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多職種の専門性を生かしたチーム医療で
認知症のご本人とご家族の笑顔を引き出す
<愛媛県西条市 医療法人隣善会 西条道前病院>

院長 佐々木朗先生 院長 佐々木朗先生

愛媛県松山市から車で約1時間、県東部に位置する西条市は、南に西日本最高峰の石鎚山を、北には瀬戸内海を望む風光明媚な土地です。1961年にこの地に開設された西条道前病院は、地域で数少ない認知症医療を提供する医療機関として、ご本人とご家族の支援に取り組んでいます。

歴史と実績を持つ精神科病院として、認知症医療の中核を担う

開設から60年近い歴史を持つ西条道前病院は、地元・西条市を中心に、隣接する今治市や新居浜市なども含めた広いエリアに精神科医療を提供し、地域医療に貢献しています。認知症診療にも注力しており、1995年には50床の老人性痴呆疾患療養病棟(当時)を新設し、2000年には認知症治療病棟に改築しました。西条市で唯一の精神科専門病院である同院は、認知症に対応できる医療機関が少ないという事情もあり、地域の認知症医療で中心的な役割を担っています。

院長の佐々木朗先生は「昔は精神科だけが認知症を診ていたこともありましたが、最近は脳神経外科や神経内科の先生も診療されるようになり、心強さを感じています」と話します。2013年には新居浜市の十全ユリノキ病院が認知症疾患医療センターに指定され、まずはセンターで専門医が診断をつけ、その後地域の医療機関に紹介するという流れができつつあり、佐々木先生は「今後の認知症診療の展望が、少し明るくなりました」と笑顔を見せます。

それでも、ここ西条市でも高齢化は進んでおり、高齢化率は30%を超えています(2017年10月現在)。今後も認知症の増加が予想される中、佐々木先生は市民向けのセミナーや、介護従事者、看護師、医師向けの講演会を行うなど啓発活動を積極的に行っており、医師向けの講演では、最後に「ぜひ認知症に興味を持って携わってください」と呼びかけているそうです。

うつやせん妄と鑑別し、正確な診断へ

認知症治療病棟を有する精神科病院という特徴から、同院には中等症以上の人が多く受診しています。ご本人に病識がなく、ご家族に連れられて来院されたときにはかたくなな様子の方もおられるため、佐々木先生はご本人とご家族への聞き取りを別々に行うなど、家族関係にひびが入らないよう配慮しています。

診断では、問診のほか長谷川式簡易評価スケールやCT検査、必要があれば脳波の検査や、近隣の病院に依頼してMRI検査を行います。その際、佐々木先生が特に気をつけているのが認知症と他の精神疾患との鑑別です。

「うつ病になると集中力が欠けて記憶力も低下してしまうため、ご家族が認知症を疑って連れて来られることもあります。また、時間や場所が急にわからなくなったり、幻覚・妄想がみられたりするせん妄も、認知症と間違われやすいため、注意が必要です」(佐々木先生)。

薬剤師が服薬面をしっかりサポート

薬局長 河野学先生 薬局長 河野学先生

西条道前病院では、医師のほか、薬剤師や看護師、作業療法士など、さまざまな職種のスタッフが専門性を発揮して活躍しています。服薬管理の面でご本人とご家族を支えているのは、薬局長を務める薬剤師の河野学先生です。「入院されている方は病棟看護師が服薬状況をチェックしていますが、外来通院の方は服薬管理が難しいこともあります」と話す河野先生。そのため同院では薬を一包化して日付を印字し、認知症の方がきちんと服薬できているかどうか、介護者や訪問看護師が一目で確認できるようにしています。

「当院は院内処方なのですが、薬をお渡しするときにご家族から『薬をきちんと飲めるようになって、日常生活が楽しく感じられるようになりました』などと声をかけていただくこともあり、薬剤師としてやりがいを感じています」(河野先生)。

服薬状況は訪問看護師が医師に報告し、残薬があるときには日数調整を行い、ご本人への服薬指導や剤形の変更などで状況改善につなげています。佐々木先生は「薬を飲んでいないという状況は同じでも、その理由はそれぞれで異なります」と話し、薬を拒んでいる方には面談を重ね、押し付けにならないように気をつけながら時間をかけて服薬指導をしています。一方、嚥下機能が低下してうまく薬が飲めなくなっている方には、薬を砕いたり、必要があれば内科医の指導の下、経鼻胃管を使用したりすることもあります。

徘徊は無理に止めず、ご本人の思いを受け止める

認知症治療病棟では、BPSD(周辺症状)のため、ご自宅や介護施設での生活が難しくなった人を受け入れており、看護師、作業療法士、精神保健福祉士ら病棟スタッフがケアにあたっています。

病棟は広いホールを備えており、認知症の方にはできるだけ部屋ではなくホールで過ごしてもらっています。その理由について佐々木先生は、「周囲の人と交流を持つことが刺激になり、症状の緩和につながると考えているためです」と語ります。入院当初「自分は20歳だ」と主張していた高齢の男性が、ホールで他の人と話をするようになって、1週間後には25歳、その翌週には30歳と徐々に実年齢に近づいていき、最終的にはしっかりと会話ができるようになったこともあるそうです。

