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認知症に特化した地域連携室を開設、
ネットワークの構築と啓発活動に力を注ぐ
<北海道札幌市 特定医療法人さっぽろ悠心の郷 ときわ病院>

院長 宮澤仁朗先生 院長 宮澤仁朗先生

札幌市南区にあるときわ病院は、1978年の開設以来40年にわたって精神科医療を提供してきました。認知症に関しては47床の専門病棟や重度認知症デイケア施設を有しており、軽症の人から重症の人まで幅広く対応できる体制を整えています。さらに、2017年には認知症に特化した地域連携室を新設。近隣の医療機関や介護・福祉施設とのネットワークづくりにも積極的に取り組み、地域の認知症医療で中心的な役割を果たしています。

認知症をめぐる地域のニーズに応え、病院機能を拡充

緑豊かな自然に恵まれたときわ病院は、一般の精神科・内科の他、児童精神科も備えており、子どもから高齢者まで幅広い世代を対象に、地域に根差した精神科医療を提供しています。近年では認知症医療へのニーズの高まりを受け、2011年の認知症病棟の改装や、2012年の重度認知症デイケア「かわせみ」の開設などを進めてきました。

「早期診断・早期治療から入院が必要な重症の方まで、幅広く認知症に対応できることが当院の強みです」と話すのは、2001年から院長を務める精神科医の宮澤仁朗先生です。認知症外来の看板こそ掲げていませんが、成人の新患の大半を認知症の人が占めており、宮澤先生を含め、外来を担当する医師全員が診療にあたっています。

受診する人の多くは近隣の住民ですが、宮澤先生が2011年から約4年間にわたって北海道テレビの情報番組にレギュラー出演するなど、積極的に啓発活動を行っていることから、根室市や利尻町といった遠方から来院する人もおられるそうです。臨床の現場だけでなく、札幌市の介護認定審査会の会長や精神科医会の副会長を務めるなど多忙を極める中でも、あえて啓発活動に力を入れる理由について、宮澤先生は「世間一般の認知症への理解は十分とはいえず、そこを何とかしたいから」と語ります。

「ご家族など周囲の人が認知症の人の行動や心理を受け入れることで、ご本人の不安感が取り除かれ、BPSD(周辺症状)も和らぎます。ご本人とご家族が住み慣れた地域で穏やかな暮らしを続けていけるよう、認知症の方との適切な関わり方を多くの人に知っていただきたいと思っています」(宮澤先生)。

診察ではご家族の疲弊にも目を配り、適切にフォロー

初診では、まず精神保健福祉士がご本人とご家族から詳しくお話を聞き、MRI検査や神経心理検査を行ったうえで医師による診察に入ります。診察では聞き取りや検査の結果を踏まえ、これまでの経過と、日常生活にどの程度支障が出ているのかを確認して治療方針を決めていきます。宮澤先生は、ご本人の症状だけでなくご家族の様子にも目を配り、必要に応じて介護サービスの利用を勧めています。

「在宅介護者の4人に1人がうつ状態という報告もあり、いわゆる“介護うつ”は、非常に深刻な問題です。中には虐待や無理心中に至ることもありますから、ご家族の疲弊に早く気づいて適切にフォローすることが大切だと考えてます」(宮澤先生)。

北海道全体では18の医療機関が認知症疾患医療センターの指定を受けていますが、札幌市には指定を受けた医療機関がまだありません(2018年3月現在)。そのため、近隣のクリニックや病院から助言を求められることも多く、同院で認知症の診断と治療方針を決定したうえで紹介元の施設へ戻すなど、地域の認知症医療を提供する中で中心的な役割を担っています。

共同開発した簡易検査で、早期発見・早期対応を推進

精神科病院ながらもMRIを完備精神科病院ながらもMRIを完備

宮澤先生は、認知症診療の中でも特に早期発見・早期診断を重視しており、これまでもアルツハイマー型認知症でのMRIなどの画像解析や脳磁場測定の研究に携わってきました。また、3分程度で行える、アルツハイマー型認知症検査の必要性を判断する“Me-CDT”というスクリーニング検査を道外の医師2人と共同開発しており、「かかりつけ医の先生でも手軽に検査ができるので、高血圧や糖尿病の患者さんが薬を飲み忘れたときなど、異変に気付いたらすぐに検査して早期発見につなげてほしい」と呼びかけます。

「認知症の方の多くは、できるだけ長く家族と過ごしたい、夫婦で旅行に行きたい、親族の結婚式に出たいなど、普通の生活を希望されています。残念ながら現状では根治療法はありませんから、なるべく早期に発見してリハビリテーションとケア、薬物療法の3本柱で認知症の進行を少しでも遅らせることで、その人らしい、充実した毎日を送ってほしいと願っています」(宮澤先生)。

