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医療と介護が一体となり、地域住民の健康を支える
<滋賀県守山市 医療法人小西醫院>

理事長・院長 小西常起先生 理事長・院長 小西常起先生

医療と介護の一体的な提供を行っている小西醫院は、京阪神圈のベッドタウンとして人口が増加傾向にある一方、古くからの田園風景や古風な街並みも残る滋賀県守山市にあります。1999年12月の開院ですが、2006年6月に介護施設が併設され、2020年4月には、新たに認知症高齢者グループホームが開設されました。開院当時から一貫して「愛され・親しまれ・信頼される医院」を目指してきた小西醫院は、地元の人々の健康維持のため、よりよい支援の在り方を模索し、実践し続けています。

高齢化の中、増える「もの忘れ」を心配する患者さんの診察を待たせたくないという思いから認知症診療を開始

小西醫院は、地域に根付く医院を目指して、一般外科・内科、脳神経外科・内科、リハビリテーション科を標榜し1999年に開院しました。理事長であり院長の小西常起先生が認知症診療に本格的に取り組み始めたのは、4~5年前のことです。当初は、認知症診療を行うことに迷いがあったと言います。

「はじめは、認知症の疑いがある人が来ても、『自分に診られるんだろうか』という不安から、他の病院に紹介することが精いっぱいでした。しかし、物忘れ外来の受診を希望される患者さんが増え続け、病院に紹介しても、予約が一杯で、なかなか診てもらえない状況になっていることを知り、少なくとも通院中の地域の患者さんは診て差しあげたいと思いスタートしました」(小西先生)

現在、同院では常時20~30名の人の認知症診療を行っています。複数の診療科があることで、外科や内科にかかっている患者さんに認知症の疑いがあるときに相談に乗ることができるだけでなく、認知症で通院する人が他の病気になったときでもすぐに診察することができるというメリットがあります。

地域の中で、一貫した医療と介護を担う

医療と介護、二つの事業を展開する同院が、介護保険による訪問・通所サービスを始めたのは、2006年6月のことです。「認知症を患っても、住み慣れた地域で安心・安全で健やかな生活を送ってほしい」という思いから、2020年4月新たに認知症高齢者グループホーム「グループホーム安寧」を開設しました。小西先生は、医療と介護の両方の事業を展開することに大きなメリットがあると考えています。

「事業の基本に医療があって、その上に介護がある、二層構造のようなイメージです。介護施設の利用者さんの状態が悪くなったときに、必要があればいつでも医療が介入できます。お年寄りは、さまざまな病気の兆候が、あるとき突然にあらわれることがあります。それに介護を行う中で気づき、治療に結び付けることができるのも、医療と介護がうまく連携していることの強みです」(小西先生)

現在、医療と介護に携わるスタッフは、総勢60名を超えています。看護師、理学療法士、相談員、ケアマネジャー、ケアワーカーなど多様なスタッフが在籍し、医療と介護のサービスを併せ持つ同院を支えています。

介護サービス提供者との交流でさまざまな実態を把握する

「認知症の医療と介護の連携IN守山野洲」は、藤本クリニックの院長、藤本直規先生が主宰し、2003年に始まった勉強会と事例検討会です。医師・看護師・歯科医師・薬剤師や、行政の職員、介護スタッフ、警察など多職種が参加する会です。小西先生も3ヵ月に1度で開かれる勉強会に、「教科書に書いていないようなことを勉強できる」と積極的に参加するようになりました。また、「守山顔の見える会」は、高齢者の在宅医療・在宅介護に関する学習会で、「考える会」の両方に参加する人も少なくありません。どちらの会も、目的の一つとして、医師・看護師と介護サービス提供者のコミュニケーションを円滑にして、連携を強めることが挙げられます。

しかしながら、「なかなかうまくいかないこともある」と小西先生は語ります。「例えば、デイサービスの利用中に患者さんの具合が悪くなっても、いったん家族のもとに帰ってからあらためて受診、ときに手遅れになることがあります。だから、介護サービスの提供者には、利用者の具合が悪くなったときには、必ずすぐに主治医に連絡するよう伝えているのですが、残念ながら、連絡してもらえないこともあります」(小西先生)

実際に、介護サービスとうまく連携がとれていなかったために、手遅れになってしまったという苦い経験がある小西先生は、介護サービスの提供者に対して、「お年寄りと関わる以上は、利用者の身体の状態を把握し、「こういう状態であれば医者に連絡したほうがいい」と判断できるようになってほしい」と強調します。

