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3科合同の認知症疾患医療センターで、
遠隔地を含めた地域の認知症医療を支える
<和歌山県和歌山市 和歌山県立医科大学附属病院>

認知症疾患医療センター センター長 神経内科 教授 伊東秀文先生 認知症疾患医療センター センター長
神経内科 教授 伊東秀文先生

1945年の開院以来、県民の健康に寄与してきた和歌山県立医科大学附属病院は、1995年には“特定機能病院”に承認され、2010年には県の委託を受けて認知症疾患医療センターを開設しました。同センターは神経内科・脳神経外科・神経精神科が協力して診療を行う体制を築き、地域の認知症医療をけん引しています。

神経内科・脳神経外科・神経精神科の3科で認知症診療にあたる

同院の認知症疾患医療センターの大きな特徴は、神経内科・脳神経外科・神経精神科の3科が合同で診療にあたることです。2017年4月にセンター長に着任した神経内科教授の伊東秀文先生は、「地域連携に加え、医療相談を受けて鑑別診断と初期対応を行うことが当センターの大きな役割です」と話します。

脳神経外科医で同センターの外来を担当する小倉光博先生は、「脳神経外科が参加している認知症疾患医療センターは全国的にもまれで、当センターはその数少ない施設の一つです」と話し、認知症医療に脳神経外科が加わる意義を語ります。

神経精神科医 山田信一先生神経精神科医 山田信一先生

「脳神経外科は、正常圧水頭症、硬膜下血腫、脳腫瘍、脳血管性認知症などの疾患に習熟しており、これらの脳外科疾患によって引き起こされた認知症をきちんと診断し、適切な治療につなげることができます」(小倉先生)。

神経精神科医の山田信一先生は、統合失調症診療で培ったノウハウを認知症に応用することを役割の一つに挙げます。

「統合失調症の方は病識がなく、病院に来られないこともあります。受診に至らない方の支援や、長期入院していた方の退院後の生活支援など、統合失調症の方を支えるために行ってきた施策は、認知症診療とも共通している部分が多々あります。これまでの知識と経験を生かして、認知症の方を支援していければと思っています」(山田先生)。

発症や進行を抑制するための指導も重視

認知症診療では、「診断だけでなく、発症や進行を抑制するための適切な指導も重要です」と小倉先生は語ります。

「認知症の危険因子は、生活習慣病や運動不足などと言われています。また、ご家族との人間関係や生活環境なども認知症の進行に影響を与える可能性があります。問診の際にご本人やご家族からお話を聞きながら、問題点がないかを探り、具体的なアドバイスをするようにしています」(小倉先生)。

規則正しい生活と適度な運動習慣の重要性を伝えることで健康意識が高まり、MCI(軽度認知障害)の段階であれば、改善の可能性もあるといいます。

遠隔医療支援システムで、遠隔地の医療機関を支援

神経内科医 廣西昌也先生神経内科医 廣西昌也先生

和歌山県は2014年に、同院と県内の複数の医療機関を結ぶ、インターネットを使った遠隔医療支援システムを設置しました。遠隔地に住む人を対象に、さまざまな診療科で遠隔外来を行っています。認知症診療においても、週に1回、同センターの神経内科医である廣西昌也先生が遠隔外来を実施しています。

「認知症の診断では、質問に対するご本人の反応や対応の仕方が重要ですが、テレビ画面を通じて、表情や反応などを確認することができます。パーキンソン病の症状がないかなどは、同席しているかかりつけ医に確認してもらいます。かかりつけ医からの鑑別診断の依頼が多いのですが、おおまかな診断をつけることはできるので、遠隔外来は認知症医療に適しているのではないかと思います」(廣西先生)。

啓発活動に落語を取り入れるとともに、認知症診療にも応用

廣西先生はまた、院外の市民向け公開講座などで、認知症のエピソードを盛り込んだ創作落語と講演をセットにした啓発活動を行っています。さらに「落語で大切にしている仕草や声の調子は、認知症の方の診察の際にも生かされていると思います」と廣西先生は語ります。

「認知症と診断されるのではないか、と不安を抱えながら受診する方の心を開いて懐に入るには、言葉の使い方や声の出し方、仕草などを工夫することが大切です。観客の心を捉える落語の手法を取り入れて、ご本人のその時々のお気持ちを捉えつつ、信頼していただけるような言葉や仕草で接するように意識しています」(廣西先生)。

