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迅速な初期診断・初期治療と地域連携推進で充実の認知症医療を
<宮城県仙台市 独立行政法人国立病院機構 仙台西多賀病院>

認知症疾患医療センター センター長 大泉英樹先生認知症疾患医療センター センター長
大泉英樹先生

戦前より政策医療の拠点として、仙台市民の命を守ってきた歴史を持つ仙台西多賀病院に、2015年秋、認知症疾患医療センターが開設されました。認知症をはじめとする高齢者医療の臨床経験を積んだ医師らが迅速な初期診断・初期治療を行う同センターには、開設から1年あまりにもかかわらず、多くの患者さんが訪れています。

高齢者医療のスペシャリストによるもの忘れ外来を開設

杜の都・仙台市。青葉城址にほど近い緑豊かな丘陵地に位置する仙台西多賀病院は、広々とした敷地に神経内科、整形外科など14の診療科と480床の病床を有する病院です。前身の国立療養所時代から70年近くにわたってさまざまな難病の患者さんを支え続けてきた同院は、2015年9月に仙台市から指定を受けて認知症疾患医療センターを開設し、同時にもの忘れ外来も開設しました。

開設当初からセンター長を務めているのは、神経内科医長の大泉英樹先生です。パーキンソン病や脳卒中、神経救急疾患など豊富な臨床経験を持ち、順天堂大学附属東京江東高齢者医療センターで認知症の専門診療に携わってきた大泉先生。

「パーキンソン病や脳卒中は発症すると認知症を合併することが多いので、神経内科医になった当初から認知症診療の重要性は感じていました」と大泉先生は振り返ります。

大泉先生は、認知症の疑いで医療機関を受診してから実際に診断されるまで、場合によっては数ヵ月を要するといった状況に疑問を感じていた経験から、「できるだけ早く、適切な治療を始めていただきたい」と思うようになったといいます。

そんな大泉先生のもと、同センターでは立ち上げ当初より、原則1日1人の予約制で迅速な初期診断・初期治療を行うことをモットーにしています。

診断を迅速に行うために

地域医療連携室 係長・看護師 菊地操子さん地域医療連携室 係長・看護師
菊地操子さん

心理療法士 小野寺久美子さん心理療法士 小野寺久美子さん
カウンセリングルームカウンセリングルーム

迅速かつ的確な診断に結びつけるためには、予約を受ける時点から適切な対応が求められます。新たにもの忘れ外来の受診を希望される方の予約調整業務を担当するのは、看護師の菊地操子さんです。菊地さんは、ご本人やご家族、他の病院からの問い合わせに対応し、必要に際し初診の予約を入れていきます。

「予約は基本的には先着順ですが、明らかに緊急度が高いと判断した場合には、保健師と相談して臨機応変に対応しています」と話す菊地さん。医療機関からの紹介の場合、緊急度の高さを判断する際に参考となるのが診療情報提供書です。

「診療情報提供書は患者さんの症状を把握するためのものですが、そこに書かれた情報から認知症以外の疾患が疑われる方が見つかることもあるので、しっかりと読み解くようにしています (菊地さん)。

同様に、迅速で的確な診断に欠かせないのが、初診時に行う神経心理検査です。同院では認知機能検査としてのMMSE、MoCA検査のほか、認知症の重症度やMCI(軽度認知機能障害)を評価するCDR(Clinical Dementia Rating)、さらにBPSD(周辺症状)を評価するNPI(精神症候評価尺度)などを実施しています。

検査を担当する心理療法士の小野寺久美子さんは、検査を受ける方に負担がかからないこと、安心して検査を受けられることが一番だと考えて、さまざまな心配りをしています。

「いきなり検査を始めるのではなく、何気ない会話からその方の雰囲気をつかみ、気持ちや呼吸に私が合わせていく形でスタートします。あらかじめ検査の内容や流れを説明したり、検査の出来・不出来が全てではないとお伝えしておくと、不安や緊張が和らぎ、リラックスして検査を受けていただけるようですね」(小野寺さん)。

ご本人・ご家族の気持ちに寄り添い、信頼関係を構築

医療福祉相談室 保健師 橋谷田由美さん医療福祉相談室 保健師
橋谷田由美さん

医療福祉相談室に所属する保健師の橋谷田由美さんは、通院中のご本人やご家族、近隣の医療機関や福祉関係者からの相談に対応しています。

「短い面談時間の中で、ご本人やご家族にどれだけ信頼していただけるか、どれだけ良い関係を築けるかがポイントだと思っています」という橋谷田さんは、時にはご本人とご家族一緒ではなく、あえて別々に話を聞くようにしています。

