笑顔につながる作品賞

旅の思い出

鳳永病院

埼玉県草加市谷塚2-12-15

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MMSEやHDS-Rでは絵は評価できないことがよくわかります。
前頭葉機能低下症状の一つとして、目の前にある道具に反応してその道具を使わずにはいられない「道具の強制使用」という症状があるのですが、この作者も筆を持つと、筆が動くスイッチが入り、絵を描くのでしょうか。不穏になっていても筆を持てば落ち着かれるのでしょう。この方の意図が通じなくて、周りの人にとっては異常な行動に見えるかもしれませんが、理解してもらえないジレンマからくる行動かもしれません。
認知症であっても、根源的ないろいろな能力は残されており、悪い面ばかりを見てしまう私たちの対応がためされるのかもしれません。われわれが認知症の方に学ぶ力をリハビリされているように感じます。
旅の思い出の作品の構図もすばらしく、湖ギリギリの不安定な土地にそびえ立つ4~5本の木々がしっかりと支え合い、まるで強い絆で支え合う家族のように見えます。しかも、この木々たちは大空に向かって雲をも越してしまうエネルギーがあり、たとえ認知症の方が家族の中にいても、この地域の中心になりのびのびと存在、暮らしているのでしょう。
湖面に映る木々の姿は、一体となっている家族のように見えます。

医師・敦賀温泉病院 理事長 院長 玉井 顯

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