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専門職も住民も巻き込んで、地域ぐるみの認知症ケア実現を目指す
< 三重県四日市市 医療法人社団 三原クリニック >

理事長・院長 三原貴照先生 理事長・院長 三原貴照先生

1980年に小児科医院として開院した三原クリニック。脳神経内科医の三原貴照先生が先代の父から院長を受け継いだ2013年からは、小児科と脳神経内科を二本柱に幅広く診療しています。2017年には三重県から連携型認知症疾患医療センターの指定を受け、専門的な認知症医療を提供するとともに、認知症初期集中支援チームへの参加や認知症カフェの運営など、受診前のサポートから診断・治療、受診後のフォローまで、認知症の人とご家族を包括的に支援しています。

認知症疾患医療センターとして地域の認知症医療をけん引

日本神経学会神経内科専門医・指導医として、藤田保健衛生大学病院(現 藤田医科大学病院)や市立四日市病院で診療してきた三原先生。大学病院では脳炎後遺症など高次脳機能障害の患者さんを診察する機会が多く、認知症の症状にはなじみがあったと言います。また、市立病院で地域医療を経験する中で認知症診療の重要性を改めて感じ、同クリニックを継承するにあたり認知症を包括的に診療できる体制づくりに着手。迅速かつ正確な診断を行うため1.5テスラのMRIを導入したほか、近隣の医療機関や介護・福祉施設との連携体制を強化してきました。

その取り組みが評価され、2017年に三重県の指定を受けて連携型認知症疾患医療センターを開設。地域包括支援センターに設置されている認知症初期集中支援チームのチーム員として活動するなど、四日市市を含む1市3町で構成される三泗地域の認知症診療で中心的な役割を担っています。

2025年以降を見据えて、地域全体で多職種連携を強化

三泗区域は県の北勢部に位置し、人口は約37万人、高齢化率は23.8%と、県全体の高齢化率27.0%を下回っています(2014年三重県人口動態より)。しかし、65歳以上の高齢者は増加傾向にあり、三原先生は「今は切羽詰まっていないものの、2025年にはさらなる高齢化が予測されます」と、地域の特徴を語ります。

「幸いにしてこの地域には、500床規模の総合病院や中小規模の病院が複数あり、医療資源は比較的充実しています。また、これまで四日市市医師会の主導で医療と介護・福祉のネットワークづくりに取り組んできたことから、“顔の見える関係”がすでに構築されており、地域連携の取りやすい地域でもあると思います」(三原先生)。

四日市市としても地域包括ケアの構築に力を入れており、中学校区を単位とした行政区に1ヵ所ずつ配置された在宅介護支援センターを、人口10万人当たりに1ヵ所設置されている地域包括支援センターが束ね、さらに市がバックアップするという“三層構造”を維持しています。またこの仕組みの中で、地域包括支援センターが調整役となって医療・介護ネットワーク会議が3ヵ月に1度開催されており、三原先生が「同会議でのグループワークを通じて、ケアマネジャーさんの顔と名前はもちろん、年齢や性格もわかるようになりました」と語るように、多職種の連携強化につながっています。

受診前サポートを重視し、ご本人・ご家族からの問い合わせに対応

医療ソーシャルワーカー 山中淳さん医療ソーシャルワーカー 山中淳さん

同クリニックでは“受診前サポート”を重視しており、医療ソーシャルワーカーの山中淳さんが認知症のご本人・ご家族からの相談に電話で応じています。「かかりつけの先生からのご紹介や、ケアマネジャーさんからの相談をきっかけに受診につながることもありますが、もの忘れの症状に気づいたご家族からのご相談が多いですね」と受診のきっかけを話す山中さん。受診の相談があれば、まずは山中さんがご本人の今の状態や家族背景、生活スタイルなど必要な情報を聞き取って予約を入れ、電子カルテで三原先生らスタッフと情報共有するほか、初診日になるべく検査を進められるよう日程調整を行います。

「中にはご本人が受診をかたくなに拒否され、『何とかしてほしい』と懇願されるご家族もおられますが、健康診断だから、検査だからとご本人を説得して初回の受診につながると、その後はスムーズに治療を開始できることが多いです。診察を重ねるうちにご本人・ご家族に笑顔が見られるようになると『よかったな』と思いますし、安心できますね」(山中さん)。

また、初期集中支援チームの看護師や社会福祉士と連絡を取り合い、介入が必要な方の情報を集めて三原先生と共有するのも山中さんの役割です。三原先生は「行政の職員や介護職には医師に敷居の高さを感じている方も多いようですが、彼が間に入ってくれることで風通しが良くなったと思います」と、山中さんの仕事ぶりを評価しています。

経験豊富な看護師が丁寧な予診で診察をサポート

看護師 山崎朋江さん看護師 山崎朋江さん

認知症の初診の人が年間270人ほど訪れる同クリニックでは、ポイントを押さえた診察を効率よく行うために、予診や神経心理検査は山崎朋江さんをはじめとする看護師や言語聴覚士が分担して実施しています。

