『笑顔とこころでつながる認知症医療』サイトドメイン変更のお知らせ 「お気に入り」や「ブックマーク」の変更をお願いします

詳細はこちら

ホーム > 地域から探す【東海北陸】 > 愛知県 > 愛知県津島市 医療法人宏徳会 安藤病院
取材記事を探す

多職種連携とリハビリテーションに注力し、
認知症の方が望む生活の継続をサポート
< 愛知県津島市 医療法人宏徳会 安藤病院 >


院長 河西あつ子先生
院長 河西あつ子先生

愛知県津島市にある安藤病院は、1982年の開設以来、高齢者や長期療養が必要な患者の医療や介護に取り組んできました。2019年4月には、要介護者に対する長期的な医療と日常生活上の介護を併せて提供する「介護医療院」を開設。居宅介護支援事業所や特別養護老人ホーム、グループホームといった介護・福祉施設を運営するなど、高齢化が進む地域のニーズに応えています。また、認知症の方を対象としたリハビリテ―ション(以下、リハビリ)にも力を入れ、認知症があってもご本人・ご家族が希望する生活を継続できるようサポートしています。

関連施設と連携し、医療と介護の両面から支援

認知症が痴呆と呼ばれていた時代から認知症医療を提供してきた安藤病院。院長で認知症サポート医の河西あつ子先生は、「高齢化が進むにつれ必然的に認知症の方を診る機会が増え、講演会や学会に参加するなどして研鑽を積んできました」と、認知症医療に携わるようになった経緯を話します。

同院の患者さんのうち認知症の方が占める割合は約8割。重症度は軽症から重症までさまざまです。「認知症の診察は、一人ひとりの性格、学歴、生活歴やご家族との関係、合併症などのバックボーンに目を向けながら、きめ細かく行うことを大切にしています」と話す河西先生。特に初診時と2回目の診察時は十分に時間をかけるよう心がけており、ご本人の前で介護の大変さを医師に訴えるご家族や、ケアプランに困っているケアマネジャーに対しては、ご本人の検査やリハビリの時間を利用して個別に相談できる機会を設けています。

また、同院は併設の居宅支援事業所やデイケアのほか、関連施設として特別養護老人ホームや認知症対応型グループホームなどを複数運営しており、法人内の関係施設が連携して包括的な支援・サービスを提供できる体制を整えています。

「ご家族など介護者にとっては、特にBPSDの多発期と嚥下障害を併発することの多い終末期が大変な時期であり、医療側のサポートが不可欠です。適切な薬剤の投与や介護サービスの活用、介護者のフォローなどを行い、それでも在宅でのケアが困難な場合にはすみやかに当院や関連施設を利用していただくなど、地域の受け皿となれるよう努めています」(河西先生)。

関連施設の入所者には認知症を合併している患者さんが多く、病状が悪化したときに脳萎縮の程度を比較できるよう、入所時にルーチンで頭部CT検査を実施するなど、慎重な対応を行っているのも同院の特徴です。

“顔の見える関係”を築き、市町村を越えた多職種連携を推進

同院のある津島市は、愛西市やあま市など7市町村で構成される海部医療圏に属しています。海部医療圏では在宅医療の推進と多職種連携に力を入れており、2018年に「海部医療圏在宅医療・介護連携支援センター」を設置するなど、在宅医療と介護サービスの切れ目のない提供体制づくりを進めてきました。

津島市医師会長や海部医療圏在宅医療・介護連携推進協議会会長などを歴任してきた河西先生も、医療圏内の地域包括支援センターや居宅介護事業所、訪問看護ステーションなど関係機関のスタッフとの連携推進に尽力しています。他の医療機関にかかっている患者さんについての相談にも気軽に応じて“顔の見える関係”を築き、今では市町村を越えての介護サービス利用やケアマネジャーとの連携がスムーズに行えるようになってきています。

また津島市では、在宅療養者の情報を多職種のスタッフがインターネット上でリアルタイムに共有できるシステムを2013年から導入しています。同院もこのシステムを利用しており、同院の医師やリハビリスタッフと、ご家族やヘルパー、ケアマネジャーらが症状やリハビリの進行状況、生活の様子などを情報共有した結果、BPSDの改善につながったこともありました。

病院としても、ケアマネジャーや介護職員など専門職を対象とした認知症ケアセミナーを年3~4回開催しており、地域の認知症診療のレベルアップに貢献しています。

コグニサイズなどの楽しみながら取り組めるリハビリを導入

同院では患者さんへのリハビリに力を入れており、計算問題などの認知課題と運動を組み合わせたコグニサイズや、回想法、学習療法、音楽療法など多彩なプログラムを取り入れています。

リハビリテーション室長 理学療法士 本多敦さんリハビリテーション室長
理学療法士 本多敦さん

理学療法士の本多敦さんは、リハビリテーション室長として全体の管理業務を担当しています。外来通院や入院中の患者さんへのリハビリに限らず、通所リハビリやご自宅・関係施設への訪問リハビリも行っており、本多さんをはじめリハビリスタッフは、一人ひとりに合わせたリハビリ計画に基づくサービスの提供を心がけています。

