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神経難病のスペシャリストたちが身近なクリニックでチーム医療を展開
<神奈川県川崎市 医療法人社団神天会 登戸内科・脳神経クリニック>

院長 加茂力先生 院長 加茂力先生

神奈川県川崎市にある登戸内科・脳神経クリニックは、パーキンソン病や認知症疾患などの方を数多く診てきた加茂力先生が院長を務めるクリニックです。地域のホームドクターとして生活習慣病や風邪などの一般内科疾患に対応する一方で、脳神経内科疾患に対する高度な医療も提供。診断と薬物治療のほか、外来でのリハビリテーションや訪問での看護・リハビリテーションにも注力しています。さらに、医療・介護の専門職を対象に勉強会を開催するなど、神経難病を持つ人やご家族を地域で支える体制づくりにも取り組んでいます。

豊富な臨床経験を生かし、専門性の高い医療を提供

加茂力先生は、聖マリアンナ医科大学病院第2内科医長、同大学横浜市西部病院神経内科部長などを歴任。川崎市立多摩病院神経内科部長を経て、2011年に登戸内科・脳神経クリニックを開院しました。「脳神経内科疾患を専門にしたクリニックは非常に少なく、専門性の高い医療を地域に密着した形でご提供することが当院の役割」と語る加茂先生。プライマリケアと、脳神経内科疾患に対する専門性の高い医療の両輪で地域医療に取り組んでいます。

同クリニックに通う患者さんはパーキンソニズムや認知症を症状とする神経難病や認知症疾患と診断された方が多くいらっしゃいます。加茂先生は「認知症疾患にはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症のほか、進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核変性症など、さまざまな病態や病名がありますが、その多くで手足の震えや動きが遅くなる、手足を動かすときに硬さがあるといったパーキンソニズムがみられます」と話します。

特にパーキンソン病とレビー小体型認知症は、どちらも異常なタンパク質が脳神経細胞に蓄積してできるレビー小体が脳内で広範囲に伝搬し、脳神経細胞が変性・脱落することで引き起こされる疾患として共通した病態があります。加茂先生は「パーキンソニズムと認知症の症状のある患者さんを客観的に評価して、適切な診断により治療を行うことが大切です」と話します。

診察と画像検査の結果を総合的に判断し、パーキンソン病、パーキンソン病関連疾患と認知症疾患を鑑別

パーキンソン病とレビー小体型認知症に共通してよくみられる症状に、レム睡眠行動障害があります。夢の中での行動がそのまま実際の行動となってしまう現象で、夜中に突然起き上がって料理を作り始めたり、着替えてネクタイを締めたりする人もいるそうです。

「このような行動を目の当たりにしたご家族が『認知症になってしまった』と考え、ご本人を連れて受診されることもありますが、記憶障害や見当識障害がなく、長谷川式簡易評価スケールやMMSE(認知機能検査)では高得点になることがあるので、慎重に見極める必要があります」(加茂先生)

現在、パーキンソン病を診断するためのバイオマーカーはなく、同クリニックではパーキンソン病に特徴的な臨床症状の経過や、頭部MRI、MIBG心筋シンチグラフィ、DaTスキャンなどの画像検査の結果や治療薬の効果を踏まえて総合的に判断しています。ただし、加茂先生は「レビー小体型認知症あるいはパーキンソン病では経過とともにパーキンソニズムと認知症が現れます」と話し、その際はパーキンソニズムと認知機能障害の改善を目的に薬物療法やリハビリテーションを行い、ADL(日常生活動作)の維持・向上に努めています。

神経変性疾患による歩行障害がロコモと判断されることも

普通に生活していた高齢者が徐々に会話をしなくなり、動作が緩慢で歩幅が狭く小刻みな歩き方となると「運動不足だから」と周囲の人から言われることがあります。「運動機能の低下は、加齢によるものと考えられ、ロコモティブシンドローム(寝たきりを引き起こす運動器の病気)やフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)と判断されることもあると思います。しかし、そのなかにパーキンソン病やレビー小体型認知症によるパーキンソニズムが隠れているかもしれません。すぐにロコモティブシンドロームやフレイルと判断せず、『なぜ歩きにくいのか』『なぜ転んでしまったのか』という視点を持って診察する必要があります」(加茂先生)

もの忘れの症状があることからアルツハイマー型認知症と考えられていた後にパーキンソニズムが現れて、レビー小体型認知症、進行性核上性麻痺あるいは大脳皮質基底核変性症と診断されることもあります。パーキンソニズムが出現するとバランスが悪くなり転倒しやすく、骨折をきっかけにさらに運動機能が悪くなりますが、もの忘れの時期から認知症疾患の適切な判断をしていれば、それぞれの病態に合わせた薬物療法、リハビリテーションおよびケアにつなげることができます。

加茂先生は「パーキンソン病やパーキンソン病関連疾患の運動機能障害はお薬で治療できるので、おかしいと思ったら脳神経内科医に相談していただければ」と注意を促します。

パーキンソン病に特化したリハビリテーションで運動機能だけでなく認知機能を長期間維持することを目指す

理学療法士 三上恭平さん 理学療法士 三上恭平さん

同クリニックの2階にはリハビリテーション室が完備されており、加茂先生の指示のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士ら10名のスタッフが専門性の高いリハビリテーションを提供しています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、2020年6月にスペースを拡張。密閉・密集・密接を避けてリハビリテーションを行えるよう、環境を整えました。

