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大学病院として高度な医療を提供するとともに、地域に密着して近隣住民を支える
< 東京都狛江市 東京慈恵会医科大学附属第三病院 >

東京慈恵会医科大学附属第三病院
精神神経科 診療医長 矢野勝治先生 東京慈恵会医科大学附属第三病院
精神神経科 診療医長 矢野勝治先生

東京慈恵会医科大学国領キャンパスに隣接する東京慈恵会医科大学附属第三病院は、1950年の開院以来70年の長きに渡って地域住民へ高度な医療を提供してきました。地域の高齢化に対応して精神神経科にもの忘れ外来を設置し、2015年には認知症疾患医療センターの指定を受けて、認知症医療の拠点となっています。

精神神経科にもの忘れ外来を開設、他科とも協力して治療

東京慈恵会医科大学附属第三病院のある狛江市は、高度成長期に集合住宅が多く建設され、その居住者の高齢化が進んでいます。住民の高齢化に伴い認知症医療のニーズが高まったことから、同院が精神神経科にもの忘れ外来を開設したのは2005年のことでした。2015年には都の指定を受けて認知症疾患医療センターを設置し、地域の認知症医療の拠点として、専門的な鑑別診断や医療を提供しています。

精神神経科外来の診察室精神神経科外来の診察室

市内には病床を持つ病院が2つあり、そのうちの1つである同院に認知症疾患医療センターが指定されたことで、住民からの相談や近隣のクリニックからの紹介が増えました。2008年からもの忘れ外来を担当している精神神経科の矢野勝治先生は、「多くの患者さんをご紹介いただきますが、私以外の精神神経科の医師も認知症に対応できますし、運動失調があれば神経内科をご案内したり、脳神経外科でも老年外来で高齢者を診ており、複数の科が連携して認知症医療を行う体制ができています」と語ります。身体疾患のある認知症の人は、他科の先生とカルテで情報を共有しながら一緒に診ていきます。

問診を大切にし、診断をつけてかかりつけ医のもとへ

認知症の鑑別診断を求めて来院された方には、初診時に矢野先生が病歴から聴取し、後日必要な検査を行って診断につなげます。

「質問から返答までにかかる時間や質問に対する反応(とまどう様子)など、細かい部分も認知機能が関連します。スタッフに問診をしてもらって結果だけを聞くのでは、細かいニュアンスがわかりませんから、直接伺うようにしています」(矢野先生)。

検査では、血液検査や脳波検査、画像検査としてはMRIやCTに加え、脳血流シンチグラフィやパーキンソン病を発見するためにMIBG心筋シンチグラフィなど、さまざまな高度検査機器を駆使します。神経心理検査は、ベントン視覚記銘検査、ADAS(アルツハイマー病評価尺度)、MMSE(認知機能検査)、長谷川式簡易評価スケールなどを行います。前頭葉の機能低下が疑われる場合は前頭葉機能の検査、幻視などがあればレビー小体型認知症の可能性があるので幻視の検査(パレイドリアテスト)などに組み替えていきます。診断がつけば、かかりつけ医の先生に逆紹介するようにつとめています。

「普段はかかりつけの先生が診療を行い、当院にて検査や診療が必要になればまたご紹介いただく、主治医を2人持つ2人主治医制という考えをお伝えしています」(矢野先生)。

病棟では認知症ケアチームが多職種でサポート

認知症看護認定看護師 内木場あゆみさん認知症看護認定看護師
内木場あゆみさん

同院では、BPSD(周辺症状)が進んで入院が必要になれば、認知症の専門病棟のある医療機関に治療を依頼しています。しかし、身体疾患で入院する患者さんに認知症の症状があることも少なくありません。認知症を合併している入院患者さんを多職種でサポートするために、認知症ケアチームが発足しました。

認知症看護認定看護師の内木場あゆみさんは、精神科や内科の医師、精神看護専門看護師、精神保健福祉士、同大学の老年看護学の教授など多職種で構成される認知症ケアチームのメンバーです。認知症ケアチームは、週に1回、メンバーでカンファレンスを行い、必要に応じて病室を訪れ、ご本人や病棟看護師と話をして、多職種それぞれの視点から意見を出し合い、より良いケアについて検討しています。

内木場さんは、「入院という環境の変化はそれだけで認知症の方にはストレスとなり、情緒が不安定になることがあります」と言います。

夜眠れないという相談であれば、日中の過ごし方について情報を入手し、生活リズムを見直したり、可能であれば院内デイケアに参加してもらうなどの工夫をします。内科の医師がチームに加わっているため、内科的な視点からのサポートが得られ、さらに、精神看護専門看護師とも相談し、精神疾患と認知症の見極めが難しい入院患者さんへの対応も行っています。

