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精力的な訪問医療で地域の連携を推し進める
<茨城県つくばみらい市 医療法人 みらい平クリニック>

院長 小松﨑八寿子先生 院長 小松﨑八寿子先生

つくばエクスプレスみらい平駅からほど近い、みらい平クリニックは、筑波大学出身の神経内科医である小松﨑八寿子先生が、2007年に開院した内科、神経内科、リハビリテーション科のクリニックです。一般外来のかたわら、もの忘れ外来、訪問診療を精力的にこなし、訪問リハビリにも力を入れ、地域との連携を深めています。

患者さんに寄り添う医療へ、クリニック開院

神経内科が専門である院長の小松﨑八寿子先生は精神科病院に長く勤務したこともあり、認知症の診療経験が豊富です。神経内科の道に進んだ理由を小松﨑先生は次のように語ります。

明るく開放的な待合室 明るく開放的な待合室
患者さん用のチェア 患者さん用のチェア

「例えば、消化器科では病気が治ればそれで一旦治療が終わることが多いのですが、神経内科では病気のことだけではなく、患者さんがその後の人生をどう生きるかというところまで含めて治療を考えなければなりません。そこに自分の使命のようなものを感じました」。

ただ、大病院ではさまざまな制約により必ずしも思い通りの診療ができるわけではないということと、重度の認知症のために入院している多くの患者さんを目の当たりにし、症状がもっと軽い段階から診ていればどうだっただろうかという思いが、みらい平クリニックの開院につながったのです。

「開院にあたって、一番こだわったのは患者さんのチェアですね。自分たち医師には良いいすはいりませんが、患者さんには一番ゆったりできるチェアに、とずっと思っていました」(小松﨑先生)。

小松﨑先生の患者さんへの配慮が院内のあちらこちらに散りばめられています。

 

「ふだんの生活を知ること」が重要な認知症の診断

糖尿病や高血圧のために同院に通院している患者さんが、認知症と診断されることも少なくないと小松﨑先生は言います。

「一人で来院し自分で薬も管理できていた患者さんの様子に、あれ?と感じるようになってご家族を呼んでみると、実はご家族も患者さんの様子がおかしいと思っていたということが分かって、認知症の治療を始めることがよくあります」(小松﨑先生)。

ふだんの生活の様子が把握できていた患者さんの場合はそういった発見も可能ですが、認知症ではふつう診察室では緊張のためにふだんできないことができたりする「取り繕い」が見られるので、惑わされてしまうことがあります。認知症の診断をするにあたっては、ふだんの生活の様子を知ることが大切と小松﨑先生は考えています。

もの忘れ外来では、まず小松﨑先生が患者さんと話をして長谷川式テストや画像検査を行い、次に別室でスタッフが血圧測定や身体計測をしたり、患者さんと話をしている間に診察室でご家族の話を聞きます。その後、患者さんに再び診察室に入ってもらい、認知症であれば「こういうお薬を始めましょう」といった説明をします。この流れには1時間以上をかけると言います。

開院からずっと関わってくれているスタッフが多く、「おかげで、患者さんには来やすいクリニックと評判です」と小松﨑先生。

小松﨑先生も、「看護師が患者さんにうまく対応していてくれないと私はご家族からゆっくり話を聞けないので、非常に助かっています」とねぎらいます。

 

訪問診療、訪問リハビリを診療の柱に

小松﨑先生は午前・午後診療の合間の昼休みと木・土の午後を利用して訪問診療を行っています。

「神経内科の患者さんは来院するのも大変なことが多く、またご家族も高齢で付き添えないという場合も多い。そういった患者さんの求めにこそ応えなければ、と始めました」と訪問診療にかける思いを語る小松﨑先生。

理学療法士 花田麻由子さん 理学療法士 花田麻由子さん

理学療法士の花田麻由子さんは、外来リハビリだけでなく、訪問リハビリも担当しています。

「在宅医療に関わりたいと思い、訪問リハビリを行っているクリニックを探しているうちに当院を紹介されました。訪問リハビリを手掛けているクリニックはまだまだ少ないですね」(花田さん)。

