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認知症疾患医療センターとして地域連携の要となり、初期支援にも奔走
<東京都港区 東京都済生会中央病院>

認知症疾患医療センター センター長代理 荒川千晶先生認知症疾患医療センター
センター長代理 荒川千晶先生

1915年に済生会芝病院として開院し、100年以上の長い歴史を誇る東京都済生会中央病院は、2012年から地域医療支援病院として、かかりつけ医と役割分担し連携を図りながら、地域住民の健康に寄与してきました。2015年に認知症疾患医療センターを開設し、専門的な医療の提供とともに、地域連携の強化と疾患啓発に積極的に取り組んでいます。

神経内科医、精神科医それぞれの強みを生かした診療

東京都内屈指のビジネス街であり、駐日大使館や複合商業施設が数多く立つ港区で、長きにわたって地域を支える先進的な医療を提供してきた東京都済生会中央病院。30を超える診療科を標榜し、総合病院として幅広い疾患に対応してきました。

2015年9月には東京都の指定を受け、認知症疾患医療センターを開設し、認知症治療の新たな拠点となりました。同センターは、センター長を務める副院長の塚田信廣先生のもと、神経内科医、精神科医、看護師、精神保健福祉士、理学療法士などのスタッフがチームとなって治療や予防に力を注いでいます。

センター長代理であり神経内科医の荒川千晶先生は、神経内科の代表的な病気である脳卒中の患者さんを数多く診療してきました。脳卒中後、認知機能の低下に苦しむご本人やご家族を目にしたことが、認知症医療を探求して認知症学会の専門医・指導医となるきっかけとなりました。荒川先生は、「当センターが開設したことで、神経内科医、精神科医それぞれの強みを生かした治療ができる充実した体制になりました」と語ります。

「看護師や精神保健福祉士、理学療法士などのスタッフが他の業務との兼任ではなく、センター専従なのも心強いですね」(荒川先生)。

メモリークリニックで鑑別診断と治療方針の決定を行い、認知症を合併した入院患者さんもサポート

認知症の鑑別診断はメモリークリニック(もの忘れ外来)で対応しています。診断の際には、受診初日に詳細な問診と診察を行い、必要に応じて血液検査、頭部MRI検査、脳血流SPECT検査、神経心理検査などを予約、2~4週間後に結果を踏まえてご本人やご家族ともご相談し、治療方針を決定していきます。

現在、メモリークリニックには月に50~60人が新たに受診しています。同センターは、開設前から地域医療支援病院としてかかりつけ医との連携に力を入れていたこともあり、開設3年目を迎え、さらにかかりつけ医からの紹介が増えてきました。紹介されて受診した場合は、診断と治療方針の決定をし、2~4週間後に治療効果を確認した後、基本的にかかりつけ医に戻して、必要があれば経過観察でフォローします。

一方で以前から通院していた糖尿病などの患者さんに認知症の症状があらわれ、院内紹介されることも少なくありません。受診予約が多くなってメモリークリニックだけで対応できないときは神経内科などの一般外来でも受け入れ、初回診療までの待機期間の短縮を図っています。

認知症看護認定看護師 浅水香理さん認知症看護認定看護師 浅水香理さん

同センターのスタッフは病棟にも出向き、認知症を合併している入院患者さんや病棟スタッフとも関わります。同センターに所属する、認知症看護認定看護師の浅水香理さんは、入院によって環境が変わり、混乱した状態の人が少なくないため、少しでも早く環境に慣れて、安心して療養できるように、声のかけ方や接し方に気を配っています。

「病棟では、病棟スタッフの看護に対して、認定看護師だからといって一方的に指導するのではなく、接し方などについて一緒に考えるようにしています。また、ご家族も、入院後に今までとは違う症状があらわれて戸惑われることが多いので、せん妄などは環境変化による一時的なものだと説明して安心していただくようにしています」(浅水さん)。

病院にとどまらず地域と関わり、実態をつかむ

同センターは、医療相談、地域連携の推進、行政の認知症施策への協力などの役割も担っています。港区の高齢者相談センター(地域包括支援センター)や認知症カフェ“みんなとオレンジカフェ”などと以前から連携していました。荒川先生は「区内に5ヵ所ある高齢者相談センターのうち2ヵ所は済生会グループが受託しており、地域連携の基盤がつくりやすかったことは幸いでした」と語り、同センターの働きかけで、地域連携をさらに強固なものにしたいと考えています。

