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多職種の認知症サポートチームで、ご本人に寄り添ったケアを提供
<東京都目黒区 全国土木建築国民健康保険組合 総合病院 厚生中央病院>

神経内科 北川尚之医師
神経内科 北川尚之医師

厚生中央病院は1959年に創設され、半世紀以上にわたって全国土木建築国民健康保険組合の被保険者と地域住民の健康を支えてきました。同院は、認知症外来を開設しているほか、病棟では多職種による認知症サポートチームが、認知症を合併している入院患者さんに寄り添い、サポートしています。

認定看護師による検査と神経内科専門医による診察

同院の認知症外来を担当する神経内科専門医の北川尚之医師は、「認知症は病院によって治療する診療科が違いますから、当院ではどこを受診すればいいかがわかりやすいように、認知症外来の看板を掲げました」といいます。

初診時は、まず認知症看護認定看護師が問診と長谷川式簡易評価スケール、MMSE(認知機能検査)などの検査を行ったうえで、北川医師が詳しくお話を聞いて、神経学的な診察を行い、ほとんどの方には画像診断も行います。北川医師は、「いちばん大切なのは、どんな点が気になって受診したかであり、画像検査は補助的なものだと考えています」といいます。

同院の認知症外来を受診するのは、かかりつけ医からの紹介と、ご本人やご家族がもの忘れを気にして訪れる人が約半数ずつで、院内の他科から紹介されてくることも少なくありません。かかりつけ医からは、認知症の診断のための紹介が多く、診断をつけ、治療によって症状が落ち着いたら、その後の治療はかかりつけ医に委ねています。さまざまな検査をしても認知症かどうか結論が出ないときには、半年後にもう1度診察して判断することもあります。

一人ひとりに合わせた治療や告知を心がける

北川医師は、「がんなどの疾患と異なり、認知症はできる限り早く発見をしたほうがいいとは考えていません」といいます。100%確実な診断は難しく、治療にも限界があるためです。

「どこまでがMCI(軽度認知障害)でどこからが認知症なのかは断定できませんし、どのタイプの認知症なのかも100%確実に診断することはできません。認知症であっても、ご高齢で、ご家族と同居していて、特に困っておられなければ、すぐに治療をするのではなく経過を診ながら判断すればよいと考えています」(北川医師)。

告知に関しては、ご本人の生活背景を考慮します。例えば60代でまだ若く、仕事に就いているならば、MCIであっても大きな支障が出てくるため、きちんと告知をしたうえで、病状や治療の必要性について説明します。

ご家族には接し方などを伝えますが、ご家族が認知症を理解できなかったり、仕事があって日中は十分なサポートができなかったりすることもあります。

「ご家族の理解が得られなければ、認知症について何度でも説明します。サポートが不十分であれば、同居するご家族だけでなく、離れて暮らす子どもさんに来てもらったり、ソーシャルワーカーに入ってもらったりして対応しています」(北川医師)。

週1回の院内デイケアでご本人が楽しいと思える関わりを

同院では、2015年に高齢化医療支援委員会を設置し、その一環として認知症サポートチームを発足させました。認知症サポートチームは、北川医師のほか、薬剤師、認知症看護認定看護師、病棟看護師、理学療法士、ソーシャルワーカーなどで構成され、入院中のサポートやご家族の相談などに対応しています。

同院は、認知症そのものの進行による入院は受け入れていませんが、けがや他の病気の治療で入院している人が認知症を合併していることは少なくありません。認知症サポートチームは、週2回、整形外科や消化器内科などを回診し、認知症によって診療や看護に支障が生じている患者さんがいれば、どう対応するかをチームで話し合っています。

さらに同院では、看護部が中心となり、院内デイケアも行っています。院内デイケアとは、通常のデイケア施設などで行うプログラムを院内で提供するものです。中核症状に働きかける非薬物療法を、週1回、2時間かけて行っています。

認知症看護認定看護師 藤原麻由礼さん 認知症看護認定看護師
藤原麻由礼さん

デイケアの参加者は看護師が見極めます。以前は、明らかに認知症のある人を対象としていましたが、現在は幅を広げ、術後せん妄を起こしている人や入院中の気分転換をしたい人なども対象としています。認知症サポートチームの一員であり、院内デイケアにも関わっている認知症看護認定看護師の藤原麻由礼さんは、デイケアに一定の効果を感じています。

「看護師にアンケートをした結果、認知症の方がまたデイケアに行きたいと話しておられたこともあり、感情的な体験はご本人の中に残ることがわかりました。ご本人が楽しいと思える関わりをすれば、絶対に表情が変わってくるので、ご家族にも伝え、ケアにも生かしていきたいと思っています」 (藤原さん)。

