『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 千葉県 > 千葉県鴨川市 医療法人明星会 東条メンタルホスピタル
医療機関を探す

安房地域の認知症医療の拠点として、地域連携を推進
< 千葉県鴨川市 医療法人明星会 東条メンタルホスピタル >

東条メンタルホスピタル 認知症疾患医療センター センター長 金井重人先生 東条メンタルホスピタル
認知症疾患医療センター センター長
金井重人先生

千葉県鴨川市にある東条メンタルホスピタルは、統合失調症やうつ病などの精神疾患はもちろん、高齢化が進む地域のニーズに応え、認知症医療にも積極的に取り組んでいます。2013年には千葉県で6番目となる認知症疾患医療センターに指定され、外来・入院・リハビリテーション・在宅と、さまざまな場面で認知症の人とそのご家族を支えています。

安房地域で初めての認知症疾患医療センターを開設

房総半島の南東部、太平洋側に位置する千葉県鴨川市。医療法人明星会が運営する東条病院は、美しい海岸線などの豊かな自然と温暖な気候に恵まれたこの地に1893年に創設されました。当初は診療科として内科・外科・小児科の3科でスタートしましたが、時代の変化と地域の医療ニーズに合わせて産婦人科や精神神経科、整形外科などを新設し、現在はリハビリテーション科や皮膚科などを加えた10の診療科を有する総合病院として地域住民の健康を支えています。

その東条病院から精神神経科を独立させて1993年に開設されたのが、東条メンタルホスピタルです。精神科医として2010年から同院に勤務する金井重人先生は、「私が入職した当時から認知症治療を行っていましたが、妄想や興奮といった症状が強く出て初めて受診される方が多かったですね」と、当時を振り返ります。

「BPSD(周辺症状)のためにご家族が大変な思いをされると、入院加療によってBPSDが改善しても、家族関係が修復できずに帰る場所がないということにもなりかねません。それを避けるためにも、もっと早い段階から認知症の方やご家族と関わっていく必要があると感じていました」(金井先生)。

鴨川市のほか館山市、南房総市、安房郡鋸南町からなる安房地域の高齢化率は37.7%(2015年)で、国や千葉県と比較して高齢化が進んでいます。しかし、人口10万人当たりの医師数は全国トップクラスの水準にあり、金井先生は「そういう意味では、安房地域は高齢者にやさしい医療と福祉の町という特徴があると思います」と話します。その一方で認知症専門医の数が少なく、認知症の早期診断・早期対応が十分でないという課題もありました。

そこで同院は2013年に千葉県からの指定を受け、県としては6番目、鴨川市を含む安房地域では初めての認知症疾患医療センターを開設。金井先生がセンター長に就任し、認知症の早期診断と早期治療、認知症に関する相談などにも対応できる体制を整えました。

開設から5年経った現在では、地域包括支援センターや、ケアマネジャーなど介護関係者からの連絡や相談から受診につながることも多くなり、金井先生は、「認知症が疑われた場合の受診ルートが浸透し、以前に比べて早い段階で受診される方が増えています」と、成果を実感しています。

初期段階の認知症を見逃さず、治療につなげる

認知症を診断する際に、同院ではご本人やご家族への問診のほか、心電図検査や頭部CT検査、長谷川式簡易評価スケールやDASC(認知症総合アセスメント)、日本語版COGNISTATなどの検査を行います。その後、必要に応じて、STM-COMET(コンピュータ化記憶機能検査)も実施します。この検査は認知症まで至らない記憶障害の検知に優れており、金井先生は「長谷川式簡易評価スケールの結果は高得点でも、STM-COMETでは典型的なアルツハイマー型認知症の所見が出ることもあります」と語り、初期段階の認知症を見逃さず、治療につなげるための重要な検査と位置づけています。