「認知症の程度や生活背景、興味の対象は人それぞれです。苦手・嫌いなど受け入れの悪い訓練を過度に提供すると利用者さんがストレスを感じ、BPSDを悪化させる原因にもなります。ですから、楽しみながら取り組んでいただけるプログラムを実践しています」(本多さん)。

同じく理学療法士の水科一輝さんは、主に入院中の患者さんのリハビリと、通所リハビリを担当しています。軽度から中等度の認知症の方が多く、「ご本人の望む生活を達成できるように、エビデンスを意識しながら取り組んでいます」とリハビリの目的を話します。

理学療法士 水科一輝さん理学療法士 水科一輝さん

水科さんは、コグニサイズを開発した国立長寿医療研究センターが実施する指導者研修を受講・修了しており、コグニサイズを行う際には、事前に運動機能の評価や、これまでの生活歴、学歴、得手不得手などの聴取をしっかり行い、その人に合わせて認知課題の難易度を調整しています。また、認知課題を間違えることがストレスにならないよう、間違っても笑える雰囲気づくりを心がけているそうです。

「認知課題は簡単な問題からスタートして、中盤で難易度の高い問題を挟み、最後は成功して終われるよう、構成を工夫しています。また、指導する側の私たちが答えを間違えることで、“間違ってもいいんだ”と安心して取り組んでもらえるようです」(水科さん)。

利用者の快刺激につながるアクティビティを提供

作業療法士 堀田賢二さん作業療法士 堀田賢二さん

作業療法士の堀田賢二さんは、主に介護医療院に入所している方のリハビリを担当しています。重度の認知症の方が多く、堀田さんは「コグニサイズや記憶訓練など、中核症状にアプローチするプログラムを実施するのはむずかしいので、音楽療法や回想法、手作業など、快刺激につながるアクティビティを提供しています」と話します。

「重度の認知症で、活動性・自発性が低下していても、音楽を聞きながら涙を流す方もおられます。記憶障害があっても“皆と一緒に音楽を聞いて楽しかった”という感覚は残っていて、『また行きたい』という声も聞かれます」(堀田さん)。

回想法では、蚊帳や下駄、竹馬といった昔の道具の映像をスクリーンに映し、認知症の方が懐かしい思い出や記憶をたどれるよう「いつ、どこで、誰が、どんな風に使っていましたか」と5W1Hを意識した質問をしながら、昔話を楽しんでいます。

堀田さんは「認知症の医療・リハビリは日進月歩です。常に新しい知識やエビデンスを取り入れ、日々の臨床に生かしていくことを意識しています」と語り、作業療法の学会に参加するなどして研鑽を積んでいます。また、外部の研修会に参加したスタッフが学んだ知識を他のスタッフに伝える伝達講習を行って情報共有するなど、リハビリテーション科全体のスキルアップに努めています。

地域全体で高齢者を見守る体制づくりが今後の課題

「昔に比べて認知症への理解は深まっているものの、当院を受診されるのは中等度程度まで進行した方が多く、早期発見・早期治療が地域の課題だと思います」と語る河西先生は、愛知県医師会認知症地域医療研修検討委員会のメンバーとして、かかりつけ医、歯科医師、薬剤師対象の認知症対応力向上研修を手伝ったり、認知症の方と家族の会による家族支援プログラムで認知症に関する講演を行ったりするなど、地域の認知症医療の底上げに尽力しています。

また一般向けの啓発活動にも取り組んでおり、病院として年に2~3回開催している認知症カフェには、地域住民や民生委員など150人以上が参加しています。そのほか、院内の喫茶店を利用した小規模な認知症カフェを月1回開いています。

同院のリハビリスタッフも、ケア会議への参加や行政からの依頼でセミナー講師を務めるなど、積極的に地域に出て知識の普及・啓発に努めています。リハビリテーション室長の本多さんは、「近年は、リハビリ専門職に求められる役割が病院内から地域へ、治療から介護・予防へと広がってきています。私たちも院内だけでなく、地域の方に対するサービスを強化していきたいと考えています」と、今後の展望を語ります。

これまで築いてきた“顔の見える関係”を生かし、医療・介護・行政と連携しながら認知症に取り組む安藤病院の皆さん。河西先生は「今後の認知症対策では、地域での見守りと気づきが大切になると思います」と指摘します。

「今後も独居の高齢者や高齢者世帯の増加が予測されており、例えばコンビニエンスストアに同じものを何度も買いに行く、郵便受けに新聞がたまっているといった様子があれば行政に連絡するなど、地域全体で高齢者を見守る体制の充実が不可欠だと思います。最近は個人情報保護の観点から個人の暮らしに踏み込みにくい面もありますが、柔軟に対応し、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを進めていきたいと思います」(河西先生)。

 

取材日:2019年7月26日

医療法人宏徳会 安藤病院病院の外観

医療法人宏徳会 安藤病院

〒496-0026 愛知県津島市唐臼町半池72番地1
TEL:0567-31-4070

施設のホームページへ

 

 

この記事のURLをメールで送信
医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • お薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