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県唯一の認知症専門病院で心安らぐ認知症治療を
<兵庫県神戸市 医療法人尚生会 アネックス湊川ホスピタル>

理事長 細見和代先生 理事長 細見和代先生

アネックス湊川ホスピタルは、精神科専門病院である湊川病院のアネックス(別館)として2001年に開業した認知症専門病院です。県唯一の専門病院として、BPSDのある認知症の人にも対応しています。また、重度認知症患者デイケアでは症状の軽減を図り、在宅生活が継続できるようにサポートしています。

リゾートホテルのような建物で専門的な医療を

1989年4月に、神戸市が市民福祉推進のために設立した「しあわせの村」。205ヘクタールの広大な敷地に福祉施設やレクリエーション施設が立ち並ぶ、自然豊かな都市公園の一画に、アネックス湊川ホスピタルはあります。

南ヨーロッパ風の赤い屋根と白い壁が、豊かな緑に映える同院は、外観・内装ともにリゾートホテルのような設計となっています。これは周囲との調和に配慮するとともに、医療法人尚生会の会長(前理事長)である細見毅先生の「精神科のイメージを塗り替えるような建物にしたい」という意向を反映したものです。

現在でこそ全国に認知症専門病院は多々ありますが、開業当時は岡山県の2病院しかなく、同院が3番目の専門病院でした。一般的な精神科病院では、認知症の人が病室を間違えたり物を勝手に移動してしまうなど、他の患者さんとの間でトラブルが起きることがあります。理事長で精神科医の細見和代先生は、「認知症専門病院であれば似たような症状の方が多いためトラブルも起きにくく、行動制限もしなくてすみます。ご家族も精神科の病院より受診しやすいようです」と、専門病院のメリットを指摘します。

事務長 細見均さん 事務長 細見均さん

開業に携わった事務長の細見均さんは、「当院は県唯一の認知症専門病院です。モデルがなかったので試行錯誤を繰り返し、オゾン脱臭設備や当時病院では一例しかなかった、院外で集中的に調理し、各施設に料理を配送するセントラルキッチン方式を採用しました。また、精神科では患者さんが異物をトイレに流して、詰まってしまうことがあります。当院でも同じようなことが起きると想定して、患者さんが入院したままで設備のメンテナンスができるように設計を工夫しました」と当時を振り返ります。

入院中に要介護認定を申請、退院後のサービス利用につなげる

院長 岩本昌和先生 院長 岩本昌和先生

同院には100床の入院設備があり、BPSD(周辺症状)が強い、昼夜逆転が起きているなど、在宅や介護施設での生活が困難な人を受け入れています。院長の岩本昌和先生は、「BPSDがあまりに激しい場合は、救急医療に対応できる湊川病院で治療し、症状が落ち着いた後に当院で治療を行います」と、関連病院との連携について説明します。

同院での治療によって症状が落ち着いた人は、住み慣れた場所での生活が続けられるよう、自宅や元の福祉施設に戻すのが基本方針です。そのため、事前に介護福祉士がご家族や施設と話し合い、どの症状が落ち着けば自宅や施設で介護できるのか、目標を設定してから治療を始めます。

自宅に戻るのが難しい場合は治療と並行して施設を探すなど、いくつかの選択肢を用意します。

精神保健福祉士 平塚勝さん 精神保健福祉士 平塚勝さん

治療後のステップに向けて調整を行う精神保健福祉士の平塚勝さんは、以前は福祉施設に勤務しており、同院から退院する認知症の人などを受け入れる立場でした。専門性の高い治療に関心を抱き、認知症の人とご家族を幅広くサポートしたいとの思いから同院で働くようになったといいます。

「当院で仕事を始めて、地域連携の重要性を再認識しました。院内外の勉強会で顔を合わせる地域の医療従事者や介護従事者の方々と情報交換をして、お互いに相談しやすい環境をつくっています」(平塚さん)。

要介護認定には申請から約1ヵ月を要します。同院では退院後にスムーズに介護保険サービスを利用できるよう、入院中に申請して速やかに認定結果を得られるようにしています。同院の入院患者さんで要介護認定を受けている人は9割に上り、認知症専門病院ならではの支援が退院後のサービス利用につながっています。

ご家族の話に耳を傾け、対応方法を話し合う

副院長で精神科医の森郁子先生は、神経心理検査の結果とご家族の話を重視し、診断を行っています。認知症の人の受診のきっかけは、ご家族が認知症を疑って相談に訪れることが多く、森先生は「私がすべきことはご家族を支えること」と断言します。まずはご家族の話をしっかりと聞き、そのうえでご本人への対応方法を話し合っていきます。

「対応の仕方を共に考え話し合うことで、徐々にご家族がご本人の気持ちに寄り添った対応ができるようになってきます」(森先生)。

また、同院では認知症ケアの一環として、ご家族と話し合う会を設けることもあります。ご本人が一緒の診察中には聞けないご家族の本音を聞くことができ、対応方法についてもより具体的に伝えることができるといいます。ご家族と話し合う会は、今後も定期的に開催していく考えです。