手術などで計画的に入院する患者さんに認知症があれば、入院前から介入する場合もあります。外来受診日に内木場さんが足を運び、直接認知症の人やご家族と話をして、入院後のケアにつながるようアセスメントを行います。

内木場さんを中心に看護部で実施している院内デイケアは、患者さんが現在持っている能力を維持できるように始めました。週に2回参加者が集まって体操や歌に取り組み、生活の活性化やリズムの調整を目指します。

「現在参加者は7~8名ですが、いずれは参加人数や開催回数を増やし、看護部だけでなく、リハビリ部門の力も借りて拡大していきたいですね」(内木場さん)。

ソーシャルワーカーが病院とご家族、地域をつなぐ

医療ソーシャルワーカー 八城直子さん医療ソーシャルワーカー 八城直子さん

矢野先生は、「先進的な医療を行い大学病院としての役割を果たす一方で、地域に根ざした病院であることも当院の特徴です」と語ります。治療を行うだけでなく、ご本人やご家族と地域を橋渡しすることも重要です。

矢野先生が「病院とご本人・ご家族、病院と地域をつなぐ役割」と信頼をおく医療ソーシャルワーカーの八城直子さんは、認知症の方やご家族からの相談を受けています。認知症疾患医療センターに寄せられる相談だけでなく、外来を受診したり入退院する認知症の方にも対応します。八城さんは、「相談をお受けしていると、ご家族や親族がいない方や認認介護(認知症を介護している人もまた認知症を患っている状態)の方が急増していると感じます。今後の生活についてソーシャルワーカーが一緒に考えていく体制が必要です」と指摘します。

入院中の認知症の方が独居であれば、退院後の生活をどう支えるかを考えます。「独居であっても、施設入所を望まない認知症の方もいます。安心して生活ができるよう、医師・看護師や地域の支援者と一緒に退院後の生活を想像し、必要なサービスを考えていきます。無事に在宅復帰し、元気に外来に通院する姿が見られると嬉しいですね」(八城さん)。

医相談員が認知症の方やご家族と面談を行う面談室相談員が認知症の方やご家族と面談を行う
面談室

また、ご家族に対する支援として、認知症の人の介護者の交流会“慈恵 結びの会”も開催しており、介護者だけでなくご本人も参加できるよう工夫しています。水引を使ったしおりや箸置き、ポチ袋などの創作活動に取り組みながらご家族が情報交換や相談ができます。交流会に参加しスタッフに気持ちを話すことで、在宅介護を続けることができたご家族もいるそうです。

行政とも密接に連携、初期集中支援チームにも参加

認知症疾患医療センターの指定を受けていることもあり、行政との連携が密接なのも同院の特徴です。矢野先生と八城さん、内木場さんの3名は、市が開催する認知症連携会議に参加しています。認知症連携会議は、市内の医療従事者や介護従事者が意見を交わしたり情報を共有する場であり、市の認知症対策を後押しするものです。その活動の一環として、矢野先生は認知症初期集中支援チーム検討委員会の委員長を務め、発足後の現在はチームのメンバーとして、医療や支援につながっていない人をサポートしています。市からの要請で、同院スタッフが講演を行ったり、認知症サポーター講座の講師を務めることもあります。

「行政からの要望に応えて動く機動力があるのも当院の強みです」と矢野先生は言います。現在、市との共同研究で、同大学老年看護学 梶井文子教授を中心に「家族介護者の困りごと調査」を行っています。「情報の分析は大学の先生だからできることだと思います」と内木場さんは言います。調査し分析することで、机上で考えるより実態に近いニーズが明らかになると期待されています。強みを活かして行政に協力することも、ひいては地域の認知症の人やご家族への貢献につながると矢野先生は考えています。

“病気を診ずして病人を診よ”とは同大学学祖 高木兼寛先生の言葉です。「病気だけでなく、患者さん全体を診ることが大切なのですが、診療場面だけで医師一人が患者さん全体を掴むのには限りがあります。院内の多職種はもちろん、地域福祉の方や行政など、さまざまな方の力を借りて診ていくのが、"病人を診る"につながるのではないかと考えています」(矢野先生)。

 

取材日:2018年12月12日

東京慈恵会医科大学附属第三病院の外観

東京慈恵会医科大学附属第三病院

〒201-8601
東京都狛江市和泉本町4丁目11番1号
TEL:03-3480-1151

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