『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【東海北陸】 > 石川県 > 石川県七尾市 医療法人社団生生会 円山病院
医療機関を探す

高齢化率が高い地域で、医療と介護の一体的なサービスを提供
<石川県七尾市 医療法人社団生生会(せいせいかい) 円山(えんやま)病院>

院長 円山寛人先生 院長 円山寛人先生

数々の景勝地で知られ、2011年には「能登の里山里海」が世界農業遺産に認定された能登半島。その中央部、七尾市にある円山病院は1953年の開業以来、60年以上にわたり地域医療を支え続けてきました。2代目院長の円山寛人先生は同院での診療のほか、在宅医療にも力を入れています。また、市の高齢者福祉分科会や在宅医療連携推進グループ(ななお紫蘭の会)などの長として、地域在宅医療の実践・啓発活動のリーダー的な役割を果たしています。

循環器系疾患から認知症まで、かかりつけ医として幅広く対応

内科、循環器内科、消化器内科を標榜する病床数46床の円山病院。円山寛人先生の専門は循環器内科ですが、認知症診療でも認知症サポート医の資格を持つ豊富な実績から、昔なじみの患者さんのほか、地域からの紹介で訪れる方も少なくありません。

「内科の開業医は“よろず屋”として、幼児から高齢者まで幅広い世代の患者さんに向き合い、様々な疾病の初期対応にあたることがしばしばです。もちろん認知症も例外ではありません」。

七尾市の平成27年の高齢化率は34.9%(七尾市ホームページより)で全国平均を上回る水準。同院の患者さんも高齢の方が多く、内科疾患などで通院している患者さんに、ご本人も気づいていない認知症症状が見られるケースも徐々に増えてきたといいます。

「認知症の初発症状は患者さん一人ひとり異なります。早期診断や周辺症状への幅広い対応力を身につけるには、経験を積み重ねていくしかありません。まさに患者さんを“先生”として、認知症診療を学んできました」。

「また治療にあたっては患者さんご本人ばかりでなく、そのご家族への配慮も忘れてはなりません」。

認知症診断のポイントは患者さんの“変化”

初期段階の認知症の診断をつけるうえで重要なのは、“以前とどう違ってきたかを見つける事”だと円山先生は指摘します。ご家族に日常生活の様子などを尋ね、たとえば「同じことを繰り返し言うようになった」といったことがあれば、認知症を疑い、積極的に声をかけてテストを行っています。

「いきなり聞き取りや認知症の検査をしようとすると患者さんは構えてしまうので、『簡単なもの忘れのテストをしましょうか』と軽く声をかけて、手を使った視空間認識テストや、長谷川式簡易評価スケール、MMSE(認知機能検査)などを行います。また、便秘や易転倒性、幻視の有無などについても確認して早期診断に努めています」。

「ご家族に認知症であるという事実を受け止めてもらうため、簡単な検査をご家族の前で行うこともあります。というのは認知症である可能性をご家族に伝えても『ちょっと頑固なだけだ 』と、認知症を認めたくなくて、不機嫌になるご家族もいらっしゃいます。しかし、テスト中の様子を実際に見てもらうことでご家族の理解も得られ、スムーズに治療に入ることができる場合があるからです」。

患者さんだけではなく、ご家族も支援する

円山先生は認知症の治療を進めるにあたって、常にご家族を念頭に置いています。

「患者さんと共に生活し介護するご家族の理解と協力なくして治療は成り立たないからです。ご家族の介護疲れも問題です」。

「認知症になると記憶するという引出しに実体験がそもそも入らないので、症状が進むと自分でどうしていいかわからないことが増えていきます。しかし、感情とプライドはしっかり残っているので、言い分を否定すると治療には逆効果になりかねません。たとえば『さっき言った(やった)でしょう』と言っても無理なのです。認知症では出来事そのものが元々記憶されないのですから。認知症はこういうものだとご家族にしっかり知っていただくことが大事です」。

認知症の方への対応で最も大切なことは、その人(の物差し)を中心としたケアと笑顔です。
 さらに円山先生は、疲弊したご家族にも支援の手が必要だと指摘します。

「介護が短期間なら問題なくても、長く続くに従ってご家族の肉体的・精神的・時間的負担はより大きくなります。介護疲れのためご家族内の人間関係が破綻したり、生活に支障が出たりするケースもあります。そのため介護負担で疲弊しているご家族には、早めに介護保険制度の利用やレスパイト入院などを勧めています。経済的に施設の利用が難しければ、地域包括支援センターや市役所の相談窓口を紹介します。認知症の治療の場合、ご本人の治療ばかりでなく、ご家族への支援がより重要なのです」。

グループとして医療と介護を一体的に提供

同院では開設当時より在宅医療(当時は往診)にも注力しており、昭和30年頃には前院長が馬で山奥へ往診に訪れていたというエピソードも残っています。そしてそれは今日まで脈々と受け継がれています。

現在えんやまグループは医療法人と福祉法人で構成されています。医療法人社団生生会には円山病院に加え、えんやま健康クリニック(内科、整形外科、リハビリテーション科といった外来のほか、居宅介護支援事業所やデイケアセンター、介護老人保健施設も併設)があります。

また社会福祉法人緑会には、介護老人福祉施設『千寿苑』、認知症対応型グループホーム『やくしの里』、小規模多機能型居宅介護施設『たかしなの里』などの施設があり、入所、ショートスティ、デイサービスなど幅広い介護や生活支援サービスを提供しています。

