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認知症医療の拠点として、医療・介護の体制を整え地域につなぐ
<千葉県柏市 医療法人社団天宣会 北柏リハビリ総合病院>

院長 杉原浩先生 院長 杉原浩先生

ピンク色の建物が優しい印象を与える北柏リハビリ総合病院は、内科、脳神経内科、リハビリテーション科、整形外科などの診療科を掲げ、地域医療に貢献してきました。認知症の人の増加を受け、2008年にもの忘れ外来を開設し、認知症医療にも注力していましたが、2017年には認知症疾患医療センターの指定を受け、多職種による体制を整えて、さらに専門的な医療と充実したサポートの提供を実現しています。

認知症疾患医療センターの指定を受け、治療・支援体制を強化

同院は、外来、一般病棟のほか、回復期リハビリテーション病棟、認知症病棟を備え、回復期・慢性期のリハビリテーションが必要な患者さんにさまざまなリハビリテーションを提供しています。認知症については、2017年7月1日に千葉県から認知症疾患医療センターの指定を受け、柏市や我孫子市など東葛北部医療圏の認知症医療の拠点となりました。

病院長であり脳神経内科医の杉原浩先生は、「指定前からももの忘れ外来を開設し認知症の治療を行っていましたが、認知症疾患医療センターとなった現在は、医師のほか精神保健福祉士や保健師、社会福祉士など多職種とともに認知症医療を推進する体制ができました」と話します。

同センターは、地域のかかりつけ医からの紹介を受け、専門医が認知症の鑑別診断を行うほか、地域連携の拠点としてかかりつけ医などを対象とした研修会、地域包括支援センター職員やケアマネジャーなどが集う連携協議会を定期的に開催しています。また、地域への情報発信も同センターの役割であり、市民公開講座を実施し、毎月“オレンジだより”を発行するなど、認知症に関する情報を住民へ届けています。

同センターの存在が地域で周知されてきたことでセンターの受診者数は右肩上がりに増え、地域にとって欠かせない存在となっています。

センターの外来は脳神経内科と精神科の両科で手厚く対応

同センターの外来は予約制で、初めに相談員が受診相談に乗ります。初診日には長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)などの神経心理検査や血液検査、画像検査などを行います。さらに検査が必要なときは、より詳細な神経心理検査を行ったり、隣にある東京慈恵会医科大学附属柏病院と連携して脳の血流を調べるSPECTを実施したりします。

杉原先生は、「診察前に相談員が話を聞き、神経心理検査を実施しているので、入手できる情報量が多く、診断に役立っています」とほほ笑みます。杉原先生もご本人やご家族から話を聞き、山口式キツネ・ハト模倣テストなどを行って、診断をつけていきます。2回目の受診で約9割に診断がつくそうです。

同センターの外来は、脳神経内科と精神科が担当しています。初診では認知症以外の疾患が隠れていないか、ほかの疾患による認知機能の低下はないかなどをしっかり見極めます。そのうえで、ある程度認知症が進行してBPSD(周辺症状)の重度である患者さんには、精神科医も担当して対応するという手厚い体制をとっています。

認知症を疑って受診した患者さんの中には、年齢相応の物忘れやMCI(軽度認知障害)の人もいます。MCIであれば、半年後に再検査を行いますが、受診の必要性を伝えるだけでは受診しない人が多いため、診断がついた段階で半年後の予約を取ります。そして半年後に改めてひと通り検査を行い、経過を確認することが認知症の早期発見・早期治療につながっています。

ご家族には取り組みやすいことを助言、医療と介護の両輪を構築

副センター長 中野史人先生 副センター長 中野史人先生

副センター長である脳神経内科医の中野史人先生は、以前から認知症医療に携わってきましたが、認知症専門医としてより多くの患者さんを支援するため、2020年7月に同院に着任しました。中野先生は、認知症の診断がついたばかりのご本人とご家族に対して、できるだけポジティブに捉えられるよう、“できること”に注目するよう働きかけます。

「診断がついたばかりの方はまだ初期なので、できることもたくさんあるとお伝えします。そして、できることを維持するために、睡眠や食事、水分摂取、運動など、基本的な生活習慣に気をつけるようお勧めします。難しい問題集を使おうとするご家族には、『ご本人がもっと楽しめるものがよいですよ』と話しますね」(中野先生)

病気や治療について説明するときは、ご家族に向けて話すのではなく、ご本人に向けて語りかけ、理解できるようわかりやすい説明を心がけていると言います。

「ご家族だけに説明するのでは、認知症の方が疎外感を感じてしまう可能性もありますから、そうなることは避けるようにしています」(中野先生)

認知症の人には医療だけでなく介護が必要だと杉原先生は指摘します。しかし、認知症と診断された時点では、多くの人は介護保険のサービスを利用していません。診断し治療方針を決定したら、治療が続けやすいよう地域のかかりつけ医に戻しますが、その前に医療と介護の両輪のサービス体制を構築するのも同センターの役割です。

