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街の専門医としての診療のみならず、認知症の方に優しい街づくりに取り組む
< 愛知県名古屋市 久米クリニック >


院長 久米明人先生
院長 久米明人先生

神経内科を専門とする久米明人先生は、2004年のクリニック開業以来“街の専門医”として多くの認知症の方の診療に取り組み、また、認知症の方が安心して暮らせる街づくりを進めるなかでも、地域の中心的な役割を果たしています。

建物は大きく構え、診察室はこぢんまりと

名古屋市の中東部に位置し、文教地区として知られる瑞穂区の住宅街に久米クリニックが開業したのは2004年のこと。院長の久米明人先生の先代が1960年に同区内に開業していた内科・小児科・耳鼻咽喉科のうち耳鼻咽喉科を閉鎖して、久米先生の専門である神経内科を新たに設け、場所を移転してのスタートでした。

クリニックの外観は端正でどっしりとした構えながら、待合室は暖かみの感じられるフローリングと高い天井が印象的です。自然と心が寛いでくるようなインテリアは、アメリカで勤務していた頃に訪れたミネソタ州のメイヨー・クリニックを参考にしたものだと久米先生は振り返ります。

「メイヨー・クリニックの外観はホテルのようにゴージャスなのですが、院内のフロアは暖色系のリノリウムで、診察室は個人の家のようにこぢんまりしていました。外側は入りやすいように大きく構え、内部はリラックスして話せるよう小さく設えるというのは、医療を提供する上で理にかなっています。そこで当クリニックも“3段階内装”を採り入れ、診察室は小さめにして患者さんとご家族が一緒に問診できるよう長椅子を入れています」(久米先生)。

古い住宅地の中で'診断が必要な方'が増えてきた

久米クリニックのホームページの診療案内は“認知症”を上段に掲げており、数日に1人は新規の認知症の人が来院されるといいます。しかしながら久米先生は「従来の縦割りの医療科目の中では、認知症はどこにも属さない病気」だと指摘します。

「脳の病気ですので神経内科の範疇ではあるのですが、心理学や精神分析で診るべきメンタルな部分もあります。私が積極的に認知症診療に向き合うようになったのは、開業当時新しいジャンルだったので挑戦心が湧いたことに加え、認知症の方の数が増えそうだという見込みがあったからです」(久米先生)。

久米クリニックが建つ地域は古くからの住宅街ですが、大人になった子どもは他地域に移る場合が多く、大きな住宅でありながら住んでいるのは高齢の夫婦や単身者のみという世帯が少なくありません。

「近年、認知症の方の数自体が増えてきたというよりも、診断が必要だと考える方が増えたと言うべきかもしれません。きちんと診断がつけば、ご家族も納得しやすいでしょうし、公的なサービスなどを受けることができますから」(久米先生)。

認知症の方との最初の接点である受付を重視

久米先生は開業当初から受付の存在を重視してきました。丁寧な対応がクリニックの印象を良くすることはもちろん、患者さんの様子を知る上で最初の接点になるからです。

受付を担当する茶屋さんは「認知症の方の場合、まずご家族からお電話でお問い合わせがあって、診察を予約される方が多いです」と話します。「もの忘れが見られるのだが本人には伏せたままで診察を受けたい」とか「本人が病院に行きたがらないのだがどうすればいいか」といった来院前の相談や質問もしばしばあり、茶屋さんは「健康診断ということにして連れて来られてはいかがですか」などと提案しています。そのような経緯で来院された際には、ご本人には隠していることを茶屋さんから先生や看護師に連絡。その日は認知機能に関する検査は行いません。

「そうした連絡には注意しますが、認知症の方だからと特に対応の仕方を変えることはありません。せいぜい靴を履き間違えることがないか目を配っているくらいで、内科の患者さんと同じように接するのが基本です」(茶屋さん)。

ご家族の苦労話を聞くことも看護師の役目

初診の認知症の人の診察は、受付での問診票の記入から始まり、対面での問診、認知機能の検査、画像診断を行うのが基本で、内科的な要因が考えられる場合は、その検査も行います。このうち認知機能の検査(MMSE)、内科的な検査としての採血、心電図、レントゲンなどは看護師が担当しており、検査中やその合間に認知症の人やご家族とコミュニケーションをとる機会が少なくないといいます。

看護師の清水さんは「検査中、認知症の方の様子をよく観察することが大事」と検査時に心がけていることを話します。

「例えばMMSEの項目が全ての認知症の方に当てはまるわけではありません。点数には出ないけれど気づいた点があれば、かならず先生に報告します」(清水さん)。

同じく看護師の臼井さんは「介護に苦労されているご家族の気持ちに寄り添うことが大切」と話します。

「誰かに悩みを話すだけで気持ちが楽になることもあるでしょうし、生活上のアドバイスをすることもあります。看護師としてもっと何かしてあげたいという思いは強いですね」(臼井さん)。

