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精神科の専門性を生かして、早期診断とBPSDへの迅速な対応に取り組む
< 熊本県熊本市 特定医療法人佐藤会 弓削病院 >


院長 相澤明憲先生
院長 相澤明憲先生

地域に根差した精神科病院として50年以上の歴史と実績を持つ弓削病院は160の病床を備え、認知症のBPSD(周辺症状)にも迅速に対応しています。また、2010年にはもの忘れ外来を開設し、認知症の早期診断にも注力。訪問看護や介護施設への訪問診療も実施して、外来・入院から退院後のフォローまで、認知症の人とご家族を幅広くサポートしています。

必要とされたときに、その要請に応えることをモットーに

1965年に開院した弓削病院は、精神科救急病棟をはじめ機能の異なる4つの病棟を備え、地域の精神科医療を担っています。開院当初から認知症医療にも積極的に取り組んでおり、院長の相澤明憲先生を中心とする多職種のスタッフが、それぞれの専門性を生かして認知症の人とご家族のサポートに尽力しています。

熊本県には、古くから精神科が認知症医療を提供してきた歴史があります。認知症ケアの草分け的存在である室伏君士先生が初代院長を務めた独立行政法人国立病院機構 菊池病院(合志市)をはじめ、12ヵ所の認知症疾患医療センターの大半が精神科病院であり、全国的には内科医が多い認知症サポート医も、熊本県では半数以上が精神科医です。

また、熊本県には“熊本方式”と呼ばれる医療連携があります。エリアごとに各医療機関の役割を明確化して連携し、さらにそれぞれが得意分野を磨くことで医療レベルの向上を実現しています。このような地域特性を踏まえて、相澤先生は同院の認知症医療の一番の役割を「BPSDへの迅速な対応」と話します。

「当院では、認知症のBPSDは精神科救急の一環だと捉えています。また、BPSDが強くなって、リハビリ病院では対応できなくなったときには、当院で治療を行ってリハビリができる状態にまで回復してからお戻しするというように、要請があればそれに応えていくのが、当院の認知症医療の特徴だと思います」(相澤先生)。

認知症の兆候を見逃さず、早期診断・早期治療につなげる

医師 山城佐知先生医師 山城佐知先生

同院では、毎週水曜日の午後に、予約制のもの忘れ外来を開設しています。もの忘れ外来を担当する山城佐知先生は、当初は内科医として着任しましたが、同院での診療を通して認知症の人と関わる機会が増え、2011年に認知症サポート医を、2016年には日本精神科医学会 認知症臨床専門医を取得しました。

「当院では、以前から認知症診療に力を入れていましたが、2010年のもの忘れ外来開設以降は、MCI(軽度認知障害)など、初期段階で受診される方が年々増えている印象です」(山城先生)。

もの忘れ外来の初診時には、長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)のほか、近隣の医療機関と提携してMRIとSPECTの画像検査を受けてもらっています。診断の際には臨床症状を重視し、さらに画像所見で器質性疾患の除外を行い、診断の裏付けを行っていると山城先生は話します。

「症状については、ご本人・ご家族からそれぞれお話を聞きますし、神経学的な所見も取ります。さらに診察時に、質問のたびに取り繕いがあったり、ご家族の顔を見たりするなどのご本人の言動から得られる情報も多く、それを一番の診断の目安にしています」(山城先生)。

さらに、MCIの方が多い現状を受けて、山城先生は「経過は必ず診るようにしています」と話します。

「これまでの経験から、長谷川式などでほとんど問題がなくても、非常に不安感が強い、パニックになりやすいなど、認知症に移行しやすいパターンがあるように感じています。また、最初に気分障害や妄想で受診されて、1年ほどで認知症に移行するパターンも多いと感じるので、早いうちから注意するようにしています」(山城先生)。

相澤先生も「最初にあらわれる微妙な精神状態の変化にいち早く気づくのは、精神科が得意とするところです。精神科ならではの精神症状の把握を重視して、早期診断や鑑別診断を行っています」と語ります。

同院では相澤先生、山城先生をはじめ全ての医師が認知症に対応しており、週1度のもの忘れ外来を受診できない人は一般外来で診察を行うなど、早めに受診してもらえるような体制を整えて早期の発見と治療につなげています。

ご本人とご家族に『受診してよかった』と感じてもらえるようなやりとりを

外来師長 平野明美さん外来師長 平野明美さん

もの忘れ外来で診察前の予診を担当するのは、外来師長の平野明美さんをはじめとする外来看護師です。ご本人やご家族から生活環境や成育歴、合併症などを聞き取り、医師や他職種のスタッフとも情報を共有し、診療やケアに役立てています。

