『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【関東信越】 > 東京都 > 東京都足立区 医療法人社団宏心会 六ツ木診療所
医療機関を探す

「生活ごと診る」をモットーに、 ご本人とご家族の穏やかな暮らしを支える
< 東京都足立区 医療法人社団宏心会 六ツ木診療所 >


医療法人社団宏心会 理事長<br />
六ツ木診療所 院長 山下俊樹先生
医療法人社団宏心会 理事長
六ツ木診療所 院長 山下俊樹先生

東京都足立区にある六ツ木診療所は、約40年前に開設された地域密着型の診療所です。診療科は内科・外科・小児科・皮膚科・整形外科・泌尿器科・胃腸科・放射線科と幅広く、外来診療のほか、訪問診療・訪問看護にも力を入れるなど、地域のホームドクターとしての役割を担ってきました。認知症に関しても“生活ごと診る”を信条に、ご本人とご家族が穏やかな暮らしを長く続けられるよう多職種でサポートしています。

地域のホームドクターとして、認知症と向き合う

六ツ木診療所の院長である山下俊樹先生が、急逝された先代院長の後を引き継いだのは2004年のことです。それまでは外科医として東京医科歯科大学医学部附属病院の胃外科に所属し、胃がん治療を専門としていたため、認知症を診る機会は少なかったといいます。しかし、診療所のある足立区は東京23区内で2番目に高齢化率が高いエリアです(2019年1月現在)。近隣には古い団地が多く、慢性疾患で長く通院しているなかで認知症を発症する人も少なくありません。

「ここで診療する限り、認知症の方を診ないわけにはいきません。そういう意味では、“必要に迫られて”認知症診療に携わるようになったともいえますね」と笑顔を見せる山下先生。認知症サポート医の資格を取得し、“何でも診る町のお医者さん”として、また医療法人社団宏心会の理事長として訪問看護ステーションや通所リハビリテーション、居宅介護支援事業所を運営するなど、地域の認知症医療に貢献しています。

同診療所に通院中の高齢者のうち、認知症の診断がついている人は15%程度。軽度から生活に支障が出ている方まで重症度はさまざまですが、認知症が進行して対応に困るようになったご家族に連れて来られる方が多いそうです。その他、薬の飲み残しが増える、通院間隔がまちまちになる、身なりを気にしなくなるといった変化に山下先生やスタッフが気づいて認知症がわかることもあります。

診断にあたっては、問診のほか、長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)などの検査を行い、必要に応じて近隣の医療機関に依頼してMRIを実施することもあります。診断後は主にご家族に対して認知症についての説明や、ご本人への対応の仕方をアドバイスし、月1回の通院でフォローしていきます。

認知症を病気扱いせず、生活支援を重視

山下先生は「認知症は生活ごと診ていくことが重要」と語り、ご家族を含めた生活全般の支援に力を入れています。診断に迷うときや、前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症が疑われるときに、またご家族の希望があれば大学病院など専門医のいる医療機関に紹介していますが、ほとんどの方が診断や治療方針が決まった後は、再び同診療所に通院しています。

「認知機能が低下していても上手に暮らしているご本人・ご家族は大勢おられます。特に初期段階では認知症をことさら病気扱いせず、生活に支障がなくてご家族からの希望もなければ、積極的な医療介入は必要ないと考えています」(山下先生)。

一方、徘徊や尿失禁、ご近所とのトラブルなど日常生活に問題を抱えている場合には、ご家族や訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパーらと相談しながら対策を講じていきます。「すべての問題を解決できるわけではありませんが、多職種で介入して生活を支援するうちに、少しずつ状況が落ち着いてくることが多いですね」と話す山下先生。例えば、尿失禁を治療することはできなくても、リハビリパンツの使用やヘルパーによる排泄介助によって、ご本人の不快感が軽減し、困った言動が少なくなることもあるそうです。さらに、山下先生はご家族のケアにも気を配ります。

「ご家族は誰かに話をするだけで気持ちが楽になり、認知症の方に優しく接することができるようになります。ご家族の対応がうまくなるとご本人の気持ちも穏やかになり、生活上の問題が改善されていくことも珍しくありません。困っているご家族の話を聞くもことも、医療・介護従事者の大切な役割だと感じます」(山下先生)。

訪問看護ステーションを併設し、きめ細やかなケアを実践

同診療所では通院困難な方を対象に在宅医療を行っており、山下先生も外来看護師とともに訪問診療や往診に対応しています。また、1998年に訪問看護ステーション「樹」を併設し、現在は看護師7名で、160名前後の利用者さんのケアに取り組んでいます。

訪問看護ステーション「樹」<br />看護師 澤木佳子さん訪問看護ステーション「樹」
看護師 澤木佳子さん

同ステーションの看護師、澤木佳子さんは「いつも医師がいる診療所と違い、訪問看護では基本的に看護師が一人でご自宅に伺います。ケアを行う看護師が不安や緊張を感じていると、その気持ちが利用者さんやご家族にも伝わってしまいますから、スタッフが安心して出かけていける環境づくりが大切だと考えています」と話します。

そのため同ステーションでは、毎朝のミーティングや月2回のカンファレンスで常に看護師同士が情報を共有しているほか、褥瘡など気になる症状がある場合は業務用のスマートフォンで患部を撮影し、医師にメールで送って指示を仰いだり、週1回は山下先生を交えてケースカンファレンスを行ったりと、診療所との密な連携体制を整えています。

また澤木さんは、利用者さんの生活背景や生活習慣、既往歴、性格といった情報をケアマネジャーから事前に収集し、頭に入れてから訪問するなど、限られた訪問時間の中でご本人・ご家族とスムーズにコミュニケーションを取れるように工夫をしています。

