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地元に根ざしたクリニックとして、
専門性の高い認知症診療と地域連携に取り組む
<愛知県刈谷市 半城土とみやすクリニック>

院長 冨安斉先生 院長 冨安斉先生

神経内科の専門医である冨安斉先生は、出身地である刈谷市に2010年にクリニックを開業。以来、多くの認知症の方の診療にあたり、地域連携の中で大きな役割を果たすとともに、啓発活動にも力を注いでいます。

見過ごされている方を見つけるのが自分の役割

JR東海道本線・刈谷駅から南へ車で約10分、閑静な住宅街の一角に半城土とみやすクリニックが開業したのは2010年のこと。院長である冨安斉先生は刈谷市出身で、大学病院や総合病院等での勤務を経たのち、愛着ある地元で開業医の道を選びました。

神経内科を専門とする冨安先生が診療にあたるのは、頭痛やめまい、しびれなどの身近な症状から、脳卒中やパーキンソン病などの神経難病まで多岐にわたります。なかでも認知症の診療には力を注いでおり、現在、同クリニックの患者さんの約4割が認知症の方です。

明るく開放的な待合室 明るく開放的な待合室

「でも、私が本格的に認知症に向かうようになったのは、内科にいたときの経験がきっかけなんです」と、冨安先生は振り返ります。

総合病院で内科に勤務していた一時期、来院される患者さんの中に認知症の方が多いことに冨安先生は気づきました。症状が進んでいる方は、神経内科などでの専門的な診療が案内されますが、初期症状の場合、内科では見過ごされたままの方が多く、医療機関の規模が小さくなるほどその数が多くなることを実感したと言います。

「そうした方を積極的に見つけてあげて、適切な診療を行うのが自分の役割ではないかと考えました。開業してみて、さらにその思いを強くしています」

丁寧な問診と画像診断を重視

物忘れなどを気にして来院された方の診断にあたって、冨安先生はまず問診を重視。ご本人とご家族それぞれ時間をかけて、じっくり日常生活の様子などを聞きます。例えば、物忘れといってもその症状や程度はさまざまで、実際は物忘れではなく失語などの場合もあるからです。問診に続き、血液検査や長谷川式簡易評価スケールによる検査、さらに病診連携している総合病院でMRIと脳SPECTを撮り画像診断を行います。

「問診でだいたい判断はつけられますが、例えば脳に何か想定外のものが隠れている可能性はありますから、MRIと脳SPECTを組み合わせて確認します。認知症ではなく他の治る疾患を見逃さないためにも必要です」と冨安先生は画像診断の意図を語ります。

認知症の診断をつけた方には、基本的に抗認知症薬を処方しますが、服用しないという選択肢があることも必ず説明します。

「この方はお薬を使った方がいいのに、と内心で思うことはありますけれど、やはりご本人、ご家族それぞれのお考えを尊重するのが第一です」

同じ目線の高さで穏やかな表現で話す

認知症の方に接するときに留意していることとして、冨安先生は「ご本人のプライドを傷つけないこと」を挙げます。決して上からの目線にならないよう「同じ目線の高さで、ゆっくり大きな声で話すことが大事」だと先生は言います。高齢になって耳が聞こえにくくなった方の中には、問診での質問がよく聞き取れないまま曖昧に答えて話が噛み合わず、認知症が疑われてしまうことがあります。それを防ぐために「ゆっくり大きな声で話すこと」が大切だと考えています。診断の説明にあたっても、冨安先生は柔らかい表現になるよう心を配っています。

「みなさん年齢を重ねるにつれて物を忘れるようになりますが、あなたの場合はちょっと他の人よりも早く進みそうだから、お薬を使うのも一つの方法ですよ」と冨安先生はその一例を語ります。

また、先生が認知症の診断をつけても、その場でショックを受ける方はあまりおられず、「来院される時点で、ある程度の見当をつけておられるからでしょう。診断を聞いて大きくうろたえるような方はおられませんね。近年、認知症の啓発が進み知識をお持ちの方が増えたことも背景にあるのでは」と指摘します。

認知症のケアに大切なのは味方をたくさんつくること

治療の方針を考える際、冨安先生は、認知症の方の生活環境を詳しく確認します。特に重視するのは、身の回りの世話や介護にあたれるマンパワーがどれくらいあるかということ。例えばBPSD(周辺症状)がみられる場合、同居されるご家族の支えを得ながら症状をうまくコントロールできるのであれば自宅での生活は可能です。しかし、ご家族が介護に疲弊していることも少なくなく、独居や老老介護・認認介護だと日常的な介護のマンパワーが十分とはいえません。こうした場合、冨安先生は施設中心の生活へシフトしていくことや、BPSDのコントロールのため連携のとれている精神科の病院への入院を提案します。

「普段から各所との顔の見える良好な関係が築けており、連携がしっかりとれていることが当クリニックの強みです」と冨安先生は話します。

「認知症のケアに大切なのは、味方をたくさんつくること」というのが先生の持論。「ご家族の中だけで苦労や悩みを抱え込まず、地域にある福祉、介護の窓口などにどんどん相談するようお勧めしています。この刈谷市は関係機関の連携がかなりスムーズですので、そのネットワークの中で“味方”を増やしていただきたいですね」

講演会などを通じて啓発とネットワークづくりを

刈谷市では「刈谷医師会認知症ケアネットワーク」が2011年に発足し、冨安先生も発足の当初からメンバーとして参加しています。同ネットワークでは、医師会、地域包括支援センター、行政に所属する各メンバーが会合を実施。課題の共有や情報交換を行うとともに、顔の見える関係づくりを進めてきました。書面だけでやりとりを行うのではなく、誰からの依頼なのかをイメージできることが地域連携を行ううえでもプラスに働いていると言います。

また、一般市民向けや医師向けなどの講演会を年に数回開催し、啓発活動にも力を注いでいます。一般向けの講演も総論だけではなく、さらに専門的な内容に踏み込んで、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、血管性認知症などと回を分けて開催。多いときには約100人以上が集まり、介護スタッフなど自らの仕事に活かそうとする参加者も少なくありません。

「私のクリニックの初診の認知症の方は、介護スタッフさんからのご紹介で来られる方が多いんです。講演を聞いたスタッフさんが、実際にご自身で高齢者の介護にあたっていて気づくのでしょうね。これもネットワークから生まれた成果だと思います」

かかりつけ医と専門医の積極的な連携を

複数の専門職がチームとなり、認知症の方とそのご家族の初期を包括的・集中的に支援する「認知症初期集中支援チーム」を政府が推進しており、刈谷市でもこの取り組みがスタート。冨安先生も「この制度が今後うまく機能して欲しい」と期待を寄せています。

一方で先生は、これからの地域での認知症ケアを充実させていくには「認知症の診療ができる医師がまだまだ足りない」と課題を指摘し、「かかりつけ医の先生が、認知症診療の中心であって欲しい」と講演などでも訴えています。

「現状では、かかりつけ医の先生が初期症状に気づかない、あるいは気づいていても“歳なんだから仕方がない”と治療に入らないことがままあるように思います。かかりつけ医が積極的に関わるようになれば、早期発見にもつながりますし、これまでの背景をよく知るかかりつけ医に診てもらった方が認知症のご本人も安心できるでしょう。症状などにより必要があって紹介されれば、もちろん当クリニックで診ます。そうした専門医とかかりつけ医の連携を強めていくことが、今後大切だと思います」

 

 

取材日:2020年7月14日
半城土とみやすクリニックの外観

半城土とみやすクリニック

〒448-0816
愛知県刈谷市半城土西町3丁目2-15
TEL:0566-63-5051

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