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認知症の人も主体的に活動できる環境づくりを目指して
<鹿児島県霧島市 医療法人誠井会 井料クリニック>

医療法人誠井会 理事長 井料クリニック 院長 井料宰先生 医療法人誠井会 理事長
井料クリニック 院長 井料宰先生

雄大な桜島を望む錦江湾のほど近くに位置する井料クリニックは、開院以来25年間、地域に根ざした医療を行ってきました。脳神経外科や皮膚科などを標榜する同クリニックで認知症の診療を担当するのは、院長で日本脳神経外科学会専門医の井料宰先生。理事長を務める医療法人誠井会が運営するデイサービスセンターやグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などと連携し、医療と介護の両面から地域の認知症の人とご家族を支えています。

地域のニーズに応えるため、認知症と向き合う

脳神経外科を専門とする井料宰先生が、同クリニックを開院したのは1992年のことです。しかし、「その頃は認知症診療に今ほど積極的ではありませんでした」と井料先生は話します。

「当時は抗認知症薬がなかったこともあって、認知症の方は基本的に他院の精神科に紹介していました。しかし開院から10年以上が過ぎた頃から、患者さんの高齢化とともに、認知症の症状が出て日常生活に困る人が増え、『認知症の方と正面から向き合っていかなければ』という思いが強くなりました」(井料先生)。

クリニックのある霧島市の高齢化率は25.3%で、鹿児島県全体の29.4%をやや下回っています(2015年10月1日現在)。しかし、同じ市内でも地区によって差が大きく、中には高齢化率が40%を超えているエリアもあります。同市では、ひどいもの忘れなどの症状がある65歳以上の市民を対象に、初診料が基本的に無料になる“もの忘れ外来受診券”を発行するなど、認知症の早期発見・早期治療に取り組んでおり、井料先生も認知症サポート医として地域の認知症医療に貢献しています。

小さな変化に気づいて、早期発見につなげる

認知症を疑って同クリニックを受診する人の多くは、一般内科など他の診療所からの紹介や、もの忘れの症状に気づいたご家族に連れられて来院されます。その一方で、クリニック周辺の地区には高齢者のみの世帯や独居の人が多く、周囲の人が気づかないまま認知症が進行していることもあります。そのため井料先生は、脳神経外科や皮膚科に定期的に通院していた患者さんがしばらく来られなかったり、お薬が残っていたりするときには、必要に応じて声をかけ、認知症の検査や治療につなげています。

井料クリニック 看護師 久木田由香さん 井料クリニック 看護師 久木田由香さん

また、同クリニックでは看護師も、診察時や待合室での様子に目を配り、気になることがあればご本人やご家族を別室に案内して、生活の様子や困っていることなどを聞き取っています。

看護師の久木田由香さんは「長年通院されている患者さんが多く、気心が知れているためか、ご家族には言えないちょっとした悩みを打ち明けてくださることもありますね。聞き取ったお話は先生や看護師間で共有し、医療や看護に生かしています」と話します。

複数の介護施設で、多様なニーズに対応

同クリニックの運営母体であり、井料先生が理事長を務める医療法人誠井会では、グループホームや小規模多機能ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、さまざまな介護施設を運営しています。井料先生は、認知症の症状が強く日常生活に支障が出ている人や、ご家族との関係性によっては、施設への入居を勧めるなど、多様な介護ニーズに柔軟に対応。台風のときだけショートステイを利用する独居の人もいます。

「霧島市は台風が多い地域です。高齢の方には大変な思いをした記憶が残っていますから、怖がる方もおられます。不安なときに頼れる場所があれば、認知症の方やそのご家族も安心して暮らせるのではないでしょうか」(井料先生)。

また、同クリニックでは、必要な介護につなげるために“グリーンカード”という独自のカードを利用しています。

「当クリニックには皮膚科もあるため、例えば独居の方が転倒による傷などで来院されることもあります。そんなときに、お一人で生活するうえで困ったことがないかなどを、問診の前に伺い、必要があればグリーンカードに記載して、介護関係者に情報提供しています」(久木田さん)。

ボランティア活動など、地域に役立つデイサービスも実践

井料デイサービスセンター ケアマネジャー 小山正志さん 井料デイサービスセンター
ケアマネジャー 小山正志さん

2003年に開設された井料デイサービスセンターでは、利用者さんが地元企業へ出向いて清掃ボランティアを行うなど、歳を重ねても活躍できる場を提供するプログラムを実施しています。ケアマネジャーの小山正志さんは、「ボランティア先の社員さんから『ありがとう、助かります』と声をかけられると、利用者さんも『私も社会の役に立てるんだ』と実感でき、やりがいを感じておられるようです」と話します。

「以前は介護と言えば至れり尽くせりで、利用者さんは“保護される存在”というイメージでしたが、利用者さんの生きがいを考えたときに、デイサービスで何か人の役に立つことができないかと考えました」と語る小山さんは、これからの介護についても広い展望を持っています。