訪問リハビリには様々な苦労があると言います。

「患者さんそれぞれ、歩んできた人生や生活様式が違うので、マニュアル通りに行かないことばかりです」(花田さん)。

患者さんの生活全体を見て、ご家族との関係も考慮しながら、アドバイスや支援を進めなければなりません。

「試行錯誤の連続ですが、医師、ケアマネジャー、訪問看護師と一緒に悩み、相談しながら進めています」(花田さん)。

みらい平クリニックの訪問リハビリのスタッフには理学療法士のほか、作業療法士、言語聴覚士もおり、患者さんの障害に合わせて、リハビリを行っています。

小松﨑先生も、「外来診療ではご家族も患者さんと同様、どうしてもかまえてしまうことがあるので、ふだんの生活の把握が十分にできないこともあります。理学療法士や訪問看護師からご家庭での様子を聞けると、じゃあこうしようという判断が適切に行えます。外来診療だけでは得られにくい情報が得られれば、患者さんにとって良い方向に治療を行えると思います。また、訓練室でできても、実際に家での生活で役に立たなければ、リハビリをした意義も半減してしまいますが、生活環境の中で訓練することで、実用的なリハビリを行うことができると考えています」と、訪問診療・訪問リハビリの果たす意義を強調します。

 

人間関係を調整する治療を目指して

小松﨑先生が特に気をつけているのは、患者さんに周辺症状がある場合のご家族への説明です。

ご家族が、認知症が病気であることをきちんと認識していないと、患者さんが意地悪してわざとしている、などと誤解してしまい、患者さんとの関係が悪化することがあります。特にアルツハイマー病の患者さんは、日により、また時間帯によって反応が良かったりそうでなかったりと波があるので、誤解されてしまいがちです。

「まず、その誤解を解く必要があります。認知症の治療には、人間関係の調整をすることが不可欠だと思います。病気だという意識をご家族が持っていれば家族関係が崩れないで済むことが多いのです」(小松﨑先生)。

ご家族が疲弊している場合には、介護保険をどうやって上手に使っていくかを考えなければなりません。

「介護は自分たちの義務と思いこみ、人の手を借りることに引け目を感じるご家族も多いので、そんなことはないんですよ、と説得します」と小松﨑先生。

また、小松﨑先生は早期治療の重要性も訴えます。

「周辺症状がひどくなってから来院する患者さんがまだ多いですね。認知症についての認識もだんだんと変わってきてはいますが、それでも世間体を気にして恥ずかしいという思いが先に立ってしまい、それが早期診断を遅らせている原因の一つになっていると思います。認知症は軽い段階で発見すればその後の治療がスムーズに進み、ご家族も適切な対処ができるようになります。認知症を疑ったら診察をためらわないでほしい」と呼びかけます。

 

地域での連携推進に力を尽くす

小松﨑先生は地域における介護と医療の連携はまだまだ不十分という認識を持っています。

徐々に改善されてきているものの「介護保険が充分に利用されているとはまだ言えないのが現状です。訪問リハビリなど様々なサービスがあるのにその存在が知られていなかったり、一方でサービスを利用したくても地域に事業所がないために利用できない、というようなことがあります。当院にもケアマネジャーがおり、活躍してくれていますが、他の施設やそのスタッフとの連携を取りながらサービスの浸透を図っていきたいと思っています」(小松﨑先生)。

理学療法士の花田さんも地域の中で事業所同士の連携の難しさを感じています。

「当院に通院している患者さんが介護サービスを利用している場合、その事業所のケアマネジャーが多忙なため、顔を合わせて話し合う機会を持つのがなかなか難しいのです。ですから、月に1回程度でもこちらから出向いたりして、なるべく顔を合わせて患者さんの最近の様子などを共有するようにしています」(花田さん)。

「時間と体力が許せば、もっと訪問診療に出たいですね。訪問診療はまだまだ医師が足りません。また、やはり何事においても『チーム』がカギだと思います。医療と介護の専門家が、それぞれの分野で特徴を発揮しながら、患者さんや家族の希望をかなえる『チーム』を作るのが理想です」と、今後の希望を語る小松﨑先生。

最後に小松﨑先生は、訪問診療の意義を理解して輪を広げてくれる良いチームメートがもっと欲しいですね、と笑顔で締めくくりました。

 

 

取材日:2011年12月13日
更新日:2021年5月19日
みらい平クリニックの外観

医療法人 みらい平クリニック


〒300-2358
茨城県つくばみらい市陽光台3丁目11番地4
TEL:0297-38-4023

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