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“オーダーメイドの治療・介護”で認知症の方とご家族に寄り添うケアを
<大阪府藤井寺市 ときよしクリニック>

院長 時吉浩司先生 院長 時吉浩司先生

“気軽に相談できる専門医”として、時吉浩司先生がクリニックを開業してから十数年。高齢世帯の多い住宅地にあって、認知症のタイプと症状に応じた“オーダーメイドの治療・介護”で、地域の認知症ケアを支え続けています。

認知症への社会的関心が薄かった時期にクリニックを開業

大阪市へのアクセスのよさからベッドタウンとして発展し、市域の多くを住宅地が占める藤井寺市。「当クリニックの地域にも大きな戸建て住宅がたくさんありますが、高齢のご夫婦や独居の方が結構多いのです」と語る時吉浩司先生が“気軽に相談できる脳神経診療所”をコンセプトとしてときよしクリニックを開業したのは2007年のこと。その前年まで続いた小泉内閣による構造改革の一環として行われた医療制度改革が、社会的に大きな議論を呼んだ時期です。

「当時はちょっとした“開業ブーム”でした。大きな病院ではなかなか診てもらえないという患者さんの声をたびたび耳にしまして、当時は少なかった脳神経外科専門クリニックを開業したのです。脳梗塞などの患者さんが多いのではと想定していたのですが、実際には認知症の方が非常に多くて驚きました」

当時、認知症に関する情報は社会一般には広がっておらず、開業医で認知症に関心を持つ人もわずか。そうした状況の中で、時吉先生は専門医として認知症に向き合うことを決めたのです。

大阪だけではなく、京都、奈良、和歌山からも来院

開業当時、徘徊などのBPSD(周辺症状)が頻繁に見られ、ご家族が対応に悩んでおられる方が多く受診してこられました。

「物忘れのなど認知症の初期症状であれば、かかりつけの先生に診ていただけますが、症状が進んだ方の対応は難しいのが実情です。やはり脳を専門にする私のような医師が診なければならない。それは使命感というよりも、追い詰められた感じでしたね」

改めて認知症の症例や治療法の勉強を始めた時吉先生は、名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が提唱する「コウノメソッド」に出会い、河野先生とも直接やりとりを重ねて、認知症に伴うBPSDに関する知見を深めていきます。

そして河野先生の著作中でときよしクリニックが紹介されたことがきっかけで、認知症の初診の方が増加。その後、世間でアルツハイマー型認知症への関心が高まり、レビー小体型認知症がメディアで採り上げられるようになると、来院される認知症の方はさらに急速に増えました。

「認知症を専門に診るクリニックが当時はまだ少なかったこともあり、大阪だけではなく京都、奈良、和歌山などの遠方からわざわざ来られる方も少なくありませんでした。今では周辺地域の方がほとんどですが、来院される認知症の方は、月に100~150人おられます」

年末年始や盆明けに初診の方が増加

ときよしクリニックに認知症の初診の方が来院されるきっかけは、ご家族の方もしくは近所の方がご本人の物忘れなどに気づいて連れて来られるケースが大半です。

ご家族が伴って来られることが多いのは、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の明けなど。長期の休みの時期に久々に親元を訪れて物忘れなどに気づき、認知症を疑われることが多いようです。また、独居の方の場合、ご近所の方が気づいて行政の窓口などに連絡し、地域包括支援センターの職員さんなどが連れて来られることもあります。「認知症に関しては、当クリニックがこの地域でのケアの“入口”になっていることが多い」とも言います。

「介護サービスなどを受ける前の段階で当クリニックに来て、うちで介護保険を申請するまでの準備を行い、ケアマネジャーをつけるという流れの方がよくおられます。開業当初と同じく、現在もBPSDが見られるなど症状が進んだ方が多いので、介護まで含めたアドバイスを心がけています」

画像診断を中心に各種検査から診断

ときよしクリニックでは、認知症の初診の方に限り予約診療にしています。問診や検査、そしてご家族への症状の説明などの時間をしっかり確保するためです。

まず原則としてすべての初診の方に、神経学的所見を取ります。振戦などの錐体外路症状とともに、最近では嗅覚異常にも注意します。これらの症状があるときは、レビー小体型認知症を疑います。続いて、長谷川式簡易評価スケールによる検査を行い、ご家族から日常の生活動作の様子やBPSDの有無などを問診します。

「このとき、ものとられ妄想や幻視、寝言、感情失禁など診断に有用な症状や兆候を見逃さなないことが大事です。こうした検査を私自身が行いますので、やはり30分ほど要します」

また、初診の方は可能な限り当日中に画像診断を行います。クリニック内に備えたCTで頭部単純CTを撮影し数分で画像が確認できることが、ときよしクリニックの強み。アルツハイマー型が疑われる場合は長谷川式簡易評価スケールの結果と脳萎縮の状態を合わせ見て、認知機能の低下が脳のどの部位が原因になっているかを推察します。

「脳梗塞や白質病変の有無は血管性認知症の確認に有効ですし、慢性硬膜下血腫、神経膠腫、悪性リンパ腫が見つかることもあります。こうした面でも画像診断は非常に重要です」

それぞれの方に見合ったオーダーメイドのケアを

アルツハイマー型の認知症の方で、ご本人に病識がなければ、ときよしクリニックでは原則として告知しません。

「ご本人に物忘れなどの自覚がなく、ご家族に無理に連れて来られたと不満を感じている方が少なからずおられます。そうした方に認知症だと告げても反発を招くだけで、かえって以後の診療の支障になりかねません」

ご家族には、診断結果や診療の方針などを説明しますが“認知症とはすなわちアルツハイマー”“お薬を飲めばよくなる”と間違った知識をお持ちの方もいます。認知症にもさまざまなタイプがあること、完治させるお薬は現在はないこと、年齢とともに進行するのはやむを得ないことなどを丁寧に説明します。

認知症のタイプや症状によってその後の治療方針や必要となる介護の方法は異なるため、ときよしクリニックではその方に合った、オーダーメイドのプランを立てることが治療のモットーだと考えています。

「例えばBPSDが顕著になれば入院もやむを得ませんが、訪問介護や通所介護などを活用してご家族の介護負担を減らしながら、できるだけ長く在宅生活を続けていただくこと。それが認知症ケアの目標だと考えています」

早期発見と地域連携が今後の課題

地域のこれからの認知症ケアを関して、時吉先生は二つの課題を指摘します。一つは早期対応です。先に述べたように、ときよしクリニックの初診の方は、比較的症状の進んだ方が多くなっていますが、認知症のケアにとって大切なのは早期段階での発見と診療。その点で時吉先生は「かかりつけ医の先生に積極的に診ていただきたい」と訴えます。

「ご高齢の方は高血圧などで定期的に通院されている方が多いので、そのかかりつけ医の先生が例えば長谷川式で検査すれば、早期発見につながるはずです」(時吉先生)

もう一つの課題は、地域における医療・介護関係者の連携です。

「医療事業者、介護事業者それぞれにケアの方針があり、それらをうまく調整しスムーズな連携を生み出していくことが課題です。連携の必要性を感じている関係者は決して少なくないと思いますので、ぜひこの地域に柔軟なコミュニケーションがとれる支援チームができればと考えています」

 

 

取材日:2020年7月30日
ときよしクリニックの外観

ときよしクリニック

〒583-0026
大阪府藤井寺市春日丘1-9-1 第2アサヒビル1F
TEL:072-952-8607

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