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日本一の長寿地域で認知症の予防と早期発見に取り組む
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横浜総合病院 院長 平元周先生
横浜総合病院 院長 平元周先生

横浜市青葉区にある横浜総合病院は、1988年の開院以来、横浜市北部の急性期中核病院として地域医療に貢献してきました。循環器、脳神経、消化器の疾病に対しては内科・外科の枠を超えて治療にあたるセンター方式を導入するなど、専門性の高い医療を提供しています。認知症への対応としては、2016年に専門医3名を招いてもの忘れ外来の開設に加え、附属の健診クリニックではメモリードックをスタートするなど、認知症の予防と早期発見・早期治療に取り組んでいます。

地域の特性に合わせて認知症の診療体制を強化

同院のある横浜市青葉区は、全国市町村別平均寿命の2015年度の統計で男性が1位(83.3歳)、女性が9位(88.5歳)という長寿地域です。近隣の都筑区や川崎市麻生区・宮前区も上位10位内に入っていることから、院長の平元周先生は「超高齢化地域の中で、健康寿命の延伸が当院の使命」と位置付けています。

「認知症は脳卒中や骨折、虚弱と並んで健康寿命を阻害する要因に挙げられています。2016年に日本認知症学会認定専門医を3名招いてもの忘れ外来を開設するなど、地域のニーズに合わせ、専門性の高い認知症医療を提供できる体制を整えました」(平元先生)。

平元先生は、1989年に脳神経外科副部長として同院に入職し、脳神経外科部長・救急部長を経て、2004年から院長を務めています。専門分野は脳卒中、頭部外傷、救急医療ですが、もの忘れ外来の開設前は平元先生が認知症の診療を担当していました。「当院には神経内科がありませんでしたから、脳神経内科・外科、精神科、認知症と、脳に関する病気はすべて診る“何でも屋”だったのです」と、当時を振り返る平元先生は、ご両親が共に認知症を患っていたことが認知症診療に携わるきっかけだったと話します。

「脳の病気を専門とする脳神経外科医ですから、『何とか両親の認知症を治せないか』という思いがありました。専門医の資格こそ取りませんでしたが、自分なりに勉強を重ね、多くの認知症の方を診察する中で、さまざまな病態に対応してきました」(平元先生)。

平元先生は認知症の兆候の有無にかかわらず、脳疾患で通院している患者さんにも積極的に神経心理検査を勧めています。健康な時期に検査を受けておくとその結果がベースラインとなり、認知機能が低下したときに早期発見につながりやすくなるためです。また、より気軽に検査を受けてもらえるようにと、2016年にオープンした附属施設、あざみ野健診クリニックにメモリードックを開設し、認知症の早期発見と予防にも力を入れています。

認知症のエキスパートが、その経験を生かして認知症医療を提供

臨床研究センター センター長<br />あざみ野健診クリニック 施設長 長田乾先生臨床研究センター センター長
あざみ野健診クリニック 施設長 長田乾先生

平元先生の招きで2016年に同院に着任した長田乾先生は、秋田県立脳研究センターで長年にわたって認知症の診療と研究に従事してきた、この道のエキスパートです。同院ではもの忘れ外来で認知症の人の治療にあたるほか、あざみ野健診クリニックの施設長も兼任。さらに同院の臨床研究センター長としてアルツハイマー型認知症の治験も担当しています。

神経内科の全患者のうち、認知症の人が占める割合は半数以上。長寿地域という特徴から80歳以上の高齢者が多く、90代や100歳以上の方が初診で来られることもあるそうです。受診のきっかけは、ご本人もしくはご家族がもの忘れを心配して直接来院するほか、院内他科や近隣の医療機関からの紹介、区役所や地域包括支援センターなど自治体の担当者から受診を勧められるなどさまざまです。運転免許更新時の認知機能検査で記憶力・判断力の低下を指摘された方が、医師の診断書を求めて受診することもあります。

