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認知症診療の要となり、認知症の人と
ご家族が安心して暮らせる地域づくりを目指す
< 群馬県藤岡市 医療法人育生会 群馬県認知症疾患医療センター篠塚病院 >


神経内科医 相原優子先生
神経内科医 相原優子先生

群馬県藤岡市にある篠塚病院は、神経疾患を専門とする北関東神経疾患センターを併設し、パーキンソン病などの神経難病とともに認知症の診療にも取り組んできました。2010年には県の指定を受け、認知症疾患医療センターを開設。藤岡市認知症初期集中支援チームとしての活動や、認知症カフェの開催、地域での困難事例検討会など、院内に限らず地域全体の多職種スタッフや行政とも連携しながら地域に根差した認知症医療を展開しています。

2010年に認知症疾患医療センター事業をスタート

篠塚病院附属北関東神経疾患センターは、神経疾患の診断・治療・予防およびリハビリと介護保険や福祉制度などをシームレスに統合し、より質の高い療養を支援する神経内科の専門施設として、2008年に設立されました。さらに2010年には群馬県から認知症疾患医療センターの指定を受けました。神経内科医の相原優子先生を含め、認知症専門医の資格を持つ医師3名を中心に、多職種スタッフが連携して認知症の診療にあたっています。

相原先生が医師として初めて認知症の人を診療したのは、大学を卒業したばかりの研修医時代。「40歳のアルツハイマー型認知症の方だったので、とても印象に残っています」と当時を振り返ります。その後、東京都老人医療センター(現、東京都健康長寿医療センター)で高齢者医療を経験し、群馬大学大学院や米国シティオブホープ・ベックマン研究所での神経細胞に関する基礎研究を経て、篠塚病院に入職しました。基礎研究にも従事する中で、期待されるアルツハイマー病の根本的な治療法はなかなか確立されず、「自分ができることは臨床面で関わっていくこと」という思いから県の認知症疾患医療センター事業に応募。認可を受けた2010年以降、認知症診療により深く携わるようになりました。

現在、相原先生が外来で担当する患者のうち、認知症もしくはMCI(軽度認知障害)の人は約3分の1を占めており、同院の担当圏域である藤岡市と多野郡上野村・神流町で構成される多野藤岡エリアだけでなく、桐生市や沼田市、吾妻郡など県全域、さらに隣接している埼玉県から訪れる人も多いといいます。

オリジナルの問診票を活用し、検査結果に表れない情報も収集

受診のきっかけは他の医療機関からの紹介が3割程度で、もの忘れの症状に気づいたご家族に連れられて来院される方がほとんどです。初診時は、事前にスタッフがご本人やご家族から既往歴や困っていることなどを聴取し、そこで得られた情報をもとに相原先生ら医師が診察して、心理士が必要な神経心理検査を行います。さらに、3テスラMRIによる脳画像検査や内科疾患を除外するためのレントゲン検査、心電図検査、血液検査に加えて、てんかんの除外や認知症の鑑別に役立てるため脳波検査も行います。

認知症の診察をする上で、相原先生はご本人の状態を正しく把握するために、ご本人やご家族からの情報収集を大切にしています。

「認知機能の低下によって日常生活に支障があるという状態が認知症の定義ですが、心理検査や画像検査だけでは日常生活に支障が出ているかどうかは判断できません。検査の結果がよくても実はご家族が悩みを抱えている場合もありますから、検査の結果に表れない情報も、丁寧に聞き取るよう心がけています」(相原先生)。

ただ、医療従事者にとって重要な情報と、ご家族が伝えたい事柄が一致するとは限りません。また、話したいことを忘れてしまったり、うまく伝えられなかったりするご家族も多く、同院ではオリジナルの問診票を用意して、認知症の診断や治療に役立つ情報を引き出しています。例えば、“今一番お困りのことは何ですか”というオープンクエスチョンだと何を書いてよいのかよくわからない人も、徘徊、不眠、怒りっぽいなど、具体的な項目にマルをつけてもらうことで答えやすくなるそうです。

また、かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターの保健師など、専門職向けの研修会や症例検討会、事例検討会を開催し、顔の見える関係を構築して院外の関係者との情報共有に努めています。

認知症初期集中支援チームが支援の必要な人の自宅を訪問

社会福祉士 堀川暁子さん社会福祉士 堀川暁子さん
精神保健福祉士 安藤佑貴さん精神保健福祉士 安藤佑貴さん

社会福祉士の堀川暁子さんと、精神保健福祉士の安藤佑貴さんは、受診相談や家族支援、関係各機関との連携など、相談業務全般を担当しています。

「相談をお聞きするときは、ご本人やご家族の気持ちに寄り添いながら“一緒に考える”という姿勢を大切にしています」と話す堀川さん。何かあったときに「あの人に相談してみよう」と思っていただけるように、普段から積極的に声をかけ、話しやすい雰囲気づくりを心がけています。

同院では藤岡市から委託を受け、2017年に認知症初期集中支援チームを設置しました。堀川さんと安藤さんもチームのメンバーとして、認知症の人や認知症が疑われる人の自宅を訪問し、早期診断・早期対応に向けた活動を行っています。

