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多職種協働の在宅医療で認知症の人を支える
<大阪府堺市 医療法人共幸会 ナカイクリニック>

院長 中井昭宏先生 院長 中井昭宏先生

約84万人の人口を有する政令指定都市、大阪府堺市。2007年にこの地に開業したナカイクリニックでは、通常の外来診療に加えて往診や訪問診療も実施し、訪問看護師・薬剤師と連携したチーム医療で、地域の認知症の人とご家族をサポートしています。

身近なかかりつけ医として、地域住民の健康をサポート

南海本線「諏訪ノ森駅」から車で約5分という立地にあるナカイクリニックでは、風邪や腹痛はもちろん、生活習慣病、更年期障害、仕事のストレスからくる意欲低下、不眠症など、さまざまな疾患を幅広く診療しています。

院長の中井昭宏先生は、勤務医だった20年ほど前に、脳血管性認知症についての症例報告をした経験もあり、当時から「この先、高齢化が進むにつれ、認知症の人も増えていくだろう」と危機感を抱いていました。しかし、勤務医時代は認知症診療に携わる機会は少なく、本格的に取り組むようになったのは開業後のことです。

同クリニックでは通院困難な患者さんを対象に在宅医療を行っており、認知症の人への訪問診療、訪問看護にも注力しています。

明るい待合室 明るい待合室

「当クリニックの周辺には一人暮らしの認知症の方が多く、クリニックにもお一人で通院されます。お話を聞けるのがご本人だけなので、通常の外来診療だけでは普段の生活の様子が把握しにくく、認知症医療にも訪問看護師、薬剤師など多職種チームによる在宅医療が必要だと考えました」(中井先生)。

チーム全員の対等な関係が、最適な治療とケアにつながる

同クリニックでは、連携する訪問看護ステーションや薬局など複数の施設と共に在宅診療を行っています。中井先生の「皆が同じ日に一緒に訪問するよりも、それぞれが別の日に様子を確認したほうが、症状がつかみやすい」という考えのもと、訪問診療や往診は中井先生が行い、訪問看護師や薬剤師は別の日に生活ぶりや服薬状況を確認する体制をとっています。

「私もご自宅を訪問しますが、医師が相手だと緊張されるのか、看護師など他のスタッフとは違う顔を見せる方もおられます。スタッフからの情報を聞いてはじめて見えてくる症状もありますから、対処法などを考えるときはスタッフの意見も参考にしています」(中井先生)。

さくら訪問看護ステーション 管理者・訪問看護師 松田香純さん さくら訪問看護ステーション
管理者・訪問看護師 松田香純さん

訪問看護師の松田香純さんも、「患者さんに最適な医療や看護を提供するには医師と看護師が対等でなければ、というのが私の考えです」と話し、カンファレンスでは「この症状にはこういう理由があるのでは?」、「この薬を使ってみてはどうですか?」などと、看護師としての意見を積極的に伝えています。

松田さんは、同クリニックの連携施設である、さくら訪問看護ステーションを運営する株式会社シーエムエスの代表取締役も務めており、現場での看護はもちろん、スタッフの管理・教育までを一手に引き受けています。

チームワークの良さと、フットワークの軽さが強み

中井先生と、中井先生の母校である近畿大学の附属看護専門学校出身の松田さんは、10年以上一緒に仕事をしていて、長い付き合いでお互い気心が知れているためか、時には激しく意見を言い合うこともあります。

「指示書を出し忘れて、よく松田さんに叱られます」と苦笑いする中井先生に、「患者さんのためになることをしようと思っても、私たち看護師は医師の指示がなければ何もできませんから」と笑顔で返す松田さん。お二人のざっくばらんな会話からはチームワークの良さがうかがえます。

“訪問先の患者さんの様子が少し気になる”との連絡を受けて、中井先生がすぐに往診に向かうこともあり、松田さんは「私たちが現場で困ったときはタイムリーに動いてくださるので、とても助かっています」と話します。

