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人の絆を尊び、高齢者の暮らしを見守り支える
< 宮崎県都城市 医療法人社団 森山内科・脳神経外科 >

理事長 森山篤志先生 理事長 森山篤志先生

森山内科・脳神経外科は、小さな診療所として1997年にスタートし、常に利用者の視点に立ちながら、十数年をかけて徐々に診療体制を拡充してきました。2014年5月に「森山内科・外科クリニック」から「森山内科・脳神経外科」に名称変更し、認知症医療にさらに力を入れています。現在では19床を備え、外来、入院、救急、在宅と多角的な医療サービスの提供によって広く地域医療に貢献。また、当院を中心とする森山ウエルライフグループの事業として、訪問介護、通所介護、さらにサービス付き高齢者向け住宅の開発、提供までを行っています。理事長の森山篤志先生は、クリニックでの診療はもちろんサービス付き高齢者向け住宅事業の陣頭指揮も執り、常に“人の絆”を大切にしながら、地域の高齢者に寄り添って幸福な暮らしを支え続けています。

認知症診療の難しさを改めて実感

高齢者の方としっかり向き合い、寄り添うことで「孤独感」「疎外感」を感じさせない――それがクリニック開業以来の森山先生の基本的な姿勢です。認知症を専門として掲げているわけではありませんが、患者さんは年々増加傾向にあり、在宅で診ているケースも多いといいます。

森山先生は「世界的に認知症の新薬開発が次々と失敗していることからも、認知症の奥の深さを感じますね。認知症は高血圧や糖尿病のように数値でわかるようなものでないため、日々、その診療の難しさを実感しています」と言います。

「認知症を患うと、理屈に沿って物事を理解する力は確かに落ちますが、感情は残っています。その感情に最も良い影響を及ぼすのは言葉よりも『笑顔』なのです。我々が笑顔で向き合うと、認知症の方も笑顔を浮かべてくれます。その瞬間が嬉しいです」。そう語る森山先生は、認知症の方と接するとき、何よりも笑顔で丁寧に優しく語りかけることに留意しています。

「薬による治療ももちろん大事ですが、医療従事者や家族など周りの人間の接し方によって回復力は変わる。 つまり“人の絆”が治療に大きく影響するのです」(森山先生)。

そう話す森山先生が、高齢の患者さんと家族の生活支援、そして“絆を育む場”として注力しているのが、サービス付き高齢者向け住宅「ウエルライフシリーズ(1号館、2号館、3号館)」です。

どこにも負けない住まいの質とレベルを提供

中庭からウエルネス3号館を望む 中庭からウエルネス3号館を望む

1~3号館では、認知症が進行して家族だけでは対応しきれない患者さんの支援を主な目的とし、医療と介護を24時間提供できる体制を整えています。

1号館がオープンしたのは、クリニックの開業から3年目。1号館のオープンから約5年後に2号館が完成。ここでは重症化した方も受け入れ、家族が安心して最期を看取れる環境を設けました。さらに、2号館オープンから約8年後には、1号館と2号館での経験を踏まえた、サービス付き高齢者向け住宅の集大成と言える3号館が完成。そこには、高齢者の幸福な暮らしを支える4つの要素が盛り込まれています。

1つ目は、365日24 時間、医療と介護を提供すること。これは1号館以来の実績があります。

2つ目は、住まいとしての安全性・快適性の向上。例えば耐火性は1、2号館にも十分な配慮がなされていますが、3号館はさらに強化し、万が一発火したとしても類焼を防ぐ設計・仕様を採用。また、居室と廊下などの温度差を少なくしヒートショック(住宅内の温度差により血圧が急激に変動すること)を防ぎます。

そして3つ目が食事の充実。おいしいのはもちろん、安全で飲みこみやすく、個々の患者さんの病気に応じた料理を提供するため、すでに何度も試食会を繰り返しています。

さらに4つ目は、この3号館を地域交流館、すなわち絆を育む場にすることです。

「人の絆は、私とスタッフがいくら力を合わせても生まれません。家族や友人、地域の方を巻き込まないとできないのです。この3号館では、高齢者と子、孫の3世代が交流できる場をつくりたい。特に認知症の方の場合は、先に述べたように、周りの人の接し方、見守り方が回復に大きく影響しますので、なおのこと絆を大切にしなければなりません」と森山先生は熱く語ります。

認知症はありふれた疾患、受診しやすい環境づくりが大切

脳神経外科 部長 小濱祐博先生脳神経外科 部長 小濱祐博先生

脳神経外科部長の小濱祐博先生は当院での認知症診療の中心的な存在です。認知症診療に携わったきっかけについて、小濱先生は「高齢者は多発性脳梗塞を罹患していることが多く、その中には認知機能が低下してきているケースもあるので、脳血管障害による認知機能低下の症例がどのくらい紛れているのか、その他の認知症とどの程度の区別が必要なのか、また治療の違いは何かなどを疑問に思い、約10年前から認知症の関連学会にも積極的に参加して勉強しながら認知症診療を始めました」と言います。