「デイサービスでお風呂に入れてもらってご飯を食べて、少し運動しておしゃべりして帰るという従来の介護は、今後変えていく必要があると思います。料理ができる人には調理に関わってもらう、小中学校で戦争体験を語ってもらうなど、高齢になっても認知症になっても、できることはあるはずです。こちらが準備したことに取り組むだけではなく、利用者さんが主体的に、自分のやりたい活動に取り組めるよう、サポートしていきたいですね」(小山さん)。

利用者さん主体の生活環境を築くための、さまざまな取り組み

サンライズ吹上 管理者 牛ノ濱法人さん サンライズ吹上
管理者 牛ノ濱法人さん

30部屋の個室を備えたサービス付き高齢者向け住宅「サンライズ吹上」でも、利用者さんの主体性を高めるために、施設を一つの町内会という形にして、婦人会を立ち上げたり、回覧板を回したりといった独自の取り組みを行っています。管理者の牛ノ濱法人さんは、「まだスタッフ主体の部分が大きいので、今後は“町内会活動”に積極的な方々で集まって会合を開くなど、利用者さん主体の取り組みにしていければと考えています」と語ります。

「ご家族からも『部屋に閉じこもる生活ではなく、他の利用者さんと交流する機会をつくってほしい』というご意見をいただいています。利用者さんの身体状況に応じて、例えば自分で動ける方にはデイサービスセンターでボランティアをしていただくなど、何らかの役割を担ってもらうことで主体的な行動につなげられるのではないかと思っています」(牛ノ濱さん)。

現時点ではスタッフ主導の活動が中心ですが、牛ノ濱さんはアンケートを実施して利用者さんの思いをくみ取り、希望を反映した活動を展開して利用者さんのやる気につなげたいと考えています。

認知症の人の思いを理解し、ご本人とご家族をつなぐ懸け橋に

グループホーム陽だまり日輪荘 管理者 瀬戸川るみ子さん グループホーム陽だまり日輪荘
管理者 瀬戸川るみ子さん

2011年に開設されたグループホーム陽だまり日輪荘の管理者、瀬戸川るみ子さんは、徘徊などのBPSD(周辺症状)が強い、ある利用者さんが印象に残っているといいます。

「何かやりたいことがあって、症状が強く出ているのではないかと思い、ご本人の気持ちを少しでも理解しようと積極的に話しかけました」という瀬戸川さん。

時には会話を拒否されることもありましたが、あきらめずに話をしていく中で、「お墓参りに行きたい」という言葉を聞くことができたといいます。ご家族の許可を得て一緒にお墓参りに出かけ、手を合わせる利用者さんを見たときに、「お墓参りの記憶は残らなくても、『やりたかったことができた』という気持ちが残って、笑顔で過ごせる時間が増えればいいなと思いました」と、瀬戸川さんは語ります。

「中には、ご本人のやりたいことが何なのかがわからず、困っているご家族もおられます。私たちがご本人とご家族の気持ちを理解することで、ご本人とご家族の思いをつなぐ懸け橋になれればうれしいですね」(瀬戸川さん)。

日帰り旅行で利用者さんの前向きな気持ちを引き出す

2017年8月、医療法人誠井会では、関連施設の利用者さんとご家族を対象にした日帰りバスツアーを初めて実施しました。デイサービスでも遠足などの外出活動は行っていますが、遠出をする時間はなく、行ける場所も限られています。そこで、「介護が必要になったからといって、旅行をあきらめてほしくない」という思いから、朝から夕方までの日帰り旅行を企画することになったのです。

同行したケアマネジャーの小山さんは、「介護保険外の事業として実施しているので参加費は実費になりますが、多くの方が参加されました。旅行に向けて、前向きにリハビリに取り組んでいた方もおられます。ご家族からも『自分たちだけではあまり遠くまで連れていけないので、ありがたいです』と好評でした」と語ります。バス旅行は今後も年2回のペースで実施していく予定で、「今回は日帰りでしたが、ゆくゆくは宿泊を伴う旅行や、できれば海外旅行も実現できるといいですね」と小山さんは夢を膨らませます。

認知症の人の話を傾聴し、それぞれの生活スタイルや、やりたいことをくみ取って、一人ひとりの気持ちを尊重した対応を心がけている井料先生とスタッフの皆さん。これからも医療と介護の連携のもと、認知症の人とご家族が人生をよりよく生きていけるよう支援を続けていきます。

 

取材日:2017年8月18日
医療法人誠井会 井料クリニックの外観

医療法人誠井会 井料クリニック

〒899-4321
鹿児島県霧島市国分広瀬2丁目28-40
TEL:0995-46-9300

施設のホームページへ

 

井料デイサービスセンターの外観

井料デイサービスセンター

〒899-4321
鹿児島県霧島市国分広瀬2丁目28-8
TEL:0995-49-8467

 

サンライズ吹上の外観

サンライズ吹上

〒899-4321
鹿児島県霧島市国分広瀬2丁目28-42
TEL:0995-73-6612

 

グループホーム陽だまり日輪荘の外観

グループホーム陽だまり日輪荘

〒899-4321
鹿児島県霧島市国分広瀬2丁目29-37
TEL:0995-55-0700

 

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