「ご本人にはもの忘れの自覚が少ないことが多く、ご家族の話と食い違うこともよくあります。ご本人が嫌な思いをされないように、またご家族が日頃の介護ストレスや不安を打ち明けやすいように、別の部屋にお通ししたり、面談時間をずらしたりといった配慮をしています (橋谷田さん)。

大泉先生も認知症の初期診断・初期治療に注力しつつ、診察の際にはご本人に病識が少ないことが多いことを意識しているといいます。

「認知症であることをお伝えしてもご本人は病識が少ないわけですから、『私は認知症じゃない!』と怒り出す方もいらっしゃいます。そうなるとそれ以上診療できなくなりますから、ご本人には“もの忘れ”とだけお伝えしています」(大泉先生)。

その一方で、認知症だとわかったときは、ご家族に病名をはっきり伝えています。告知をするとショックを受けられるご家族も多いのですが、認知症は決して軽いものではなく、しっかりと病識を持って向き合うことが大切だと考えているからです。

橋谷田さんも「ご本人とご家族にとっては、認知症の診断がついて、治療方針が決まってからがスタートです。最初が肝心だと思うので、良いケア体制をつくれるようにサポートしていきたいですね と話し、このようなご本人とご家族の双方に寄り添う姿勢は、スタッフ全員に浸透しています。

医療従事者への講演も実施、認知症医療の向上を目指す

現在、同院で新たに認知症だと診断される方は年間で200ほど。その全てを継続治療していくと、迅速な初期診断・初期治療ができなくなってしまうため、同院では認知症の診断がついた方は、治療方針を決定した上で、かかりつけ医に継続的に診ていただくことを基本としています。

「普段は通いやすいかかりつけ医で診療を受け、症状が安定しないなど、専門的な判断が必要な場合には当院を受診してもらうのが理想的です」という大泉先生は、仙台市医師会などを通じて、かかりつけ医やパラメディカル向けに講義を行うなど、地域全体の認知症診療のレベルアップを図っています。

また、同院は仙台市の認知症支援事業にも積極的に携わっており、認知症に関する映画上映会と早期受診についての講演会を無料で開催するなど、医療従事者だけでなく地域住民に対する情報発信にも取り組んでいます。

さらに、精神症状が強く出ている方がきちんと精神科専門医のサポートを受けられるよう、近隣の精神科病院と密に連携を取るなど、認知症の方が住み慣れた地域で安心して暮らすための体制づくりにも力を入れています。

地域の人の「困った」に応えられる病院であるために

「良い医療を安全に、心をこめて」という病院理念に基づき、地域住民からより一層信頼される病院となることを目指している同院。毎年地域のお祭りに参加するなど、近隣住民との交流も大切にしています。

地域医療連携室の係長でもある看護師の菊地さんは、お祭りの一角に設けた健康相談コーナーで「認知症のような症状が出てお困りの方がいらっしゃれば、当院にご紹介ください」と声を掛けるなど、草の根の情報提供も心掛けています。

「以前、『交番のおまわりさんから西多賀病院にもの忘れ外来があると聞いたので』と言って相談に来られた方がいました。認知症のサインに気づくのはご家族とは限りません。広く地域の方に情報発信することで、気がかりな方に声を掛けるなど、地域ぐるみで認知症を早期発見できるようになればいいですね」(菊地さん)。

認知症疾患医療センターが立ち上がって1年あまり。「優秀なスタッフがそろっていますから、大きな苦労はなかったですね」と笑顔を見せる大泉先生。その一方で、もの忘れ外来の初診が約2ヵ月待ちという状況の解消を、優先課題の一つに挙げています。

仙台西多賀病院の皆さん仙台西多賀病院の皆さん

「認知症かもしれないと不安を抱えたまま受診日を待つのは、ご本人にもご家族にも大きなストレスになります。できるだけ早く受診していただけるよう、体制を整えていきたいと思っています」(大泉先生)。

大泉先生をはじめ、「地域の人の“困った”に応えられる病院でありたい」「認知症の人の応援団になりたい」という思いを持つスタッフがそろう同院。地域医療のより一層の充実を目指して、日々奮闘を続けています。

 

取材日:2016年11月18日

仙台西多賀病院の外観

独立行政法人国立病院機構
仙台西多賀病院

〒982-8555 
宮城県仙台市太白区鈎取本町2-11-11
TEL:022-245-2111

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