ほとんどの方は、初回の検査でおおむね診断はつくそうですが、初めての受診でいきなり認知症だと告知されるとショックを受ける方が多いため、金井先生はご本人、ご家族への配慮から、検査当日は「もの忘れや思い出しづらいという症状がみられるので、もう少し詳しく検査しましょう」と伝えるにとどめ、2~3回目の診察で病名を伝えるようにしています。

薬物を使ってご本人の治療を進めていく中で、ご家族には認知症の方への接し方や日常生活に関するアドバイス、さらには心のケアなどを行い、心の準備ができて今後の治療の見通しが固まったところで、基本的にはかかりつけ医に戻すようにしています。

医療・介護・行政が連携し、認知症の人を地域で支える

東条メンタルホスピタル 認知症疾患医療センター 精神保健福祉士 中川真樹子さん東条メンタルホスピタル
認知症疾患医療センター 精神保健福祉士
中川真樹子さん

認知症疾患医療センター専従の精神保健福祉士である中川真樹子さんは、認知症に関するさまざまな相談や問い合わせに対応しています。「もの忘れが気になる」といったご本人、ご家族からの相談があれば病状を詳しく聞き取り、もの忘れ外来に予約を入れたり、まだ介護保険を利用していなければ利用できる社会資源や申請方法を説明したりして、医療や介護につなげます。

入院していた方の退院支援では、できるだけ元どおりの生活に戻れるよう、ご本人とご家族双方の気持ちに寄り添いながら迅速な対応を心がけています。在宅での生活が難しい場合には入居できる介護施設を探しますが、中川さんは「安房地域は他機関・多職種との距離が近く、行政の方やケアマネジャーさんの協力を得られやすいのでとても助かっています」と笑顔を見せます。

「安房地域では安房地域認知症連携医療協議会など、多職種向けの講演会や勉強会などが定期的に開催されているので、他機関の方と顔を合わせる機会もよくあります。顔の見える関係が出来上がっているので、連携も非常にスムーズですね」(中川さん)。

また、介護施設に入居を打診する際には、金井先生が「具合が悪くなったときは、また当院で診ます」と約束していることも、施設側の安心感につながっています。

“その人らしさ”を大切にしたリハビリテーションを提供

東条病院 理学療法士 周東和彦さん東条病院 理学療法士 周東和彦さん
リハビリテーションルームリハビリテーションルーム

東条病院の理学療法士、周東和彦さんは、主にデイケアでのリハビリテーションを通じて認知症の人と関わっています。デイケアの利用が決まった方には長谷川式簡易評価スケールで認知症の評価を行い、その結果に基づいて一人ひとりに適したプログラムを作成します。プログラムの内容は、脳トレのようなドリル、塗り絵、作品づくり、園芸など脳の活性化につながる活動のほか、生活能力の維持・向上に向けた運動プログラムも併せて実施しています。

デイケアは、認知症の人にとっては週に2、3回通うだけの、あまりなじみのない場所です。周東さんは「慣れない場所でも楽しく活動できるよう、その方の生活背景などの情報を得て、“その人らしさ”を発揮できるプログラムの提供を心がけています」と話します。

「作成したプログラムを行う中で利用者さんの笑顔が見られると、この仕事をしていてよかったとうれしくなります。利用者さんやご家族から笑顔を少しでも多く引き出せるようにと思いながら、日々、認知症の方と関わっています」(周東さん)。

ご本人とご家族の気持ちに寄り添う看護を実践

東条メンタルホスピタル 看護師 塚真弓さん東条メンタルホスピタル 看護師 君塚真弓さん

東条メンタルホスピタルの病棟看護師、君塚真弓さんは認知症専用エリアに勤務し、健康管理をはじめ、食事や入浴、排せつなどの日常生活の介助、夜間の睡眠状態のチェックなど、認知症の方のケア全般を担当しています。

