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チーム医療と個別対応で、地域の認知症医療に総合的に取り組む
<大阪府寝屋川市 社会医療法人 弘道会 寝屋川生野病院>

院長 金安明先生 院長 金安明先生

京阪香里園駅から徒歩10分の立地にある寝屋川生野病院は、24科の総合病院として、365日24時間体制の二次救急をはじめ、外来・入院・訪問診療で地域医療に貢献しています。多職種が連携したチーム医療で認知症にも注力し、一人ひとりに寄り添うケアでご本人とご家族を支えています。

特別養護老人ホームの施設長就任をきっかけに、認知症医療に携わる

2013年に開業した寝屋川生野病院は、24の診療科、103の病床を持つ総合病院です。24時間365日体制の救急処置室や集中治療室、高度治療室も備え、寝屋川市を中心とする北河内圏の二次救急にも対応しています。

同院の院長を務める脳神経外科医の金安明(キムアンミョン)先生は、長く救急医療に携わってきましたが、2005年に社会医療法人 弘道会が特別養護老人ホームを開設した際に施設長に着任。これをきっかけに高齢者医療に向き合うようになった金先生は、当時の状況を次のように振り返ります。

「施設の入所者さんは約9割が認知症の方だったので、認知症を知らずして施設長は務まらないと考え、勉強を始めました。専門医の指導を受ける機会はありませんでしたが、認知症の方やそのご家族に接しながら、症状の把握の仕方やケアの方法を徐々に身につけていきました」(金先生)。

前向きに治療に取り組めるように、症状が改善する可能性を伝える

現在、同院で金先生の外来を受診するのは、初期段階の認知症の人が比較的多いといいます。

診察の流れは、まずもの忘れの程度を確認するためにMMSE(認知機能検査)を行い、併せてMRIなどの画像検査を実施します。その結果を踏まえつつ、ご本人の表情や振る舞いなどを診て鑑別診断を行い、原則としてその日のうちにご本人とご家族に伝えています。

診断結果を伝えるときに、金先生は「ご本人が目標を持って前向きに治療に取り組めるようなお声がけをしています」と話します。

「ご本人に結果をご説明し、『アドバイスを実践していただくと、1年前の状態に戻る可能性もありますよ』などとお声がけすると、前向きになる方も多くおられます。ご本人が反発されたり心を閉ざされたりすると治療は前に進みませんから、高圧的な言い方にならないよう注意し、ご本人もご家族も診察を受けてよかったと笑顔で帰っていただけるよう心がけています」(金先生)。

ご本人とご家族の信頼関係が治療の鍵

金先生は認知症治療において、「ご本人とご家族の信頼関係と、ご家族の協力が非常に大切です」と指摘します。

服薬管理をするのはご家族であることが多いため、金先生は処方に際して服用方法や効能、副作用について詳しくご家族に説明し、同時にご家庭での接し方やサポート方法などについてもアドバイスしています。

「ご家族は認知症についての理解が不十分であることが多く、症状がなかったころの立ち居振る舞いを求めてしまいがちです。一方でご本人は何とか元気なところを見せようとして無理をしてしまい、そこで気持ちやコミュニケーションにギャップが生じることが多いと思います」(金先生)。

明らかにギャップが見られるときには月1回のペースで通院してもらい、ご家族の理解が進んでご本人の生活も安定してきたら、3ヵ月に1回にペースダウンしてもらうなど、一人ひとりの状況に合わせて通院間隔も調整しています。

「ご本人とご家族のコミュニケーションがよくなったということは、治療がうまくいっているということでもあります。認知症の進行そのものを止めるのは難しいですが、少しでも長く、楽しく仲良く有意義な時間を過ごしていただきたい。それが認知症診療において一番大切だと考えています」(金先生)。

一人ひとりの悩みにしっかりと向き合う

寝屋川生野病院では、認知症を併発した方の入院治療も行っています。入退院の相談や退院調整を担当する地域医療連携室の医療ソーシャルワーカーである坂本理佳さんは「一人ひとりの方に個別の対応を心がけています」と話します。

「ほぼすべての入院患者さんに介入していますが、ご本人やご家族が抱えておられる問題や悩みに決して同じものはないので、常に個別対応を意識しています。また、支援内容の意思決定のキーパーソンはご本人ではなくご家族であることが多いのですが、理解していただくことが難しくても、ご本人への説明は必ずするべきだと考えています」(坂本さん)。

入院されている方へのケアはチーム対応が基本。医師、看護師はもちろん、医療ソーシャルワーカー、リハビリテーション療法士、言語聴覚士らがそれぞれの専門性を生かしながら密に連携をとり、ケアに努めています。

