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多職種による治療とリハビリテーションを提供し、在宅復帰を支援
<栃木県下都賀郡野木町 医療法人社団友志会 リハビリテーション花の舎病院 >


院長 近藤智善先生
院長 近藤智善先生

栃木県最南端に位置する野木町にあるリハビリテーション花の舎(いえ)病院。急性期の治療を終えた回復期の人を受け入れ、多職種によるリハビリテーションに注力し、在宅復帰を支援しています。同院を運営する医療法人社団友志会と関連法人は、病院だけでなく介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、居宅介護支援事業所なども運営し、在宅復帰後に必要な医療や福祉サービスも提供しています。

回復期の治療とリハビリテーションの専門病院

リハビリテーション花の舎病院は回復期リハビリテーション(以下、リハビリ)専門の病院として2003年に開設されました。嚥下外来という特殊外来はあるものの、一般の外来診療は行わず、急性期の入院治療を終え症状が安定した回復期の患者さんに在宅復帰に向けた入院治療とリハビリを提供しています。開設当時は52床だった病床は現在114床まで増床、脳卒中や大腿骨頚部骨折、脊髄損傷などは発症または手術後2ヵ月以内、股関節や膝関節の神経や筋損傷後は1ヵ月以内の患者さんを受け入れています。

神経内科医の近藤智善先生は、順天堂大学医学部脳神経内科学、和歌山県立医科大学附属病院などを経て、2012年から同院の院長を務めています。近藤先生は、「紹介されて入院する患者さんの約7割が脳血管障害、3割弱が運動器疾患で、高齢の方が多く、認知症を合併している方も少なくありません」と話します。

「認知症は進行を止めることはできませんが、私たちが関わりを持つことでできるだけ現状維持ができればと思っており、それに重要なのはやはり薬剤介入です」(近藤先生)。

正しい診断結果を受けて治療を進めるうえで、薬剤介入とリハビリは車の両輪だと考えている近藤先生は、「ここではじっくりと時間をかけて認知症に介入することができ、患者さんが落ち着いた状態でリハビリを行うことで、機能訓練の効率が上がり、結果をよくすることにもつながっています」と、同院での成果を語ります。

薬物治療と脳トレの重要性を実感

同院は、リハビリテーション科、神経内科、内科を標榜し、神経内科専門医4名、糖尿病専門医とリハビリテーション科専門医、整形外科専門医、泌尿器科専門医がそれぞれ1名在籍しており、専門性の高い医療を提供しています。

神経内科医 伊藤敬先生神経内科医 伊藤敬先生

院長の近藤先生と同じく神経内科専門医である伊藤敬先生は、以前勤務していた医療機関で、ある認知症の人の経過から学んだことがあったと言います。認知症を疑って受診したその患者さんは、MMSE(認知機能検査)は満点の30点という結果だったものの、関連病院のPiB-PETで調べると脳にアミロイドタンパクがたまっていることがわかりました。伊藤先生は、「アルツハイマー型認知症は発症以前からアミロイドの蓄積が見られると研究で明らかになった時期でした」と当時を振り返ります。

「その方が認知症に進行するか半信半疑でしたが、VSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)で調べるとやがて脳に萎縮が出現しました。しかし、ほかの病気で亡くなるまで、認知症の症状はあらわれませんでした。抗認知症薬の服薬とご家族が行っていた脳トレが影響していたのではないかと思います」(伊藤先生)。

脳の海馬の近くにある扁桃体は喜怒哀楽を感じると活性化されるといわれており、「楽しい体験をすると扁桃体が活性化され、海馬もいい影響を受けるのではないでしょうか。生活に沿ったリハビリやレクリエーションのなかで認知症対策の脳トレや体操を取り入れ、その結果を評価することが大切」と伊藤先生は指摘します。

