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診療科や職種を超えたチーム医療で地域の認知症医療をけん引
<滋賀県大津市 滋賀医科大学医学部附属病院>

神経内科科長・教授 漆谷真先生 神経内科科長・教授 漆谷真先生

1978年に開院した滋賀医科大学医学部附属病院は、県内唯一の特定機能病院および教育機関として、地域医療の中核的役割を担う存在です。1998年に神経内科、精神科、脳神経外科を中心とした脳神経センターが開設され、診療科を超えた協力体制のもと、認知症の人の治療とケアに取り組んでいます。

大学の研究センターと連携し、高度な認知症医療を提供

滋賀医科大学医学部附属病院は、2005年に脳神経センター内にもの忘れ外来を設置し、2016年には神経内科での認知症外来も開始するなど、認知症診療に対するキャパシティーを広げています。また、滋賀医科大学が約30年前に設立した分子神経生物学研究センターが、2016年に“認知症をはじめとする神経難病の克服を目指す”神経難病研究センターとして新たにスタート。改組と同時に、センターと同院の神経内科が密接に協力し、認知症診療に携わる体制もつくられました。

神経内科の教授で神経内科科長の漆谷真先生は「超高齢化社会を迎えた現在、認知症と診断される方の数は増え続けています。大学ならではの高度な医療を提供するだけでなく、認知症の方とご家族のニーズにきめ細かい対応をしていきたいと思っています」と、認知症医療への意欲を語ります。

神経難病研究センター センター長・教授 遠山育夫先生神経難病研究センター センター長・教授
遠山育夫先生

神経難病研究センター長の遠山育夫先生は、神経変性疾患の早期診断法と神経難病の根本治療法の開発研究に取り組む一方で、もの忘れ外来と神経内科の認知症外来にも携わっています。

「当センターでコツコツと積み上げてきた認知症の基礎研究の成果をいち早く臨床の場に届けられることが当大学の強みです。我々も外来に参加し、力を合わせて認知症医療に取り組んでいます」(遠山先生)。

治る認知症を見逃さず、原因疾患に応じた治療を

神経内科の外来は、同院の外来棟1階にある脳神経センターの中に開設されています。センターには精神科、脳神経外科の外来もあり、漆谷先生が「疑問があればいつでも気軽に相談できる、恵まれた環境」と話す通り、認知症を含むさまざまな神経疾患に対して、連携を取りながら診察しています。

現在、神経内科の認知症外来は週3回で、院内他科からの相談のほかに、地域の開業医や病院から、診断が難しい患者さんが紹介されてくることも多いといいます。漆谷先生は、「正確に診断し、診断に応じた治療方針を立てることが、大学病院の使命」と語り、いわゆる"治る認知症"を見逃さないよう注意しています。

認知機能の低下は、正常圧水頭症や慢性硬膜血腫のような脳外科的な病気のほか、ビタミンB12欠乏症、甲状腺機能低下症などの内科的な病気の部分症状として出現する場合もあります。また、うつ状態になると気分が落ち込み、周囲への関心が乏しくなって見聞きしたことを覚えられなくなることから、認知症に間違われることもあります。

「まずはきちんと鑑別診断をしたうえで、その後の治療や介護の方針を立てています。大学病院なので、通常とは経過が違う方や、典型的ではない症状が出て診断に迷う方の紹介が多いので、正確な鑑別診断が最も重要であると考えています」(漆谷先生)。

時間をかけてご本人、ご家族と向き合う

神経内科 講師 金一暁先生
神経内科 講師 金一暁先生

認知症の診断には必要に応じてMRIやSPECTといった画像検査を実施しますが、まずはご本人、ご家族への問診を十分に行うのが外来診療の基本スタンスです。漆谷先生、遠山先生とともに、認知症外来を担当する金一暁先生は、「初診には通常1時間以上かかります」と話します。

「一般的な内科疾患は、健康上の問題だけを抽出して対処すれば解決できることがほとんどですが、認知症では、生活上の問題にも対応する必要があります。そのため、ご本人、ご家族から時間をかけてお話を聞いて、どんなことに困っているのか具体的に把握することが大切だと考えています」(金先生)。

しかし、一人ひとりと時間をかけて向き合っているからこそ、初診は原則として1日2人にせざるを得ないという実情もあります。遠山先生は、「診断には時間がかかるため、予約から初診までお待ちいただかなければならない状況です。たくさんの人を診療したいと思っていますが現実的には難しく、私たちも日々悩みながら診療しています」と、苦しい胸の内を明かします。

このような状況の中、金先生は今後の課題に「認知症医療を担う人材の育成」を挙げます。

「認知症の人やそのご家族の力になりたいと考えてはいるものの、知識や理解が足りなくて踏み込めずにいる医療従事者は、実はたくさんいるのではないでしょうか。当院は教育機関でもありますから、臨床だけでなく医療従事者や、医学生、看護学生の教育にも力を入れていく必要があると思います」(金先生)。

