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認知症専門医2人体制で専門的医療を提供、地域連携にも尽力
<岩手県北上市 及川脳神経内科クリニック>

院長 及川博隆先生 院長 及川博隆先生

岩手県北上市の及川脳神経内科クリニックは、先々代から地域のかかりつけ医として住民の健康を守って医師が2人とも認知症専門医である強みを活かして認知症の鑑別診断や治療を行い、ご本人やご家族を介護とつなげて生活をサポートしています。行政や介護スタッフとの連携の輪を広げながら、認知症の人を支える地域づくりを目指し、啓発活動にも注力しています。

3代続く身近なクリニックで認知症の専門的な治療を

副院長 及川深雪先生 副院長 及川深雪先生

及川脳神経内科クリニックは、院長の及川博隆先生が及川放射線科内科医院から改名して2018年に開院しました。博隆先生の祖父の代から3代にわたり医療を提供し、地域から厚い信頼を得ています。受診者へのていねいな説明と、患者さんの立場に立ったコミュニケーションを心がけているといいます。さらに、検査機器も充実しており、CT装置だけでなく高磁場MRI装置も備えており、先進医療を提供するだけでなく、定期的な検診による“早期発見・早期治療”も重視しているのが大きな特徴です。

認知症医療に関しては、脳神経内科の専門医である博隆先生と副院長の及川深雪先生がともに認知症専門医でもあり、身近なかかりつけ医であるとともに専門的な医療を提供、地域のほかの開業医からの紹介も受け入れています。

診療に大活躍の高磁場MRI装置 診療に大活躍の高磁場MRI装置

ご家族やケアマネジャーからの情報、神経心理検査やMRI検査などの結果から、認知症の診断をつけています。博隆先生は、「専門的な診断・治療に加え地域との連携も進めていますし、スタッフにはケアマネジャーもいますので介護につながっていない方にはつなげられるようサポートしています」と語ります。介護保険の申請を行ってサービスを利用し始めたことで、ご本人の表情が明るくなったり、ご本人とご家族の関係がよくなったりすることもあるそうです。

ご本人の尊厳に配慮しながら治療を提案

博隆先生は「ご自分が認知症だと思っていない方も多いですから、ご本人の心を傷つけないよう気をつけています」と語り、認知症の診断がついてもはっきりと告知しない場合もあります。

「ご本人には『苦手なことが増えてきていますか?』などと尋ね、苦手に感じていることを聞き出せたら、『では認知症にならないよう、お薬を飲んでみましょうか』と治療のご提案をしています」(博隆先生)

深雪先生も博隆先生と同じようにご本人の尊厳に配慮しながら、認知症の人が自分で治療を選択できるような提案をして、治療につなげています。

「進行予防のためには、趣味など好きなことがあるならばやめずに続けて、楽しく生きがいのある生活を送ることが大切ですとお伝えしています」(深雪先生)

ご家族には、現在の状態と今後起こる可能性のある症状などを説明し、対応についてのアドバイスをします。まずは現在のご本人を受け入れて、間違いを指摘したり怒ったりしないよう話します。

「ご本人のできる力を活かしてもらえるように、何もかもをお世話してしまうのではなく、自分でできることは自分でやっていただき、できないことをさりげなくサポートしてくださいとお願いしています」(博隆先生)

認知症の人も地域の人も集える認知症カフェを

深雪先生は以前、滝沢市にあるこんの神経内科・脳神経外科クリニックに非常勤で勤務しており、認知症医療に積極的に取り組むクリニックでもあることから多くの認知症の人と接してきました。当時の経験から、認知症カフェはご本人が社会に関わって自分を表現する場になるのではと考え、同クリニックでも認知症カフェ“Cafeさくらなみき”を始めました。

「認知症カフェに参加したとき、普段はおとなしい認知症の方が話の中心になって生き生きと話しているのを目にしました。認知症カフェは認知症患者さんご本人の役に立ち、また、受診を考えている人やご家族が相談できる場になるなど、さまざまなメリットがあると思いました」(深雪先生)