「当クリニックの強みはフットワークの軽さ。患者さんが困っているのなら行かなければと、自然に体が動いていますね」(中井先生)。

訪問看護ではご自宅の状況も確認し、進行予防につなげる

外来診療の際、中井先生は、例えば約束を守れなくなるなど、ご本人の行動に急激な変化がないかを確認しています。診療でご本人の行動を観察し、「おかしいな」と感じたときは訪問看護の利用を勧め、ご自宅での生活ぶりを確認します。看護師からの報告を受け、認知症の疑いや症状の進行が認められる場合は、ご家族と相談しながら検査や治療、または治療内容の変更を行います。

松田さんは、「認知症の症状が進むと整理整頓ができなくなってしまうので、訪問看護ではお部屋の散らかり具合もチェックしています」と話します。以前より部屋が乱雑になった、生鮮食品など冷蔵庫で保管するべきものが出したままになっているなど、いつもと違う様子が見られるときは薬を飲んでいないことが多いため、松田さんは服薬状況を確認し、飲むべき薬をお薬カレンダーのポケットに入れておくなど、きちんと服薬ができるようにサポートしています。

「1週間分のお薬をカレンダーに入れてしまうと、どこから飲み始めたらいいのかわからなくなる方もおられるので、2~3日分だけ入れるなど、一人ひとりに合わせて工夫しています」(松田さん)。

専門職の知識とスキルの底上げが今後の課題

認知症の早期発見・早期治療のためには、介護職の知識やスキルの向上が不可欠と考える中井先生は、地域の課題としてケアマネジャーやヘルパーなどの、知識やスキルの格差解消を挙げます。

「一人暮らしのお年寄りが要介護認定を受けて、ケアマネジャーやヘルパーがついているにもかかわらず、認知症の徴候が見過ごされてしまうこともあります。離れて暮らすご家族がお盆やお正月に帰省してはじめて症状に気づき、当クリニックを受診したときには病気が進行してしまっていたということも起きています」(中井先生)。

課題解決のため、中井先生は2010年に南大阪在宅医療看護研究会を設立。在宅医療・看護・介護関係者を対象に講演会を開催するなど、知識と在宅ケアレベルの向上に注力しています。

松田さんも、地域の訪問看護ステーションにおける看護の質にばらつきがあると感じており、自身がブロック長を務める大阪府訪問看護ステーション協会堺ブロックで研修会や勉強会を開催し、堺市全体の訪問看護のレベルアップを目指しています。中井先生は「もともと同協会に勉強会はなく、松田さんがブロック長になってやりはじめたことなんですよ」と語り、松田さんの活動に敬意を表します。

増え続ける認知症の人を、皆で支える地域づくりを目指して

堺市の高齢化率は26.9%(2016年9月現在)で、4人に1人が高齢者となっています。さらに、いわゆる「団塊の世代」が75歳を迎える2025年には、国民の5人に1人が75歳以上になると予測されており、松田さんは「2025年に向け、訪問看護師の人材確保が差し迫った課題です。訪問看護に興味を持ってもらえるよう、この仕事の魅力をどんどん発信していきたいですね」と語ります。

ゆったりとした検査室 ゆったりとした検査室

中井先生も「まだまだ増え続けるであろう認知症の人をどう支えていくのか、地域全体で考えていかなければなりません」と言い、忙しい診療の合間を縫って市民講座の講師を務めるなど、一般市民向けの啓発活動にも精力的に取り組んでいます。

何よりも患者さんのことを思い、「その方のために何ができるか」を考えて行動する中井先生と松田さんをはじめとするスタッフの皆さん。過去には徘徊のある認知症の人を見守るために、中井先生とクリニックのスタッフ、訪問看護師、薬剤師が手分けをして、近隣のコンビニを回り、「このお年寄りが立ち寄ったら連絡してほしい」とお願いしたこともあるといいます。

「夜間に徘徊する方は、なぜかコンビニを目指すことが多いんです。実際に店員さんからの連絡で、コンビニの前で佇んでいた認知症の方を迎えに行ったこともあります。医療関係者だけでなく、地域の人が皆で認知症の方を見守っていく、そんな地域づくりが進んでいくといいですね」(中井先生)。

 

取材日:2017年8月25日
医療法人共幸会 ナカイクリニックの外観

医療法人共幸会 ナカイクリニック


〒592-8343
大阪府堺市西区浜寺元町1丁目120番地1
TEL:072-269-0553

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