リハビリのスタートは丁寧な会話から

言語聴覚士の角山恵一さんは、金先生をはじめとする脳神経外科医の指示を受け、認知症の人のリハビリテーションも担当しています。一番に心がけているのは「ご本人との信頼関係を築くこと」だと角山さんは話します。

言語聴覚士 角山恵一さん言語聴覚士 角山恵一さん

互いに信頼しあってコミュニケーションをとらないと、リハビリはうまく進みません。最初はどの方も緊張されているため、角山さんはまずはゆっくり会話することからスタートします。

「リハビリの担当者としてだけでなく、1人の人間として信頼してもらいたいと思っています。そのためにはやはり会話が大切です。たとえスムーズな会話は難しくても、丁寧な言葉できちんとお話しするのが基本です。そして、普段の生活の様子や趣味などについて、じっくりうかがいます。そうした会話を通して、信頼関係を築くとともに、その方にとって最適なプログラムは何なのか、手がかりをつかむようにしています」(角山さん)。

“食事をとれるか否か”が治療を大きく左右する

言語聴覚士は摂食や嚥下に関するサポートも行います。角山さんが入院中の方のADL(日常生活動作)を確認するうえで、特に注意しているのが“食事をとれるかどうか”です。通常の食事では飲み込むのが難しい方には、柔らかいゼリーなど、一人ひとりの嚥下機能にあわせたメニューを提案します。

「食べて栄養をとらないと、リハビリで身体を動かせません。まずは食べることが重要です。食事自体を拒む方もおられるので、ご本人の好きなものをおすすめするなど、工夫しています。おはぎが好きだとご家族にうかがい、主治医に相談してあんこをお出ししたところ、少しずつ口にできた方もおられました」(角山さん)。

金先生も「食事をとれるかどうかは、ケア全体を考えるうえでのキーポイントになります」と話します。

「食事がとれる方には点滴の必要がないので、病院を出てご自宅や介護施設などで生活することができ、自然と元気もわいてきます。当院は急性期病院ですが、退院後の生活を見据えてできるだけADLが上がるように努めており、そのポイントとなるのが食事なのです」(金先生)。

訪問診療から救急対応まで、スムーズな院内連携で“断らない”医療を提供

金先生は、寝屋川市や隣接する守口市、門真市などに住む認知症の人に、週1、2回訪問診療を行っています。また、同院では、ご家族やヘルパーさん、かかりつけ医、介護施設などからの救急要請にも365日24時間対応しています。

「当院では原則として要請を断ることはありません。当直の医師もスタッフもその方針をもとにしっかりと対応しています」(金先生)。

例えば金先生が訪問診療中に問い合わせが入ったときにも、院内のスタッフが情報をまとめてすぐに連絡し、金先生も可能な限り速い回答に務めるなど、スムーズな連携が行われています。

院外からの相談や問い合わせの窓口になるのは、坂本さんをはじめ、地域医療連携室が兼務している医療福祉相談室のスタッフです。坂本さんは同院の体制について「地域医療連携室は紹介などの窓口となる、いわば前方支援、医療福祉相談室は経済的・心理的・社会的問題に対する相談や退院調整など、いわば後方支援を行っています」と説明します。

「当院はチーム医療を重視しており、さまざまな職種のスタッフと密に情報共有して、円滑な支援につなげています」(坂本さん)。

地域における診療ネットワークの拡充が課題

今後の認知症医療を展望するとき、金先生は大きな課題の一つとして「より多くの医師に認知症医療に携わってもらうこと」を挙げます。

「今後増加が見込まれる認知症の方に、専門医だけで対応するのは現実的に難しいと思います。他疾患に認知症を合併する方も増えてくるでしょうから、地域のかかりつけ医の先生方には、初期段階の認知症診療をお願いしたいと考えています。ご本人にとっても顔なじみの先生に診てもらったほうが安心感もあると思うので、前向きな取り組みをお願いしたいと考えています」(金先生)。

また、金先生は急性期病院と回復期・療養型病院とのネットワーク構築も課題としています。

「認知症医療に限ったことではありませんが、当院のような急性期病棟を持つ病院で治療して病態が落ち着いたら、すぐに回復期病棟などのある病院に転院することが理想です。しかし、大阪府全体でも回復期病棟のある病院の数は十分とは言えず、ネットワークも十分に整備されていません。今後当院は、こうしたネットワークの構築を視野に入れながら、地域に求められる役割をしっかりと果たしていきたいと考えています」(金先生)。

 

取材日:2017年10月11日

寝屋川生野病院の外観

社会医療法人 弘道会
寝屋川生野病院

〒572-0028
大阪府寝屋川市日新町2-8
TEL:072-834-9000

施設のホームページへ

 

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