「一番大事なのは、普段見ている利用者さんと『あれ、違うな』と気づいたときに、すぐに行動することです。主治医に連絡してみようかとなれば、それで助かる命もあると思うのです。介護と医療が連携して、お年寄りの生活を支えていくことが一番大事なことです」(小西先生)

このことを伝えるためにも、交流会で積極的に話をしたり、教えたりするよう努めており、また、このような小西先生の考えが、同院に介護施設を併設する理由の一つになっています。経営的にはメリットばかりではありませんが、「患者さんのためなので」と小西先生は言います。

支援の視点に立った看護師が、医療と介護をつなぐ

在宅診療部部長・看護師 今井直子さん 在宅診療部部長・看護師 今井直子さん

医療と介護の二つの事業を展開する同院で、そのつなぎ役を果たしているのが、在宅診療部の部長で、看護師でもある今井直子さんです。介護サービスの提供者、ご本人やご家族と情報共有をすることは、診療の上でも役立つと話します。

「当院では看取りをさせていただいていますが、ご本人がどういう人生を歩んでこられたのか、何をされてきたのかをご本人・ご家族、ケアマネジャーさんから伺って、それを受けて、最後までご自宅で過ごされることをどう支援していくかを決めています」(今井さん)

「その方らしさを最期まで持っていただきたい」と語る今井さんは、支援側の連携の重要性を指摘しています。

「認知症の方は、自分で判断する力や、気持ちを表現する力がなくなってしまうので、どうしたいかということをご本人から聞くことができません。そのような方を支援していくためには、看護師や介護スタッフなどの支援を行う側で交流を深めてゆき、ちょっとした患者さんの訴え・ご家族の相談内容を情報として共有し、支援に生かせることが必要です」(今井さん)

医療法人に所属している看護師ということで、他の事業所の人から身構えられることもありますが、なるべくそのような壁を感じさせないように気をつけているという今井さんは、「上下の関係ではなく、一つの輪で支援していますよ、という思いが共有できたときには、よかったなと思えます」と話します。

訪問事業で齟齬や切れ目のない治療を目指す

小西先生は脳神経外科の専門医であることから、同院で受診する人の中には、高次脳障害など脳の障害が残った、通院が難しい患者さんも少なくありません。そのような方を支えるために、開院当初から訪問診療や訪問看護を実施し、2006年には、訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションを開設しました。小西先生は、訪問事業を自身の医院で行うことの意義として、訪問看護を担う看護師との正確な情報共有ができること、密度の高いコミュニケーションがとれることを挙げます。

「在宅医療では、主治医と担当看護師さんで、しっかりとコミュニケーションがとれていないと、治療はうまくいきません。自身の診療所で訪問看護を行っていれば、訪問から帰ってきたときに、患者さんの状態についてすぐに話を聞くことができます。リアルタイムで患者さんの状態を知ることが、適切な治療につながります」(小西先生)

以前は、通常の診療に加えて、訪問看護まで一手に担うことに「囲い込みだ」などと批判を受け、自信が持てなかったという小西先生。あるとき、在宅医療で看取りを行う医師の講演に出向き、その思いをぶつけてみると、「自分が連携しやすい訪問看護と在宅医療を勧めるのが一番だ」と背中を押してもらえたと言います。「患者さんにとって一番いいサービスを行いたい」という小西先生の思いが、同院の多様な取り組みに表れています。

これからの認知症診療には、連携の仕組みが大切

内閣府の『平成28年版高齢社会白書』によれば、2025年には、認知症患者数は700万人を超えると推計されています。認知症診療の課題の一つとして、増え続ける認知症患者に対応できず、すぐに診療してもらえない状況が続いていることが挙げられます。

「当院がうまくいっているのは、なかなか治療の効果が出ない場合に、それをバックアップしてくれる身近な診療所があることです。このような連携の仕組みの中で、一般の診療所の非専門医でも認知症を診療できるようなれば、患者さんがすぐに診療してもらえない、通院中の患者さんの認知症を見逃してしまう、ということを防げるのではないかと思います」(小西先生)

開院当初は認知症診療を行っていませんでしたが、地域のニーズに応える形で診療を開始し、専門医との連携によって、その仕組みを維持してきました。今では介護施設と併せ、地域の高齢者にとって必要不可欠な存在となっています。

地域に根付き、住民から信頼を寄せられてきた小西醫院は、医療と介護の両輪で、今後も地元の人々の健康と生活を支えていきます。

 

 

取材日:2020年8月28日
医療法人小西醫院の外観

医療法人小西醫院

〒524-0103
滋賀県守山市洲本町1256-6
TEL:077-584-2666

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