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病院とクリニックが役割を分担し、多職種が連携して認知症に取組む
<山口県下関市 医療法人水の木会 下関病院・下関病院附属地域診療クリニック>

医療法人水の木会 理事長
下関病院 院長 水木寛先生 医療法人水の木会 理事長
下関病院 院長 水木寛先生

下関病院は、1954年の開設以来、60年以上にわたって地域の精神科医療に取り組んできました。運営母体である医療法人水の木会は、2009年には下関病院内に老年期病棟を設置し、2012年には下関病院附属地域診療クリニックを開設、さらに2017年に老年期病棟を認知症治療病棟に改めるなど、認知症診療に尽力しています。また、同法人は介護老人保健施設や特別養護老人ホームなども備え、退院後のフォローも一貫して行える体制を整えています。

地域診療クリニックは外来、病院は入院と役割を分担

医療法人水の木会の理事長であり、下関病院の院長でもある水木寛先生は、同法人の特徴を「病院、クリニック、有料老人ホームなど、さまざまな施設があり、外来・入院診療から退院後まで一貫したサポートが行えること」と話します。

同法人では、下関病院と下関病院附属地域診療クリニックで認知症診療を行っていますが、それぞれの役割は異なります。下関病院では精神科救急病棟(スーパー救急病棟)、認知症治療病棟など合わせて291床を備え、入院診療に注力しています。地域診療クリニックは2015年に山口県から認知症疾患医療センターに指定され、外来診療を担う一方で、重度認知症デイケアや訪問看護なども実施しています。

「外来診療をクリニックが担うことで、認知症の方やご家族の受診のハードルは低くなると思います。また、デイケアなども行っているので、地域に根差した医療やケアが提供できます。BPSD(周辺症状)が強くてクリニックでの対応が難しい方は、スムーズに下関病院へ入院していただくことも可能です」(水木先生)。

多くの患者さんに迅速かつ正確な鑑別診断を行う

下関病院附属地域診療クリニック
院長 末次正知先生下関病院附属地域診療クリニック
院長 末次正知先生

クリニック内のMRIクリニック内のMRI

下関病院附属地域診療クリニックは、2012年の開院当初から認知症の新規受診者数が年間450名を数え、現在では年間400名を超えるほど、地域の人が信頼を寄せるクリニックとなっています。

クリニックの院長であり精神科医の末次正知先生は、「初めて受診したその日のうちに必要な検査が行えるのが当クリニックの強み」だといいます。

初診の当日にMRI検査や神経心理検査を行うほか、認知機能と生活機能の障害を評価するDASC-21やご家族の介護負担度を測るZarit介護負担尺度などでご本人の状態や介護者の負担について確認します。必要があればFAB(前頭葉機能検査)やリバーミード行動記憶検査なども追加しますが、末次先生が特に重要視しているのが脳波検査です。

「レビー小体型認知症では、早期(前駆期も含む)から脳波の周波数が遅くなったり、周波数の変動を認めたりすることが多く、一方アルツハイマー型認知症では、かなり末期まで脳波は正常なことが多いのが特徴です。アルツハイマー型認知症なのか、レビー小体型認知症なのか、あるいは両者を合併しているのかは鑑別の際に非常に重要なので、脳波検査の重要性は高いと考えています」(末次先生)。

また、同クリニックと下関病院には臨床心理士、看護師、ケアマネジャー、精神保健福祉士など、認知症医療に関わるほとんどの職種のスタッフがそろっています。そのため、必要があればデイケアの利用や介護施設への入所などに関する各種手続きの説明も、その日のうちに行うことができます。

ご本人のお気持ちに配慮し、ご家族のケアにも努める

下関病院・下関病院附属地域診療クリニック<br/>
精神科医 中山寛人先生下関病院・下関病院附属地域診療クリニック
精神科医 中山寛人先生

下関病院の精神科医である中山寛人先生は、クリニックでの外来も担当しており、認知症診療においては、ご家族のお気持ちも大切にしているといいます。付き添いで来られたご家族が介護の負担を抱え、精神的に追い込まれているときには、お話を聞いてストレスを軽減したうえで、一緒に対応方法を考えていきます。

「ご家族は心配のあまり、心のゆとりを失い、ご本人に強い言葉をかけてしまうことがあります。そういったお気持ちをくみとり、共感の姿勢でのぞむことが、結果的にご本人のためになることも多いので、ご家族のケアも大切にしています」(中山先生)。

また、中山先生はご本人に対して、なるべく親しみやすい態度で接することと、質問攻めにしないことを心がけています。

「病院はどんな方でも緊張するものです。ましてや認知症の方は、生活の困難さを抱え不適応感の中で傷ついておられることが多く、私たちの接し方次第では、病院を拒んで孤立してしまう可能性があります。そのため、外来で嫌な思いをすることがないよう配慮しています」(中山先生)。

身体疾患による精神症状を見逃さない

下関病院ではBPSDなどの精神症状が強い人に、精神保健指定医が24時間365日対応できるようにしています。診療の際、中山先生は精神症状の背景に目を向けるよう気を付けています。例えば、認知症の人は、身体の異常を正確に伝えることができず、不機嫌さや怒りなどで表現することがあり、身体を精査すると、肺炎やケガなどが見つかることが少なくないからです。検査して身体疾患があれば、他院と連携して治療を行います。

「いつもと様子が違うと思ったときに、認知症によるものだと決めつけてしまうのはよくありません。身体疾患による可能性があるため、違和感を覚えたときには身体の検査も必須です」(中山先生)。

