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睡眠障害の脳への影響にも着目、長期的視野で行う認知症医療
<鳥取県米子市 のむらニューロスリープクリニック>

院長 野村哲志先生 院長 野村哲志先生

のむらニューロスリープクリニックは、鳥取県第2の都市である米子市で、院長の野村哲志先生が2018年に開院しました。神経内科、内科の疾患に加え、クリニック名に“スリープ”と入ることからわかるように、睡眠障害の診療も行っています。認知症への対応にあたっても、睡眠障害が脳などに与える影響に注意しながら、一人ひとりを笑顔にする治療を行っています。

認知症サポート医として地域住民とかかりつけ医に貢献

クリニック名のニューロ(neuro)とは神経学(neurology)などに使われる接頭語で、ギリシャ語で「神経」を意味しています。神経内科医である野村先生は、研修医時代から継続して認知症医療に取り組んできました。一方で、鳥取大学大学院在学中に神経変性疾患と睡眠疾患との関わりに関心を抱き、研究を行ってきました。

野村先生は、「鳥取大学は以前から、睡眠診療に力を入れ、精神科の井上雄一先生(現 医療法人社団絹和会理事長)が睡眠障害の研究や治療に携わり、脳神経内科や耳鼻科、呼吸器内科、循環器内科、放射線科のそれぞれの科が睡眠障害の治療にあたってきたという歴史があります」と語ります。野村先生ご自身も12年間勤務した鳥取大学医学部附属病院で睡眠診療の専門性を高めてきました。

クリニック開院後は、脳神経内科と内科、睡眠診療を3本の柱として医療を提供しています。認知症医療では、認知症サポート医として地域住民の相談や受診に対応するほか、高齢者福祉施設の嘱託医に対しても治療の助言をするなど、地域で重要な役割を担っています。

ご本人・ご家族の負担を考慮し、迅速な検査・診断を

同クリニックでは、認知症の診断にあたって、問診で物忘れ症状とリスク因子を確認し、長谷川式簡易評価スケール、Mini Mental State Examination、Montreal Cognitive Assessment等の認知機能検査や頭部CT検査で認知症の鑑別を行っています。診断が難しく、MRI検査やVSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)検査が必要なときは近隣の病院に、脳SPECTやDATスキャンを行う際には大学病院に紹介して画像検査を行います。

「待ち時間が長いと患者さんの負担になりますから、診察の時間が省けるよう紹介先には画像撮影だけを依頼します。おしどりネット(鳥取県医療連携ネットワークシステム)加入医療機関であれば、撮影した画像がすぐに共有されますので、撮影の帰りに受診してもらって画像の説明をすることも可能です」

MRI検査は一般的に2~3週間もしくはそれ以上の長い予約待ち期間を要しますが、近隣の複数の医療機関のMRI装置の稼働状況を把握して、短期間で検査できるよう調整して紹介しており、迅速な診断を心がけています。

アミロイドβの蓄積に関わる特定の遺伝子型を持っていると、認知症になるリスクが高くなるといわれています。そこで、同クリニックではアミロイドβの蓄積をつかさどるAPOEの遺伝子型を調べる血液検査も用意しています。

「MCI(軽度認知障害)であったり、物忘れが増えて不安を感じている方などにお勧めしています。ただし、現時点では自費診療となるため検査代が高額ですので、皆さんがご自分のリスクを気軽にチェックできるように保険適用になればいいなと思っています」

長期的視野を大切にし、中期、長期の治療計画も提示

認知症と診断がついたら、定期的な受診の際にFAB(前頭葉機能検査)やコースKohs立方体組み合わせテストなどの神経心理検査を行いながら経過を診ていきます。「ご家族は、今後どうなっていくのかということをとても心配されていることが少なくありません」と野村先生は言います。野村先生は、ご家族に対し、薬物療法で症状を緩和できることがあること、進行するとBPSD(周辺症状)があらわれることを説明して、進行予防の重要性を伝えます。

