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専門的な診断・治療を提供し、多職種のチームでよりよいケアを
< 東京都港区 東京慈恵会医科大学附属病院 >


精神神経科 医師 品川俊一郎先生
精神神経科 医師 品川俊一郎先生

有志共立東京病院として開院以来、140年近い歴史を持つ東京慈恵会医科大学附属病院。厚生労働省の承認を受け、特定機能病院として高度な医療を提供しています。認知症医療においては、院内に“メモリーセンター”を設置し、専門外来のほか認知症ケアチームによるサポート、認知症カフェの運営など、幅広い活動で認知症の人とご家族を支援しています。

メモリーセンターを開設し認知症の人を多方面から支援

専門的な医療を提供するとともに、常に患者さんのQOLを最優先にして寄り添ってきた東京慈恵会医科大学附属病院。同院のある港区は、東京の都心であり、23区の中でもっとも昼間人口が高く、夜間人口は昼間人口の3分の1を下回るビジネスの中心地です。認知症専門外来であるメモリークリニックを担当する精神神経科の品川俊一郎先生は、「周辺には総合病院や認知症診療に取り組む医療機関が数多くあり、医療資源が充実しています」と地域の特色について語ります。

「高度な医療を求めて、区外や都外からも大勢の患者さんがおいでになるというのが当院を含め港区の大学病院や総合病院の特徴でしょう」(品川先生)。

同院ではあらゆる面から認知症に対応するために、精神神経科の診療部長である繁田雅弘先生をセンター長とする“メモリーセンター”を設置し、認知症専門外来である“メモリークリニック”で精神科医と神経内科医が連携して診断・治療を行うほか、身体疾患の治療のために入院している、認知症を合併した人をサポートできるよう認知症ケアチームが活動を行っています。

専門外来ではさまざまな検査で確実に診断

品川先生は、認知症病棟を担当した経験などから認知症医療に高い関心を抱くようになりました。東京慈恵会医科大学大学院で認知症について学んだのち、カリフォルニア大学サンフランシスコ校メモリー&エイジングセンターで臨床と研究を積み重ね、高い専門性に基づく認知症診療を行っています。

確実に診断をつけるために、メモリークリニックでは問診のほかさまざまな検査を行っており、認知症のご本人に行う神経心理検査に加え、ご家族に行うチェックリストも用意しています。ご本人にはMMSE(認知機能検査)やFAB(前頭葉機能検査)、数唱課題、WMS-R(ウエクスラー記憶検査)、時計描画テスト(CDT)などを基本に、必要に応じ他の検査を追加します。ご家族からはADL(日常生活動作)の評価尺度であるPSMS、全般的重症度尺度CDR、BPSD(周辺症状)の評価尺度であるNPIなどを組み合わせて聴取を行っています。加えてMRIやSPECTなどの画像診断を行い、慎重に鑑別診断をして、治療方針を決めていきます。

早期診断・早期治療によって進行を抑制することはできても、品川先生は、「認知症の進行を完全に止めることは今のところできず、ご家族がそれを受け入れられないこともあります」と言い、治療中はご本人とご家族の心理面や関係性にも配慮しています。

「ご家族が認知症の方を責めてお互いつらくなっていることもあります。認知症の方の気持ちに共感したうえで、ご家族には病気によって起きている変化であり、ご本人もつらい気持ちを抱えていることを説明しています。その結果、関係性が改善してくると嬉しいですね」(品川先生)。

多職種による認知症ケアチームを結成、入院する認知症の人を支援

品川先生のほか、薬剤師、認知症看護認定看護師、メディカルソーシャルワーカーで構成される認知症ケアチームは、2016年から活動を始めました。同院は一般と精神病棟を合わせると1,075床もの病床を有しています。身体疾患の治療で入院した患者さんのなかには、比較的重い認知症の人もいます。品川先生は、チームの結成について、「精神科医療の経験豊かなスタッフたちが、入院している認知症の方のケアの重要性を現場で実感していました。厚生労働省が認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を発表するなど、認知症の方を支援する気運が高まっていたこともあり、私たちも行動に移すことにしました」と説明します。

認知症ケアチームは、各病棟から相談があった認知症の人に関して、電子カルテを見ながら状態や服薬状況などの情報を共有し、週1回チーム全員でラウンドを行います。認知症の人の様子を直接確認し、看護師など担当スタッフから話を聞いて、接し方をアドバイスするなどケアのサポートをしたり、薬剤に関する問題があれば薬を変更するなど改善策をチームで話し合っていきます。メディカルソーシャルワーカーがいることにより退院後も視野に入れたアドバイスや提案も可能です。多職種が連携することでそれぞれの知恵やスキルを出し合うことができ、ラウンドを行う日以外でも、相談があればその都度チーム員が病室に足を運んで対応しています。

