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専門的な治療を提供し、初期支援で医療・介護と地域をつなぐ
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大阪府済生会泉尾病院<br />
脳神経外科 部長 伊藤昌広先生
大阪府済生会泉尾病院
脳神経外科 部長 伊藤昌広先生

済生会が全国で運営する99病院・診療所のひとつである大阪府済生会泉尾病院。1945年に開院し、以来70年以上にわたり、地域に密着して住民の健康を支えてきました。高齢化が進む地域のニーズに合わせ、市から地域包括支援センターの委託を受け、高齢者福祉の窓口となるとともに、認知症初期集中支援チームも受託し、積極的に地域に出向いて支援を行っています。

物忘れ外来開設で認知症への対応を強化

大阪市の南西部にある大正区は、高齢化率が30%を超え、大阪市のなかでは高齢化が進行している地域です。大阪府済生会泉尾病院は、区西部の医療機関や障害者施設などが整備された医療・福祉ゾーンの北村地区の一角にあります。同院では、公的医療機関として地域に根差して医療を提供しており、脳神経外科部長の伊藤昌広先生を中心に認知症治療が行われています。伊藤先生は、以前から正常圧水頭症や血管性認知症の治療にあたってきましたが、神経変性疾患の認知症に本格的に向き合うことになったのは、同院への着任がきっかけだったと言います。

「高齢者が非常に多い地域でもあり、脳の病気を疑い画像検査を求めて受診する方が少なくないため、きちんと検査をして診断をつけるのが当院の役割だと考えています」(伊藤先生)。

伊藤先生が地域で啓発活動を行っていることもあり、近年は病診連携が進み、画像検査を希望するかかりつけ医からの紹介も増えています。紹介の場合は、検査・診断後、通い慣れた先生のもとで治療が受けられるよう、かかりつけ医にお戻ししています。

同院では、地域のニーズに応えて認知症への対応を強化し、2019年に物忘れ外来を開設し、週1回、精神科医が担当しています。伊藤先生は、「当地域には認知症の方が多く、これからは精神科と分担して治療にあたっていきます。物忘れ外来担当の先生とは、認知症の勉強会などに一緒に参加するようにしています」と語ります。

画像診断で確実に診断、ご家族には接し方の助言も

認知症を疑って受診したご本人やご家族には問診を行って病状を尋ね、うつを除外するためにSDS(躁うつ病検査)スコアなどを行うほか、MMSE(認知機能検査)、MoCA-J(軽度認知障害スクリーニング)などの神経心理検査を行います。伊藤先生はできる限り早く画像検査を行うことを重視しており、CTやMRIを撮影して器質的な異常の有無を確認してから、診断をつけています。

「高齢ですから耳が遠い方もいます。質問がわからないのではなく、質問が聞こえなくて答えられないこともありますから、それを見極めることも大切にしています」(伊藤先生)。

認知症と診断がついても、伊藤先生はご本人には認知症であることは告げず、「脳梗塞があるからもの忘れがあります」「もの忘れがひどくならないようお薬を飲みましょう」と説明します。ご家族には認知症と伝えたうえで、機嫌が悪いときや同じことを繰り返すときなどの接し方についてアドバイスをします。

「認知症の方は痛みやほかの疾患の症状を感じにくかったり訴えられなかったりするので、食事量や健康状態、転んであざを作っていないかなど体の状態をよく観察することもご家族にお願いしています」(伊藤先生)。

病棟では多職種が連携し、リハビリテーションで認知症悪化も防ぐ

大阪府済生会泉尾病院<br />作業療法士 芳賀翔一さん大阪府済生会泉尾病院
作業療法士 芳賀翔一さん

認知症の人が他の疾患や骨折などで同院に入院することも少なくありません。同院のリハビリテーション科には、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士合わせて70人近いスタッフがおり、病棟でリハビリテーションを行っています。入院中の認知症の人に対し、日常生活動作の訓練のためのプログラムを提供する作業療法士の芳賀翔一さんは、入院中は動けないという活動制限が生じることや、集団生活をしなければならないことがストレスになり、認知症が悪化するリスクがあると指摘します。

芳賀さんは、「身体機能の改善が必要な方でも、単純な訓練だけを行うのではなく、ゲームやレクリエーション、散歩などの“気晴らし活動”も取り入れています」と語ります。“気晴らし活動”を盛り込むことで訓練が楽しめ、訓練の効果が高まると同時に、認知症の悪化予防にもつながると考えているからです。

入院している認知症の人を支えるには、多職種の連携が欠かせません。芳賀さんたちリハビリテーションスタッフは病棟の申し送りだけでなく、カンファレンスや回診に参加して他職種と情報を共有し、必要があれば看護師など病棟スタッフと個別に情報交換をします。リハビリテーションスタッフ同士でも密接に情報を共有しています。