入院により症状が落ち着くと、ご家族にも変化が

看護師 空中和子さん 看護師 空中和子さん

認知症で入院したばかりの方は、BPSDが強いことが多く、他の入院患者さんも影響を受けることがあります。看護師の空中和子さんは、スタッフと相談しながら入院したばかりの方が落ち着けるよう寄り添うとともに、症状を踏まえて危険がないよう環境を整えます。入院して1、2ヵ月たつと落ち着きを取り戻す方がほとんどですが、変化するのはご本人だけではないと空中さんは語ります。

「入院時は、ご家族もそれまでの介護で疲れ切っておられますが、ご本人の症状が落ち着くと、ご家族の気持ちも落ち着き、表情が明るく変化してくるのです」(空中さん)。

手厚いケアのために、日中は常にスタッフと同じ空間で過ごす

看護師 高橋千明さん 看護師 高橋千明さん

入院中は、日中は病室ではなくデイルームと呼ばれるホールで過ごします。スタッフもナースステーションではなくホールにいて、介助や看護もホールで行います

看護師の高橋千明さんは「開放的な空間で過ごしていただけると同時に、常にスタッフが同じ空間にいることで、一人ひとりの生活状況をより把握できるため、それをケアに生かしたいと思っています」と話します。

手厚いケアはご家族の深い信頼につながり、「今後も、ここに入院させてほしい」と言うご家族もいるほどです。

より長く自宅で暮らせるよう、デイケアも実施

同院では、認知症の方を対象としたデイケアも実施しています。午前中は作業療法士と音楽療法士が音楽に合わせたリズム体操を行い、午後にはグループに分かれて、創作活動や回想法などに取り組みます。体操と音楽を組み合わせるのは、楽しく体を動かすためだけでなく、体が思うように動かせない方も音楽を口ずさむことで参加できるようにという配慮からです。

デイケア担当 桒原元生さん デイケア担当 桒原元生さん

「お花見や紅葉狩りなど、季節ごとの行事も多彩ですし、公園内という立地を生かしてよく散歩もしています。また、ADL(日常生活動作)訓練など自宅ではなかなかできないプログラムも取り入れています」とデイケアを担当する桒原元生さんは言います。

「また、手工芸や貼り絵など、創作活動で作った作品を持ち帰っていただくと、ご家族がご本人にまだまだできることがあると知り、喜んでくださいます」(桒原さん)。

細見先生は、「医療施設で行うデイケアは、主治医の指示のもと、作業療法士などの専門スタッフがリハビリテーションを行う医療サービスであり、福祉施設で行うデイサービスとは全く違うものです」と強調します。

「デイケアを利用して専門家によるプログラムに取り組むようになってから、失っていた表情がよみがえりご家族と会話を交わすようになった方もおられました。薬物療法だけではうまくいかない方にも、症状や機能の改善が期待できると実感しています」(細見先生)。

デイケアを利用することでより長く自宅で過ごせる人は多いはず、と語る細見先生。重度認知症の方を対象としたデイケアがあることを知らないご家族も多いため、今後は周知に力を入れていきたいと話します。

“アネックス劇団”のお芝居で啓発活動

ご本人にBPSDがあっても誰にも相談せず抱え込んでしまったり、適切な対応がわからず困っているご家族は少なくありません。認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けるためには、地域社会の理解も必要です。

同院では、認知症について啓発するために、スタッフが“アネックス劇団”を結成、認知症の症状や適切な対応をお芝居にして分かりやすく伝えています。上演は、医療従事者を対象とした勉強会から一般向けの講演会まで、さまざまな場所で行います。ご家族は認知症の人とどのように関わればいいのかが分かり、介護負担の軽減につながっています。一度鑑賞した人から「また上演してほしい」という依頼もあり、今後も継続していく予定です。

緑豊かな自然環境と静かで快適な療養環境に恵まれた同院。その一方で、市街地からは離れているため、一般的な知名度は上がりにくい状況です。地域では内科や整形外科など、精神科以外のかかりつけ医が認知症に対応していることも多く、近隣の医療機関との連携を深めることが今後の課題だと細見先生は言います。

アネックス湊川ホスピタルの皆さん アネックス湊川ホスピタルの皆さん

「精神科以外の先生方にも当院の取り組みを知っていただけるように、これからは積極的に地域に出ていく必要があると感じています。近隣の医療機関とさらに連携し、地域医療を推進することで、認知症の方とご家族をこれまで以上にサポートしていきたいと思います」(細見先生)。

 

取材日:2017年1月25日

アネックス湊川ホスピタルの外観

医療法人尚生会
アネックス湊川ホスピタル

〒651-1102  
兵庫県神戸市北区山田町下谷上字中一里山14-1
(しあわせの村内)
TEL:078-743-0122

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