「認知症の方に接するときは、間違いを指摘したり、否定したりせず、ご本人のプライドを傷つけないよう心がけています」と話す君塚さん。認知症の方が「家に帰る」と主張して病室から出ていこうとしても引き止めず、「じゃあ一緒に帰りましょうか」と声をかけて行動を共にします。また、夜中にベッドを動かし始めた人がいたときも、ケガをしないよう気をつけながらベッドを移動する様子を見守っていたそうです。

「帰宅願望のあった方は、お話ししながら歩いているうちに『じゃあ今日は泊っていこうかな』とおっしゃって自分から病室に戻られましたし、ベッドを動かした方もしばらくすると疲れて眠ってしまわれました。認知症の方の感情の安定には、行動を無理に止めずに見守ることが大切だと感じています」(君塚さん)。

東条訪問看護ステーション 看護師 小粒佳子さん東条訪問看護ステーション
看護師 小粒佳子さん

東条訪問看護ステーション所属の看護師、小粒佳子さんは、在宅療法されている利用者宅を訪問しており、事業所全体で50件ほどの家庭を担当しています。高齢化に伴い、年々認知症の利用者が増加してきていると感じています。1回30分から60分という短い訪問時間で、バイタルチェックなどの健康管理のほか、服薬状況の確認、認知症状の観察や介護状況、生活環境のチェックなど、さまざまな側面からアセスメントを行い、必要に応じて金井先生や担当のケアマネジャーなど関連機関につないでいます。

また、小粒さんはご本人だけでなく、ご家族の様子にも気を配っています。

「ご家族は非常に一生懸命に介護されていますが、だからこそ疲れてしまってご本人に適切な対応ができず、そのことでご自分を責めてしまう方もおられます。ですから、訪問したときにはご家族の介護に対してねぎらいの言葉をかけ、困りごとや悩みがないか確認するようにしています」(小粒さん)。

認知症の人の思いをくみ取ることは難しく、それがご家族のストレスになることもあります。小粒さんは認知症の方のその人らしさを大切にしながらご本人の気持ちを代弁してご家族に伝えたり、状況に合わせた具体的な対応の仕方をアドバイスしたり、ときにはご家族が気分転換できるようショートステイの利用を勧めたりと、ご家族の介護負担の軽減に努めています。

専門職向けの勉強会を開催、地域全体でスキルアップを目指す

東条メンタルホスピタルの運営母体である医療法人明星会は、訪問看護ステーションやデイケアのほかにも、居宅介護支援事業所やグループホームなどの関連施設を併設しています。同法人では組織の垣根を超えた「認知症診療部」を設けており、医師、看護師、社会保険福祉士、理学療法士など多職種が集まって、月1回の勉強会を開いています。

法人内の勉強会とは別に、認知症疾患医療センターとしても医療・介護・福祉関係者を対象とした勉強会を年1回開催し、地域の認知症医療の底上げに力を入れています。

「安房地域には勉強熱心な専門職の方が多く、毎回150人ほどが参加されています。ただ、参加者が固定化する傾向もあり、今後はより幅広い人たちをどう巻き込んでいくか、そこが一つの課題だと思っています」(金井先生)。

金井先生とスタッフの皆さん金井先生とスタッフの皆さん

「認知症の方とご家族が、人生の最後の時期を穏やかに、満ち足りた気持ちで過ごせるよう、サポートすることが大切」と話す金井先生は、「精神科医として、その人の人生に寄り添っていきたい」という真摯な思いを胸に、信頼できるスタッフとともにこれからも地域の認知症医療をけん引していきます。

 

取材日:2018年10月15日

東条メンタルホスピタルの外観

医療法人明星会 東条メンタルホスピタル

〒296-0044
千葉県鴨川市広場1338番地
TEL:04-7092-2138

施設のホームページへ

医療法人明星会 東条病院

〒296-0044
千葉県鴨川市広場1615番地
TEL:04-7092-1207

施設のホームページへ

医療法人明星会 東条訪問看護ステーション

〒296-0044
千葉県鴨川市広場1665番地
TEL:04-7093-5438

施設のホームページへ

 

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