横のつながりを活かし、看護師が迅速な対応を実現

認知症看護認定看護師 赤間美穂さん認知症看護認定看護師 赤間美穂さん

認知症ケアチームの一員である認知症看護認定看護師の赤間美穂さんは、「当院は大学病院ですから、先進的な医療を期待して入院される方も多く、内科的にも外科的にもさまざまな病態の方がいます」と言います。

「疾患に関し幅広い知識が求められるので、それを持ったうえで、認知症の方にとって最適なケアを考えることが当院での認知症看護認定看護師の役割かと考えています」(赤間さん)。

赤間さんは、「認知症の方の“その人らしさ”を大切にしています」と話します。ご本人やご家族から、認知症になる前に大切にしていたことや趣味などについて話を伺い、お茶が好きな人なら病棟でお茶会を開催するなど、急性期治療のなかでもなるべくその人らしくいられることを取り入れるようにしています。

ある病棟の認知症の人が不穏になったと相談があったときに、赤間さんの病棟のスタッフが習得したタクティールケアの提供を提案したこともあります。品川先生は、赤間さんの仕事ぶりについて「認知症看護認定看護師としての専門性に加え、看護主任として他病棟の看護主任らとの横のつながりができており、密に連携して迅速に対応できるのが強みです」と高く評価しています。

看護職への指導や知識の普及も認知症看護認定看護師の役割であり、赤間さんは看護師に対する研修会や看護学生への講義も精力的に行っています。港区立がん在宅緩和ケア支援センター“ういケアみなと”主催のセミナーで講師を務めるなど、一般の人を対象とした情報提供も行っています。

ポリファーマシーに配慮、いずれは薬薬連携も

薬剤師 長郷千香子先生薬剤師 長郷千香子先生

薬剤師の長郷千香子先生も認知症ケアチームの一員です。長郷先生は、ラウンドで薬剤について話し合った場合は、その結果を担当薬剤師に伝え、その後モニタリングすることを指導します。

長郷先生は、「認知症の方など高齢の患者さんは、多剤併用により有害事象のリスクが高まるポリファーマシーになりがちなので、配慮しなければなりません」と言います。

「高齢者は代謝や排泄の機能が低下しており、薬剤の使用については厚生労働省から『高齢者の医薬品適正使用の指針』も出ています。不要な薬剤がないか留意してポリファーマシー解消を図ることと、同職種に対する啓発が必要だと思っています」(長郷先生)。

入院時には薬剤師が持参薬調査を行いますが、薬剤の飲み合わせに配慮するならば、ほかの医療機関で処方された薬剤だけでなく、市販薬やサプリメントまで確認する必要があります。しかし、「急性期医療では入院期間も短く、介入は簡単ではありません」と長郷先生は指摘します。退院後は他の医療機関に通院する認知症の人もいることから、長郷先生は院外に目を向けたいと考えています。

「病院にいるのはわずかな期間であり、その後地域で看取りまで行われることもあります。これからは地域の薬局薬剤師などと協力する“薬薬連携”の体制を構築したいと思っています」(長郷先生)。

新たに認知症カフェや相談会を開始

品川先生と皆さん品川先生と皆さん

認知症ケアチームに関わる品川先生や長郷先生、赤間さんは、月1回、院内で認知症カフェ“マンスリーカフェ花水木”を開催し、カフェ内で認知症相談会も行っています。マンスリーカフェ花水木は、同病院に通院していなくても利用でき、ご本人やご家族が同じ立場の人と情報交換や交流ができる場です。認知症相談会は、品川先生や赤間さんが認知症に関する相談に乗り、疑問を解消するものです。いずれも2019年春から始めたサービスのため、本格化するのはこれからですが、外来治療や入院時のケアのサポートだけでなく、多方面から認知症の人とご家族の支援を行っていきます。

品川先生は、「メモリークリニックは精神神経科と神経内科で行っていますから、両診療科がさらに風通しのよい関係になることで、クリニックの機能を高めたいと思います」と語り、院内外の連携を深めることで、よりよい認知症医療の提供を目指しています。

「医療資源が豊富な地域で、認知症医療に専門的に取り組んでいる医療機関もありますから、講演会の開催などで顔の見える関係を構築していきたいですね」(品川先生)。

高度な医療を提供し、医療従事者を育成するだけでなく、認知症の人とご家族に寄り添ってきた同院では、多職種の連携、専門家同士の連携により、認知症医療のさらなる底上げを目指しています。

 

取材日:2019年8月7日

東京慈恵会医科大学附属病院の外観

東京慈恵会医科大学附属病院

〒105-8471
東京都港区西新橋3-19-18
TEL:03-3433-1111

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