診断には、ご本人・ご家族への問診を行った後、臨床心理士による神経心理検査、CT、MRIの画像検査、全身の健康状態を調べるため血液検査やレントゲン、心電図検査、頸動脈エコーや心臓超音波検査などを実施します。また、MoCA(軽度認知障害スクリーニング)やRBMT(リバーミード行動記憶検査)など精度の高いスクリーニング検査も活用し、MCI(軽度認知障害)の段階での発見にも力を入れています。さらに、若年性認知症を疑うなど、より詳しい検査が必要な場合は、近隣の大学病院に依頼してSPECT(脳血流シンチグラフィ)やMIBG心筋シンチグラフィを追加します。

診察では医師の問診も回想法だと考えて、ご本人の病歴や経歴、家族構成などを細かく、共感を持って聞くよう心がけているという長田先生。認知症医療のやりがいは、診療を通じてご本人とご家族の関係を修復できることだと語ります。「認知症の方の中には、もう何年もご家族から褒められたり、感謝されたりしていない方もおられます。ご本人はご家族から少し注意されただけで“馬鹿にされた”“叱られた”と感じ、ご家族も良かれと思って注意を繰り返し、ますます溝が深まってしまう。そんなご本人・ご家族のお話をしっかり聞いて間を取り持つことも、私たちの仕事だと思っています」(長田先生)。

認知症初期集中支援チームを設置し、医療と介護につなげる活動を

神経内科 医長 髙野大樹先生神経内科 医長 髙野大樹先生

同院は横浜市からの委託を受け、2016年9月に青葉区認知症初期集中支援チーム(以下、支援チーム)を設置しました。メンバーは認知症専門医3名、看護師2名、作業療法士3名、社会福祉士1名で構成され、地域包括支援センターなど地域からの要請を受けて認知症が疑われる方のご自宅を訪問し、医療や介護につなげています。

メンバーの一員で神経内科医の髙野大樹先生は、祖母が認知症だったことと、後期研修医時代に秋田県立脳研究センターで長田先生と出会ったことから認知症診療に携わるようになりました。2016年に長田先生と共に同院に入職し、支援チームの活動のほか、もの忘れ外来での診療や、他科との併診で入院中の方が認知症を発症した場合の症状コントロールにもあたっています。

活動がスタートした頃は、訪問しても面会を拒否されることもあったそうですが、白衣でなく私服で出向いたり、先にアプローチしていた地域包括支援センター職員の知り合いを名乗ったりと、相手に受け入れてもらえるよう工夫を重ねた結果、徐々に医療や介護につながる人が増えていきました。当初は医療や介護につながったらチーム活動を終了していましたが、最近では医療・介護の導入後に2~3度訪問し、生活の様子やサービスの利用状況などを追跡してサービスの定着につなげています。

「私たちが専門的な視点から説明することで、ご本人にも医療・介護サービスの利点を理解していただけるようです。家に閉じこもっていた方がデイサービスに行くようになると、ご本人の活動性が高まるだけでなく、ご家族も自由な時間が持てるようになり、介護の負担が軽減されます。支援チームの活動がご本人・ご家族の生活の質向上につながるとうれしいですね」(髙野先生)。

専門性の高い多職種がそれぞれの持ち味を発揮

作業療法士 森下容丞さん作業療法士 森下容丞さん

作業療法士で支援チームの一員でもある森下容丞さんは、ご自宅を訪問した際の認知機能・身体機能の評価や、介護サービス利用の勧奨・誘導に加え、家屋構造を確認して認知症の人が安全に暮らせる環境かどうかのアセスメントも行っています。森下さんは「積極的に地域に出ていくことで、認知症に対するマイナスイメージを良い方向に変えていければ」と、支援チームの活動に意欲的です。

一方、院内ではさまざまな疾患で入院している患者さんへのリハビリを担当。特に高齢者の場合、他の病気が原疾患であっても入院をきっかけにせん妄が起きたり、認知機能が低下したりすることがよくあります。そのため、できるだけ早期から計算問題やパズルなどベッドサイドでできるリハビリテーションを開始し、長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)などの検査も行って認知機能のレベルをチェックしています。