当院では、初診時に問診に加え、改訂長谷川式簡易知能評価スケールやMMSE、血液検査、MRI 検査などを実施し、経過観察しながら慎重に認知症の診断を行います。当院で検査を受ける患者さんには、関連施設に入居している方以外に、最近もの忘れが激しいということで家族と一緒に来院する方も多くおられます。

「認知症と診断されるのは月10~15名ぐらいだと思います。ただ、いきなり認知症の診断をつけるということはしていません。本人や家族が認知症ということをすぐには受け入れられないことが多いのです。しばらく様子を見て症状の変化がないかなどのチェックを慎重に行いながら、本人や家族に説明し納得してもらうようにしています。納得してもらえないと、その後来院しなくなる方もいます」(小濱先生)。

認知症診療を行う上での課題について、小濱先生は「認知症はまだまだ正しく理解されておらず、偏見を持たれている方も多いです。特に当院のある都城市のような地方ではその傾向は強いですね。どうしてもそこに壁があるので、一歩踏み出して受診されないため、認知症を見逃しているケースも多々あると思います。認知症は誰でも発症し得る、ありふれた疾患であることを理解し受け入れてもらうことが大切です」と語ります。

当院は、地域の身近なかかりつけ医として安心でき信頼される環境づくりに日々取り組んでいます。

笑顔あふれるリハビリテーションの提供により QOL 向上に貢献

当院のリハビリテーション科は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の他、アシスタントも含め総勢21名という手厚い体制。スタッフ数だけでなく、設備や広さもクリニックとしては宮崎県でも有数の規模を誇っています。急性期から維持期に至る様々な患者さんに対して、院内・在宅訪問・通所と幅広いリハビリテーションを提供しています。

リハビリテーション科 科長 小城亮先生リハビリテーション科 科長 小城亮先生

当科を統括する科長の小城亮先生は、「当科は地域の方々に、より適切な、より有効的なリハビリテーションを提供することをスローガンとしています。患者さんの状態や環境に応じた様々なリハビリテーションを提供することができる、切れ目のない一連のフォロー体制を構築している点が当科の強みです。また、患者さんには楽しみながらリハビリテーションを実施してもらうことを常に心掛けています」と言います。

リハビリテーションを受けている患者さんの多くが高齢者であり、認知症を合併していても気づいていないケースもあるため、当科のスタッフはその点を常に意識しながら患者さんと接しています。小城先生は「認知症も他の疾患と同じように早期発見・早期治療が非常に大切です。いち早く認知症に気づき、専門的な診療に早期にアクセスできれば、進行を遅らせることに繋がります。当科はそういった『認知症の気づき』に大きな役割を果たせるのではないでしょうか」と語ります。

当科では、エアロバイクをこぎながら簡単な計算問題などを行う二重課題(運動と頭の体操)トレーニングを行っていますが、認知症の方だけでなく、認知症の予防や昨今話題になっているフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)の予防にも繋がる可能性があるということで、他の高齢の患者さんにも取り入れています。

「高齢になると身体機能が段々と衰え、日常での活動性が低下し、廃用症候群を発症しやすくなります。特に認知症の人はそういう状況に陥りやすいため、リハビリテーションを実施することは非常に重要となってきます」(小城先生)。

当科では、さらなる質の高いリハビリテーションを提供すべく、スタッフのスキルアップ(専門的な資格取得など)を支援するなど、積極的な人材育成に取り組んでいます。

理想的な認知症診療を求めて――試行錯誤はさらに続く

当院を中心とする森山ウエルライフグループは、外来、入院、救急、在宅と多角的な医療サービスの提供によって広く地域医療に貢献していますが、森山先生は「まだ理想的とは言えない」と、厳しい評価を下します。

森山内科・脳神経外科のスタッフの皆さん森山内科・脳神経外科のスタッフの皆さん

森山先生は「患者さん一人ひとりが何を望んでいるか、我々は何を提供すればいいのか、それを理解するだけでも大変です。やるべきことは多いけれど、人任せにしていたのでは、ずっと分からないまま。だから自分たちの手作りで、試行錯誤しながらやるしかないんです。1つ終えたら、次の課題に取り組む。決して終わることはありません」と強い意志を込めた言葉で、話を締めくくりました。

 

取材日:2012年5月8日(1回目)
2019年8月29日(2回目)

森山内科・脳神経外科の外観

医療法人社団 森山内科・脳神経外科

〒885-0082 宮崎県都城市南鷹尾町24街区20号
TEL:0986-21-5000

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