認知症ケア専門士の資格を持つ山崎さんは、同クリニックへの入職を機に認知症ケアに携わるようになりました。「怒りっぽいなど対応の難しい方にどう接すればいいのかわからず、悩んだ時期もありました」と当時を振り返る山崎さん。三原先生の指導の下、経験を積むうちに声のかけ方や言葉遣い、表情や仕草など、一人ひとりに合わせた対応の仕方が身についていったと言います。

「認知症の方の多くは人生の先輩です。言葉遣いや行動、仕草など、プライドを傷つけない対応を常に心がけています。ご自分が認知症であることを受け入れられない方には、ご本人の表情や言動を観察し、どう声をかければいいのか、どこまで質問していいのかを見極めながらケースバイケースで対応しています」(山崎さん)。

中には脳梗塞や頭部外傷が原因でもの忘れの症状が出ていることもあるため、山崎さんはご本人から話を聞きながら手の動きや体のふらつきなどもチェックして、三原先生の診察につないでいます。

治療では服薬管理と栄養管理に注力

「診察室での私の一番の役割は、認知症の方と信頼関係を築くこと」と言う三原先生は、ご本人の性格や当日の緊張具合に合わせて一人ひとりの心のひだに合う言葉選びを心がける、聴診や視診だけでなく顔や手足など体にも触れるといった工夫をしています。

「信頼関係を築いた後で検査や治療を提案したほうがご本人の受け入れが良く、ドロップアウトが少なくなる印象があります。ご家族など介護者にとっても長く通える医療機関があれば安心できるでしょうから、治療の継続は重要なポイントだと考えています」(三原先生)。

診断には血液検査と神経心理検査、MRIによる脳の画像検査を行います。神経心理検査はMMSEや長谷川式簡易評価スケールのほか、必要に応じてADAS(アルツハイマー病評価尺度)、MoCA-J(軽度認知障害スクリーニング)、FAB(前頭葉機能検査)、SLTA(標準失語症検査)などを追加します。

治療では服薬管理に力を入れています。認知症は軽症であっても薬の飲み忘れや飲み間違いが起こるリスクがあるため、三原先生は1日の食事回数など食生活を確認し、どのタイミングならきちんと飲めるのかを考えながら、近隣の薬局と協力して薬の一包化や飲む回数を減らすといった対応をしています。

また、特に独居の人は食事がおろそかになり、適切な栄養摂取が難しくなりがちです。栄養管理のため体重を測定して、必要があれば経口栄養補助剤を使用していますが、三原先生は「当クリニックだけで栄養支援を行うのは難しいのが実情です」と語り、ケアマネジャーをハブにして地域の多職種と連携し、ヘルパーによる家事援助や管理栄養士による在宅訪問栄養食事指導、配食サービスの利用など、低栄養を防ぐための環境整備を進めています。

認知症カフェを開催し、地域ぐるみの認知症ケアを推進

「当院は認知症予防よりも、認知症になっても大丈夫な地域づくりに重きを置いています」と話す三原先生。自身が主催するNPO四日市Dサポートの活動として、メモリーカフェ‘日永’を2016年から毎月第4木曜日に開いています。

「当院でもBPSDに対する薬物療法や介護サービスの提案などは行っていますが、それだけでご家族など介護者が抱える問題を解決することはできません。認知症と診断された後の支援を行うことが大切であり、メモリーカフェ‘日永’の役割はそこにあると考えています」(三原先生)。

三原先生と皆さん三原先生と皆さん

メモリーカフェ‘日永’には認知症のご本人とご家族のほか、医療・介護の専門職や行政の職員が多数参加しています。また「認知症の方を支えたいけれど何をしていいのかわからない」という人が地域ボランティアとして加わっており、三原先生は「メモリーカフェ‘日永’は、診断がついてから介護サービスにつながるまでの空白期間を埋める場であると同時に、認知症の方を支えたいと思っている地域の方を育成する場にもなっています。地域のマインドセットを変え、認知症の方が暮らしやすい地域づくりにつなげるための有効な方法だと思います」と語ります。

「クリニック以外の場所で認知症の方と交流すると、私が診察室で見ている姿はその方の一部でしかなく、日々の生活があるのだなと改めて感じます。医療だけで独りよがりにならず、ご本人の生活面にも配慮した診療をますます心がけていきたいですし、メモリーカフェ‘日永’での交流を通して地域の皆さんにも“認知症の方は一人ひとりが人生の先輩なんだ”と感じてもらえればと思っています」(三原先生)。

メモリーカフェ‘日永’に限らず、行政や企業、地元の商店街などの要請を受け一般市民向けの講演を行うなど、積極的に啓発活動を行う三原先生。「医療だけでは認知症の方を支えることはできません。地域の方々に街づくりの視点で認知症ケアに関わっていただけるような活動を意識しています」と話す三原先生の熱意が地域を動かし、包括的な認知症ケアの実現に向けた取り組みが四日市市内外に広まっています。

 

取材日:2019年7月29日

三原クリニックの外観

三原クリニック

〒510-0891 三重県四日市市日永西3丁目1番21号 TEL:059-347-1611

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