「当センターのモットーは『病院にとどまらない』こと。院内での治療も大切ですが、どこにどのような人がいてどう困っているのか、実態は地域に行かないとわかりませんから、私たちが精力的に出ていこうと思っています」(荒川先生)。

認知症カフェや高齢者相談センター、社会福祉協議会などで開催される研修などの講師を積極的に務め、認知症の知識や情報を伝えるとともに、行政をはじめ認知症カフェに携わるNPO法人とも関係性を築いて、地域の実態を捉えるようにしています。

精神保健福祉士 川端奈緒さん精神保健福祉士 川端奈緒さん

精神保健福祉士の川端奈緒さんは、同センターの相談員として、介護や地域からの受診の相談にのったり、転院や退院の調整をしたりするなど常に院外と関わっています。川端さんは、「認知症の方を実際に地域で支えているのはケアマネジャーや高齢者相談センターの方ですから、その方々と連携しながら活動していくことが大切です」と話します。川端さんはセンターから提案するだけでなく、地域の介護従事者の意向に合わせて協力することが、ひいては認知症の人にとってのよりよい支援になると考えています。

かかりつけ医や介護従事者とも症例を共有

同センターでは、認知症に関わる地域の医療・介護従事者と症例を共有することも重視しています。年4回ほど“認知症ケアセミナー”を開催し、認知症についてのさまざまな講演や症例について議論する場を設けています。介護従事者の関心も高く、参加者が100人を超えた回もあります。

症例の共有は地域のかかりつけ医とも行っています。かかりつけ医から紹介された、あるいはかかりつけ医に逆紹介した認知症の症例について検討する“Minato Memory Meeting”を年4回開催し、かかりつけ医やサポート医と集います。情報共有だけでなく、認知症に関する知識のブラッシュアップや、適切な連携方法を探るために有意義な場となっています。

また、認知症の基礎を学びたいが長い時間はとれないという声に応えて、介護従事者やご家族を対象とした短期集中セミナーも年2回開催しています。

家族会には地域のかかりつけ医や行政が参加することも

同院では、“ひだまり”と名付けた認知症の家族会も月に1回開催しています。認知症介護に関わるご家族であれば、同院を受診していなくても参加でき、相談や情報交換ができます。

「ご家族への支援も大切です。ときには地域のかかりつけ医や高齢者相談センター、認知症カフェに携わるNPO法人のスタッフが参加することもあり、さまざまな方面からご家族に助言もできます」(荒川先生)。

また、ご家族向けには、中等度以上に進行した認知症介護を想定した全8回の“認知症介護支援実践講座”も開催しています。中等度以上になると、ADL(日常生活動作)が低下してくるため、介護者の負担を軽減する介助方法や食事援助のポイントなどを、同センターの理学療法士が中心となり実践を交えて指導しています。

認知症初期集中支援チームとして、治療につなげるために尽力

荒川先生は、自分のもの忘れを気にする40~50代の比較的若い人の受診が増えているという印象を抱いています。認知症について情報を得る機会が多く、健康に対する意識が高い都市部ならではの特徴ではないかと荒川先生は捉えています。

一方で、受診に至らないまま症状が進行している人もいます。同院では、2017年4月に港区から“認知症初期集中支援チーム”を受託し、同センターのスタッフ全員がメンバーとなりました。初期集中支援チームとして、支援が必要な人の自宅を訪問し、受療を促していくなかで、地域の現状がわかってきました。

東京都済生会中央病院 認知症疾患医療センターの皆さん東京都済生会中央病院
認知症疾患医療センターの皆さん

荒川先生は「港区は華やかな印象がありますが、昔ながらの住宅街も残り、老老介護、認認介護の方も非常に多いのです」と話し、必要な情報が届かず、治療に結びついていない認知症の人もいると指摘します。「私たちが踏み込むことで、治療につなげられるのではないでしょうか。今後さらに地域に出向き、実態を知るためにアプローチしていきます」と荒川先生は力強く語ります。

港区には精神科の病床が少なく、BPSD(行動心理症状)のある認知症の人の受け皿が少ないことも現在の課題です。

「認知症の知識と経験をさらに増やし、いずれは病棟でも認知症の方を診ていける体制をつくっていきたいと考えています。また、地域の皆さんには、認知症疾患医療センターは最も気軽に受診できる窓口であることを知っていただきたいですね」(荒川先生)。

 

取材日:2017年9月14日
東京都済生会中央病院の外観

社会福祉法人 恩賜財団 東京都済生会中央病院

〒108-0073
東京都港区三田1丁目4番17号
TEL:03-3451-8211

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