『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 茨城県 > 茨城県石岡市 医療法人新生会 豊後荘病院
医療機関を探す

精神科として専門的治療を提供する県中南部の認知症医療拠点
< 茨城県石岡市 医療法人新生会 豊後荘病院 >


豊後荘病院 院長<br />
森博昭先生
豊後荘病院 院長
森博昭先生

風光明媚な丘の上に立地する豊後荘病院は、60年以上にわたり地域に精神科医療を提供し、1988年には認知症専門病棟を設置して認知症医療にも取り組んできました。茨城県の中南部に認知症疾患医療センターがなかったことから、県から認知症疾患医療センター指定を受け、専門的な鑑別診断と治療を行っています。

認知症病棟を備え、内科病棟で合併症にも対応

豊後荘病院は、1952年に県内で初めて民間の精神科病院として開設され、以来60年以上にわたって地域に貢献してきました。外科医である院長の森博昭先生は、「当院がある八郷地区は高齢化が進み、認知症医療のニーズが高まっていたため、尽力する必要があると感じました」と、9年前に院長に着任した当時を振り返ります。

同院では、1988年に認知症専門病棟を設置しましたが、精神科の病棟だけでは身体疾患の合併症がある認知症の人の治療が困難だったため、2000年には内科病棟も設置しました。現在では内科の病棟に入院する人の半数以上が認知症であり、精神科と内科が連携して医療を提供しています。

また、同院は認知症病棟設置と同じ1988年に、県内初のアルコール依存症治療の外来と病棟を設置しており、森先生は「アルコールが原因の認知障害は認知症とは異なりますが」と前置きしたうえで、「当院では、アルコールが脳に影響し40〜50代で認知障害を起こした患者さんも診ているため、認知障害には深い関心を持っていました」と語ります。

精神科医だけでは十分には対応できない身体合併症を内科医が受け持ち、さらには「私が外科医であることから、転んで骨折するなど外科治療が必要な認知症の方にも対応できます」と、森先生は同院の特徴を強調します。

認知症疾患医療センターとして専門的な医療を提供

同院は、2016年に認知症疾患医療センターの指定を受け、認知症の診断・治療を行うほか、相談を受け付けたり、地域連携を推進する役割を担っています。センター長を務める瀬下透先生は「以前から、ある程度進行した認知症の方を受け入れていたため、専門的な医療を提供する機関として指定を受けたのは自然な流れでした」と語ります。

認知症疾患医療センター センター長<br />瀬下透先生認知症疾患医療センター センター長
瀬下透先生

現在、認知症を疑って相談があったときは、相談員が電話で病歴を伺い、初診では瀬下先生の診察、CT検査や神経心理検査を経て、その日のうちに診断をつけ、治療の方向性を説明するようにしています。

「ほかの病気であるにも関わらず、誤った治療を行っても症状はよくなりませんから、正しい鑑別診断をするよう心がけています」(瀬下先生)。

かかりつけ医からの紹介であれば、診断後、症状やかかりつけ医の希望などによって、併診か、引き続き同院で治療を行うかを決めていきます。瀬下先生は、「当院を受診される方は認知症が進行している方が多いです」と指摘し、進行するにつれてあらわれる症状の改善に力を注いでいます。

「ひとつの症状がよくなっても、次に違う症状があらわれるのが認知症の難しいところです。しかし治療がうまくいき、介護で苦労されていたご家族にとても感謝していただくこともあり、この仕事に携わる人間が得られる喜びかと思います」(瀬下先生)。

薬の情報提供や適切な見直しで治療継続につなげる

薬剤師 笹本太郎先生薬剤師 笹本太郎先生

薬剤師の笹本太郎先生は、薬の専門家という立場で認知症の患者様とご家族を、病棟スタッフと協力してサポートしています。外来と入院の両方の薬を調剤するほか、病棟を回り、服薬のことで困っていないかを確認し、必要があれば薬の剤型を見直すなどの調整をしています。

薬についての情報提供を行うのも笹本先生の役割です。「抗認知症薬は消化器などに副作用が出る場合があることを、外来ではご家族に、病棟では必要な情報を看護師に伝えるようにしています」と語る笹本先生は、副作用情報を事前に伝えておくと、実際に症状があらわれてもご家族や看護師に動揺はなく、薬物療法の継続につながると言います。薬を増量する投与方法についても、ご家族が不安や疑問を抱かれることもあるので、用法用量について事前にしっかり伝えます。

受診に付き添うご家族は、診察時に認知症の症状について話すのに精一杯で、それ以外の症状については伝えられない場合も少なくないため、診察後にフォローするのも笹本先生の役割です。

