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ご本人とご家族の穏やかな生活を守る、クリニック主導の認知症診療
<茨城県笠間市 あやか内科クリニック>

院長 白土綾佳先生 院長 白土綾佳先生

茨城県の中部に位置する笠間市に、2017年1月に開院した、あやか内科クリニック。院長の白土綾佳先生は、県内初のコウノメソッド実践医として病状に合わせたきめ細かい認知症医療を目指すとともに、“笠間に笑顔を。みまもる医療を提供します”を理念に掲げ、認知症の人とご家族の穏やかな生活を支えています。

目の前にいる人が一番困っている症状に対応したい

白土綾佳先生は自治医科大学を卒業後、「全身を診る総合内科医」として茨城県の地域医療に従事してきました。茨城県立中央病院や北茨城市立総合病院(現・北茨城市民病院)、笠間市立病院などの公立病院に勤務し、風邪などの急性期の感染症や生活習慣病をはじめ、ちょっとした切り傷・すり傷、湿疹、頻尿、腰痛・膝痛など、幅広い症状の診察にあたってきました。

今でこそ、一般市民向けの講演会や医療従事者向けセミナーの講師のほか、「一般社団法人 抗認知症薬の適量処方を実現する会」の理事を務めるなど、認知症医療に精力的に取り組む白土先生ですが、本格的に認知症に向き合ったのは2013年になってからのことです。

「正直に言うと、認知症は医療の領域ではなく介護の問題という捉え方をしていた時期もありました」と語る白土先生。しかし、プライマリケアに携わる以上、認知症診療は避けて通れません。高齢化が進むにつれ、認知症が原因で生活の質が落ちてしまっている方や、大変な思いをしているご家族が増え、「認知症に対する知識があれば、目の前にいる患者さんやご家族に喜んでもらえるのはないか」と思うようになったといいます。

同じ頃、名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生の著書を読み感銘を受けた白土先生は、河野先生が提唱する「コウノメソッド」の実践医となり、2013年、当時勤務していた笠間市立病院でもの忘れ外来を立ち上げました。

症状に合わせて薬の種類や用量を細かく調整

コウノメソッドでは認知症の薬物療法をマニュアル化しており、認知症の人の病型やBPSD(周辺症状)に応じて薬剤を選び、副作用が出にくいように用量を細かく調整して処方します。マニュアルには“この症状にはこの薬を何mg”と治療法が詳細に記載されており、治療法としての完成度が高いと感じていた一方、治療の経験がまったくなければ、著効することはないだろうとも思っていたそうです。しかしながら治療開始からの数ヵ月間で、予想に反して多くの方の症状が改善したといいます。

「意味のない言葉を大声で叫び続けて、コミュニケーションもうまく取れなかった方が、1ヵ月後には普通に会話ができるまでになっていました。認知症ケアに長く携わってきた看護師さんもびっくりしていましたが、薬を処方した私自身が誰より驚きましたね」。

“2段構えの診療”でいつでも相談できる体制を整備

その後、白土先生は笠間市立病院を退職し、あやか内科クリニックを開院します。開院前には認知症専門のクリニックにするよう勧める声もあったそうですが、「専門の医療機関や大きな病院を受診するのはハードルが高くなりますが、風邪や生活習慣病なども診察する普通の内科クリニックなら、気軽にかかることができるから」と、内科全般を幅広く診療するスタイルを選びました。

認知症の初診時には、ご本人・ご家族からこれまでの経緯を聞き取り、長谷川式簡易評価スケールのほか、笠間市立病院と連携してCTによる画像検査を実施します。その後、ご本人とご家族に認知症の特徴や治療について説明し、治療方針を決定するという流れで、一人につき40分程度の時間をかけて丁寧に診察しています。

そのため、新規のもの忘れ外来は平均して2ヵ月待ちの状態が続いていますが、BPSDが強いときには、先に通常の外来で診察して、困っている症状を和らげる薬を処方し、その後、もの忘れ外来で詳しく診察するという2段構えの診療体制を敷いてご家族とご本人の負担を軽減しています。

「大きな病院とは異なり、クリニックでは受診に対するハードルの低さがとても大切です。夜眠れない、大声で叫ぶ、怒りっぽい、徘徊するといった症状で、今大変な思いをされているご家族に『順番が来るまで待ってください』とは言えません。小さなクリニックだからこその柔軟さや機動力を生かして、必要な方に必要なタイミングで治療を提供するよう努力しています」。

希望を持って治療に臨めるようアドバイス

白土先生が初診に時間をかけているのには、理由があります。一つは手順通りに診察して認知症の見逃しを防ぐため。もう一つは、認知症の告知の際、ご本人とご家族の気持ちに配慮するためです。白土先生は、ご本人にもご家族にも病状をきちんと説明したうえで、例えば「一昨年より去年、去年より今年と、治療法は徐々によくなってきています。お薬をきちんと飲んで進行を遅らせていれば、もっといい治療法が出てくるかもしれません」などと、できるだけ希望が持てるように伝えています。

特にご家族は「これができない、あれもできない」と失われてしまった能力にフォーカスを当ててしまいがちですが、「このお年で杖もなく歩いて診察に来られるなんて、すごいですね」と声をかけるなど、残されている機能に目を向けるよう促しています。

また白土先生は、認知症診療では「ここは薬で調整できるからがんばりましょう」という部分と、「年齢を重ねれば誰にでもあることだから、これは受け止めて穏やかに生活することを大事にしましょう」という部分の、気持ちの上での双方のバランスをとってもらうことが重要だと指摘します。

「加齢とともに認知機能や身体能力が低下するのはやむを得ない面もあります。ご家族が1から10まですべての症状を何とかしようとがんばりすぎると、ご本人もご家族も追い詰められてしまいます。もの忘れがあっても、幻視や妄想がある程度あっても、いい意味で“それがどうした”と開き直ってしまうことも必要なのではないでしょうか」。

地域ぐるみで認知症の人を支える仕組みをつくりたい

実際に認知症のさまざまな症状に困ってクリニックを受診する方がいる一方で、メディアで認知症が取り上げられるようになり、症状はないものの「認知症になったらどうしよう」「もしかしたら認知症かもしれない」という漠然とした不安から受診する中高年の方も増えています。この状況を受け白土先生は「認知症に対して過剰な不安や恐怖を抱いている人には、認知症という病気への理解が不十分だったり、無関心だったりする人が多いような気がしています」と語り、「認知症になっても安心して生活できる地域づくりは、当院の役目」と前を向きます。さらに将来的には認知症の予防や、MCI(軽度認知障害)に対する進行抑制にも取り組んでいきたい考えです。

白土先生とクリニックの皆さん 白土先生とクリニックの皆さん

「当院は認知症の方とそうでない方が行きあう、交差点のような場所です。いろいろなタイプの認知症の方が待合室にいて、大声で叫んだとしても、それを見た地域の人が『年を取るとそういうこともあるんだな』と、何かを学んでもらえるような場であればいいという思いがあります」。

健康な人が『明日は我が身だからお互い様』という気持ちで認知症の人とご家族をサポートする、そんな地域を身近なクリニックからつくっていきたいと考える白土先生は、認知症の人とご家族を笑顔にするために、これからも挑戦し続けます。

 

取材日:2018年1月19日

あやか内科クリニックの外観

あやか内科クリニック

〒309-1736
茨城県笠間市八雲2-5-25
TEL:0296-71-3022

施設のホームページへ

 

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