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医療・介護と地域をつなぎ、幅広い認知症医療を提供
< 広島県呉市 医療法人社団和恒会 ふたば病院 >


ふたば病院 院長 髙見浩先生
ふたば病院 院長 髙見浩先生

前身の早川病院から60年近くにわたって呉市で精神科医療を提供してきたふたば病院。2013年には認知症疾患医療センターの指定を受けて呉市・江田島市の認知症医療の拠点となりました。現在は認知症初期集中支援チームが地域に出向いて地域住民と医療・福祉との橋渡しとなるほか、認知症治療病棟や重度認知症デイケア施設などを有し、幅広い医療を提供できる体制を整えています。

外来、病棟、デイケアなどでさまざまな認知症の人に対応

ふたば病院院長の髙見浩先生は、精神科医として医療を提供するなかで、認知症の人に携わる機会が増え、認知症医療の重要性を感じてきました。呉市は高齢化率が34.3%(2017年9月30日現在)と全国平均を上回ることから、認知症医療のニーズがさらに高まると考え、認知症の方のサポートに力を尽くすことになりました。髙見先生は、「当院の特徴は、専門的な医療や介護を提供できる体制が整っている点です」と言います。

「認知症や老年精神医療の専門医がたくさんおり、認知症サポート医のほか、認知症ケア専門士の資格を持つスタッフ、認知症対応力向上研修などさまざまな研修を受けたスタッフが医療・ケアを提供しています」(髙見先生)。

認知症治療病棟があるため入院治療も可能で、自宅や施設で暮らす認知症の人がリハビリを行う重度認知症デイケアも実施しています。

「地域の受け皿となり、通院、入院、あるいは重度認知症デイケアなどで医療サービスを提供し、その後、スムーズにご自宅に戻ったり、地域の施設に入所したりできるようサポートするのが当院の役割だと考えています」(髙見先生)。

同院を運営する医療法人社団和恒会では、介護老人保健施設や高齢者複合施設なども開設し総合的なサポートができる体制ですが、髙見先生は「決して当会の施設だけで完結するのではなく、地域の医療機関や介護施設と連携しながら、認知症の方が暮らしやすい状況で生活していけることを目標としています」と話します。

認知症医療疾患センターで鑑別・診断と治療に注力

ふたば病院 副院長<br />
認知症疾患医療センター センター長 小鶴俊郎先生ふたば病院 副院長
認知症疾患医療センター センター長 小鶴俊郎先生

同院では、2013年に県の指定を受け、認知症疾患医療センターを設置しました。センター長である小鶴俊郎先生は、「当センターの業務には、診断と治療に加え、啓発活動や地域連携の推進などがあり、なかでも精神科の病院であることから治療に力を入れて取り組んでいます」と語ります。

認知症を疑って受診した人には、外来の看護師または地域連携室のソーシャルワーカーが問診をし、血液検査、頭部CT検査、長谷川式簡易評価スケールなどの神経心理検査を経て診察を行い、診断をつけていきます。

近年は、同院を受診する初診患者さんのうち約半数が、認知症もしくは認知症を合併している人です。自分が認知症ではないかと不安感を持っている人や、逆に病識がない人などさまざまな受診者がいるため、診察時には小鶴先生はご本人の状態とご家族の希望に合わせて言葉を選び、慎重に説明します。

「ある程度進行した方には疾患名を伝える必要はあるのだろうかと判断に困ることがあります。ご家族の対応は重要ですので、ご家族にはきちんと話しますが、"認知症"という言葉を使わずに『少しもの忘れが出ているのでお薬を使いましょう』と話すこともあります」(小鶴先生)。

初期集中支援チームの発足、チームで解決策を探る

同センターでは、2014年に呉市からの委託を受け、認知症初期集中支援チームの活動をスタートさせました。同チームでは、地域からの要請を受けて、医療や福祉のサービスを受けていない認知症の人や認知症の疑いがある人の自宅を訪問して受診などにつなげられるようサポートを行っています。

介護支援専門員 濱田識敬さん介護支援専門員 濱田識敬さん

チームのメンバーであり介護支援専門員として自宅を訪問する濱田識敬さんは、「訪問した際は、ご本人の体の状態や精神状態、認知機能状態をアセスメントするだけでなく、部屋が散らかっていないか、ゴミがたまっていないかなど、家の内外の状態も確認します」と言います。

ご家族からもお話を聞き、何が受診などの妨げになっているかを明確にしてから、解決策を探ります。同じくチームのメンバーで、濱田さんと一緒に訪問している精神保健福祉士の小川健太郎さんは、実際に訪問(アウトリーチ)して得た対象者の方の状態(心理面、身体面、生活環境)から全体像を把握し、問題解決のため、協力が必要と考えられる機関に連絡、情報共有し、各機関が連携して問題解決に取り組めるよう調整します。また、定期的に開催するチーム員会議ではチーム員である医師も加わり、事例について協議を行っています。

自宅への訪問は、ご本人やご家族が抵抗感を抱く場合もあり、濱田さんは「目線の高さや話のペースをご本人に合わせ、冗談も交えながら和やかな雰囲気を作って、警戒心を解くようにしています」と配慮を欠かせません。

精神保健福祉士 小川健太郎さん精神保健福祉士 小川健太郎さん

小川さんは、「電話で話を聞いてイメージするご本人の状態と、実際に訪問してわかるご本人の状態は大きく違うこともあります」と言い、訪問するからこそ得られる情報の重要性を指摘します。小鶴先生は、「外来受診ではわからない自宅の状況など、実に多くの情報が集まり、診療の際に大いに役立っています」と評価します。