「当院は急性期病院なので、どうしても身体機能に目が行きがちなのですが、その人らしさを守るためには認知機能の維持がとても重要だと考えています」(森下さん)。

社会福祉士の井桁直人さんも、支援チームのメンバーです。対象者の自宅を訪問してご本人・ご家族からの相談に対応するとともに、月1回の定例会議で訪問内容を報告し、支援チーム員や地域包括支援センターの職員、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど、地域の関係者と情報共有しています。

社会福祉士 井桁直人さん社会福祉士 井桁直人さん

井桁さんは支援チームの活動に加えて、院内の地域医療総合支援センターで入院中の患者さんの退院支援なども担当しています。認知症の人やご家族からは介護保険の申請について相談を受けることが多く、井桁さんは「ご本人の意思を尊重し、症状が進行してご本人とコミュニケーションが取れない場合でもご家族を通して気持ちをくみ取り、適切なサービスのご提案を心がけています」と話します。

また地域医療総合支援センターでは、地域の介護・福祉関係者を対象にした情報交換会を年3~4回開催し、長田先生や髙野先生の講話のほか、井桁さんら社会福祉士が事例報告などを行い、地域の認知症ケアのレベルアップと多職種連携に努めています。

認知症の予防と早期発見に力を尽くし、健康寿命の延伸を目指す

忙しい診療の合間を縫って、長田先生は認知症に関する市民講座で講師を務めるなど、啓発活動にも積極的に取り組んでいます。2018年に神奈川県がサッカーJリーグの横浜F・マリノスと連携して開催した、高齢者の認知症予防を目的としたサッカー教室では、プログラム監修を務めました。65歳以上の高齢者と小学1~4年生までの2人1組で参加でき、全12回のサッカー教室のほか、Jリーグの試合観戦や運営ボランティア体験といったユニークな企画が盛り込まれ、とても好評だったそうです。

「初回と最終回に認知機能を測定したところ、少し改善されていました。継続的な運動に加えて、ボランティアとして試合会場でのグッズ販売を手伝うなど、ワクワクする体験をしたこともプラスに働いたのではないでしょうか」(長田先生)。

また長田先生は、薬剤師や歯科医師を対象に勉強会を開いて、診察日でないのに来院する、処方薬が余っているといった認知症の兆候を説明し、気づいたときには専門医に連絡するよう依頼するなど、認知症が疑われる人を地域ぐるみですくい上げる体制づくりを進めています。

平元先生も高齢化が進む地域性を踏まえ、「認知症の治療も大切ですが、今後は早期での発見や予防がさらに重要になると思います。認知症の根本治療薬は今のところありませんが、生活習慣病をきちんと管理することで認知症の発症や進行の抑制に努め、地域の皆さんの健康寿命の延伸に貢献していきたいですね」と話します。

もの忘れ外来の開設から3年が過ぎた現在、長田先生は「今後は行政と協力して、周辺地域の認知症疾患医療センターの増設に向けた取り組みに加わっていきたい」と展望を語ります。

「横浜市北部エリアの認知症疾患医療センターは鶴見区にありますが、当院のある青葉区からは距離があります。新たな認知症疾患医療センターの開設を目指すと同時に、私たちが認知症診療の中核となって地域のニーズに応えていきたいと思います」(長田先生)。

 

取材日:2019年1月16日

横浜総合病院の外観

医療法人社団緑成会 横浜総合病院

〒225-0025
神奈川県横浜市青葉区鉄町2201-5
TEL:045-902-0001

施設のホームページへ

医療法人社団緑成会 横浜総合病院附属 あざみ野健診クリニック

〒225-0011
神奈川県横浜市青葉区あざみ野2-2-9 あざみ野第三ビル4階
TEL:045-522-6300

施設のホームページへ

 

 

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