認知症病院紹介サイトTOP > 取材記事を探す【近畿】 > 大阪府 > 大阪府大阪市 社会医療法人寿会 富永病院
認知症病院の取材記事を探す

歴史ある脳の“専門病院”が多職種連携で取り組む認知症医療
<大阪府大阪市 社会医療法人寿会 富永病院>

副院長・脳神経内科部長 竹島多賀夫先生 副院長・脳神経内科部長 竹島多賀夫先生

富永病院は1970年の開業以来、脳神経外科専門病院として最先端の治療・手術に取り組んできました。2010年に脳神経内科を開設し、専門病院ならではの組織、設備、経験を生かした認知症医療に力を入れています。

脳神経の専門医・スタッフにより受診当日に診断

大阪ミナミの賑やかさと人情あふれる下町の温かさが同居する大阪市浪速区の地下鉄大国町駅そばに富永脳神経外科病院が開業したのは1970年のこと。1977年には現在の場所(JRなんば駅の隣接地)に富永病院を増設。脳神経外科の最新治療・手術を手がけて多くの人を救ってきた、歴史のある病院です。

2010年に開設した脳神経内科では、頭痛やパーキンソン病などとともに認知症の診断・治療にも注力しています。公共交通機関でも自家用車でもアクセスが抜群によい立地の富永病院では、浪速区には脳神経内科の専門医が少ないことから近隣からの紹介が多い一方、奈良県、和歌山県、三重県などの県外からの来院も多いと言います。

副院長で脳神経内科部長でもある竹島多賀夫先生は、「当院には脳神経外科・内科の専門医が数多く在籍し、充実した検査機器、機動力のあるスタッフが揃っています。受診されたその日のうちに神経心理学的検査から画像検査までを行って診断をつけ、治療方針の説明ができることは、大きな強みになっています」と語ります。

早期発見によって適切なタイミングで治療開始

富永病院のもの忘れ外来に初診で来院される方は月に50名ほど。近隣クリニックからの紹介が半数くらいで、本人やご家族が認知症を心配しての来院も多いと言います。

もの忘れ外来を初めて受診された方には、まず、看護師が問診票をもとにした聞き取り、MMSE(認知機能検査)やHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)を行います。この情報を参考にしながら医師が診察を行い、MRIや血液検査を経て、ほとんどの方が当日のうちに診断を聞くことができます。

「脳血流を調べるSPECTも当院で撮影可能なので、MRIでは判断しづらいMCI(軽度認知障害)など軽症の方の診断に活用しています。早めに診断することで、適切なタイミングで治療を始めることができます」(竹島先生)。

脳神経内科副部長 菊井祥二先生 脳神経内科副部長 菊井祥二先生

「SPECTはアルツハイマー病とレビー小体型認知症を鑑別するのにも役立ちます」と語るのは竹島先生とともに、もの忘れ外来を担当する脳神経内科医の菊井祥二先生です。血管性認知症や正常圧水頭症などの認知機能低下を起こす他の病気と診断された患者さんも、同じ院内に専門医がいるので速やかな対応が可能です。

「さまざまな疾患で認知機能低下が起こりますが、やはりアルツハイマー病の方が多いですね。軽症の段階でご本人が受診されることも増えていますが、ご本人は病名告知に対してショックというより診断がついて安心したとおっしゃることも多いです」(菊井先生)

電話相談から継続的な対応でご家族に安心を

富永病院では受診前の電話相談にも力を入れています。電話を受けるのは、もの忘れ外来の看護師で、ご本人やご家族からの情報収集は電話相談の段階から始まっています。

外来師長 田畑かおりさん 外来師長 田畑かおりさん

外来師長の田畑かおりさんは、「ご家族からの電話も多いです。症状や状況をうかがって、もの忘れ外来の受診に繋げるのですが、かなり悩んだ末に相談されるご家族がほとんどなので、来院されたときには、ご家族にねぎらいの言葉をかけるよう心がけています。私たち医療従事者に悩みを預けて、少し安心して欲しいですね」と語ります。

電話相談や問診で看護師が聞き取った情報は部署の垣根を越えて多職種で共有され、必要に応じてかかりつけ医や介護施設などへも提供しています。

「正確な情報を引き出すためには看護師も認知症に関する知識を深める必要があります。3年前に認知症ケア委員会を立ち上げて、月に1度、人材育成や情報収集、連携方法について話し合いを重ねています」(田畑さん)

入院は服薬管理をきちんとするチャンス

脳神経内科の病床数は40床ですが、他病棟でも認知症を合併する方は少なくありません。

3科混合病棟師長 岸川薫さん 3科混合病棟師長 岸川薫さん

脳神経外科・脳神経内科・循環器科の3科混合病棟を担当する師長の岸川薫さんは、「認知症を合併しているかどうかで看護の対応を大きく変えることはせず、丁寧に接するように心がけています。一方で、ご家族が悩みを抱えることが多い疾患なので地域連携室に繋げたり、退院後の生活支援には力を入れています」と語ります。

薬剤師の中田和花先生は、「認知症を合併している方は服薬管理が難しいのですが、入院中は確実に服薬していただけるように、一人ひとりの個性にそって管理と指導を行っています」と語ります。

薬剤師 中田和花先生 薬剤師 中田和花先生

患者さんの入院時に、普段、服用している薬を持参してもらって確認すると、その薬を見ただけでその人の状況がわかると中田先生は言います。「10錠のうち2~3錠だけ使ったPTPシートがいくつもあったり、古い薬がたくさん混じっていたり、裸の錠剤がバラバラと出てきたり。一方で、ご自分でしっかりと管理できている方もおられます」(中田先生)

