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国の研究・医療機関として先端の認知症医療を提供
< 東京都小平市 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 >

認知症疾患医療センター センター長<br/>神経内科 塚本忠先生 認知症疾患医療センター センター長
神経内科 塚本忠先生

1940年に傷痍軍人武蔵療養所として発足し、現在は精神疾患と神経疾患、筋疾患、発達障害を専門とする国立精神・神経医療研究センター病院。同一敷地内にある研究所と一体となって、“脳とこころの健康大国”を目指すわが国の医療レベル向上に寄与すべく、ナショナルセンターとして研究と診療を行っています。同院では全国に先駆けもの忘れ外来を開設、神経内科医と精神科医がそれぞれの強みを生かし、脳神経外科の協力も得ながら治療にあたっており、2016年には認知症疾患医療センターの指定を受けています。

複数の科で協力しあい、役割を分担して医療を提供

同院は、小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市からなる北多摩北部医療圏にあります。小平市のみならず北多摩北部医療圏全域のほか、全国からも患者さんが訪れます。

認知症疾患医療センターのセンター長であり、神経内科医の塚本忠先生は、「当院では1994年という早い時期から20年以上にわたり、もの忘れ外来で認知症医療に取り組んできました。2016年に東京都から認知症疾患医療センターの指定を受けましたので、行政や地域の医療機関との連携をより強化して、認知症の方とご家族の方をサポートしています」と語ります。

もの忘れ外来は、塚本先生と精神科の医師4人が月曜から金曜までそれぞれ1日ずつ担当し、初診では、症状やタイプなどを問わず診察を行います。塚本先生は、「診断がある程度確定した後は、パーキンソン症状がある方、進行性核上性麻痺などにより運動症状が出ている方は私が担当し、精神症状がある方は精神科の先生が診るなど、病状に合わせて担当するようにしています」といいます。

レビー小体型認知症の方は神経内科と精神科が協力し合って、また正常圧水頭症が疑われるときには脳神経外科も診療を行うなど、複数の科が連携して治療にあたっています。受診者が多く、もの忘れ外来だけでは対応できないため、神経内科と精神科の一般外来でも受け入れています。

また、国立精神・神経医療研究センター内の研究部門と連携し、認知症に関連する先端医療の臨床研究や治験に携わり、その成果をもとにした高度な医療を提供している点も同院の特徴です。たとえば、同センターには脳の先進的・統合的イメージング研究を行う脳病態統合イメージングセンター(IBIC)があり、同院と連携してさまざまな精神神経疾患の画像研究を行っています。アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドやタウと呼ばれるタンパク質を画像化する最先端のPET研究や、先進的なMRI撮像法を利用した脳の機能や構造を詳しく調べる研究も進められています。同院のもの忘れ外来を担当する精神科医で、IBICの臨床脳画像研究部長を兼務する髙野晴成先生は、「研究には健常者ボランティアの方にもご協力いただいて、患者さんとの詳細な比較検討を行っています。また、アルツハイマー型認知症の新規治療薬の治験も多数行っており、治験での適切な被験者の選択の際に、また、治療効果判定の指標の一つとしてアミロイドPETで得られた結果を活用するなど、治療薬の開発にも寄与しています」と研究の意義を語ります。

充実した検査体制で正確な鑑別診断を目指す

同院には、認知症の症状がみられる方がかかりつけ医から多く紹介されてきます。診断にあたっては、まず心理士による予診で現在の状況などの聞き取りや神経心理検査を行ったあと、医師による診察を経て必要な検査を実施します。

画像検査は、MRIと脳血流SPECTを基本とし、レビー小体型認知症の疑いがあればMIBGシンチグラフィー、DATスキャン(ドパミントランスポーター)も行います。臨床研究に協力されている方には先端的な脳イメージング検査を行うこともあります。塚本先生は「画像検査や脳脊髄液の検査など、ほかの医療機関ではできない検査を求めて紹介されることもありますので、その期待に応えるのも当院の役割です」と話します。

精神科 坂田増弘先生精神科 坂田増弘先生

もの忘れ外来を担当する精神科医の坂田増弘先生は「最新の検査機器を備え高度先駆的な医療の提供を使命とする医療機関として、治療で改善できる疾患を見逃さないことが重要だと考えています」といいます。身体の状況や精神的な要因による認知機能低下の可能性はないかなどを見極め、正確な鑑別診断を目指しています。診断がついて治療方針が決まり、薬物療法である程度安定したら、かかりつけ医のもとにお返しし、その後は3ヵ月ごと、半年ごとなど定期的に同院で経過観察をします。

外科手術が必要な場合は脳神経外科と連携して併診

脳神経外科 部長 岩崎真樹先生 脳神経外科 部長 岩崎真樹先生

正常圧水頭症のように外科治療で改善が期待できる方であれば、院内の脳神経外科に紹介します。脳神経外科医として認知症の診療に携わるのが脳神経外科部長の岩崎真樹先生です。岩崎先生は、東北大学脳神経外科で、森悦朗先生が教授を務められていた高次脳機能障害科とともに正常圧水頭症の手術症例を数多く経験した後、2016年に同院に着任しました。

岩崎先生は「当院の場合はアルツハイマー型認知症や進行性核上性麻痺などの変性疾患を合併している方の割合が多い」といいます。

「正常圧水頭症には髄液シャント手術を行いますが、変性疾患を合併していると、手術で改善するのにも限界があります。手術に過度な期待を寄せるのではなく、治療の選択肢の一つとして考えてもらえるようご本人とご家族に説明しています」(岩崎先生)。