看護師長 日野智子さん 看護師長 日野智子さん

看護師長の日野智子さんも、「入院したばかりの頃は、突然知らない場所に連れて来られたと訴えたり、『出口はどこですか』と聞いて回ったりする方もおられますが、毎日同じ仲間と一緒に過ごして、なじみの関係ができてくるとだんだん落ち着いていかれますね」と、認知症の方が安心できる環境づくりの大切さを語ります。

また病棟には長い廊下がありますが、基本的には徘徊は止めない方針です。手が空いているときは、徘徊している人に「どこに行くの」などと声をかけているという日野さん。「『火事だから逃げているんだ』という方に『じゃあ一緒に逃げましょう』といって、病棟内をしばらく歩いたあと、『ここなら安心だからね』と別の場所に誘導したこともありました」と話します。

「当たり前のことですが、認知症の方の、人としての尊厳を尊重して接することが大切です。看護師はいろいろな処置や書類仕事など、日常の業務に追われていますが、時間をうまく調整してできるだけご本人とご家族のお話を傾聴し、何をしてほしいのかを受け止めるよう心がけています」(日野さん)。

多職種によるチーム医療でご本人の笑顔を引き出す

作業療法士 滝本弥生さん 作業療法士 滝本弥生さん

病棟に専従で勤務している作業療法士の滝本弥生さんは、認知症の方に対しさまざまな活動を行っています。身体機能の維持を目的とした歩行訓練や筋力トレーニングに加えて、季節の創作活動や回想法、レクリエーションなどのさまざまな活動、またADL(日常生活動作)維持のための介入や指導にも携わっており、業務は多岐にわたります。

普段口数の少ない方が散歩に行って外の景色を見ると途端に表情が明るくなって発語が増えたり、歌ってもらうとプロ級の腕前だったりといった発見があり、喜びを感じるという滝本さん。そうした発見やちょっとした変化は、必ず他のスタッフにも報告して情報を共有し、ご本人への対応につなげていると話します。

認知症の方と関わるうえで滝本さんは、残された機能を維持するために過剰な介入はせず、できることはなるべくご自分でやってもらうよう心がけていると話します。

「日常生活が送りやすくなるようにサポートして、認知症の方から笑顔を引き出すことを大切にしています。毎日の活動の時間を楽しみにしてくださる方もおられ、『今日は何をやるんですか』と声をかけてもらうとうれしいですし、やりがいを感じます」(滝本さん)。

さらに、多職種協働のNST(栄養サポートチーム)による栄養指導に力を入れているのも同院の特色です。NSTは医師、看護師、栄養士、薬剤師で構成され、週1回カンファレンスを行って入院中の方の栄養状態をフォローしています。

メンバーの一人である河野先生は「高齢になると食事量が少なくなり、体重が大幅に減少する方もおられます。栄養状態が心身の状態に影響することもあるので、食事量や摂取カロリーだけでなく、不眠や不穏などがないか、認知機能が以前より低下していないかなども確認しています」と話します。

介護サービスの充実と運転免許の返納が今後の課題

長年西条市で認知症医療に携わってきた佐々木先生。「以前に比べると介護関連施設は増えてきたもののまだ十分ではありません」と語り、今後の課題に介護・福祉資源の充実を挙げます。

「入院治療でBPSDは改善されたものの、ご家族がご自宅で介護するにはまだ不安というときでも、デイサービスやデイケアなどのサービスを利用できれば安心して退院できるのではないでしょうか。その方らしい生活をサポートするために、行政とも連携して社会的なネットワークづくりを進めていきたいですね」(佐々木先生)。

もう一つ、佐々木先生が重要な課題と考えているのは、自動車運転免許の自主返納です。運転免許更新時の認知機能検査の結果、診断書が必要となって受診する人も増えており、佐々木先生は認知症と診断したときにはご本人とご家族に運転の危険性を説明し、自主返納を勧めています。納得される方が多いのですが、中には拒否される方もおり、「パンフレットを渡して『よく考えてみてくださいね』とお伝えしていますが、運転ができなくなれば買い物や通院が不便になる方も多く、難しい問題ですね」と思案しています。

佐々木先生とスタッフの皆さん 佐々木先生とスタッフの皆さん

「免許を返納すれば何らかのサービスをつけるなど、行政側の対策も必要だと思いますが、当院としても運転免許に関する相談窓口を設けるなどの工夫が必要だと考えています。認知症の方や高齢者の運転については今後ますます重要な課題になっていくと思いますが、一つひとつのご相談に柔軟に対応して、ご本人とご家族の生活を支えていきたいと思っています」(佐々木先生)。

 

取材日:2018年2月15日

西条道前病院の外観

医療法人隣善会
西条道前病院

〒793-0010
愛媛県西条市飯岡地蔵原3290-1
TEL:0897-56-2247

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