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認知症専門医による的確な診断・治療と、多職種によるサポートで認知症医療に貢献
<東京都世田谷区 公益財団法人 日産厚生会 玉川病院 >

院長 和田義明先生
院長 和田義明先生

東京23区で最も多い約90万人(2018年3月現在)の人口を抱える世田谷区で、長年にわたり総合的な医療を提供してきた玉川病院。脳神経外科には正常圧水頭症外来を設置し、2018年4月には脳神経内科にもの忘れ外来を開設しました。外来では認知症の的確な診断と治療に努め、病棟では認知症を合併した患者さんへの多職種によるサポートが始まっています。

地域密着の中核病院として、かかりつけ医と連携した治療を

多摩川を見下ろす緑豊かな丘の上にある玉川病院は、1953年の開院以来、60年以上にわたって地域医療に貢献してきました。二次救急病院として年間4,000回を超える救急搬送を受け入れ、30近い診療科と389の病床を備えて急性期から回復期・リハビリテーションまでの幅広い医療を担っています。院長の和田義明先生は、「世田谷区は人口が約90万人いますから、それに比例して、認知症の方も数多くいると推計されます。また、単身世帯や高齢者世帯も多く、認知症に気づかない、あるいは気づいてもどうしていいかわからない方もおられるのではと思います」と話します。

「かかりつけ医からの紹介や、ご自分で認知症を疑って受診する方がいるほか、当院は救急搬送をできる限り受け入れており、その中に認知症を合併されている方が少なくありません。地域密着の総合病院である以上、認知症に関わることは避けて通れないと考えています」(和田先生)。

世田谷区医師会と玉川医師会では、認知症の人が地域で診断・治療・療養を継続できるように、地域の医療機関が連携して「世田谷区認知症診断地域連携クリティカルパス」を実施しています。認知症の診断が必要なときには、かかりつけ医が「世田谷区もの忘れ診断ネットワーク病院」に紹介し、認知症かどうか、また、どのタイプの認知症なのかを診断した後、ご本人、ご家族、かかりつけ医と治療計画を共有して、かかりつけ医のもとで治療を行っていく仕組みです。同院も世田谷区もの忘れ診断ネットワーク病院の一つであり、かかりつけ医からの依頼に対応しています。また、もの忘れ診断ネットワーク病院同士が連携して、医療従事者や地域住民向けの講演会なども開催しています。

検査結果だけでなく、ご本人の対応やご家族の話を重視して診断

和田先生はかつて勤務していた病院で、脳神経内科医として精神科医と共に認知症治療にあたった経験があります。同院では、脳神経内科のほか、リハビリテーション科でも脳疾患後に認知機能が低下した患者さんをサポートしています。

和田先生は、認知症の鑑別診断の際に、長谷川式簡易スケールやMMSE(認知機能検査)などの神経心理検査を自ら行います。点数だけで評価するのではなく、ご本人の言動から病識の有無などを把握し、状況を確認するためです。検査である程度の点数がとれていても、ご本人の言動やご家族からの聞き取りを踏まえて、必要があれば薬物療法を提案します。

「ご本人の反応や答え方を直接確かめるのが大事だと思うので、最初の検査は自分で行います。そのうえで画像検査を行ったり、MRIの画像をVSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)で解析して海馬の萎縮を確認したりしますが、あくまで判断材料の一つと考えています。対峙したときのご本人の印象や、日々接しているご家族の話から状況を知ることが大切です」(和田先生)。

認知症診療では、和田先生はご本人だけでなく、“ご家族も診る”ことを心がけています。それは、ご家族の負担を減らすためでもあり、ご本人の尊厳を守るためでもあります。

「認知症になっても、今までのすべてが消えてしまうわけではありません。ご本人の言動は認知症の症状によるものであって、ご本人が悪いわけではないということをいつもご家族にお伝えしています」(和田先生)。

認知症専門医が担当するもの忘れ外来を脳神経内科に新設

脳神経内科 久保寺隆行先生 脳神経内科 久保寺隆行先生

同院では、2018年4月から脳神経内科の医師によるもの忘れ外来を開設しました。現在、脳神経内科では和田先生を含め4人の医師が認知症治療にあたっており、もの忘れ外来は、そのうちの2人の認知症専門医が担当しています。その1人である久保寺隆行先生は、もの忘れ外来開設の理由について「認知症は初診に時間がかかるため、予約制の専門外来にして、しっかり時間をとって行うことにしました」と語ります。もの忘れ外来は2週に1回からスタートし、状況に応じて増やしていく予定です。

「専門外来を立ち上げると、院外からの紹介も増えてくると思います。てんかんや血管障害でも認知機能が低下することがあるので、そういった疾患を見落とさないでしっかり診断していくことが大切だと考えています」(久保寺先生)。

脳神経外科では正常圧水頭症外来を設けて、治る認知症に対応

認知症の症状を呈する疾患に正常圧水頭症があります。正常圧水頭症は、脳室にたまった髄液が脳を圧迫することで、認知機能の低下や歩行障害、排尿障害などを引き起こしますが、手術によって症状がほとんどなくなることもあるため、同院では脳神経外科に専門外来を設けて診断と治療に力を入れています。

脳神経外科 御任明利先生 脳神経外科 御任明利先生

週1回の正常圧水頭症外来は、脳神経外科医で認知症専門医でもある御任明利先生が担当しています。水頭症が専門の御任先生は、以前勤務していた2つの病院ではもの忘れ外来を担当し、アルツハイマー型やレビー小体型などの認知症治療にも携わっていました。同院でも、正常圧水頭症の患者さんがアルツハイマー型やレビー小体型の認知症を合併している場合には、水頭症の治療後も引き続いて御任先生が担当しています。