正常圧水頭症の治療は岩崎先生が行い、変性疾患については神経内科と精神科の先生が担当し、併診という形で治療が行われています。

認知行動療法センターではご家族向けのプログラムを用意

国立精神・神経医療研究センター内には、認知行動療法の研究を行っている認知行動療法センターがあります。大きなストレスがあると、人は物事の受け取り方や考え方などの“認知”のバランスが崩れて、悲観的に考えがちになりますが、認知行動療法では、さまざまな技法でそうした認知のゆがみに働きかけ、ストレスに対応できる心の状態をつくっていきます。同センターでは、認知症の人のご家族を対象とした認知行動療法の提供も行っており、講義と家族交流会で構成されるプログラムを用意しています。参加されたご家族が認知症についての正しい知識と認知行動療法のスキルを身につけ、介護の負担に対処できるようサポートしています。

もの忘れ外来を担当する精神科医の横井優磨先生は、同院によるご家族への支援の一環として認知症カフェを立ち上げ、院内のコーヒーショップを会場に月1回開催しています。認知症に関心のある人であれば誰でも参加できる場で、毎回15~20人程度が参加しています。しかし横井先生は、「介護は家族のなかの一人に負担が集中しがちで、一番大変なご家族はなかなか外に出られる環境にありません」と指摘します。

「認知行動療法のプログラムや認知症カフェのお知らせをしても、介護があるために参加できないご家族がおられます。介護負担が大きく、介護うつなどになりかねないご家族にどうすれば適切な介入ができるかが課題です。認知行動療法センターでは、訪問看護を使ってご家族に認知行動療法を提供する取り組みを始めており、私もさらに対策を考えていきたいと思っています」(横井先生)。

ご本人を尊重して治療方針を決定、生活面の指導も

精神科 大町佳永先生精神科 大町佳永先生

精神科医の大町佳永先生も坂田先生や横井先生と同様、もの忘れ外来を担当しています。大町先生は、アミロイドイメージングという画像検査が認知症診断にもたらす影響についての研究に携わったことから、認知症医療に注力するようになり、認知症専門医となりました。

大町先生は、認知症医療に関わるなかで、「認知症と診断がついてご本人は傷つかれているかもしれません」とご本人への配慮を忘れません。「特に研究に協力していただく方は、通常より詳しい検査を行うことで、今後の発病や進行のリスクを確実とは言えないながらも推定できる場合があります。診断が未来を暗くするのではなく、ご本人の役に立つものになればと考えています」と大町先生は話します。診断がついたことで周囲が認知症の人の行動を必要以上に制限し、できていることを奪ってしまわないよう注意しながら、ご本人やご家族と治療について話し合っていきます。

「ご本人の生きがいやがんばってされてきたことを、なるべく失わずに生活できるのが望ましいと思います。特にまだ若くて仕事をされている方は、今持っている力を生かして働き続けられるように、職場の方とも連携しながらサポートしていければと思っています」(大町先生)。

坂田先生は、認知症の人の全身の健康維持の重要性をご家族にアドバイスしています。体の健康を損なうと脳にも影響し、体から入る情報が少なくなると脳の機能も低下するためだといいます。

「脳トレなども認知症の方が楽しんで取り組めて、周囲が成果を求めないのであればよいと思います。しかし、ご本人が好まないのであれば無理するのはやめて、一緒に散歩したり、おいしくて体によい食事を一緒に楽しんだり、身体的な健康の維持を目指すほうが脳にとってもよいとお話ししています」(坂田先生)。

専従相談員がセンターと地域をつなぐ

看護師長の石川清美さんは、認知症疾患医療センターの専従相談員として、ご本人やご家族、地域包括支援センターや地域のケアマネジャーなどからの相談を受けています。「ご本人、ご家族はさまざまな困りごとや悩みごとを抱えて相談の電話をかけてこられるのだと思います。相手の言葉に耳を傾け、余裕をもって接するよう心がけています」と石川さんは話します。

医療と介護の連携がスムーズにいくように、ほかの医療機関や行政、地域包括支援センターとも連絡を取り合い、調整を行うのも石川さんの役割です。

研究を重ねて医療に生かし、国の組織としての役割を果たす

同院の認知症疾患医療センターとしての役割の一つが、行政や地域の医療機関との連携です。そのため同院では、地域の医師といわゆる顔の見える関係づくりを進めています。地域の医療機関の連絡協議会に参加したり、医師会主催の講演会で講師を務めたりするなど、医療の情報を提供すると同時に、地域の先生方のニーズを探っています。また地域住民に対しても、市民公開講座などで情報提供や啓発活動を積極的に行っています。

一方で「当院は国立研究開発法人として、治療法の開発研究を進め、その成果を生かして高度な医療を提供し、先端の医療情報をわかりやすく国民に発信するというミッションを担っています」と塚本先生は語ります。精神疾患、神経疾患、筋疾患、および発達障害の克服を目指し、常にさまざまな臨床研究を進めていくことも同院の重要な役割です。

国立精神・神経医療研究センター病院の皆さん国立精神・神経医療研究センター病院の皆さん

「新しい治療法の開発のほか、認知症が心配になったらすぐ医療機関につなげられるようなシステムや、治療が必要なのに受診に結びついていない方をサポートするようなシステムを作るのも、ナショナルセンターとしての役割ではないかと考えています」(塚本先生)。

国立研究開発法人として最先端の研究と診療の使命を担うと同時に、認知症疾患医療センターとしてより深く地域に寄り添う活動も進める同院は、世界に先駆けた認知症医療をさらに向上し、人々に貢献していくことを目指しています。

 

取材日:2017年11月27日

国立精神・神経医療研究センター病院の外観

国立研究開発法人
国立精神・神経医療研究センター病院

〒187-8551
東京都小平市小川東町4-1-1
TEL:042-341-2711

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