認知症に特化した相談窓口を立ち上げ、細やかなサポートを提供

精神保健福祉士 宮田幸亮さん精神保健福祉士 宮田幸亮さん

現在、同院で認知症に関するあらゆる相談窓口となっているのが、2017年4月に開設された認知症地域連携室です。同室の専従スタッフで精神保健福祉士の宮田幸亮さんは、開設の経緯について「以前は認知症に関する相談も、他の疾患と同じ医療福祉相談室で対応していましたが、認知症で困っておられる方やご家族は多いのに、医療や介護になかなか結び付かないという地域の状況を踏まえ、認知症に特化した相談窓口を設置することになりました」と話します。

「ご本人との関係が悪くなっていたり、BPSDで困っていたり、相談に至るまでに大変な思いをされているご家族が多いので、ご家族の気持ちに寄り添いながらお話をお聞きしています」という宮田さんは、月に20件前後の相談に対応しています。何度受診を促してもご本人が断固拒否して困っているというご家族の相談を受けることもあり、「こんな風に声をかけてみてはいかがですか」「次はこうしてみましょうか」などとご家族と一緒に対策を考えながらアドバイスしているそうです。

「最初のご相談から半年後にようやくご本人の受診に結び付いたこともありました。初診当日に、ご家族がホッとした表情で『やっと連れて来られました』とおっしゃられたりすると、医療につなげるお手伝いができたのかなと思い、うれしいですね」(宮田さん)。

宮澤先生は、初めて受診した認知症の人には「今日はよく来てくださいましたね」と感謝とねぎらいの言葉をかけており、ご本人にもご家族にも、「来てよかった」と思ってもらえるような対応を心がけています。

退院後の生活を支えるため、地域連携を強化

47床の認知症病棟を備える同院では、入院が必要な認知症の人を速やかに受け入れるとともに、退院後にスムーズに生活の場に戻れるよう、退院支援にも力を入れています。「入退院を円滑に進めるための院内調整や、近隣の介護・福祉施設との連携も、認知症地域連携室の業務です」と語る宮田さんは、病棟での朝の申し送りやカンファレンスにも参加して一人ひとりの状況や退院支援について把握し、施設の空き状況を確認してご家族に紹介したり、在宅療養を希望する方には地域のケアマネジャーと連携し、デイサービスを勧めたりしています。

また、宮田さんは少なくとも週に一度、地域の介護施設や事業所などを訪問し、顔の見える関係を築いて連携の強化を目指しています。「今は当院の特徴を知っていただくとともに、訪問したご施設が抱えているニーズを聞き取って、今後の連携の可能性を探っている段階」と話す宮田さんですが、訪問先の職員から「病院との距離感が縮まりました」といわれることもあり、手ごたえを感じているといいます。

電話で相談を受ける宮田さん電話で相談を受ける宮田さん

「介護従事者の方々からは、病院や医療関係者には気後れしてしまう、特に精神科病院は敷居が高いというお話をよく聞くので、こちらから出向くことで、まずは当院が気軽に相談できる場所であることを周知したいと思っています」(宮田さん)。

宮澤先生も「ご本人やご家族の中にも、精神科病院はハードルが高いという方がおられますが、横のつながりを作ろうと積極的に動いてくれたおかげで、周囲の施設からの相談や受診も増えてきました」と語り、宮田さんの仕事ぶりを評価しています。

地域連携の要となり、初期支援の充実を目指す

宮澤先生は、医学部の学生だった頃から21世紀は脳の時代だという認識を持ち、「高齢化の進展に伴い、ますます増加するであろう認知症の方を救わなければ」という思いから認知症医療に携わるようになったといいます。今後は行政とのネットワークを築いて、まだ医療につながっていない認知症の人とご家族に、より早期から関わっていける体制を整備したいと考えています。

「認知症で困っておられるご家庭は、まだまだたくさんあると思います。そこに積極的に介入し、必要な医療や介護につなげるためには、札幌市の認知症初期集中支援推進事業をはじめとする行政の取り組みを活用して、直接ご家庭を訪問するなどの多角的なアプローチが必要です」(宮澤先生)。

地域連携の先頭に立ち、認知症の早期発見と初期支援の推進に奔走する、宮澤先生とときわ病院のスタッフの皆さん。「地域のニーズに積極的に応えたい」という思いを胸に、これからも認知症の方とご家族が、穏やかで安定した生活を送れるように支えていきます。

 

取材日:2018年2月14日

ときわ病院の外観

特定医療法人さっぽろ悠心の郷
ときわ病院

〒005-0853
北海道札幌市南区常盤3条1丁目6番1号
TEL:011-591-4711

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