「グループ内に医療と介護の専門部門がいろいろ揃っており、多職種連携チームが様々なご相談にお答えしています。200名を超える職員が、全員一丸となって患者さん、利用者さんとそのご家族に向き合っています」。

県内の認知症疾患医療センターなどと密に連携

えんやまグループは、グループ内で包括的な医療・介護サービスを提供する一方、必要に応じて地域の他の医療機関とも密な連携を図っています。

例えばBPSD(周辺症状)が強く入院が必要な患者さんの場合は、公立能登総合病院、七尾松原病院などを紹介します。両院は円山病院と同じ七尾市にあり院内に精神科病床を備えています。より専門性の高い治療を要する場合は、石川県の認知症疾患医療センターの基幹施設である県立高松病院と連携して対応にあたっています。

「高松病院は精神科の専門病院で、院長の北村立先生は石川県の認知症診療のリーダーのお一人です。これまでの積み重ねにより、とてもスムーズな連携ができていると思っています」と語る円山先生は“関係機関の連携のためには互いの顔が見える人間関係が大切”だとして、地域連携のための組織づくりや運営にも力を注いでいます。

関係者同士の顔が見える関係をつくる

2009年9月、七尾市医師会と七尾市地域包括支援センターが中心となり、七尾市認知症対策プロジェクト委員会が発足し、円山先生は委員長に就任しました。メンバーは、医師、看護師、保健師、理学療法士、栄養士、関連施設の施設長などで、行政もオブザーバーとして参加。七尾市の認知症の実態調査、医師とケアマネジャーの意識調査、認知症の相談窓口を広報するポスターやリーフレットの作成、各種研修会や市民公開講座のサポートなどに取り組んできました。

「こうした活動を通じて、多職種間の顔が見える関係をつくることも委員会の目的でした。互いに顔を見知っていれば、連携もしやすいですから」。

同委員会はより幅広い在宅支援に取り組むため発展的に解散。そして同時に(2013年9月)、歯科医師、薬剤師、そして管理栄養士を加えた在宅医療介護連携推進グループ『ななお紫蘭の会』として新たに発足し、ここでも円山先生が会長を務めています。

高齢の方が長く自宅で暮らせる地域を目指す

ななお紫蘭の会では、これまでに、医療従事者向けの認知症対応力向上の研修会実施や、多職種間の共通連携シートの作成などを通じて、各職種の顔の見える関係づくりとレベルアップ、県民公開講座などに取り組んできました。

また、円山先生は同会のほか、七尾市医師会の『在宅医療を考える会』においても責任者として地域の医療・介護連携に力を注いでいます。

「近年、後期高齢者および認知症の人の自動車運転免許が大きな社会問題になっています。更新をやめれば事故は減るかもしれません。しかし田舎では運転ができなければ生活できなくなる方も多数出てきます。軽度もしくは前認知症の高齢者が住み慣れた自宅や地域で長く暮らすためにはどういう環境整備が必要なのか?医療・介護に携わる者ばかりでなく、地域に住む人全員で新しいしくみを構築する必要があります。その為に私達はできることから進めています」。

「認知症の人が運転しても事故に繋がらないような車の開発にも期待しているところです」。

迫りくる2025年問題に向けて

円山先生は在宅医療と介護の連携にあたって、いわゆる2025年問題が重要だと言います。2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、健康寿命を超え、要医療介護状態の人が急増するわけです。

一方2025年には少子化も手伝って介護従事者が石川県内で約6000人不足すると予測されています。介護従事者の離職率は16.5%と他業種の平均15%より多いのです(北國新聞2017年6月15日号)。急激な後期高齢者割合の増加とともに、支える側の人材不足も出てきます。

医療や介護などの需要がさらに増大するため、現状の社会的資源のままでは社会保障は破綻します。そこで国は2018年度を目途に地域の医療・介護・生活支援などを包括的に支える地域包括ケアシステムの構築や入院病床の適正化を図る地域医療構想を推進しています。さらに各自治体において、住民の生活圏における生活支援ならびに要介護の予防・軽減の実践が求められています。

円山先生は「今後さらに老いの長期化(脆弱化)が進みます。そんな中でさらに増加する認知症やフレイル(老化に伴う身体的・精神的・社会的機能脆弱性が増す状態)への対応が大切になってきます。これからは、治す医療即ち疾病や障害の治療から、それらを抱えて生きる人の『生活を支える』医療・介護・支援が求められる時代です」と、在宅ケアばかりでなく生活ケアと要介護予防の重要性を訴えています。そして「要介護の程度にもよりますが、できるだけ頼らずに生きる覚悟を持つことが必要な時代ですね」と締めくくりました。

 

取材日:2017年2月28日

円山病院の外観

医療法人社団生生会 円山病院

〒926-0041
石川県七尾市府中町68番地の3
TEL:0767-52-3400

施設のホームページへ

 

えんやま健康クリニックの外観

医療法人社団生生会 えんやま健康クリニック

〒926-0033
石川県七尾市千野町に部10番地
TEL:0767-57-8600

施設のホームページへ

 

緑会の外観

社会福祉法人 緑会

〒926-0033
石川県七尾市千野町に部15番地

施設のホームページへ

 【 介護老人福祉施設千寿苑 】
TEL:0767-57-8801

 【デイサービスセンターせんじゅ 】
TEL:0767-57-8803

 【 デイサービスセンターなでしこ 】
TEL:0767-57-8804

 【 グループホームやくしの里 】
TEL:0767-59-1801

 【小規模多機能型居宅介護施設たかしなの里】
TEL:0767-57-1717

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