相談員が診察に付き添い、受診後もご本人とご家族に寄り添う

精神保健福祉士 藤田雅子さん 精神保健福祉士 藤田雅子さん

精神保健福祉士の藤田雅子さんは同センターの相談員として、認知症の人の医療と介護の両輪を築くために奮闘しています。同センターに所属する6人の相談員は、受診前の電話相談から認知症の人やご家族と関わり、実際に受診に至った人には、毎回同じ相談員が接します。受診のために同院を訪れれば診察前にご本人とご家族のもとに駆け付け、診察に立ち会い、診察後もご本人やご家族に介護保険について説明するなどして、地域のサービスにつなげています。

「診断がついたあとのご本人やご家族の反応はさまざまで、症状も人によって違いますから、反応や症状を把握しながら、一人ひとりに合わせて接しています。先が見えない不安があり、ほかに相談先がない人も多いと思いますから、何より、『相談できる相手がここにいますよ』というメッセージをご本人やご家族に伝えるようにしています」(藤田さん)

看護師 石原昌子さん 看護師 石原昌子さん

認知症の人は独居であることも多く、ご家族が受診に同席しても普段の生活を把握していない場合もあります。同じく相談員で看護師の石原昌子さんは、「ゆっくりと細かく質問をすることで、認知症であってもご本人から情報が得られます」と言い、ご本人の答えから日常生活で何ができ、何が困難かを把握していきます。そのうえで、できないことへの対処法をご本人やご家族と一緒に考えていきます。

「認知症の方は服薬を忘れることもあります。ご家族の声かけでは反発される方もいますので、どのような方法なら服薬が続けられるのか、お薬カレンダーを使うか、何かサービスを使うのか、こちらが一方的に提案するのではなく一緒に探っていきます」(石原さん)

杉原先生は、「認知症医療は診察室の中だけでは完結できませんので、スタッフがしっかりフォローしてサポート体制を整えてくれています」とスタッフの働きを高く評価しています。

地域へ出向く初期集中支援チームも活動開始

同センターは、柏市の認知症初期集中支援チームにも参加しています。認知症初期集中支援チームは、専門医をはじめ医療と介護の専門職で構成され、認知症が疑われながら医療や介護のサービスを受けていない人やご家族を約半年間集中してサポートし、適切なサービスにつなげるものです。同センターからは杉原先生、中野先生のほか、石原さんなど4人の相談員がチーム員となり、地域包括支援センターなど行政と連携して活動しています。

認知症によって地域でトラブルになっている、ご家族だけでは問題が解決できない、などで地域包括支援センターに相談が持ち込まれ、介入が必要だと判断されればチームに依頼があります。チーム員が自宅を訪問し、その後地域包括支援センターの職員を含めたチーム員による会議で支援の方向性が話し合われ、支援が始まります。

保健師 大津真由さん 保健師 大津真由さん

同センターの相談員であり保健師の大津真由さんもチーム員として、石原さんとともに支援対象者の自宅を訪問しています。支援の対象者には、医療機関の受診を拒む人も少なくありません。大津さんは、「まずは、相手との信頼関係を築くことが大切です」と語ります。

「受診が必要な人であっても、最初から受診のお話はしません。私たちが味方の存在であることをご理解いただけるようにご本人に向き合い、楽しい時間になるよう配慮しながら関わっていきます」(大津さん)

大津さんたちの誠実な態度に触れてご本人やご家族が心を開き、信頼関係が構築できることで、悩みごとや困りごとを話してくれるようになり、やがて「あなたたちが勧めるのなら」と受診につながっていくそうです。同センターをはじめとする医療機関を受診したあとは、福祉につなげたり、かかりつけ医に紹介したりして住み慣れた地域で治療・介護を受けられる環境を整えています。

新たにピアサポート活動も、認知症医療でさらに貢献

専門的な医療の提供と地域連携の拠点である認知症疾患医療センターは、新たに日常生活支援という機能を担うことになりました。認知症の人のピアサポート活動(仲間同士で支援しあうこと)などに取り組んでいくことになります。

相談員の藤田さんは、「認知症の診断直後は、介護サービスなどにつながっていない方も多く、当センターが唯一関わっている機関である場合もあります」と言います。

「そこで、当センターに認知症の方に集まっていただき、心理的なサポートをしていきたいと考えています。ゆくゆくは、認知症の方やご家族との交流の場となって、ご本人たちが思いを発信できるようになればいいですね」(藤田さん)

「認知症疾患医療センター指定前は、私が個人的に地域連携の重要性を認識していただけでした」と杉原先生は振り返ります。現在は、認知症医療での病診連携、研修会や連携協議会の開催、認知症初期集中支援チームの活動など、センター全体で地域連携を推し進めています。

「地域連携の形ができ、当センターの外来も脳神経内科医5名、精神科医2名体制となって、予約待ちの期間が短縮されました。今後もさらに多くの認知症の方とご家族に貢献していきたいと思います」(杉原先生)

 

 

取材日:2020年11月4日
北柏リハビリ総合病院の外観

医療法人社団天宣会 北柏リハビリ総合病院

〒277-0004
千葉県柏市柏下265
TEL:04-7169-8000

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