在宅復帰後の目標を定めてリハビリ実施

同院のリハビリテーション部には、58名の理学療法士、21名の作業療法士、13名の言語聴覚士が所属し(取材時)、退院後の生活を見据えたリハビリを提供しています。

リハビリは、早期から集中的に行ったほうが効果的であるといわれているため、同院では曜日に関わらず、365日、1日3時間ほどマンツーマンで行われます。それぞれの患者さんに担当の療法士がつき、在宅復帰を目的として組まれたリハビリ・プログラムに沿って訓練を行います。病棟のひとつは病室の扉を開けるとすぐに広いリハビリ室につながっている構造で、リハビリに取り組みやすい環境を提供しています。

理学療法士 宇都木康広さん理学療法士 宇都木康広さん

理学療法士の宇都木康広さんは、歩く、立ち上がる、起き上がるなどの基本動作の訓練を行っています。宇都木さんは、「以前は、退院後に自宅でADL(日常生活動作)を安全にできることを目標としていましたが、現在は、その方の背景にできるだけ合った具体的な目標を立てることが大切です」と指摘します。近所にある友人宅でお茶を飲むことや、町内会の集会所に行くことなど、病前の生活で行っていた、患者さんの望む行動を目標とします。

作業療法士 横尾一徳さん作業療法士 横尾一徳さん

目標設定は、患者さんの生活歴や大切にしていたことを知ることから始まります。作業療法士の横尾一徳さんは「入院直後に、ご本人やご家族から病前の平日と休日の生活スケジュールを把握します」と言います。入手した情報を多職種で共有しながら、目標を定め、達成するためにどうすべきか考え、リハビリを行っていきます。



ADL室ADL室
ドライブシミュレータードライブシミュレーター

横尾さんら作業療法士は、入浴、排せつなどのADLがスムーズにできるよう訓練を行ったり、家屋調査や自助具など福祉用品の提案なども行います。リハビリ室には、台所、寝室など、実際の家屋構造を再現したADL室や居室が設けられ、自宅に近い状況での動作訓練も行っています。また、ドライブシミュレーターを導入し、車の運転復帰に向けて、運転の訓練や運転能力の評価を行っています。

言語聴覚士が飲み込みや言葉の問題に対応、認知機能も評価

言語聴覚士 平野絵美さん言語聴覚士 平野絵美さん

言語聴覚士の平野絵美さんは、飲み込みに問題があったり、言葉が出にくい患者さんなどに言語聴覚療法を提供しています。平野さんは、「何が得意で、何が苦手なのかを把握して、苦手なことをどうやったら克服できるのか、改善できるのか、それを生活のなかにどこまで落とし込めるのかなどを考えてリハビリを行っています」と言います。平野さんは認知機能の評価も行います。

「認知症とひとことで言っても低下しやすい部分は認知症のタイプによっても異なり、これまでの生活史も影響するので、それを踏まえたうえで現在の認知機能について、生活場面の観察や検査を用いて細かくし評価を行っています」(平野さん)。

平野さんは、反応が得にくい認知症の人と一緒にメモリーノートを作成したことがあります。過去に起きた大きなできごとの写真を用意し、当時の記憶を思い出してもらい、ノートに記録していくことで、認知症でもたくさん話すことができ、注意持続力や記憶力へアプローチすることができます。ノートの存在により、スタッフにとってはその人がどのような人生を歩んできたのか知る手がかりにもなったと言います。

「認知症の方も笑顔が多くなり、生き生きとされましたし、記憶の細かいところまで思い出すことができ、毎日少しずつ詳細な情報を得られることができました」(平野さん)。

家族の写真を飾り、安心して入院生活が送れる環境に

看護師 大磯香織さん看護師 大磯香織さん

看護師の大磯香織さんは、看護職という立場で認知症の方を支援しています。大磯さんは、「認知症の方は環境の変化によって症状が悪化する場合があります」と言い、入院という環境の変化があっても早く慣れることができるように配慮しています。ご家族に聞き取りを行い、ご本人の嗜好などを確認して、安心できる環境を整えます。