「忙しいからといって、挨拶もそこそこにバイタルサインのチェックを始めてしまうと、ご本人もご家族も不信感を抱かれると思います。認知症の方は私を看護師だと認識していないこともありますから、まずはお話をして、安心できる人だとわかっていただいてからケアを始めるようにしています」(澤木さん)。

ご本人の思いを引き出し、やりたいことができるようサポート

訪問看護ステーション「樹」<br />看護師長 高江洲芳枝さん訪問看護ステーション「樹」
看護師長 高江洲芳枝さん

同ステーションで看護師長を務める高江洲芳枝さんは、同診療所の外来で長年勤務してきた経験の持ち主です。顔なじみの患者さんやご家族も多く、「顔を覚えてくださっていて、声をかけられることもよくあります」と笑顔を見せます。

同ステーションには訪問看護サービスを受けている認知症の人から訪問日を確認する電話がかかってくることが多く、高江洲さんらスタッフは「カレンダーに〇がついている日に行きますからね」、「今日は月曜日だから、明日ではなくて明後日ですよ」などと、ご本人の不安な気持ちに寄り添いながら対応しています。

「特に認知症の初期段階の人は、もの忘れや失敗が増えたなどご自分の変化に戸惑い、不安を感じている方が多いですね」と話す高江洲さんは、訪問時にはご本人の話をよく聞いて、どんなことに困っているか、これからどうしていきたいかという思いを引き出すよう心がけているそうです。

「多くの方には、認知症を発症する前に楽しんでいた趣味や、やってみたいと思っていたことがあると思います。そういう思いをくみ取って、ご本人がやりたい活動に取り組めるよう、ご家族や多職種で知恵を出し合いながらサポートしていきたいですね」(高江洲さん)。

住民への啓発や専門職のスキルアップにも注力

同診療所では認知症の啓発を目的に、2015年から毎月1回、認知症カフェ“グリーン・カフェ”を開催しています。体操や工作など全員で参加できるプログラムとレクチャーの2部構成で、認知症の人とそのご家族だけに限らず、誰でも参加することができます。

レクチャーでは山下先生が認知症について解説するほか、警察署による振り込め詐欺被害防止講座や、区の職員による高齢者の権利擁護に関する講座など、取り上げるテーマはさまざま。お茶やお菓子を食べながら、暮らしに役立つ情報を知ることができると好評です。多いときには50人ほどが集まることもあるそうで、地域交流の場にもなっています。高江洲さんは「徘徊していた認知症の方を地域の方が家まで送り届けるなど、認知症に対する理解が少しずつ深まってきているようですね」と語り、グリーン・カフェに手応えを感じています。

また山下先生は、2015年から在宅医療に携わる多職種を対象とした実践的医療研修会“かけはしの会”を主宰しており、2ヵ月に1度のペースで開かれるこの研修会には、地域の訪問看護師や介護士、理学療法士や作業療法士、ケアマネジャー、介護施設の職員、ヘルパーなど、毎回50名近くが参加しています。山下先生は「介護職・福祉職には知識や技術の習得を希望している方が多いのですが、会場が遠い、費用が高額など、気軽に参加できる勉強会は少ないのが実情です。そこで彼らの熱意に応えようと、会費をとらない勉強会を企画しました」と、発足の動機を語ります。

「かけはしの会に参加していたケアマネジャーさんやヘルパーさんと訪問先で顔を合わせることもあり、会を通じて“顔の見える関係”を築けるというメリットもあります」と話す高江洲さん。澤木さんも「訪問看護には医療面のケアだけでなく、ご家族の相談に対応し助言を行う家族看護や、病状の悪化を防止するための予防看護といった役割もあります。研修会が介護職・福祉職の方にも訪問看護の意義を理解していただく機会になればうれしいですね」と、かけはしの会の活動に期待を寄せています。

セオリー通りでなく、ご本人・ご家族の生活に合ったケアが大切

山下先生は今後の課題について、「ご家族だけで問題を解決しようとすると煮詰まってしまいます。ご家族にいろいろな制度や介護サービスがあることを知っていただいて、利用を促していきたいですね」と語ります。

また認知症ケアに携わる専門職に対しては、「セオリー通りに薬剤を処方し、運動や脳トレなどのリハビリテーション、デイケア・デイサービス・ショートステイなどの介護保険サービスをきっちり詰め込んで『はい、これですべて完了』と、なりがちなのではないかという気がしています」と指摘します。

「近年は認知症に対する理解や研究が進み、治療法の選択肢も増え、さまざまなケアメソッドが提唱されています。一人の方にいろいろなサービスを取り入れるのは、格好よくいえば“オーダーメイド”なのかもしれませんが、よかれと思って取り入れたサービスがかえってストレスになることもあると思います。何事も教科書通りにやろうとせず、ご本人たちの生活ぶりを見て、困っていればサポートするというスタンスでもよいのではないでしょうか」(山下先生)。

日々の診療だけでなく啓発活動や多職種連携にも力を注ぎ、地域の認知症ケアに大きな役割を果たしている六ツ木診療所と訪問看護ステーション「樹」の皆さん。住み慣れた地域で穏やかに、楽しく安心して暮らしていけるように、これからも認知症の人とそのご家族の生活を支えていきます。

 

取材日:2019年5月29日

医療法人社団宏心会 六ツ木診療所の外観

医療法人社団宏心会 六ツ木診療所

〒121-0052
東京都足立区六木1-4-14
TEL:03-3629-1661

施設のホームページへ

医療法人社団宏心会 訪問看護ステーション「樹」

〒121-0053
東京都足立区佐野2-32-11
TEL:03-5697-2662

施設のホームページへ

 

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