認定看護師として、ご本人の思いや望みに耳を傾ける

藤原さんは、認知症の人の意見が治療や退院後の生活にあまり反映されていないと感じたことから、ご本人の思いを理解したいと考えて、認知症看護認定看護師の教育を受け、資格を取得しました。現在は看護部に所属し、認知症外来で神経心理検査を行うほか、認知症のある入院患者さんが食事をとれなかったり、家に帰りたがったりするなど、対応が難しいときに病室を訪問してケアに関わっています。

認知機能の低下に伴って、ご自身の苦痛を訴えることができなかったり、興奮してしまったり、意欲が低下してしまったりすると、周囲の人がご本人に残っている能力を過小評価してしまいがちだと藤原さんは指摘します。その誤解を払拭するのも認知症看護認定看護師の役割です。藤原さんは、ご本人との対話を通して、今の状況や、何を感じているのか、何を望んでいるのかを可能な限り明らかにして、ご家族やスタッフに伝えています。

藤原さんには、印象に残る患者さんがいます。嚥下機能が低下し誤嚥を起こしていましたが、お話を聞くと、以前喫茶店を経営していて、コーヒーが好きで、飲めなくなったら生きる価値がないと思っておられることがわかりました。そこでアセスメントを重ね、どの程度とろみをつければ嚥下できるのか、どういう姿勢で飲み込めばいいのか、どのくらいの大きさのスプーンが適しているのかなどを見極めた結果、誤嚥を起こさず食べられるようになり、在宅復帰されました。

「食べられないときは発語が乏しく、認知症も重いと捉えられていましたが、食べられるようになると、みるみるお元気になられました。ご家族や訪問看護師にも摂食動作を確認してもらい、ご本人も『コーヒーってこんなにおいしかったのね。私もまだまだ大丈夫ね』とおっしゃって、ご自宅に戻られました」(藤原さん)。

病棟看護師が介護職と連携して退院を支援

整形外科病棟
看護師長 庄司由紀さん 整形外科病棟
看護師長 庄司由紀さん

整形外科病棟で看護師長を務める庄司由紀さんも認知症サポートチームの一員です。骨折などで整形外科病棟に入院された高齢の患者さんには認知症を合併している方が多いため、認知症サポートチームの立ち上げ時からメンバーに加わっています。

庄司さんは、認知症サポートチームの回診や、院内デイケアにも携わっており、ご年配の方を敬う気持ちを大切にしながら、言葉の選び方や声のかけ方を意識して看護にあたっています。

「整形外科で行うのは、病状による身体の苦痛や環境の変化を乗り越えるためのサポートです。整形外科では、退院支援も看護師の大切な役割と捉え、どうすれば在宅復帰できるのか懸命に考えています」(庄司さん)。

庄司さんにも、強く心に残る患者さんがいます。上腕骨骨折で入院されたレビー小体型認知症の方で、帰宅願望が強く、ご家族も在宅復帰に前向きでした。しかし、術後せん妄のほか、BPSD(周辺症状)が強く、認知症サポートチームで相談して薬物療法を行ったものの、なかなか退院に結びつきませんでした。

「娘さんの熱心な思いを受け止め、在宅復帰に必要なケア体制を考えました。よいケアマネジャーに巡り合えたことが大きかったのですが、不眠や夜間覚醒があることや、どんなケアが必要かなど、しっかりと情報交換をして、退院につなげることができました」(庄司さん)。

認知症カフェでのレクチャーや相談で、地域の人々もサポート

目黒区では、NPO法人が「Dカフェ」という認知症カフェを運営しており、同院も月に1回、会場を提供しています。Dカフェでは、北川医師をはじめ、藤原さんたち認知症サポートチームのメンバーが認知症やその介護、服薬管理などについてレクチャーをしたり、相談にのったりすることもあります。

地域に根差した活動の一方で、北川医師は、「今後も認知症の方は増えていくと思いますが、これからは認知症に限らず、高齢者をいかに診ていくかが課題になるのでは」と指摘します。

北川医師とスタッフの皆さん 北川医師とスタッフの皆さん

「従来の医療では、糖尿病には糖尿病の、高血圧には高血圧の、認知症には認知症の検査や治療を行って、パズルのピースを埋めるように対応してきましたが、これには限界があるのではと思います。今後は一人の患者さんを総合的に診る、プライマリ・ケアの視点がさらに求められるようになるのではないでしょうか」(北川医師)。

 

取材日:2018年2月23日

厚生中央病院の外観

全国土木建築国民健康保険組合
総合病院 厚生中央病院

〒153-8581
東京都目黒区三田1-11-7
TEL:03-3713-2141

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