睡眠障害やレビー小体型認知症のスペシャリストがそろう精神科とも連携

精神科 講師 松尾雅博先生
精神科 講師 松尾雅博先生

同院の精神科には、睡眠障害やレビー小体型認知症を専門とする医師が在籍しており、レビー小体型認知症に関しては、神経内科と連携して診療にあたっています。レビー小体型認知症あるいはパーキンソン病では前駆症状としてレム睡眠行動障害がみられることがあり、精神科の松尾雅博先生は、「レム睡眠行動障害だけでなく、睡眠時無呼吸症候群の患者さんでも認知症への移行リスクが高いとの報告がある。こういった情報をテレビなどで知った患者さんが認知機能の低下を不安に思い来院されることもあります。こういった場合に当科での認知機能検査や、神経内科でのパーキンソン症状の評価を受けてもらい、医学的に正しい評価と正しい知識を得ることで不必要な不安が解消されて元気になられたこともありました」と連携のエピソードを語ります。

「レビー小体型認知症ではさまざまな症状が出るため、ご本人はもちろん、ご家族の不安が強く、もの忘れや性格の変化による行動を『わざとやっているのでは』と捉えてしまうこともあります。ご家族の対応がその後の認知症の行動・心理症状(BPSD)の発症予防につながるので、どういう症状が出るのか、どういう対応法があるのかを、最初に丁寧に説明するように心がけています」(松尾先生)。

認知症ケアチームが地域と院内の懸け橋に

精神看護専門看護師で、精神科リエゾンチームのメンバーである安藤光子さんは、特定の外来や病棟の担当ではなく、組織横断的に活動しています。最近は新たに発足した認知症ケアチームにも加わり、入院中の認知症の人の情報を収集し状況を把握することで、診断やケア方針の決定や評価を行ううえで、中心的な役割を担うようになりました。

看護師長・精神看護専門看護師 安藤光子さん看護師長・精神看護専門看護師
安藤光子さん

認知症ケアチームの役割について安藤さんは、「認知症の診療に直接関わるというよりも、地域の情報を収集してニーズにあった医療を提供できるよう院内の体制を整えたり、入院していた認知症の方がご自宅にスムーズに戻れるようサポートすること」と考えており、院長や看護部長らと相談しながら、認知症の人を病院全体で支援する体制づくりを進めています。

「県内唯一の大学病院である当院に、先端研究に基づいた最新の治療を期待して受診される方もおられると思います。院内の患者支援センターを窓口として、認知症の人とご家族の思いをくみ取り、病院と地域をつなぐ存在を目指して活動していきたいですね」(安藤さん)。

さらに、病院全体の認知症対応力向上を目指して院内の認知症ケアマニュアルを作成するなど、スタッフへの啓発にも力を注いでおり、漆谷先生は「以前よりも院内の認知症ケアの質が向上したと実感しています」と、安藤さんの仕事ぶりを高く評価します。

検査結果を通して認知症の人のご家族に気づきを

言語聴覚士 國立(こくりゅう)淳子さん言語聴覚士 國立(こくりゅう)淳子さん

言語聴覚士の國立(こくりゅう)淳子さんは、記憶力や視空間能力を評価する検査、言語能力の検査など、認知症の人へのさまざまな神経心理検査を担当しています。

「検査が終わったあと、不快な気分のままお帰りになることのないように、受ける方のお気持ちを考えながら検査を進めています」という國立さん。「検査の全体を通してご本人の状態を評価したことを、ご家族にフィードバックすることが大切です」と語ります。

「例えばご本人が記憶力の低下を気にされていたとしても、メモやカレンダーを使えばご自分で対応できるのか、あるいはご家族が前日に声をかける必要があるのかなど、ご家族が理解しておくことは必要です。検査結果が、認知症の方に対するご家族の対応を考えてもらうきっかけになればと思います」(國立さん)。

臨床と研究の両輪でよりよい認知症医療を目指す

漆谷先生は、「滋賀県は認知症に関する自治体の取り組みや、地域連携が進んでいます。私たちの役割は、正確な診断を行い適切な治療方針を立てること。そうすることで、かかりつけ医も迷うことなく診療でき、ひいては認知症の人とご家族が住み慣れた地域で安心して生活できるのではないでしょうか」と話します。

同県では認知症に関する情報交換会が定期的に開催されるなど、地域の医療従事者が集まって、診断や治療方針について議論する機会が増えています。

「地域の先生方とのコミュニケーションを深め、情報交換会をさらに発展させていけば、よりよい認知症医療を提供できるようになると思います」(漆谷先生)。

遠山先生は今後の課題について、「PETのような画像検査は認知症の早期診断に有効ですが、どこの医療機関でも実施できるわけではなく、費用も高額です。かかりつけ医でも気軽に使える、簡単な検査法を早く開発して、臨床の現場に届けたいと思っています」と語ります。

県下唯一の大学病院として、高いレベルの診療と研究を両立するだけでなく、教育機関として医療従事者を育成し、地域への多大な貢献を行う滋賀医科大学医学部附属病院の皆さん。患者さんとご家族に寄り添う診療を実践し、地域の認知症医療の拠点として、これからも認知症の人とご家族の生活を支えていきます。

 

 

取材日:2017年9月19日、21日
滋賀医科大学医学部附属病院の外観

滋賀医科大学医学部附属病院

〒520-2192
滋賀県大津市瀬田月輪町
TEL:077-548-2111

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