「認知症は長期的な視野で対応を考えることも大切です。今は出ていない症状でも、時間が経過するとあらわれる可能性もあるので、短期だけではなく中期、長期の治療計画も含めた認知症療養計画書を提示し、ご家族には認知障害や生活障害、行動・心理症状に気を配っていただいています」

ご家族にはあらかじめDASC-21(認知症アセスメント)、DBD13(認知症行動障害尺度)を記入してもらって行動障害などを洗い出し、今後、新たな症状があらわれた場合の対応についても伝えています。介護保険を利用していなければ、要介護認定の申請も促します。デイサービスなどに通って社会に関わり、メリハリのある生活をすることが進行の抑制につながると考えるからです。先のことを見据え、症状が進んだときに備えて施設やケアマネジャーとのパイプをつくっておくという目的もあります。

診察室では認知症の人に笑顔で帰ってもらえるような心がけを

野村先生は、ご本人とご家族に寄り添う姿勢も大切にしています。診察室では、認知症の人の手を取り、目を合わせて、「どうですか?」「何か変わったことはないですか?」と優しく尋ね、心を開きます。

「病院で、主治医が肩などに触れて『どこが痛いですか?』と聞いてくれると、それだけでこちらの気持ちが全然違う、元気をもらえると祖母が言っていました。ですから私もコミュニケーションを大切にしています」

その結果、硬い表情で入室してきた認知症の人の顔つきが変わり、笑顔になることも少なくありません。認知症の人が笑顔でいられること、ご本人だけでなくご家族も周りからのサポートで負担が軽減され明るい気持ちで対応できる環境が整うことも、進行予防になるというのが野村先生の考えです。

睡眠障害と認知症との関わりに着目

神経変性疾患と睡眠障害の関わりについて研究を行ってきた野村先生は、認知症と睡眠障害との関係にも着目しています。睡眠障害で認知症のリスクが高まる可能性もあるため、睡眠診療が認知症の発症予防や進行抑制につながることも否定できません。

「認知症の初期の方であれば、睡眠障害の検査をして、実際に診断がつく場合もあります。認知症が進行すると睡眠障害の検査は難しくなりますが、認知症の方で睡眠障害があると、BPSDが起こることが多いので、夜は眠れているか、昼夜逆転の生活になっていないかなど、睡眠に関しても注意して診ています」

野村先生は、認知症の早期発見にも、睡眠診療を行う医師としての知見を活かしています。アルツハイマー型認知症の発症には、脳内でのアミロイドβの蓄積が引き金になるといわれており、不眠症だとアミロイドβの脳からの排出が低下し蓄積しやすくなるという研究データもあるため、慢性不眠の患者さんが認知症を発症するリスクに注視しているといいます。

「嗅覚障害がパーキンソン病に伴う認知症の前触れであることや、レム睡眠行動障害の人が認知症になることもあるため、認知症の人やMCIの人にそれらの障害がないかしっかり確認を行っています」

進行予防のための対応が重要

認知症は根本治療薬がなく、現在の課題は抗認知症薬による薬物療法と環境調整でいかに進行を遅らせるかということです。野村先生は「治療開始の半年後、1年後の神経心理検査の得点低下が、治療を行わない場合と比べて少なければ、治療はうまくいっていると考えています」と語ります。同クリニックでは治療開始後に得点が上昇する人も少なくなく、医療の介入が功を奏していると野村先生は手応えを感じています。また、悪化している人がいれば、その悪化因子を洗い出して排除するよう努めています。

「BPSDがあらわれ始めると神経心理検査の得点も低下していくので、やはり進行予防のための対応が重要であると再認識しています」

睡眠障害の症状にも着目しながら認知症の発症や進行予防、治療に尽力する野村先生。認知症の人を笑顔にしながら、地域医療へのさらなる貢献を目指しています。

 

 

取材日:2020年7月13日
のむらニューロスリープクリニックの外観

のむらニューロスリープクリニック

〒683-0846
鳥取県米子市安倍813-1
TEL:0859-46-0062

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