かせることができそうだなと思われる患者さんでも、日々の対応に苦慮されていて、1日も待てないと言われるご家族もおられます。そんな時は、すぐに精神科病院に入院をお願いしています。反対に、精神科病院に相談のあった軽症の患者さんを当院で引き受けることもあります。両院の間で特に連携の制度やルールを設けているわけではなく、先生との個人的なつながりをベースに、臨機応変に対応しています」(安齊先生)。

地域内での連携は十分とは言えないのが現状

医師同士の信頼関係をベースに精神科病院とは連携しているものの、「地域内での連携の仕組みが十分に整っているとは言えない」と安齊先生は指摘します。

課題の一つは相談を受ける窓口が地域住民に周知されていないこと。「ご家族や周囲の方が高齢者の認知症状に気づいたとしても、まずどこに相談していいのかわからないのではないでしょうか。地域包括支援センター経由で来られる患者さんもおられますが、市の福祉課からの紹介で来院される方も結構多いのです」(安齊先生)。

市から紹介される方のほとんどが独居または老老介護の高齢者。自宅がいわゆる“ゴミ屋敷”化して近隣の住民が異変に気づき、民生委員が対応することも少なくないといいます。

一般市民にも、医療関係者にも、それぞれに啓発を

地域における啓発活動も決して十分とは言えないのが現状です。安齊先生は認知症をテーマとする市民向け講演会の講師も務めていますが「実際に来られるのは元気な人ばかり」だと明かします。

「認知症になるかもしれないと不安を抱いて来られる方がほとんどで、認知症のご家族は自宅での介護などで忙しく時間がとれないのが実情のようです」(安齊先生)。

また、先生は医療・介護従事者に対する研修などの必要性も指摘します。

「磐田市には認知症サポート医は現在5名いますが、認知症専門医として診療をしているのは私を含め2名だけ。自分たちのスキルアップだけでなく、たくさんの先生方に認知症の専門知識を習得していただきたいのですが、そうした機会はなかなかありません。また、ケアマネジャーなど介護従事者の認知症に関する知識も、人によって差があります。地元の医師会の先生方の中にも同じ問題意識を持っている方がおられ、私にも協力要請があったので、関係者を集めての症例検討などにも参加しており、個人的にも勉強会を始めております。時間も手間もかかるとは思いますが、地域での啓発や研修は非常に重要です」(安齊先生)。

近い将来、患者さんの生活をサポートする事業を

安齋先生は毎月約1,400人程の患者さんを抱え多忙な毎日を送りながらも、認知症の方の生活をサポートする新事業の構想もしています。

その一つはリハビリテーション。身体の機能回復につながるリハビリだけではなく、脳トレーニングのようなリハビリができないか、アイデアを温めています。

もう一つは軽度の認知症の方が気軽に楽しめる仕組み。“定年退職した男性が自宅でぼーっとしていると認知症状が出やすい”とはわかっていても、自宅や近所で自分に合った趣味を楽しむ機会は少ないため、それをデイサービスなどで提供できたらよいなという考えです。

「これからの高齢者世代は、単純なぬり絵や体操などだけでは面白いとは思わないでしょう。例えばカジノ的なレクリエーションであるとか、いっそ何かの仕事をしてもらうとか、そうした新しいデイサービスの場を、ぜひこの地域につくりたいというのが私の夢です」(安齋先生)。

 

取材日:2016年11月24日

あんざいクリニックの外観

あんざいクリニック

〒438-0078  
静岡県磐田市中泉2923-2
TEL:0538-36-3111

 

 

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