「認知症の方お一人に作業療法士、理学療法士、言語聴覚士のいずれのスタッフも関わっているときには、朝、理学療法士が認知症の方に接したら、昼から関わる作業療法士が朝の様子を聞き、状況に応じて関わり方を変えるなど、共有した情報を対応に活かしています」(芳賀さん)。

地域包括支援センターの委託を受け、高齢者福祉の入り口に

大正区北部地域包括支援センター<br />認定社会福祉士 金本沙也佳さん大正区北部地域包括支援センター
認定社会福祉士 金本沙也佳さん

大阪市では、介護などの相談窓口である地域包括支援センターの事業を社会福祉法人などに委託しています。大阪府済生会では、大阪市からの委託で2012年から大正区北部地域包括支援センターを運営し、区内北部を担当しています。同センターに所属する認定社会福祉士の金本沙也佳さんは、同センターを「高齢者福祉への入り口」と表現します。行政が相談先として住民にまず紹介する場所だからです。同センターでは高齢者やご家族からの相談を受け付け、状況に応じて要介護認定の申請を勧めたり、介護事業所などにつなげたりしています。同院で診断した認知症の人の支援を行うこともあり、「当院は地域密着型で、ほかの医療機関にかからず当院の複数の科を受診している方も少なくないので、介入しやすいと思います」と伊藤先生は話します。

同センターでは、2016年に大阪市からオレンジチーム(認知症初期集中支援チーム)の委託を受け、大正区済生会オレンジチームとして活動を始めました。同チームは、医療と介護の専門職で構成されており、医療や介護のサービスが受けられていない認知症の人やご家族を適切な医療・サービスにつなげ、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう集中的に支援しています。

大正区北部地域包括支援センター<br />認知症看護認定看護師 矢野和枝さん大正区北部地域包括支援センター
認知症看護認定看護師 矢野和枝さん

認知症初期集中支援チームの“初期”とは、医療・支援につながっていない人への関わりの初期(ファーストタッチ)という意味があります。チームのメンバーである認知症看護認定看護師の矢野和枝さんは、支援を受けていない人の家庭を訪問する、まさにファーストタッチを行う役割を担います。矢野さんは「認知症の方のご自宅を訪問することで初めてご本人に関わることができ、何らかのサービスにつなげて今までの生活の維持が実現できると、やりがいを感じます」と語ります。

広報・啓発活動で初期集中支援チームの知名度向上を

同チームの支援対象者となった人がいれば、伊藤先生が診察・鑑別診断を行ったあと、介護事業所などに支援を引き継ぎます。同チームでは、引き継ぎ票という支援の経過の記録を活用して引き継ぎ先に情報伝達を行っています。引き継げば支援終了ではなく、引き継ぎ2ヵ月後に医療・介護サービスが継続しているかモニタリングし、新たな問題が生じていれば同センターの地域支援推進員が解決のために介入するなど、役割は引き継ぎ後も続いていきます。

活動開始から丸3年が経ち、同チームが支援につなげた人は201人に達しました。「自宅を訪問するので、診察室ではわからない情報も入手でき、診断・治療にも活かされています」と伊藤先生は話します。

同チームの課題は、まだ知名度が低いところです。金本さんは、「認知症で相談したいときにチームを思い出してもらえるよう、広報活動に力を入れていきます」と力強く語ります。住民の目に留まるようバス停や商業施設にチラシを掲示するだけでなく、お金や通帳の管理が困難になり認知症に気づく場合もあることから金融機関にも協力を依頼しています。

「以前に比べると認知症の理解も進んでいますが、まだ誤解されている部分もあります。広報活動と同時に啓発活動を行い、正しい知識を広めて、認知症になっても地域でいきいきと生活できることを知ってもらいたいと考えています」(金本さん)。

認知症医療は介護との連携が不可欠

地域に独居や高齢者のみの世帯が多く、伊藤先生は服薬管理が重要だと考えています。服薬管理には介護職との連携が不可欠であり、ヘルパーなどに服薬確認をしてもらうことの意義は大きいため、介護サービスの利用を勧めています。

また、認知症医療では薬物療法に加え、地域に出て人と関わりを持つことが重要だと伊藤先生は指摘します。認知症の人が閉じこもりがちになると、体力が低下したり、食事がおろそかになって栄養が偏ったりするなどの問題が生じるためです。

「デイサービスをお勧めしても『行かなくても大丈夫』と主張される方にどうアプローチして参加していただくかが課題ですね。社会と関わることができる場を増やしていくことも必要だと考えています」(伊藤先生)。

 

取材日:2019年6月21日

大阪府済生会泉尾病院の外観

大阪府済生会泉尾病院

〒551-0032 大阪府大阪市大正区北村3丁目4番5号
TEL:06-6552-0091

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大正区北部地域包括支援センター

〒551-0032
大阪府大阪市大正区北村3丁目5番10号
TEL:06-6552-4440

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