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かかりつけ医と連携し、地域で暮らし続けるための認知症医療を
<富山県富山市 日本赤十字社 富山赤十字病院>

精神科部長 殿谷康博先生 精神科部長
殿谷康博先生

富山赤十字病院は、中核病院として地域の急性期医療を担い、かかりつけ医と連携しながら高度な医療を提供する総合病院です。院内には地域包括支援センターが設置され、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう支援を行っています。高令心療科(精神科)では、精神科部長である殿谷康博先生が、認知症看護認定看護師やソーシャルワーカーとチームを組み、地域のかかりつけ医と協力し合って認知症の治療に取り組んでいます。

かかりつけ医が治療しやすいよう丁寧な情報提供とフォローを実施

富山駅北口から徒歩15分。富山赤十字病院は、県の玄関口にふさわしい都市拠点形成を目指した“とやま都市MIRAI計画”に基づいて整備された区域内にあります。同院の高令心療科は、総合病院の精神科として、うつ病や認知症などを専門的に治療する診療科です。認知症の外来治療を行うほか、他の疾患で入院中の患者さんに認知症の症状が現れた場合にも対応しています。

現在、同科の外来を訪れる認知症の人は、地域のかかりつけ医から紹介されてくる人が多く、全体の約半分を占めています。

他院からの紹介で受診した人のうち、約8割はある程度症状が落ち着いた段階でかかりつけ医に戻し、半年後、1年後にフォローアップを行っています。「日ごろ生活している地域のかかりつけ医に診てもらいながら、認知症の人が安心して生活できるようフォローしていくのが大切」という、殿谷先生の考えがあるからです。

抗認知症薬にはいくつか種類があり、症状や重症度に合わせた処方や使い分けが必要となります。専門医でなければ的確な処方は難しく、また多くの患者さんの治療に追われているかかりつけ医は認知症に十分な時間を割けないといった事情から、薬の増量や変更のタイミングを見逃してしまうことも懸念されます。

殿谷先生はそのような事態を避けるため、同院での治療中にできる限り認知症の人やご家族の困り事をすくい上げ、かかりつけ医がその後の治療をしやすいように、丁寧に情報提供するよう心を砕いています。

外来では地域に戻ることを、病棟では症状の引き算を目指す

外来の初診では、ソーシャルワーカーによる問診後、神経心理検査のほか、MRIとCTを使った画像検査を行います。そこで診断がつけば、病状についてご家族に説明しますが、さらに詳しい検査が必要な場合は、後日SPECTやDATスキャンなどの検査を追加で行います。

認知症の診断がつくことで、ご本人・ご家族がショックを受けることもあります。殿谷先生は、ご本人・ご家族への説明では先行きを悲観し過ぎることのないよう、なるべくソフトな表現を選び、進行の程度なども状況によっては控えめに伝えています。

一方で、検査画像と症状の因果関係を解説し、すでにできにくくなっていることや、今後現れるかもしれない症状について説明をしています。

同科では入院治療は行っていませんが、内科などで入院している患者さんが認知症を合併している場合は治療を行います。

「外来では、病状説明や中核症状への対応が中心で、進行を抑えるためにプラスになる治療を考えます。それに対して、病棟では認知機能を悪化させるいろいろな要因(身体的、環境的)が重なっていることが多いため、いかにそれらの要因の引き算をしていくかが治療の中心となります」(殿谷先生)。

認知症看護認定看護師やソーシャルワーカーとタッグを組んだチーム医療

認知症看護認定看護師 向井紀子さん 認知症看護認定看護師
向井紀子さん

高令心療科では、殿谷先生と認知症看護認定看護師の向井紀子さん、そしてソーシャルワーカーの3人が認知症サポートメンバーとしてチームを組んで診療にあたっています。

向井さんは、午前は外来、午後は病棟で認知症の人やご家族に接しています。認知症は、ご本人だけでなく、ご家族、スタッフまでサポートする必要があると考える向井さんは、「誰かが困っていることはないか」を常に探るよう心がけていると言います。

「診察に同席して、ご家族の話の内容が気になったときは、診察後にお話を伺うこともあります。家での過ごし方をお聞きしてどのようなサポートが必要かを考え、生活を整えるお手伝いができるのがやりがいですね」(向井さん)。

また、殿谷先生がご家族から話を聞いている間、一人で待っている患者さんに話しかけ、世間話をして不安を和らげるなどのフォローも忘れません。

一方、病棟の患者さんは、大きな不安を抱いていたり、混乱状態になっていることもあります。向井さんは、ご本人の生活習慣などをご家族から聞き出し、入院生活の中でもできる範囲でその習慣を取り入れて、ご本人の不安や混乱を取り除くよう努力しています。

「急性期病院は治療の場ではありますが、入院している人にとっては生活の場でもあるという視点を忘れてはならないと思っています」(向井さん)。

日ごろから地域のケアマネジャーや地域包括支援センターと連携を取っているソーシャルワーカーがチームにいるのも、同科の強みです。公的な支援制度についての情報提供を行ったり、必要であれば介護サービスにつないだり、ご本人やご家族の負担を減らすためのサポートも行っています。

かかりつけ医、福祉従事者と顔の見える関係に

殿谷先生は認知症の人が住み慣れた環境で暮らしていけるよう、かかりつけ医とのつながりを大切にしています。院外の講演会に出向いて顔の見える関係を築くなど連携を深めています。

また福祉従事者と関係を築くことにも前向きで、市からの委託でケアマネジャー向けの研修会の講師を務め、相談役のような存在になっています。

向井さんもまた、院内に設けられている地域包括支援センターの事例検討会などを利用し、地域の福祉従事者と顔を合わせる機会を大切にしています。院内の活動だけでなく、一般病院の看護師を対象とした認知症看護の講義を行うなど、認知症看護の役割として力を注いでいます。

「認知症についての理解や対応はまだ十分ではありません。さまざまな機会を利用して伝えていかなければならないと思っています。啓発と同時に県内の認知症看護認定看護師との連携も図っていきたいですね」(向井さん)。

現在、紹介からの初診は1ヵ月近く予約待ちをしなければならない状況であり、殿谷先生は、速やかに治療につなげる道を模索しています。

「連携を強化しつつ、お待たせしない体制を整えたら、あとは自分自身が経験を重ねることが大切だと考えています。たくさんの経験を積んで、経過を予測し先を見通せるようになりたいですね」(殿谷先生)。

 

取材日:2016年12月1日

富山赤十字病院の外観

日本赤十字社
富山赤十字病院

〒930-0859  
富山県富山市牛島本町2-1-58
TEL:076-433-2222

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