「ご家族とのやり取りのなかから、お薬が不要になっていたり、逆に必要になっていると感じていらっしゃる場合は速やかに主治医に報告することとしています」(笹本先生)。

ご本人を尊重して傾聴し、ご家族の思いも引き出す

精神保健福祉士 田上早苗さん精神保健福祉士 田上早苗さん

同院の相談員として、ご本人やご家族と同院、行政や施設などとのパイプ役を務めているのが田上早苗さんです。田上さんは、精神保健福祉士としてご本人やご家族からの相談にのりながら、隠されている本音を引き出すよう傾聴することを心がけています。

「受診に関するお話を伺うなかで、実は在宅対応が限界になっており入院や施設入所を望んでいるのに、諸々の事情で口に出せないご家族もいます」(田上さん)。

また、精神科病院として、地域のかかりつけ医からの予約を受ける際も、FAXなどで一方的に予約を受け付けるのではなく、まず話を聞くことから始めます。

「精神科医療では、これまでの経緯をお聞きして、何に困っており、どのような対応を求められているのか、当院が何を提供すればよいのかを予約の前に見極める必要があるためです」(田上さん)。

公認心理師 黒岩美佳さん公認心理師 黒岩美佳さん

同院の黒岩美佳さんは公認心理師として、相談対応の他、神経心理学検査を担当。「ご本人の認知機能を検査されるときに、抵抗感や嫌悪感等が生じるのは自然なことです。さまざまな思いを抱え、不慣れな場で検査に臨んでおられる、その現実を常に念頭におきます。そして、その方本来の力が少しでも発揮しやすくなるように、関わり方の工夫や検査室内の整理整頓を心がけています」と話します。

「皆さまには、"◇◇(病名)の人"ではなく、○○様という唯一無二の存在であるという姿勢でお会いします。私どもは専門職ですが、ご本人にとって一番の専門家はご自身であり、その方から発信される情報はとても大切なものとなります」(黒岩さん)。

認知症疾患医療センターの指定を受けてから、行政主催の認知症カフェに協力するなど、田上さんらセンターのスタッフが地域に出て活動する機会も増えました。精神科病院への相談や受診は特殊なものというイメージがまだまだ強いですが、地域での活動により同センターが認知症の相談機関だと知られるようになり、地域の皆さまからの相談も急増しています。同センターでは、早期受診・治療を目指し、今後も地域で活動を続けるとともに、同センター主催の会議・研修会にて認知症予防や介護者の負担軽減について取り上げ、認知症医療・介護の基盤づくりの一端を担っていきます。

運動や食事面を指導し地域で認知症予防も

同院のある八郷地区は各世帯の敷地面積が広いため、子世帯は同一敷地内の別棟に住んでいる場合も多く、高齢者は孤立しがちだと森先生は指摘します。認知症予防のためには、家に閉じこもりがちになる高齢者を地域に連れ出す工夫が必要です。同院では、作業療法士と一緒に筑波山や田園風景を眺めながら病院周辺を2kmほど歩くウォーキングの会"元気なシニアを応援する健康ウォーキング"を開催し、体を動かす動機づけになることを願っています。

さらに同院では認知症の人を対象とした音楽療法会も開催しており、"薬物には頼り過ぎない"を持論とする森先生は、「認知症医療では非薬物療法も重要です。音楽療法会では音楽療法士を講師に招き、童謡を歌ったり楽器を演奏したりして、症状の改善や回復、QOL(生活の質)の向上を目指しています」と話します。

また、食を重視し、味気ない病院食ではなくおいしい食事を入院患者さんに提供するのも同院のモットーであり、必要があれば外来の患者さんへの栄養指導も行っています。森先生は、栄養バランスのとれた食事の重要性を地域住民に伝えることも視野に入れています。

森先生・瀬下先生とスタッフの皆さん森先生・瀬下先生とスタッフの皆さん

「この地域の食事は全体的に塩分が多めです。減塩を指導することで高血圧を減らすことができれば、脳血管障害による血管性の認知症の予防につながります」(森先生)。

専門的な医療の提供を中心に、早期発見・早期治療のための情報発信、非薬物療法の導入、さらには認知症予防へ。認知症疾患医療センターの指定を受けてから3年を迎え、同院の活動はさらに広がっていきます。

 

取材日:2019年2月26日

豊後荘病院の外観

医療法人新生会 豊後荘病院

〒315-0112
茨城県石岡市部原760
TEL:0299-44-3211

施設のホームページへ

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