「絵が趣味の方であればご本人が描いた絵を持ってきていただきます。お孫さんやペット、ご自分の結婚式のときの写真を持参して飾る方もいらっしゃり、話題の糸口としています」(大磯さん)。

トイレや自分の病室がわからなくなる人には、ドアに貼り紙をするなどしてわかりやすくすることで、安心して入院生活を送れるようになります。また、リハビリを効率的に行うために、患者さんの生活のリズムを整え、日中はなるべく活動的に過ごしてもらい、夜間はきちんと睡眠が取れるようにサポートすることを重視しています。

多職種連携で治療とリハビリを円滑に

看護部長 安澤加代子さん看護部長 安澤加代子さん

看護部長の安澤加代子さんは、「当院の治療とリハビリには多職種の連携が欠かせません」と言います。医師、看護スタッフ、リハビリスタッフ、介護スタッフなどが集まり、医師の事例を検討するカンファレンスを行うほか、患者さん一人ひとりに関しては月に1回担当する医師やスタッフがカンファレンスを行って情報を共有しています。カンファレンス以外でも、認知症の人の生活背景などをリハビリスタッフや看護スタッフが共有するのはもちろん、リハビリスタッフが考えた生活リズム表をベッドサイドに貼って看護師や介護スタッフがそのリズム通りに一日が送れるよう配慮します。

リハビリスタッフは、毎朝、夜間の患者さんについて看護スタッフから情報を得ます。夜間の状況がわかることで、その日の患者さんの行動の背景がわかったり、状況に合わせて声かけを行ったりできるだけでなく、リハビリに活かすことでリスクの軽減を図ることができます。

また、言語聴覚療法中に平野さんが認知症の人に合わせた食事の介助方法や声のかけ方を把握できたら、看護スタッフに申し送るだけでなく、実際に食事の介助中に直接足を運び、実演して指導します。食事をあまり取れない患者さんがいれば、看護スタッフとリハビリスタッフで話し合い、医師に相談して食の形態を変えたり、栄養士に栄養状態について相談して支援の方向性を考えます。

看護スタッフとリハビリスタッフが同じ部屋に常駐していることも連携をスムーズにしています。「多職種が常に協働し、チームで一人ひとりの認知症の方を見守り、当法人の理念である『この街に住んで、関わり合いを持ったときから、いつまでも共に生きる』を実践しています」(安澤さん)。

「入院時には認知機能の低下が目立たなかったものの、看護やリハビリで関わるスタッフからの情報で認知症であることがわかり、薬物療法が始まることもあります」と近藤先生も多職種連携の成果を評価しています。

退院後も関連施設でリハビリを継続

多職種によって提供される医療とリハビリによって、入院する患者さんの8割以上は自宅に復帰しています。近藤先生は「全国平均よりかなり高いのではと思います」と笑顔で話します。

退院に向けて、地域連携室のMSWも加わって、ご本人やご家族が安心して自宅に戻れるよう退院カンファレンスを行います。退院後は同法人の関連施設のデイケアやショートステイを利用する場合もあります。施設への情報伝達がスムーズにできるよう、「連携シート」に認知症の方の情報をまとめ、退院後の支援につなげています。退院後に介護が必要な人は、同法人や関連法人のデイケア施設で3ヵ月間毎日、週の回数制限なくリハビリを受けることができ、在宅復帰後もリハビリを続けることができます。

近藤先生と皆さん近藤先生と皆さん

治療とリハビリを車の両輪として在宅復帰を実現させ、関連施設や関連法人と連携して認知症の人を支えている同院。多職種の積極的な関わりが、これからも住み慣れた家と地域に暮らし続けたいという願いを叶え続けていきます。

 

取材日:2019年9月19日

菜の花診療所の外観

リハビリテーション花の舎病院

〒329-0112
栃木県下都賀郡野木町南赤塚1196-1
TEL:0280-57-1200

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