「こちらから働きかけて環境を整えることで初めて受診が可能となる人もいるわけですから、チームの活動は、病院に来られない方々との橋渡しという大きな役割を果たしています」(小鶴先生)。

ご家族の思いを受け止め、情報共有で適切な治療へ

臨床心理士 川本智映子さん臨床心理士 川本智映子さん
精神保健福祉士 中石雅美さん精神保健福祉士 中石雅美さん

臨床心理士の川本智映子さんは、認知症初期集中支援チームの一員としてだけでなく、外来では神経心理検査を受け持ち、認知症家族のつどい"こっから"を開催するなど幅広く活動しています。川本さんは、神経心理検査を行う際、検査を受ける人が不快な感情をできる限り抱かずにすむよう配慮しています。

「いくら配慮をしても、検査によって試されていると感じてお怒りになる方もいます。不快な感情を抱かせてしまった分、検査で得た情報をしっかり先生方に伝え、診断・治療や生活上での支援に貢献したいと思っています」(川本さん)。

同院には地域連携室が設けられ、精神保健福祉士の中石雅美さんが受診や入院などの相談を受け付け、利用できる制度の説明など情報提供を行っています。中石さんは、「電話で相談される、かなり悩んだり葛藤しておられる方が多いです」と言います。

「ようやく心を決めて電話してこられる方も多いので、『受け止めますよ』という姿勢でお話を伺っています。ご本人の生活歴、変化した時期などどのような情報も大切ですので、聞き洩らさないように気をつけています」(中石さん)。

認知症治療病棟では作業療法で精神の安定はかる

作業療法士 瀬戸紀代子さん作業療法士 瀬戸紀代子さん

認知症治療病棟では、入院中の認知症の人に対して作業療法士を中心として生活機能訓練が行われています。作業療法士の瀬戸紀代子さんは、認知症の人の興味や関心、性格や生活歴を踏まえてプログラムを提供しています。

「不安の強い認知症の方に民謡を聞いてもらうと、指先で踊るような仕草をされました。とっさに扇子を持ってもらうと、皆さんの前で華やかな踊りを披露してくださいました。伺うと、幼少期に日本舞踊を習った経験があることが分かりました。このできごとがきっかけになり、今では皆さんの前で踊りを披露することが日課となっています」(瀬戸さん)。

こうした認知症の人の生活歴などの情報は、カンファレンスで関わるスタッフ全員が共有しています。食器やスプーンを正しく使えない認知症の人もいるため、瀬戸さんはそれぞれに合わせたセッティング方法や介助の仕方を工夫しています。スタッフに情報を伝える際には、写真で記録を残し、一目で情報を理解できるようにしています。

「情報を共有すると、すぐにスタッフが実践してくれます。対応が難しいときには相談してくれるので、チームでケアすることができています」(瀬戸さん)。

重度認知症デイケアで個人に合わせたプログラム

看護師 山根真紀さん看護師 山根真紀さん

同院では、医療保険適用の重度認知症デイケアも行っています。同デイケアでは体操やレクリエーション、ゲームなどの集団プログラムのほか、絵画や書道など一人ひとりに合わせた個別のプログラムを取り入れています。デイケアに携わる看護師の山根真紀さんは、趣味や生活歴をプログラムに反映させるのはもちろん、たとえば以前学校の教員だった人には"様"ではなく馴染みのある"先生"と呼びかけてコミュニケーションをとるなど、対応も変えています。

デイケア中にほとんど座って過ごしていた認知症の方には立ってもらったり、座った体勢で足踏みをしてもらって刺激を与え、脳を活性化させて食欲増進につなげることもあります。

「食事を取れなかった方が取れるようになったり、活動しているところの写真を見たご家族から『家では見られない笑顔が見られて嬉しい』という言葉が聞けると嬉しく思います」(山根さん)。

さらに認知症医療とケアのレベル向上を

小鶴先生は、「早期発見・早期診断のポイントは、とにかく早めに受診していただくことです」と指摘します。そのため、同センターでは啓発活動にも注力しています。その際に小鶴先生は、認知症に対してあまり不安感を抱かないようメッセージを送ります。

「世代によっては認知症にネガティブなイメージを持っているかもしれませんが、ようやく進行を遅らせることができるようになってきましたし、ケアについてもノウハウが蓄積されて今後役立っていくことと思います。あまり悲観的になられないよう説明できればと思います」(小鶴先生)。

髙見先生もまた、市民向けの講座などで啓発活動を積極的に行っています。

「自分が認知症なのではないかと不安になって参加される方もいると思います。心配な兆候があれば早めに受診してほしいということを伝えるほか、運動をしっかりしていただく、人と交流する機会を持っていただくなど、認知症予防のための生活習慣の見直しをおすすめしています」(髙見先生)。

さらに、院内での認知症に関する勉強会や研修会、院外の医療・介護従事者向け研修会にも取り組み、地域全体の認知症医療・ケアの底上げを目指す同院は、地域の認知症医療へのさらなる貢献を目指しています。

 

取材日:2019年1月25日

医療法人社団和恒会 ふたば病院の外観

医療法人社団和恒会 ふたば病院

〒737-0143
広島県呉市広白石4丁目7番22号
TEL:0823-70-0555

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