ご本人やご家族から情報を引き出し、適した治療やケアにつなげる

精神保健福祉士 小泉恵利さん精神保健福祉士 小泉恵利さん

認知症かどうかの診断は、医師の診察や脳の画像検査、血液検査、ご家族への聞き取り、神経心理検査などを組み合わせて行います。同センターで医療相談などを担当する精神保健福祉士の小泉恵利さんは、診断前にご家族からお話を聞く際に“生活上の視点”を大切にしているといいます。

「お話を伺うときには、生活の中で今できていることをなるべく多くご家族から聞き取ることを大切にしています。それがご本人に適した治療やケアにつながると考えています」(小泉さん)。

同じく医療相談を担当する精神保健福祉士の水野未央さんも、予約時の相談の際にご家族の話を傾聴することで、症状だけでなく、ご家族の思いや悩みを聞き出すことができると話します。

「診察を受け、診断がついたことで、さまざまな症状には原因があったと納得されて、ご家族が前向きにケアについて考えられたことがありました。問題解決に向かうお手伝いができてうれしく思いました」(水野さん)。

臨床心理士 篠原優衣奈さん臨床心理士 篠原優衣奈さん

長谷川式簡易評価スケールやMMSE、時計描画テスト(CDT)などの認知機能検査を担当するのは臨床心理士の篠原優衣奈さんです。

「病識がなかったり、自分にもの忘れがあることを認められなかったり、検査を受ける方の状態はさまざまです。不安になっておられる方もいますので、ただ検査をするのではなく、今のお気持ちや受診されたきっかけなどを詳しくお聞きするよう心がけています」(篠原さん)。

認知症の人の本音に耳を傾け、ご本人の視点に立った医療を目指す

多くの認知症の人と接してきた伊東先生ですが、「私たちは実は、認知症の方の本当のお気持ちを理解できていないのではないか」という思いを抱いているといいます。

「認知症の方は、認知機能が低下する中で、何とか今まで通り社会とのつながりを維持しようと努力しておられます。しかし、周囲の対応などにより挫折感や孤独感を募らせているかもしれません。そういったお気持ちをきちんと理解するのは、とても難しいことだと思います」(伊東先生)。

近年、国際会議やフォーラムなどで、認知症のご本人が自分の体験や思いを話す機会が増えています。また、厚生労働省は、ご本人が体験や希望、必要としていることを人前で話すことで、より良いケアにつなげ、周囲の理解を深めるための“本人ミーティング”を推進しています。

「ご本人の生の声を聞こうという動きが出てきているので、私たちも、もう少し掘り下げて思いや希望を聞き取り、ご本人の視点に立って診療をしていく必要があると考えています」(伊東先生)。

認知症になっても社会から孤立しない仕組みづくりが必要

認知症の人の増加が予想される中、課題となるのは、認知症の人が孤立しないための社会の仕組みづくりです。

「認知症に対する偏った見方を社会全体で見直す時期に来ている」と廣西先生は強調します。

「認知症の方にはできることも多いのですから、できないことだけをフォローしてもらえばいいのです。年をとれば誰でも認知症になる可能性があります。皆で認知症の方を支えていけるような文化や仕組みをつくることが必要だと思います」(廣西先生)。

伊東先生は、認知症になってもならなくても、同じコミュニティーに居続けられる仕組みづくりが必要だと指摘します。認知症と診断され、治療や介護が始まるのに伴って、生活環境が変わってしまうことは、ご本人のためにならないと考えるからです。

「認知症の方の増加が見込まれるからといって、入所施設を大量に造るのではなく、社会から孤立せずに支え合える小さなコミュニティーを築いて、誰が認知症になってもその中で生活できる仕組みをつくるべきだと思います。それが本当の意味での地域ケアシステムではないでしょうか」(伊東先生)。

 

取材日:2017年11月14日
和歌山県立医科大学附属病院の外観

和歌山県立医科大学附属病院

〒641-8510
和歌山県和歌山市紀三井寺811-1
TEL:073-447-2300

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和歌山県立医科大学附属病院
認知症疾患医療センター

〒641-8510
和歌山県和歌山市紀三井寺811-1
TEL:073-441-0776

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