一度、入院された方であれば、退院後の服薬管理を行うための留意点を、ご家族やケアスタッフに伝えることができますが、入院することなく外来だけで治療を行う人の服薬管理は難しくなります。中田先生は今後の課題として、「お薬を出している院外の薬局と連携して、情報を共有する仕組みを作っていく必要があります」と指摘します。

「ご本人の判断で薬の服用をやめてしまったときや、副作用が出たときの情報などを共有できればと思っています。いろいろな剤型がある薬であれば、ニーズを聞きながら服用されている方に合わせて投薬の工夫もできます」(中田先生)

総勢100名のリハビリテーションスタッフ

リハビリテーション部長 理学療法士 濱本学さん リハビリテーション部長
理学療法士 濱本学さん

脳外科手術を必要とする疾患は身体に麻痺などが残ることも多いため、富永病院には理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、合わせて約100名を擁するリハビリテーション部があり、認知症で入院している方のリハビリテーションにも取り組んでいます。

認知症に加えて麻痺など身体的な障害を持つ方、運動機能の問題はなくても認知症によって生活の基本動作が難しくなった方、独り暮らしの方、お世話が必要な家族がいる方、退院後に施設に入所する方など、一人ひとり、リハビリテーションの目的や目標は異なります。

リハビリテーション部の部長で理学療法士の濱本学さんは、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がそれぞれの役割を自覚し、互いに評価しながら取り組む必要があるリハビリテーションでは、職種間での情報共有と連携は必要不可欠です」と語ります。

認知症のご本人の病状や、できること、できないこと、ご家族の困りごとなどを把握し部内で情報共有し、病棟ごとのカンファレンスで多職種のスタッフにも必ず伝えます。

「先生の回診が毎週月曜日にありますので、電子カルテ上のリハビリテーションに関する情報は回診の時間までに必ず最新のものに更新するようにしています」(濱本さん)

一人ひとりの趣味や人生に寄り添う介入を

リハビリテーション部 作業療法士 川口雄也さん リハビリテーション部
作業療法士 川口雄也さん

「リハビリテーションを進めるために必要な情報だけでなく、趣味や嗜好を知り共感することで人間関係を築くことを心がけています」と語るのは作業療法士の川口雄也さんです。例えば、普段から寝具をきれいに整えたり身なりに気を遣う方であれば、髪に櫛を入れベッドの周りを整理してからリハビリテーション室に向かうと気持ちが前向きになることが多いと言います。

「電子カルテには食事を残したか完食したかが記録されています。肉料理は残しがちだけれど魚料理は残さず食べる方がいたので、釣りについて伺ってみたところ『兄ちゃんも釣りが好きなんか?』と話が盛り上がり、これ以降、リハビリテーションにも積極的に取り組んでくださったということもありました」(川口さん)

脳神経内科副部長 通所リハビリテーション専門医 柏谷嘉宏先生 脳神経内科副部長
通所リハビリテーション専門医
柏谷嘉宏先生

認知症には根治療法はありませんが、医療介入やリハビリテーションによって、穏やかに過ごせるよう支えることはできます。脳神経内科医で通所リハビリテーションの専任医も務める柏谷嘉宏先生は、「認知症になっても仕事を続けている方もいます。たとえば何十年も靴職人として働いてきた方は、ほかの多くのことができなくなっても靴は作れます。冷蔵庫の管理はできないけれど料理はできる女性も少なくありません。できることを大切にしながら、穏やかな暮らしを実現させてあげたいですね」と語ります。

また、ご家族が心配や不安を募らせると、認知症のご本人にその不安が伝わってしまうことも少なくありません。「ご家族が大きな不安やストレスを抱えるのは当然のことです。認知症のご本人だけでなく、ご家族の心や暮らしも支えていけたらと思います」(柏谷先生)

専門病院の総合力を生かした認知症治療

富永病院では新薬の臨床試験にも積極的に取り組んでいます。

「脳神経外科・内科医が多く勤める病院として、認知症医療の進展にも貢献したいですね。新しい治療法に挑戦していきたいですし、アルツハイマー病を早期に診断できるアミロイドPETについて、今、認知症学会などが保険適応を要望しています。当院でも、ぜひ実施できる体制を作りたいと考えています」と、副院長の竹島先生は展望を語ります。

同院で認知症医療をスタートしてから約10年、もの忘れ外来を受診する方は増加し続けています。「院内の多職種連携を進めて、より多くの方を治療するのと同時に、地域連携にも力を入れて、この地域の認知症医療を牽引していければと思います」(竹島先生)

 

 

取材日:2020年7月22日
富永病院の外観

社会医療法人寿会 富永病院

〒556-0017
大阪府大阪市浪速区湊町1-4-48
TEL:06-6568-1601

施設のホームページへ

医療機関を探す
新着施設から探す
地域から探す
  • 北海道 近畿
  • 東北 中国
  • 関東・信越 四国
  • 東海・北陸 九州・沖縄
カテゴリーから探す
  • 社会が考える認知症予防・治療・戦略
  • 日常診療における創意工夫
  • チーム連携のさらなる充実
  • ふれあいつながる作品展
  • バアちゃんの世界
  • バアちゃんの世界からわかる認知症の症状と対応のヒント
  • 「笑顔とこころ」をつなぐ声
  • 認知症のお薬(剤形)の選択肢が増えました
  • 患者さんとご家族のための認知症の知識
  • 全国各地の認知症相談窓口
  • 認知症サポーターキャラバン
  • サイト運営企業の取り組み
  • 医療関係者の皆さまへ
トップページへ