診断の際は、まずMMSE(認知機能検査)やMoCA-J(軽度認知障害スクリーニング)で認知機能を確認したうえでCT検査を行い、最後にMRI検査と、パーキンソン病など他疾患との鑑別診断を行います。御任先生は「初期の段階でご本人が自覚されることは少なく、ご家族が『同じことを繰り返し言う』などと相談に来られることが多いので、ご家族からの情報を大切にしています」と話します。

「ご家族に詳しく聞いてみると、徘徊があったなどの情報が得られることもあります。ご家族とご本人からある程度情報を聞き取ったところで、ご本人だけとお話しして、その後にご家族だけとお話しするようにしています」(御任先生)。

一方で御任先生は、ご本人との信頼関係も重視しており、「ご本人と直接向き合わないと信頼関係は築けません。パソコン画面を見ながらではなく、ご本人のほうに体を向け、目を見てお話を聞くようにしています」と話します。

「最近、マスコミでも取り上げられることが増えたので、ご家族が『親が水頭症なのではないか』といって連れて来られることや、かかりつけ医の先生や、院内他科からの紹介も多いですね。また、転倒で救急外来に来られた方の中に、正常圧水頭症の患者さんが一定数おられるので、精査して治療につなげています」(御任先生)。

多職種によるケアチームが、認知症を合併した入院患者さんをサポート

同院は、回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟を含め389病床を備えており、入院患者さんのうち、認知症を合併している人は100人を超えています。2017年12月からは全病棟の認知症の人を多職種でサポートする認知症ケアチームがスタートしました。同チームは、認知症の人への対応力を高めるために、当初は看護師のみのプロジェクトとして始まり、その後多職種の協力を得て立ち上がりました。現在は、特に対応が必要な認知症の人に、医師、認知症看護認定看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士で構成されたチームが、週に1回院内ラウンドを行っています。

リハビリテーション科・脳神経内科 日熊麻耶先生 リハビリテーション科・脳神経内科
日熊麻耶先生

認知症看護認定看護師 山﨑美樹さん 認知症看護認定看護師 山﨑美樹さん
認知症看護認定看護師 元吉希与さん 認知症看護認定看護師 元吉希与さん

リハビリテーション科医であり、神経内科医として外来で認知症診療にも携わる日熊麻耶先生も、認知症ケアチームのメンバーの一人です。日熊先生は、「環境を整えたり、看護の対応を変えたりといったアドバイスは認知症看護認定看護師が行いますが、疾患の症状や薬の副作用などを包括的に診るには、薬剤師やリハビリスタッフの意見も必要です。限られた時間の中ですが、ご本人の状況を確認して、病棟の看護師ともコミュニケーションをとって、必要があれば薬剤の変更や追加を行っています」と話します。

チームの中心メンバーである認知症看護認定看護師の山﨑美樹さんは、「術後せん妄を起こしている方や、混乱が強い方を優先して院内ラウンドを行っていますが、その調整も含めて幅広く対応しています」と話します。

「各病棟の看護師から依頼書が来るので、その依頼に基づいてチームでご本人の状況を確認し『この方にはこういうことが起きているのではないか、だからこうしてみたらいいのでは』といったアドバイスをしています。認知症の方への対応のロールモデルになれたらうれしいですね」(山﨑さん)。

同じく認知症看護認定看護師の元吉希与さんも、「各病棟に認知症対応の研修を受けたリンクナースがいますので、認定看護師と病棟スタッフをつなぐリンクナースを通して、認知症の方への対応の仕方を他の看護師にも伝えていけたらと思っています」と話します。

「認知症の方はご自分の思いを中々伝えられないので、その代弁者となり、周りの方や医師に思いを伝えるのも役割だと思っています」(元吉さん)。

認知症を合併している入院患者さんに院内デイケアも提供

看護師 杉本二三代さん 看護師 杉本二三代さん

同院では、認知症を合併している入院患者さんに対して院内デイケアも実施しています。認知症ケアチームの立ち上げにも関わった回復期リハビリテーション病棟の看護師長の杉本二三代さんは「認知症ケアチームも院内デイケアも、最初は看護部として認知症のケアをどうにかしていきたいという思いから始まりました」と語ります。

院内デイケアでは、体操やボールを使った運動などのほか、歌などのレクリエーションや、個人で取り組める塗り絵や折り紙などを行っています。全病棟から10人ほどの認知症の方が週に1回、2~3時間参加しており、看護師と介護福祉士がサポートするのに加え、医師や理学療法士が顔を出すこともあるといいます。

和田先生は「院内デイケアは、認知症のある方にうまく対応するための方法の一つです」と話し、日中にデイケアで活動することで、夜の安眠につながることも期待しています。

さらに病院全体で認知症ケアの質向上を

もの忘れ外来の開設や、認知症ケアチームの立ち上げなど、よりよい認知症診療に駒を進めている同院ですが、和田先生は、今後の課題として、現在医療につながっていない認知症の人の存在を挙げます。

「独り暮らしの方は、認知症になってもなかなか気づくことができません。病院に来られない方を当院だけですくい上げるのは難しく、地域のつながりの中で、『あの方、大丈夫かしら』といった“余計なおせっかい”が必要なのかもしれません。また、病院には行きたがらなくても、医師がご自宅に伺えば受け入れてくれる方が多いと聞きますので、在宅医療に取り組むかかりつけ医との連携も重要になってくると考えています」(和田先生)。

玉川病院の皆さん 玉川病院の皆さん

 

取材日:2018年3月16日

 玉川病院の外観

公益財団法人 日産厚生会 玉川病院

〒158-0095
東京都世田谷区瀬田4-8-1
TEL:03-3700-1151

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