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一人ひとりに合った治療とリハビリテーションでQOLの向上を追求
<北海道札幌市 医療法人渓仁会 札幌西円山病院>

神経内科総合医療センター長 千葉進先生 神経内科総合医療センター長
千葉進先生

札幌市中央区にある札幌西円山病院は、1979年の開院以来、高齢者医療やリハビリテーション医療を中心に提供してきました。2016年4月には神経内科診療の強化を掲げ、神経内科総合医療センターを開設し、神経内科疾患全般に対応してきました。医師やリハのセラピスト・看護師をはじめとする多職種のスタッフがそれぞれの専門性を発揮し、神経難病の患者さんとご家族を支えています。

神経内科疾患への対応強化を目的にセンターを開設

札幌西円山病院は、札幌市を中心に複数の病院やクリニック、介護老人保健施設などを運営する渓仁会グループを運営母体に持つ、主に神経内科、高齢者医療を提供する病院です。診療科として内科・神経内科・リハビリテーション科・循環器内科・歯科を標榜し、一般障害者病棟、医療療養病棟や回復期リハビリテーション病棟を含む603の病床を有しています。

同院には2016年以前から神経内科専門医が在籍していたものの、入院患者や他施設からの紹介患者を中心に診療しており、外来診療は行っていませんでした。しかし、パーキンソン病の新規発症は札幌市だけでも年間200例を上回っており、年々増加傾向にあるといわれています。このような状況に対応するため、同院では神経内科診療の強化を掲げ2016年4月に神経内科総合医療センターを開設しました。同センターでは神経内科診療を行うだけでなく、リハビリテーション医療にも注力しており、理学療法士、作業療法士、言語療法士など180名を超えるリハビリスタッフが対応しています。

センター長で同院の副院長でもある千葉進先生は、40年以上の臨床経験を持つ神経内科の専門医です。「長期的な神経難病の治療という観点からは、薬物療法だけでは治療の限界が見えてくる時期があります。そういうときにリハビリを行うことでベストな状態で患者さんのケアができるのです。もちろん病初期からのリハの介入も必須ですが」とリハビリテーション介入の有効性について語ります。

もともとは神経難病への対応を主たる目的として開設された同センターですが、高齢者医療にも注力しているため、認知症の人も多いとのことです。認知症診療では精神科や心療内科、脳神経外科など診療科が多岐にわたりますが、特に初期段階では精神科での受診をためらう方もいることから、千葉先生は「精神科には行きづらいけれど神経内科なら、ということで当科を受診される方も多いですね」と語ります。

また、パーキンソン病などの神経変性疾患で治療中の方が認知症を併発することもありますが、千葉先生は「BPSD(周辺症状)などの精神症状が強い方は一時的に精神科の先生にコントロールを依頼するものの、基本的には可能な限り当センターで継続して診療しています」と話します。

「認知症は長い経過をたどる病気であり、看取りも含めて最期まで継続して診ていくことが大切です。当院では渓仁会グループ内の多様な施設、さらには近隣の神経精神科の施設と連携し、認知症の方への医療と介護を切れ目なく提供できる体制を整えています」(千葉先生)。

常にアンテナを張り、“治る認知症”を見逃さない

認知症の疑いがあるときには、医師による問診に加えて、長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)、WAIS-Ⅲ(ウェクスラー式知能検査)などの高次機能検査で診断します。必要があれば画像検査も実施しますが、その意義について千葉先生は「基本的には他の疾患の合併がないかを見極めるため」と話します。

認知症とよく似た症状がみられる疾患も多いため、診断を行ううえで千葉先生が最も重視しているのは、特発性正常圧水頭症や橋本脳症、あるいは甲状腺機能低下症などの“治療可能な治る認知症”を見逃さないことだといいます。

特発性正常圧水頭症が疑われるときは、院内のCT、MRI画像を参照しますが、必要な症例についてはグループ内の関連病院に依頼して脱血流SPECT検査も実施します。また、甲状腺機能低下症には脱毛や皮膚の乾燥など特徴的な臨床症状も重要ですが、中にはそのような症状がみられないこともあるため、血液検査も行います。

「特発性正常圧水頭症だと診断したときは、脳神経外科のシャント手術で劇的に症状が改善する患者さんがおり、また、橋本脳症であればステロイドが奏功する方も多いので、これらの疾病が基礎疾患に無いか、常にアンテナを張り、正確な鑑別診断を心がけています」(千葉先生)。

一人ひとりに合ったリハビリテーションでQOLの向上を目指す

作業療法士 石川朝子さん 作業療法士 石川朝子さん

作業療法士の石川朝子さんは、認知症の原因疾患や重症度、ご本人の個性に配慮しながら、その人に合ったリハビリテーションを提供しています。例えばMCI(軽度認知障害)や認知症の初期段階であれば進行予防を目的とした運動療法や計算ドリルなどの脳トレーニング、手先を使った作業といったプログラムを行います。一方、中等度以降でBPSDが強い人には、園芸療法や音楽療法など感情や感性に働きかけるプログラムを導入し、機能の維持や改善ばかりでなく、症状を穏やかにして生活の安定を目指したアプローチをしていきます。