入院中の細やかなケアを、退院後の生活支援につなげる

下関病院 看護師 渡初美さん下関病院 看護師 渡初美さん
下関病院 作業療法士 北野千絵さん下関病院 作業療法士 北野千絵さん

看護師の渡初美さんは、病棟の患者さんの入院前の様子や入院のきっかけとなった症状などを踏まえつつ、「できる限り自由に行動してもらいながら、一日のどの時間帯にどのような症状があらわれるのか、ご本人が何に興味があるのかを把握してケアに生かしています」と話します。

また、渡さんは病棟も暮らしの場であるという考えから、季節ごとの花を飾り、秋には壁に枝付きの柿を下げるなど、入院患者さんの心を和ませるよう工夫しています。

病棟内では入院中の認知症の方に対して、生活機能回復訓練を行っています。作業療法士の北野千絵さんは、「立つ、座る、移動するなどの身体面の訓練だけでなく、音楽活動として全員で昭和の歌謡曲を歌ったり、昔からあるおやつをみんなで一緒に作ったりするなど、回想法の要素を含んだプログラムで、機能の維持や改善を目指しています。また、患者さんの性格や生活歴、病気の症状を踏まえて、一人ひとりに合ったプログラムを考え提供しています」と語ります。

さらに、渡さんたちスタッフは、施設入所の希望があれば、同法人のさまざまな施設や療養型病院のどこが適しているかを院内で検討し、入所の際には、ご本人の情報を誰にでもわかる形で引き継ぐことを大切にしています。

「なかなか入浴してくださらないときに、ある方法を試したらうまくいったなど、入院中の細かいサポート方法まで伝達することで、施設入所後も適切な支援を継続することができると思います」(渡さん)。

月に1度、ご家族をサポートする会を開催し、認知症カフェで地域とつながる

下関病院 臨床心理士<br/>
小川咲子さん 下関病院 臨床心理士
小川咲子さん

同院では、入院している認知症の方のご家族を対象とした、認知症介護者の会「ふくのわ」を月に1回開催しています。ご家族は、認知症の介護が初めてという方も多く、認知症の進行に伴う変化に戸惑ったり、慣れない申請手続きやご本人との関わりに苦慮したりされています。同院では“認知症の方のこころの健康は、ご家族のこころの健康から”をモットーに、入院中だけでなく退院後もご家族の心身の健康を維持できるような準備の一つとして、会の開設に取り組みました。

会の前半では、医師、薬剤師、栄養士、精神保健福祉士などの専門職による勉強会を開催しており、会の後半ではご家族同士が意見交換したり気持ちを語ったりする交流会や、地域で開催されている家族会や認知症カフェの案内も行っています。会に携わる臨床心理士の小川咲子さんは、「ご家族の不安を少しでも和らげるきっかけになり、介護中でもご家族自身の人生を楽しめる助けになればと思います」とその意義について語ります。

また、中山先生や小川さんが目下準備しているのが、地域に開かれた場を目指す認知症カフェ(ららカフェ)です。

2017年11月には、地域診療クリニックでプレ開催という形の認知症カフェを1回実施しました。そこでの参加者の意見を吸い上げてブラッシュアップしたうえで、2018年4月からは毎月1回定期的に行う予定です。

「認知症の方やそのご家族だけでなく、認知症に関心がある方、地域のお子さんから大人まで、どなたでも利用できるのがカフェの良さです。カフェの中で、立場や年齢の垣根を越えて人とつながることができ、認知症に関する理解を地域に広めていけたらと思います」(小川さん)。

ゆくゆくは地域で行なわれている他の認知症カフェや、行政・自治会などの他機関、一般企業とも連携し、認知症になっても豊かな人生を送れるまちづくりも行っていけたらと考えています。

「認知症カフェのもう一つの役割として、地域や当事者のニーズをくみ上げる場にできればと考えています。病院ではどうしても本音を言いにくいものです。カフェで真のニーズに触れることで支援者の意識が変わり、さらに支援者と当事者との関係性が変わっていけば、より良い地域づくりにつながっていくのではないでしょうか」(中山先生)。

かかりつけ医や多職種との連携を深め、認知症の人を支える

水木先生は、現在の課題として同クリニックとかかりつけ医の間の連携がまだ不十分だと話します。

「一般のクリニックで、認知症の精神症状への対応が難しいときには、当クリニックが地域の認知症医療の中心的存在として受け入れ、症状が落ち着いたらかかりつけ医のもとに戻っていただくような連携を、今後さらに深めていきたいと思います」(水木先生)。

また、認知症医療には医師だけではなく多職種の視点も必要であると水木先生は強調します。

「チームで取り組み、多職種による広い視点で認知症の方の状態を見極めて対策を考える姿勢を徹底したいと思います。従来の医療では、医師からのトップダウンで他の職種が動くのが一般的だと思いますが、各スタッフが自由に意見を述べることができ、それが治療に反映されれば、認知症の方にとってより良い医療を提供できるのではないでしょうか」(水木先生)。

 

取材日:2017年11月16日

下関病院の外観

医療法人水の木会
下関病院

〒759-6613
山口県下関市富任町6-18-18
TEL:083-258-0338

施設のホームページへ

下関病院附属地域診療クリニックの外観

医療法人水の木会
下関病院附属地域診療クリニック

〒759-6614
山口県下関市梶栗町4-2-34
TEL:083-262-0832

施設のホームページへ

 

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