安藤さんは、被害妄想が強く、受診をかたくなに拒んでいた80 代の女性の自宅を訪問した際に、地域包括支援センターの職員・家族と相談を重ねた上で、精神科病院に連れて行ったことが印象に残っていると話します。

「その方は精神疾患を併発し、ご家族も対応に困っておられました。ご本人の意に反しての入院でしたが、治療を受けたことで状態は安定し、今はご自宅から外来通院されるまでに改善されています。医療や介護・福祉サービスにうまくつながって、ご家族から『ありがとうございます』という感謝の言葉をかけていただくと、やりがいを感じます」(安藤さん)。

専門医としてチームの活動をバックアップする相原先生も、「具体的なサービスにつながらないこともありますが、それでもチームが何らかのアプローチを試みたことで今後の対応の方向性が決まることが多いですね」と語り、チームの活動に手ごたえを感じています。

正確な検査結果を得るため、細やかな配慮を

心理士 工藤美紀さん心理士 工藤美紀さん

心理士の工藤美紀さんは、専門医の指示を受け、MMSE(認知機能検査)やFAB(前頭葉機能検査)、BPSD(周辺症状)を評価するNPI(精神症候評価尺度)、ご家族の介護負担度を測るZarit介護負担尺度、ADL(日常生活動作)を評価するIADLなどの初診時の検査をはじめ、運転免許の更新が可能かどうかを判断するため、時計描画テスト(CDT)やかなひろいテストなど、さまざまな神経心理検査を行っています。検査の際には、誰が測っても同じ結果になるように、主観を交えずマニュアル通りに実施することを心がけているそうです。

初診の場合は神経心理検査だけでなく、画像検査や血液検査など内科的な検査も行うため、すべての検査を終えるまでに1時間半から2時間ほどかかります。工藤さんは「疲れた状態で心理検査を受けると、正しい検査結果が得られないこともあります」と話し、ご本人が疲れている様子なら検査を2回に分けて行うなど、柔軟に対応しています。

「私たちからすれば、日付を聞かれるくらいのちょっとした検査でも、認知症の方は不安や負担を感じておられます。ですから検査のあと、『難しかった検査を最後までやり通せた』という達成感を感じてもらえるとうれしいですね」(工藤さん)。

検査の結果だけでなく、例えば検査に協力的だったのか拒否的だったのか、目が見えにくい、耳が聞こえにくいといった情報もスタッフと共有し、診療に役立てています。

ご本人やご家族とのやり取りは電子カルテで情報共有

事務 綿貫千尋さん事務 綿貫千尋さん

事務の綿貫千尋さんは、電話対応や受付業務を通じて認知症の人やご家族と関わっています。受診の予約時に、ご家族から「健康診断だと言って連れて行くので、認知症という言葉は使わないでほしい」と言われることもあり、そういった情報は電子カルテに書き込んで、他のスタッフと共有しています。また、同院のMRIは3テスラと磁気が強いため、心臓ペースメーカーが体内に入っていないか、ピアスやベルトの金具など金属類を身につけていないかなど、細かく確認して事故が起こらないように気をつけています。

「中には『綿貫さんはいますか』と名指しで電話をかけてきてくださるご本人やご家族もおられます。顔と名前を覚えてもらえたり、ありがとうと笑顔で言っていただいたりすると励みになります」(綿貫さん)。

ご本人やご家族が安心して暮らせる地域づくりにまい進

「同じような状態の方でも、ご家族に否定され、怒鳴られて生活している人と、温かく見守られている人とでは症状の出方が異なるなど、症状の程度は環境要因に大きく左右されます」(相原先生)。

その一方で、「認知症にはご本人とご家族の、2人の患者さんがいるとよく言われます。それほどご家族がまいってしまうことが多いのです」と相原先生はご家族を気遣います。

病気を治すことはできなくても、ご本人・ご家族に少しでも安心して過ごしてほしい――そんな思いから、同院では認知症カフェを定期的に開催し、ご家族同士が悩みを共有し合ったり、カフェと併せて絵画教室を開いたりと、ご本人やご家族の交流の場を提供しています。また、普段の診察でご本人への対応の仕方を個別にアドバイスするとともに、国立精神・神経医療研究センター内にある認知行動療法センターのスタッフを講師に招き、ご家族向けの介護研修会を開催したこともありました。

さらに同院では、地域への啓発活動にも力を入れており、認知症サポーター養成講座や認知症についての市民向け講演会などの依頼は、可能な限り引き受けていく方針です。

相原先生と皆さん相原先生と皆さん

「高齢になれば、誰でも認知機能が低下します。認知症は特別な病気ではなく、当たり前のこととして受け入れてもらえるよう、地域全体の対応能力を高め、最終的には認知症の人とそのご家族が安心して暮らせるシステムを作り上げていくことが今後の課題であり、地域に密着した認知症疾患医療センターの役割だと思います」(相原先生)。

 

取材日:2019年2月27日

篠塚病院附属北関東神経疾患センターの外観

医療法人育生会
群馬県認知症疾患医療センター篠塚病院

〒375-0017
群馬県藤岡市篠塚105-1
TEL:0274-23-9261

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