Cafeさくらなみきは、医師が受診や治療の相談に乗ったり、スタッフが参加者の話し相手になる場でもあり、認知症の人やご家族はもちろん、地域住民や認知症について関心を持つ人など、誰でも参加することができます。会場はクリニックの1階で、気軽に参加できるように予約は不要にしました。物忘れの相談だけでなく認知症予防の運動プログラム「コグニサイズ」体験や合唱なども行っており、各回とも多くの参加者で賑わっています。

「もっと大きいスペースを用意したほうがよいのではという意見が出るほど、たくさんの方に参加していただきました。新型コロナウイルスの影響で現在は開催を見合わせていますが、今後も継続して開いていきたいと思っています」(深雪先生)

緊張を解き、不安を軽くして、居心地のよい場所に

看護師 遠藤美穂さん 看護師 遠藤美穂さん

クリニックのスタッフは受診前には患者さんを担当するケアマネジャーから情報収集し、受診時にはご本人がいない場所でご家族からご本人の状態や要望を聞き取ります。診察の援助を行う看護師の遠藤美穂さんは、「受診時はしっかりしていても家ではそうでない人もいますし、さまざまな情報は正確な診断の役に立っていると思います」と話し、ご本人ができることを探りながら、何が課題であるかを考えていきます。

「ご本人やご家族が抱えている問題を看護師1人で解決することは難しいですが、収集した情報をほかの職種と共有しながら、みんなの力で解決できるとうれしいですね」(遠藤さん)

事務 千葉真弓さん 事務 千葉真弓さん

物忘れが気になって受診する患者さんやご家族は緊張していたり不安になっていたりすることが多いため、スタッフは緊張をほぐし、不安を軽減することに努めています。事務の千葉真弓さんは、「電話で受診のご相談があったら、顔は見えなくても笑顔で応じ、柔らかな印象を抱いていただけるような話し方を心がけています」と配慮を語ります。認知症の人が怒りっぽい、長時間待てないという傾向があれば、受付ではさりげなく見守り、変化があれば対応するなど細やかな気配りを見せます。

ケアマネジャー 高橋恵さん ケアマネジャー 高橋恵さん

ケアマネジャーの高橋恵さんは、神経心理検査でご本人が緊張せずに普段の力を発揮できるよう、一人ひとりに合わせて質問の仕方を変える、身ぶり手ぶりを加える、穏やかな表情で尋ねるなどの工夫をしています。話を聞くときは、出身地の話などを糸口にご本人に心を開いてもらい、「あなたの話を聞いていますよ」というメッセージを込めながら和やかに聞いていきます。

「介護の現場では信頼関係が大切といわれていますが、医療の現場でも同じだと思います。ご本人やご家族と信頼関係を築き、クリニックを居心地のよい場所、行けばほっとするような場所だと思っていただけるような雰囲気づくりをしています」(高橋さん)

多職種の事例検討会にも参加し、地域連携を深める

北上市では、2016年に北上市在宅医療介護連携支援センターを設置し、医療と介護を一体的に提供する体制づくりを進めています。市が中心となって、市内の医療機関や施設から認知症医療に携わる多職種が集まる事例検討会も定期的に開催されています。同クリニックからも博隆先生や深雪先生、高橋さんたちが参加し、採り上げられた事例に対応策を出し合いながら、顔の見える関係を築いています。

「事例検討会で連携の輪を広げるとともに、地域包括支援センターとも密に関わり、行政とも民間とも良好な関係が構築できていることが、より専門的な医療の提供につながっていると思います」(博隆先生)

クリニックの皆さん クリニックの皆さん

北上市の世帯の約1割が高齢者の独居世帯です。ご家族のサポートが得にくい人を受診や治療につなげたり、サポートしていくことが、地域の課題のひとつです。認知症の人を社会全体で支える地域をつくるには、認知症についての正しい知識を広めることが重要であるとして、博隆先生と深雪先生は、市民向けの認知症啓発イベントなどにも登壇し、地域住民の認知症への理解を深めようと尽力しています。

専門的な診断・治療の提供だけでなく、認知症の人が暮らしやすい社会を目指して、同クリニックはこれからも地域に貢献していきます。

 

 

取材日:2020年7月27日
及川脳神経内科クリニックの外観

及川脳神経内科クリニック

〒024-0043
岩手県北上市立花10地割28番地1
TEL:0197-65-3811

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