初診時に1時間以内に診断をつけるのが基本

認知症の検査から診断に至る一般的な流れとして、初診に問診などを行い画像検査などを予約、改めて来院して検査を受け、後日診断結果を聞く、と都合3回来院する場合があります。しかし久米クリニックでは、院内にCTを備え画像診断ができることもあり、原則として初診時に1時間以内で診断をつけるようにしています。

久米先生は、診断の結果をほとんど隠さずに認知症の人やご家族に話しますが、そのタイミングにはかなり気を配っています。

「ご家族から事前に“言わないで欲しい”と伺っているときはもちろん言いませんし、初診の日に結果が出ていても、あえて2度目の通院のときに告知することもあります。結果を受け入れるプロセスは一人ひとり違いますから」(久米先生)。

また、きちんと説明すれば納得される方が大半だと続け、「ご家族に説得されて渋々来院された方にも自覚や不安はありますから、検査結果をご説明すれば受け入れる方が大半です。その場で、大きく動揺される方はほとんどおられません」と話します。

早期発見は生活や人間関係を整えるチャンス

早期発見・早期治療が重要だとされる認知症。久米先生はそれに同意しながらも「ただ残念ながら早く見つかったからといって、治るわけではない」と話します。その上でなぜ早期発見が大事なのかというと「生活や家族との関係などを整えるチャンスが生まれるから」というのが先生の持論です。

「高齢でもの忘れが見られるようになったら、遺言までは必要ないにしても、大切なものの置き場所や扱い方をご家族に説明するなど、あとで混乱しないよう伝えるべきことをきちんと伝えておくことが大切です。病状が進行してしまえばご家族とそんな話はできなくなりますから、早期発見は伝えるチャンスができたということ。そのチャンスを活かして欲しいと思います」そう話す久米先生は「診断がついたあとの日常のケアをどうするかが非常に重要」だと指摘します。

「認知症の専門医にできるのは診断をつけて治療の方針を立て、処方箋を書くところまでです。日常的なケアはご家族やかかりつけ医、さらには地域の関係機関が連携して取り組まなければなりません」(久米先生)。

活動の裾野が広がりつつある地域包括ケア

久米先生は、クリニックが所在する名古屋市瑞穂区の地域包括ケア推進計画に携わっており、2019年からは同計画認知症専門部会の会長を務めています。瑞穂区には分室を含め計3ヵ所のいきいき支援センター(地域包括支援センター)があり、各センターを拠点として認知症家族サロンやもの忘れ相談などを実施。中でも認知症サポーター養成講座には、約100名の参加者が集まるといいます。また、同講座を受講した商店関係者には認定証と“認知症の人にやさしい店ステッカー”を交付。認知症の人の見守りに参加してもらうなど、活動の裾野を広げています。

久米先生はこうした研修会の意義として「いろんな職種や立場、特に若い世代の方と顔の見える関係がつくれるのは楽しいですね。医者は年寄りばかりですから(笑)」と微笑む一方、「地域でそれぞれが果たす役割が明確になるのも研修の意義であり、その中で特にかかりつけ医の先生には積極的に関わっていただきたい」と訴えます。

「紹介を受ければもちろん診断しますが、私のような専門医は数が限られています。診断をつけてお返ししたあとは、半年に1回くらい専門医が症状を確認する以外は、かかりつけ医の先生が覚悟をもって診ていただきたい。でなければ地域包括ケアは成り立たないと思います」(久米先生)。

認知症の方が安心して暮らせる街づくりを

これからの認知症ケアを展望するとき、久米先生は「もっと効果的な治療薬が誕生するのを待っている」と期待を述べます。開業する前、製薬会社に勤務していた経験がある久米先生は、クリニックでの治験・臨床研究に力を注いでおり、認知症の治療薬の治験にも意欲的です。一方で「認知症になっても安心して暮らせる地域社会づくりが大切」だと話します。

「例えばベルギーのブルージュでは、街全体で認知症の方を支援する活動が進められ、多くの方が病院や施設ではなく自宅で生活しています。瑞穂区でも、先ほど紹介しました地域包括ケアの活動のように、少しずつ明るい動きが出てきていますので、ブルージュを目指して街づくりに取り組んでいきたいと思っています」(久米先生)。

 

取材日:2019年2月26日

久米クリニックの外観

久米クリニック

〒467-0054
愛知県名古屋市瑞穂区丸根町1-8
TEL:052-831-9970

施設のホームページへ

 

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