また石川さんは、「認知症の方のリハビリには、生活歴や職歴などの情報を入手することがとても重要」といい、「ご本人が輝いていた頃のお話をお聞きして、どのような生活をされていたのかイメージを膨らませながらプログラムを作成しています」と語ります。

「多発性硬化症で認知障害もあり、胸から下の筋肉が全く動かず意欲も低下している方がおられました。ご家族から『昔は学校の寮母をしていて、学生さんに食事を用意していた』とお聞きしたので、職員用に大量にうどんをゆで、ご本人にはゆで上がったうどんをおわんによそって手渡すところを担当していただきました。昔の記憶がよみがえってきたのかとても楽しそうで、いい表情をされていたのが印象的でした」(石川さん)。

同院の作業療法科では勉強会や症例検討を積極的に行っており、石川さんは「スタッフ全員が知識を共有し、勘や当て推量のリハビリではなく、科学的根拠に基づいた、より質の高いリハビリの提供を追求していきたいですね」と、笑顔を見せます。

検査を通してご本人の思いを医師に伝える

臨床心理士 内海悠さん 臨床心理士 内海悠さん

臨床心理士の内海悠さんは、千葉先生をはじめとする医師からのオーダーを受け、認知症の診断や評価に必要な認知機能検査を担当しています。内海さんが入職するまで同院には心理職のスタッフは在籍していませんでしたが、千葉先生が病院に働きかけて採用することになったといいます。

「作業療法士も長谷川式簡易評価スケールやMMSEを勉強していますから検査・評価はできますが、リハビリに専念してもらいたいと思ったのです。また、同じ検査結果を見ても、職種が違えば異なる視点から意見交換でき、作業療法士と臨床心理士で相談しながら患者さん個人個人の病態、個性に適合したリハビリを進められるのではないかという期待もありました」(千葉先生)。

認知機能検査には検査時間が10分程度と簡便なものもありますが、WAIS-Ⅲのように2時間ほどを要する詳細な検査もあります。内海さんは「先生からオーダーされた検査はもちろん全部やりたいのですが、嫌がる人に無理に検査をすると実際の状態よりも悪い結果が出ることもあります」といい、これ以上は難しいと判断すれば途中で検査を切り上げて別の日にやり直すなど、柔軟に対応し、正確な検査を心がけています。

「認知症の方は、医療の知識がない中で一生懸命自分の違和感を伝えてくださいます。検査の結果や評価を通して、ご本人が抱いている違和感の背景を把握し、きちんと先生方にお伝えできたときは、臨床心理士としてのやりがいを感じます」(内海さん)。

千葉先生は、「我々医師が外来で長時間ご本人やご家族からお話をお聞きするのはなかなか難しいのが実情です。ですから臨床心理士がご本人、ご家族とじっくり向き合う中で得た情報をフィードバックしてくれるのは、非常にありがたいですね」と、内海さんを頼りにしています。

認知症の人を支えるシステムの構築と次世代への継承が責務

同院では、5年前から認知症カフェ「スマイルカフェ」を月1回開催しています。お茶やお菓子の提供のほか、相談会やリハビリテーション体験、認知症についてのレクチャーなどを行い、認知症の人とご家族、認知症に関心のある地域の人たちが一緒に午後のひとときを過ごします。スマイルカフェでリハビリテーション体験の講師を務めることもある石川さんは、「ご家族の対応がご本人の気持ちを傷つけ、症状を悪化させてしまうこともあります」と語り、「スマイルカフェで認知症の病態やご本人との適切な接し方を専門職の立場からお話することで、ご家族や地域の方への理解につなげていければと思っています」と、啓発活動の大切さを語ります。

そんな石川さんの言葉にうなずきながら、「ご家族の病気への理解度が、患者さんご本人ばかりでなくご家族の将来を決めると言っても過言ではありません」と話す千葉先生。その一方で「介護のために若い世代が自分たちの生活を犠牲にしたり、人生の選択肢を狭めたりすることのないよう、要は共倒れすることのないようにサポートすることも大切です」と訴えます。

「認知症の方とご家族が利用できる、さまざまな支援制度がありますが、意外とご存じないご家族が多い印象です。当院でも医療ソーシャルワーカーを中心に、社会資源を有効活用できるよう周知を行っています」(千葉先生)。

また、千葉先生は今後の課題として「病気の発症初期から維持期、終末期に至るまで、世代をまたいで一貫して診療できる病院システムの構築」を掲げます。

札幌西円山病院のみなさん 札幌西円山病院のみなさん

「少子高齢化は進んでいますが、仮に25%の人が認知症になっても、他の3人が健康であれば、認知症の患者さん1人を支えることもできるのです。病気の人を皆で支えるシステムを構築して次の世代に伝えていくことが、私たちの責務だと感じています」(千葉先生)。

 

 

取材日:2018年3月8日

札幌西円山病院の外観

医療法人渓仁会 札幌西円山病院

〒064-8557
北海道札幌市中央区円山西町4丁目7-25
TEL:011-642-4121

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