認知症の人やご家族と接する際に、平野さんは『受診してよかった』と感じてもらえるようなやりとりを心がけているといいます。

「外来ですから比較的症状の軽い人が多いのですが、軽いといえども精神科を受診することに少なからず抵抗感があったと思います。ですから、お話を傾聴したうえで『この段階で受診されてよかったですよ。早く診断して治療を始めたほうが、ご本人も楽になるし、ご家族の負担も軽くなりますよ』などと声をかけて、受診したことでポジティブな気持ちになれるよう心がけています」(平野さん)。

そばに寄り添う看護で、不安な気持ちを和らげる

病棟看護師 生駒由紀さん病棟看護師 生駒由紀さん

BPSDが強くて自宅や入所先の施設、一般急性期病院では対応が困難になった認知症の人が多く入院する急性期リハビリテーション病棟を担当する病棟看護師の生駒由紀さんは、「認知症の方のお気持ちを尊重して、その方に合ったケアプランを立てて接するようにしています」と話します。

「恐怖感や不安感が強い方には、できる限りスタッフがそばについてお話に耳を傾けたり、『家に帰る』といって徘徊される方とは一緒に病棟内を歩いたり、中庭に出て外の景色を眺めたりして、ご本人の気持ちが少しでも軽くなるように対応しています。寄り添うことで次第に落ち着かれる方が多いですね」(生駒さん)。

多職種での退院支援で、早期の在宅復帰を目指す

認知症の人の精神科病院への入院は長期化しやすい傾向にありますが、同院では生駒さんをはじめとする病棟看護師や精神保健福祉士などの多職種で、早期の在宅・施設復帰の支援に取り組んでいます。

精神保健福祉士 宮原幸恵さん精神保健福祉士 宮原幸恵さん

2017年1月から病棟を担当する精神保健福祉士の宮原幸恵さんは、ご家族との面談で退院後にどのような生活スタイルを望んでいるのかを聞き取り、地域のケアマネジャーとも連携しながら、できるだけご家族の希望に沿う形で退院支援を進めています。面談の際は、「それまでの生活のご様子や介護保険制度の利用の有無などを確認したうえで、今後私がお手伝いできることを具体的にお伝えし、退院後についても一度考えてみてください、と投げかけるようにしています」と話します。

「病状が落ち着いても退院先が決まらなければ、長期入院することになってしまいます。施設への入所を希望されるご家族には、早めの施設見学や申し込みをおすすめしたり、私たちからも各施設に問い合わせて空き状況を確認したりしています。退院後の生活環境をなるべく早く整えられるように調整しています」(宮原さん)。

柔軟な地域連携と“認知症の人の利益をどう守るのか”が今後の課題に

院内に設けられた作品展示コーナー院内に設けられた作品展示コーナー

精神科の専門性を生かした診療と多職種のスタッフによるチーム医療で、認知症の人とご家族をサポートしてきた弓削病院。2017年8月からは、複数の介護施設への訪問診療もスタートしています。現在の対象は50人ほどですが、地域に出向いての診療をさらに広げていきたい考えです。山城先生は、今後の課題について、より柔軟な地域連携を挙げます。

「認知症の方の中には、合併症をお持ちの方も多いのですが、精神科の専門病院ではなかなか他疾患の対応ができません。一方、内科の病院では重度のBPSDには対応できないというジレンマがあります。診られる合併症は当院で診ながら近隣の医療機関とも連携する必要があり、反対にBPSDが強いときには当院が対応するなど、柔軟な連携を取っていく必要があると思います」(山城先生)。

生駒さんも「BPSDなどの精神症状だけでなく、今後は認知症の方の身体面での看護も重要になってくると思います」と話し、今後の課題として、スタッフのさらなるスキルアップを挙げています。

一方で相澤先生は「認知症の方の利益をどう守るのかが今後の課題です」と表情を引き締めます。

相澤先生と弓削病院の皆さん相澤先生と弓削病院の皆さん

「高齢者の一人暮らしや高齢世帯が増加する中で、合併症の悪化などで当院での対応が難しくなったとき、専門の医療機関に転院して治療すべきかどうかの判断を誰がするのかという問題に直面することも予想されます。ご本人の利益を代弁する人が誰もいない場合に備えて、ご本人に必要な治療やケアをどう決めていくのかを、もっと考えておく必要があるのではないかと思います。それが今後、認知症医療で大きな課題となっていくと感じています」(相澤先生)。

 

取材日:2017年11月21日

特定医療法人佐藤会 弓削病院の外観

特定医療法人佐藤会 弓削病院

〒861-8002
熊本県熊本市北区弓削5-12-25
TEL:096-338-3838

施設のホームページへ

 

 

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