理学療法士で、リハビリテーション科責任者の三上恭平さんは、地域の医療・介護の専門職向けの講演会の講師のほか、WHO(世界保健機関)のパーキンソン病リハビリテーションプロジェクトのメンバー(World Health Organization (WHO) Rehabilitation Programme on the development of the Package. Member of the development group for Parkinson’s disease.)としても活躍しています。

「リハビリテーションというと、硬くなった関節を軟らかくする、低下した筋力を増強するといったアプローチが中心と思われがちですが、最近では進行性の神経疾患でも、リハビリテーションが脳神経によい影響を与えると考えられています」(三上さん)

拡張されたリハビリテーション室 拡張されたリハビリテーション室

パーキンソン病の非運動症状である認知機能障害では、物事の手順がわからなくなる遂行機能障害がよくみられます。例えば、自分で歩いて通院できる方でも転んでしまうと起き上がれず、長時間床に座ったままということもあるそうです。これは、身体機能は維持されているものの、起き上がるための手順が思い出せない状態と考えられるため、忘れてしまった手順を再度学習する必要があります。同クリニックでは、動きの実演や連続写真を見せて、動作をイメージしながら手順を学習するリハビリテーションを行っています。

また、言語聴覚士による言語・嚥下訓練も取り入れています。「誤嚥性肺炎をきっかけに入院する方は多く、特に、むせや咳を伴わない不顕性誤嚥は、ご本人やご家族が気づかないうちに誤嚥して肺炎を引き起こす可能性もあり、早期からの対策が重要です」と話す三上さん。食事のときの前傾姿勢で顎が上がっている場合は、姿勢を修正することが誤嚥の予防につながるのだそうです。加茂先生も「うまく言葉が発音できずに周囲とコミュニケーションが取れなくなると、家に引きこもってテレビばかり見ているという状況にもなりかねません」と、言語・嚥下訓練の重要性を語ります。

神経変性疾患の知識を持つスタッフが訪問看護を実施

加茂先生は「通院困難な方にも、神経変性疾患の病態を理解している看護師・リハビリテーションスタッフによるケアを提供したい」という思いから、2017年、同クリニックのそばに登戸メディケア訪問看護リハビリステーションを開設しました。

登戸メディケア訪問看護リハビリステーション 看護師 柴田洋佑さん 登戸メディケア訪問看護リハビリステーション
看護師 柴田洋佑さん

同ステーションで訪問看護を担当する、看護師の柴田洋佑さんは、利用者の方の自宅を訪問し、病状や健康状態の管理や、服薬状況の確認、栄養指導などを行っています。「クリニックに来院されるときは、緊張感からかピンと背筋が伸びている方が多いのですが、ご自宅では普段の様子を知ることができます」と、訪問看護のメリットを語ります。

「診察時には『問題ありません』『ちゃんとできています』とおっしゃっていても、自宅では先生から言われたことを忘れてしまっていたり、リハビリテーションで習った通りにできなかったりすることもあります。そこで、自宅でも先生の指示を守っていただけるよう、30~60分ほどの時間をかけて、わかりやすい言葉で丁寧に説明・指導を行っています」(柴田さん)

「診察室でも生活の様子をお聞きしていますが、本当のところは自宅に行ってみなければ把握できません」と話す加茂先生。実際に、柴田さんの報告からレム睡眠行動障害があるとわかったこともあり、「診察では得られない情報を収集してくれるので、非常に助かっています」と、その仕事ぶりを評価しています。

勉強会を通じて地域医療のレベルアップに貢献

加茂先生は、地域の課題として「神経難病の方に対する適切な医療の確保」を挙げます。そのためにもまずは医療・介護の専門職が正しい知識を持つことが重要だと考え、2017年にPNT(Parkinson’s disease Network in Tama)というパーキンソン病の多職種勉強会を立ち上げました。勉強会では医師、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、看護師、ホームヘルパー、薬剤師、ソーシャルワーカーなどの多職種がそれぞれの経験を紹介し、ディスカッションするグループワークを行っており、参加者は毎回80名を超えるそうです。

勉強会の意義について、「ケアマネジャーやホームヘルパーは、利用者の方の生活場面をよく知っているので、私たちが気づかなかった症状について報告されることもあります。いろいろな職種の方々と情報を共有し合うことはとても大切だと思います」と語る柴田さん。勉強会でリハビリテーションについてレクチャーすることもある三上さんは、「普段見ていること、疑問に思っていることを自由にディスカッションできる場なので、職種間の垣根がなくなりました。外来のリハビリテーションで福祉用具が必要になったときは、すぐにケアマネジャーに相談するなど、普段から気軽に連絡を取っています」と話します。

加茂先生もお二人の話に大きくうなずきながら、「私も介護保険のことは詳しくないので、ケアマネジャーに教えてもらっています。多職種が集まる勉強会は医師主導になりやすいですが、医師が他の職種の方から学ぶことは多いと感じています」と笑顔を見せます。

身近なクリニックでありながら、専門性の高い医療とリハビリテーション、訪問看護を提供する同クリニック。病診連携や診診連携、介護施設との連携をより一層強化して地域医療のレベルアップを図り、多職種一丸となって神経難病や認知症疾患の人とご家族を支えていきます。

 

 

取材日:2020年8月24日
登戸内科・脳神経クリニックの外観

医療法人社団神天会 登戸内科・脳神経クリニック

〒214-0013
神奈川県川崎市多摩区登戸新町434
TEL:044-930-1050

施設のホームページへ

医療法人社団神天会 登戸メディケア訪問看護リハビリステーション

〒214-0013
神奈川県川崎市多摩区登戸新町432 リビエール井田203
TEL:044-819-6306

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